我が道を行け (長野戦プレビュウ❷)

パルセイロの、直近2ゲームは、

FC大阪、グンマとやって、つづけて、スコアレスドローだった。

山雅が一敗地にまみれたふたつとの対戦を、無失点で切り抜けているのだから、

そこだけにフォーカスすれば、そのサッカーの優秀性を認めるべきだろう。

ただ。

このスコアレス、ってやつが曲者であって、

長野は、我らとの対戦後、8ゲームを消化して、

得点 3、失点 5 (無得点と、無失点の試合が、ともに5つ)。

つまり、被弾をそこそこ抑止してはいるが、得点不足に悩む、ってのが、現状。

極論だと、パルセイロの喫緊の課題は、とにかくゴールを獲ること、それ以外にはないはず。

長野のゲームをほとんど捕捉していない僕だけれど、そのやりたいところは、おそらく、

〈ボールを保持しゴールに直結する速い攻撃〉〈相手陣内で主体的にボールを奪いに行く守備〉、と診る。

近年では、ボール保持を、もっとも高めているといったデータもあって、

その攻守を、3バックでやる。

……なんだよ、それだと、山雅と、大して変わり映えしない、とも言えて、

しかも、相当に攻撃的な意気込みでやってくるだろうことは、目に見えている。

……そうであれば。

乱暴な話、勝敗は、ほとんど、彼我の、個々の技量差で決まってくる

(その事情は、まさに、サッカーの原理かも知れませんがね)

目の前の相手を、出し抜き、はがし、(正当なチャージで)フッとばしてでも前進せよ。

山雅の戦士よ。

自分たちが開発し、磨き、たくわえてきた自流が表現されて、

そこに、責任有するプレイが継続すること、を願います。

なお。上記〈〉で示してサッカースタイルは、

2週間前、石丸 清隆氏を新監督に迎えた際の公式リリースで、FC岐阜の現場筆頭責任者がステートメントしたものの抜粋。
次節のホーム岐阜戦には、それを標榜するチームがご来松、という次第です。

では。

〈強さ〉について考えている (長野戦プレビュウ❶)

今節は。

もっとも近くに本拠をかまえるJチームとの、2か月ぶりの再戦。

近距離だからプライドが刺激される心情が、いまひとつ、僕にピンと来ないのは、

どうやら、〈土着性〉を嫌う性向に由来するものだろう。
(☞註:土着性とは、田舎気質のことでなく、都会に住んでいても発生する習性)

まぁ、そんなことはどうでもよく、

ゲームの注目度を上げるためのキャッチコピーなら、どんどん使いまわせばよろしい。

収入増のためには手段を尽くすのが、まっとうな企業のやることだから。

さて。

ガラでもない復習をすると……、

前回のホームでの対戦では、

山雅にとって、今季ベストスリーに入る攻撃的サッカーができた。

シュート 22本は、今季20ゲーム中でトップ。(うち、13本を 61分以降で打った)

ただし。

2得点のひとつは、長野のオウンゴールだから、決定率 4%少々は、いただけない。(ここらへんは、敗戦の福島戦とよく似る)

おそらくは、逆転して気分がノったことがある。

または、長野戦ということで、気持ちが昂ぶったのかも知れない。

ただ。

シュート本数(の多さ) を手放しで喜んでいるのは考えもので、

ゲームによって、(相手の出来もあるが) シュート本数が乱高下するのは、やはり、

チームとして、真の強さ、強靭さをいまだ身にまとっていないからだと思いたい。

それが証拠に、一方では、

180㎝越えの上背とはいえ、その相手ボランチが、ゾーンディフェンスの外から、ージャンプで打ったヘディングシュートを、完璧に無競合なかっこうで決められる、ひ弱さ。

 

……調子に乗った時のイケイケの高揚と、なすすべのない失点の同居。

今節は、

こういった不安定が、ここ2か月を経て、

どれほど克服できているのかを、アウェイの地で観させてもらおう、と思っています。

すこしでも高いカイゼン度を望むのは、もちろんで。

では。

もうふたりのMIPについて (奈良戦レビュウ❸おしまい)

奈良クラブが、後半冒頭から、たたみかけてきた戦術的な変更。

前記事ではこれを、変節と、かなり非礼な言い方をしたんですが、

メンツを入れ替えながらも、

ゲーム当初からの、特に、中盤におけるインテンシティを保持しつづけようとした山雅とは、好対照の、

観ていて、面白い、味わいに満ちておりました

山雅戦では、勝ちとして実らなかったものの、

こういった修正力が、現在、彼らが、我らより上位に在る理由でもありましょう。

3点獲れば完勝で、3失点すれば完敗、とはやし立てる向きには、

ここらへんの綾などは、目に入らないんでしょうが。

けれど、それって、

走れ!走れ!を連呼して止まず、走らなければ山雅にあらず、といった単細胞な見方と同根ですわ。

さて。

奈良クラブ、

初期配置の 4 – 2 – 3 – 1が、

後半からは、

極端にいうと、2 – 3 – 5 くらいになって、前線に4 ~ 5人が一線に並ぶと、

後方から供給されるボールに、すぐにでも反応できる態勢。

そのために、

中島 賢星は後方に落ちて、ボール捌きに、ミドルレンジのシュートに、と専念。

他には。

ボランチの一角が、サイドに出て突貫するとか、あるいは、

右サイドハーフの #7田村から、60°の斜め後方より、山なりのクロスが再三前線に入って、それをヘッドで狙うとか。

……見応えのあるアイデアが、満載。

ひょっとしたら、このチームと再戦があり得る、と覚悟すべきかも。

で。

出場時間は20数分だった、

とはいえ、杉田に替り、左センターバックに入った宮部 大己

鋭いスルーパスに反応して突進してきた田村に先回りで寄せると、

ゴールラインかつかつで、その身体にボールを蹴り当てて、ゴールキックを獲る。

この沈着なプレイなどで、

ゲーム終盤、相手の攻撃の芽を摘んだことによって、萬年式MIP なんです。

ご本人に訊いたら、左サイドバックは、大学時代にやっていたので苦にならず。

となれば、杉田から宮部への変換は、かなり合理的、かつ効果的。

大学時代の恩師(監督)が、現在のコーチでいらっしゃることでもあるからにはチャンス到来。

#16を背負うことを機に、山雅の魂を、より体現してもらいたいなぁ。

さらに。

それに近いプレイヤーは、

怪我から復帰して、3ゲーム目の 馬渡 和彰

アウェイ栃木SC戦で、彼がピッチに投入されると、

隣で観ていた家人が、その独特な存在感に打たれたのか?、

― (指さして) #7って誰だっけ?、とおっしゃった。

スロウインひとつとっても、投入の目当てが、実に攻撃的であって、

周囲の受け手の側が、つねに臨戦態勢を採っていないと、きちんと処理できない。

緊張感をチームにみなぎらせるプレイは、ホント貴重です。

では。

明暗を分けた,継続と変節と。(奈良戦レビュウ❷)

サイドは、終始、奈良のほうが優位に使えていた。

結果、コーナーキックは、山雅は1本のみ。

ボール保持は、常にむこうにあって、時間帯によっては、70%くらいだったと思う。

要は、どっちに転んでもおかしくないゲームだったが、

攻撃の、最後の部分だけを切り取れば、

山雅が放ったシュートはどれも、奈良ゴールキーパーの手が届かないところに突き刺さり、

奈良のそれはみな、大内 一生の真正面か、そのリーチ内に飛んだ、それだけのことなんだけれど、

でも、やはり、勝敗を分けた底流があったはず。

〈ボランチに託されたもの〉
僕が、プレビュウで、1996年生れ対決としたは、

このゲームが、中盤(ボランチ)の出来映えで決まると読んで、

ただ、山本 康裕の不在を決めつけ、安永 玲央と大橋 尚志のセットを予想したからでありまして、

実際は、安永と,復帰した山本が、当夜のスタメンで並んだ。

開始早々。

奈良は、岡田 優希が左サイドから鋭いクロスを蹴り込む。

これを、(あわやオウンゴールで)クリアしたのが、安永。

このシーンこそが象徴だった。

ボランチふたりは、奈良の攻撃の芽を摘むこと、ボールを奪うことに奔走し、

やがては、

加入したての川上 航立を投入してまでも、〈狩人〉のミッションを遂行させ、

彼等はそれにミゴトに応えた。

2得点目は、安永が、相手ボランチからボールを奪取したのが起点。

☜これが、山雅が、中盤に与えた継続的なミッション。

対し。

奈良の中島 賢星は、オフェンシブハーフ(2列目)をやるようになって、今節が、4ゲーム目。

これは、新監督の肝煎りの戦術であり、過去3ゲームは、2勝1分けで結果を残している。

ゲーム前半。

彼は、岡田 優希への決定的スルーパスをとおして魅せたり、幾度となく裏抜けダッシュをかけて、山雅ディフェンダーと駆け引きしている。

で、みづからも2度オフサイドを冒すほどに、攻撃的で、こちらには危険なプレイを繰り出した。

ところが。

後半になると、ふたりの田村(#7と#17)が投入されて、もっぱら岡田と彼らに攻撃の基軸が移ったせいかどうか、中島は、ずっと後方に落ちてプレイするようになった。

僕は、これを、奈良ベンチによる戦術的〈変節〉、つまりは変更、と診ていますが、山雅にとっては、多少とも、相手の攻撃圧が減じたはず。

〈スロウインに落し穴があるとは〉
奈良の、このゲームを決めた、もうひとつの〈変節〉が、スロウイン。

それまで、奈良のスロウインは、投げ入れたボールの取得率が、100%。

サイドバックは、後方のセンターバックめがけて投げるんだから、そうなるのはアタリ前で、

そこからボール保持して、基底からビルドアップを始めるならわし。

ところが、その禁を解いたのか、解かされたのか。

68分頃の、奈良右サイドにおけるスロウインは、はじめて前方に投ぜられたのです。

つまりは、山雅プレイヤーと、ボールを競合する格好で。

この時、飛び込んだ選手同士の接触が、奈良にファールの判定。

71分のダメ押しとなった、村越 凱光のシュートは、このファールによるフリーキックからの一連の流れの中で生れた。

ゆえに、あの時、上がっていた高橋 祥平がボール奪取にかかわり、杉田 隼がアシストを記録したのでした。

ホンのひとつのスローイン……。

……ゲームを決めた、奈良の目立たぬ〈変節〉と、山雅が〈継続して〉最後までボランチに課したタスクについての、対照でした。

では。

紙一重の勝利 (2025.7.12 奈良戦レビュウ❶)

チームとして、(おそらくは)懸命に戦ったので、

3 – 0 という、ご機嫌なスコアで終えられたわけでありましょうから、

たまたま勝てた、などという戯言はつつしむべき。

が、それでも。

スコアほどの ワンサイドな出来でもなかったことは、今後を戒めるためにも、強調しておきましょう。

取り巻く観衆のほうのことは知らんが、

間違っても、

山雅のほうが、奈良よりも、心を強くして闘った、などというタワケた発言がないことを祈るのみ。

(気持ちで勝てるほどサッカーは甘くないし、気持ちの前にやるべき準備のほうが、限りなく重要)

クオリティはともかく、

撃ったシュートは向こうのほうが多く、再現性も有していて、
実際、こっちのゴールネットは、1度、揺れたことですしね。

山雅について、特筆すべき〈勝因〉を捜し出すとするならば、

ひとつ。

僕がつねづね言っている、キチンとした堅い陣形を崩さなかったことと、(グンマ戦の反省)

ふたつめ。

特に、ボール保持の好きな相手とやる際の、

(奈良のボール保持が、グンマのそれよりは、優雅であったことにも助けられ)

ボール奪取と、相手のパス起点へのアプローチを、執拗におこなったこと、

この2点が挙げられる、と思います。

ともに、いままで求めてきたはずのことで、ある意味、原点回帰であった。

まったくの新規は、

コーナーキックの守り方が、マンツーマンとゾーンの混淆方式になったことぐらい。

システムこそ違え、山雅側のメンツは、前半の奈良戦とそうは変わらず、

あの逆転負けの借りを、自分流を磨くことで返した、というべき。

☞これは、リーグ後半戦の、テーマです

で。

このゲームの MIP(もっとも印象に残ったプレイヤー)は、

宮部 大己 (山雅)、と中島 賢星(奈良) のふたり

そのワケやら、ゲームの検証は、レビュウ❷で。

では。