キャプテンはここにいる(2021.5.1北九州戦レビュウ)

アウェイの地で、2 – 1の勝利。

同点には持ち込まれたが、交代したプレイヤーが関わった得点で突き放す、って展開、なかなかいいではありませんか!

【やはり中盤の制圧がポイントだった】
佐藤 和弘 (キャプテン)を欠くものの、前 貴之(副キャプテン)が、ゲームキャプテンを難なくこなして魅せたのが大きかった。
アンカーとして中盤を締め、特に、アウトサイドのプレイヤーを巧く使っていた。

中盤、というと、阪野 豊史が降りて来てボールを捌いたのが効いていたし、新しく開発した手法として、2列目を担った鈴木 国友が、やはり2列目の河合 秀人とサイドを変えるパス交換をしたのも、北九州の中盤に上手く穴を開けました。

北九州は、ボランチに、六平 光成と針谷 岳晃のふたりを並べてきた。

ヴェテラン六平を使ったところに、小林監督の、中盤が肝、との意思が観てとれましたが、山雅にしてみれば、すばしこい永野 雄大先発のほうが厄介だったかも知れない。

ついでに、前川 大河がベンチスタートであったことも幸いでありました。

あとは、#10 高橋 大悟が、要所要所で光るプレイを魅せた。
ギラヴァンツ生え抜きの3年目か……。
この活躍を続ければ、トップリーグからの誘いもあり、でしょう。

北九州の攻撃の面目は、その中盤から、ペナルティエリアに鋭い縦パスが入ってくること。
これに4人くらいの前線が瞬時反応するわけですが、予測も含めて、山雅の最終ラインが、大過なく対応できていことも素晴らしかった。

【やっとチームの骨格が】
11節目にして、台所事情はともかくも、戦うチームとして、ひとつの達成が露わになってきた、という感があります。

特に、サイドからの崩しにこなれた仕事ができるようになったのが大きい。

象徴的なのが、14分、河合のゴールが生まれた、その前のプレイ。
浜崎 拓磨から、北九州センターバックの裏へロングパスが供給される
これを、走り勝った横山 歩夢が追いついて手中にしたシーン。

こういった局面の再現性を高めることで、クロスなりカットインの起点が創れるわけですから、このゲームでいちばんの魅力的場面だったかも知れません。

では。

First of May (1969年)

5月の朔日(ついたち)、という曲名だから、今日採り上げるにふさわしい、というこじつけ。

まだ幼かった頃 クリスマスツリーを見上げていた

みんなが遊びに熱中する中、僕らはいつも一緒だったっけ

どうして?、って訊かないでおくれ

ただ 時間は過ぎ去ってしまう

他の誰かが  遠くからやって来たんだ

僕らはもう大きくなって クリスマスツリーは 小さくみえる

君が幾度確かめようとも  僕らの愛に変わりはないよ

けれど、五月最初の日が来ればきっと 涙が こぼれるだろう……

では。

カクテルとブランデー (北九州戦プレビュウ)

前置きをひとつ。

ギラヴァンツは、クラブ経営面で、J3断トツの、No.1 評価(2018年、2019年)を勝ち取ったことを、指摘しておきたい。(デロイトトーマツ社による「Jリーグマネジメントカップ」より)

これには、2017年に専用スタジアム(ミクスタ)を獲たことが大きく寄与しているには違いない。
けれど、専用スタジアムを手にしてもパッとしないクラブも在ることを思えば、やはり、経営手腕があってこその躍進、とみていいだろう。

戦績的にも、J2に復帰した昨季は9連勝(第7~15節)を達成し、リーグに旋風を巻き起こす。
後半、(おそらくは対策されて) 失速したものの、年間 5位を確保。

今季は現在22位と苦しむが、監督3年目、小林イズムも浸透しているだろうから、互いの順位など、まったくアテにならない対戦、と考えるべき。

【その中盤を無力化せよ】
4 – 4 – 2 を採用する北九州。
で、その運用とは……、
基底部では、センターバックふたりとボランチふたりが四角形を作り、そこから攻撃を始動する。

ボランチは、縦関係になるというより、むしろ、並列的に位置する。

サイドバックのふたりは高い位置をとる。

残る4人、つまり、アウトサイドハーフとツートップは、ほとんど横一線に並ぶようにして、攻撃に向かう。……、といった感じ。

チャンスとみれば6人が一斉に走り込んで来る攻撃を、覚悟しなければならない。

これを極端に表すと、その陣形は、カクテルグラス(向かって右)のような格好を呈し、とにか前線へとかなりの人数(=エネルギー)を投入するスタイル。

とすれば、山雅としては、ギラバンツの後方、その左右にできるスペースを自在に使い、ビッグスイッチ(サイドを変える)やクロスの多用することで、ペナルティエリアに多く侵入したい。

前線と、ボランチあるいはセンターバックの連携を分断できれば、その攻撃力を減衰しつつ、こちらが攻撃に傾けるチャンスを大きくできるわけだ。

いわば、カクテルグラスの脚部を長く間延びさせるようなイメージでしょうか。

対し、こちらは、ブランデーグラス(左の絵) のようにですね、中盤を厚く太く、かつ、前線にも人数をかける、って感じですかね。
しかも、背丈はずんぐりと。
つまり、全体を縦にコンパクトにしてしまうことで、相手のボランチの使えるスペースを窮屈にしてしまう。

ギラバンツのボランチふたり、例えば、永野、針谷は、22~23歳と若く、山雅であれば、米原や平川に似たり寄ったりの経験値。

対し、佐藤や前らは、技量と度胸の総体で彼らを上回っているだろう。
だから、ボランチ対決では、かなりのアドヴァンテージが有る。

攻撃のキレ味は、どうも相手に分があるようだ。
とはいえ、向こうよりも多く得点しないと勝ちは決してない。

ならば、ここは単純な話。

特に中盤で上まわることで、相手よりも多くペナルティエリアに入ってシュートに持ち込む、そういった割り切りで行きましょうよ、山雅。

では。

クラブ決算、つまみ食い。

Jクラブで、昨年度の決算が公式にリリースされ始め、そのいくつかを。

清水エスパルス。
興行収入で前年比4億700万円の減少だったが、責任企業の(要は、親会社ね) 鈴与様から、特別協賛金 !という名目で救済してもらった結果、3,800万円の黒字。
強化費は過去最高の、22億300万円だった。
これ、山雅の総収入(19億2,700万円)をはるかに越える。

それでいて、昨季、勝ち点28 (16位) か。
勝ち点1を稼ぐのに使った年俸が、ざっと7,900万円とは、贅沢な世界ですな。

大分トリニータは、11年ぶりの赤字転落。
二度と、地方政府にすがることもできないだろうし、厳しいな。

また、浦和レッズは、純損失で6億円の赤字。
特に、無観客興業などによって、入場料収入が前年比約19億円ダウンしたのが効いているようだ。
この減少幅は、ほぼ山雅の総売上に等しい。
絶大な集客力が、かえってアダとなった例。

社長は、親会社(三菱)による補填ではなくて、パートナー企業(よくわからん)の支援によって赤字幅を減らしたと弁明、それが本当なら大したもの。

さて、山雅。

県内メディアによる、決算に関する報道を、その文言から引用すると、

―シーズンパス購入者が、無観客となった試合などの払い戻しを辞退して寄付した金額が、約4,800万円余りに上ったことなどから、327万円の純利益を確保~ ―とある。

これ、― 寄付金などにより―、とあるから、間違いじゃあないんだが、
その4,800万円がなかったら赤字だった、とも受け取れる。
チト乱暴な論調ではあるまいか。

こういう部分の、ファン&サポーター ヨイショは、クラブが言うならともかく、メディアが軽々にそのままをなぞるもんでもない。

むしろ、決算書を、かつかつ300万円の純利益で着地させたことを分析して報道すべきでしょう。

では、また。

山雅らしさ、というゲーム。

たしか、25日の朝のこと。

家人が隣家へ出かけていって、中信エリアだけの新聞(読み終わったもの)をいただいて来た。

山雅の、鐵戸編成部長のインタビュウ記事が、お目当。

前日、京子さんからのメールでは、この記事について否定的な言及があったので興味が湧いたらしい。

おこぼれに預かって斜め読みした。

記者の執筆要旨が定まっていないことが(おそらく)原因で、記事の中身がちっとも腑に落ちないので困ってしまう。

ちょうど、毎朝15分やっている公共放送のドラマ主題歌、日本語で歌っているようなんだが、歌詞が頭の中で日本語として一向にたどれない、まさにあの感覚。

一体、どういう切り込みでマイクを向け、テッちゃんに何を言わせたかったのか?

どうやら〈山雅らしさ〉がキーワードらしいことはうかがえた。

スランプに陥った時におこなわれる、この確認作業。
山雅を取り巻く一帯では、キャッチコピーのごとく、ひんぱんに登場する。

  Gans  asks  What  makes  Yamaga   time  after  time.

山雅らしさ、が蒸し返されるのには、以前から食傷している。

それがいまや、自分探し、いや、あら探しのゲームの観ありで、笑える。

らしさ、の認定根拠はもっぱら、勝敗、順位という結果から導きだされるようだ。

となれば、ほとんどが情緒的な印象論ばかり。

数値としてのデータはほとんど示されない。

好不快、悦楽と落胆などの感情は否定しないけれど、その基準で仕事が一刀両断されるとしたら、ゲームをやってるほうは浮かばれないんじゃぁないか?

虹の彼方の理想郷、実は家に居た青い鳥、掬い取れない手桶の満月。
……、実体なき願望でないのか、自問するのもいいかもね。

ただ、このテーマについては、語れないこともなくて、らしさの根源はおそらく、〈後からやって来たアマチュア集団〉に在ることだけは確か。

たとえば、昨日リリースされた、2020年期 株式会社松本山雅の、最終的に黒字を確保した決算内容。

より詳細が公表されれば、そのやりくり上手に迫れるんでしょうが、流行り病の逆風下で、こういった通信簿を報告するところに、山雅らしさを観察できなくてどうするのか、とは思います。

では、また。