思いの深さが まづあって (大宮戦プレビュウ)

― オレンジ(大宮)には、負けないんです!、と宣言したら、

― あれ(愛媛)も、オレンジでしたよね、

と返されて、言葉に詰まってしまいながらの、プレビュウであります。

〈なんだかんだで、ここまで来てしまったが〉
前回、アルディージャとは、アルウィンで戦ってスコアレス ドロー。(6/19)

やはり、リーグ最下位近くをうろうろしている同士の対戦だよな。
―といった、吹っ切れない印象が強いゲームだった。

山雅にとっては、7戦勝ち無しとなって、結局、柴田監督体制のラストゲームに。

対し、大宮は、霜田監督になっての 2戦目。

そして、以降、大宮は1回勝っただけで、ここ2箇月あまりを過し、現在、6戦勝ちが無い。

というよりも、3/27以来、ホームでの勝利に浴していないのですな、オレンジのファン&サポーターの皆様は。

さて、山雅。

名波体制になって、チーム品質の目指すところはあからさまになっている。

とは言いながら、就任後、6戦して 2勝4敗は、やはり満足からは遠い戦績。

……、とこうなれば、サッカースタイルや理論以前に、苦境から脱出する思いの深さでチームが一丸となるべき、両者でありましょう。

もちろん、精神論で勝てるほど、サッカーは単純でもないけれど、2箇月ぶりの対戦もやはり、残留の恐怖を背負いながらの対戦となった切実感は双方に重い。

〈大宮の中盤を 衝け〉
前節、アウェイ岡山戦を、0 – 1 で落とした大宮。
前半の20分までと、ハイライト映像を、DAZNで観る。

67分、GKが保持したボールを蹴り込んだ、というジャッジで幻となった河田のシュートを含め、明らかに大宮のほうに魅力的なプレイ、好機が多かったような印象。

※ジャッジリプレイ8/25 でも取り上げられた。

その悔しさのすべてを込めて、ホームで山雅を返り討ちにすべく向かってくるのだから、これは厄介。

❶守備のポイント
右サイドバックの馬渡、左サイドハーフの小野、この二人が、大宮の果敢なサイド攻撃の象徴的な存在。
比較的アーリイなタイミングで、強引にどんどんクロスを蹴り込んでくる。
中には、CF河田、トップ下の黒川(FW登録)、さらには控えのエース イバ。
これらタレントはボールが納まれば、シュートにまで持ち込んでくる力がある。

これに対しては、5バックを基本にすえて、サイドで数的優位を作って相手の侵入を阻止する、特に、センターバックが引き出されることで中ががら空きにならないように。

❷攻撃の準備
大宮は、4バックの前に、ダブルボランチ、トップ下に黒川を置いて、トップに3人を配する、といった攻撃的な初期布陣。

攻撃するためには、両サイドバックが高い位置取りを採るから、ボランチのひとりが最終ラインまで降りて組立ての起点になるので、
乱暴に描くと、3 – 1 – 6 くらいな態勢となる。

ボランチひとりが、守備ラインと、人数をかけた前線をつないでいるような格好だ。

山雅が衝くとすれば、まるで砂時計の容器がくびれるように孤立する大宮ボランチの周囲にできる、このスペースでありましょう。

極力、相手ボランチが前を向いてプレイすることのないよう、プレシャーをかけながら、このスペースを、セカンドボール回収と、当方のボランチが入り込んでいく場所として使いたい。

ここで後手を踏むと、大宮ボランチからは、サイドチェンジを狙ったロングボールが、タッチライン沿いに供給されてしまいますしね。

❸攻撃の仕上げ
中盤でボールを獲たら、愛媛戦ではいまだ未消化だった、攻撃の完遂、これを、どうか表現してください。

個をどうやって組み合わせて、整理された攻撃のアイディアを、どうやってシンプルにゴールに結びつけるのか?

現地観戦はなりませんが、ひたすら、そこを注視しています。

では。

虜にするサッカー (愛媛戦レビュウ ダメ押し)

 


これでレビュウも、3回目。

さぞ、くどいでしょうが、ご勘弁。

あの夜、いつもどおり、北ゴール裏に陣取った萬年。

後方では、サッカーをやっている、と思われる少年が観ていた。

振り返って確めることはしなかったけれど、おそらくは小学生だろう。

その彼、山雅のプレイヤーが、気の効いたトラップ、フェイク、ドリブル、身のこなしを披露する度、『スゴイ!』と感嘆の声を、挙げている。

セカンドボールはほぼ手中にできるし、6割方はボールを動かしていたんだから、観ていて楽しめた、に違いない。

山雅が、技量で感動を与えられるサッカーをするようになったんだ、との感慨に浸りながら、
観衆のひとりひとりを、その関心ごとに〈虜にする〉ことの価値を改めて思った次第。

そうだ、これをば、トリコ二トール サッカーと呼んでしまえ。(冷や汗もんのダジャレ)

いやいや、トリコロールカラーを掲げる某Fマリノスが、クレームを入れるかも?

まさか。

では。

ここだけの話 その❷。

雨交じりの風にあらがって、燕が二羽、相次いで、むこうの原めがけて飛んでいった夕暮れに。

京子さんから、相方に入ったメールのことを、思い出していた。

― 友人が、山雅の勝利を祈願しようと、某神社に参ったところ、

そこで、装具をつけた山雅の選手 誰々(名は秘す)が、ご夫婦で参拝している姿をみかけた、という。

なんとも言えない光景だったに違いない。

そういった信仰心のかけらを持ち合わせていない僕でさえ、一刻も早い彼の快復を祈る。

ジョージ ウインストンなら、今聴きたいのは、『Colors/Dance』

出逢ってから、もう40年近くにもなる曲……。

1980年発表の、ソロアルバム『Autumn』の冒頭に収まっている。

では。

ここだけの話 その❶。

数日前のこと。

この度、宣言下に置かれた某県に住んでいるお方と、ご挨拶がわりにメールをやりとりする機会がありまして。

この方の職場で、COVID-19陽性者が出た、という話。

保健所の担当者は現場におもむくことはなく、電話の聴き取りで、濃厚接触者なし、との結論を出したらしい。

要は、単独発生の判断だろう、それ以上、クラスター有無の追及もなかった。

けれど、事業所閉鎖も有りの、危機感を持ったその会社。

設置しているカメラの映像をチェックして、陽性者が軽微に接触した社員を特定。

抗原検査をおこなった結果、陽性者が何人か出てしまいました、とのこと。

そりゃ、そうでしょう。

これだけ感染報告に追われていれば、対応する人数を倍々にしているわけでもないだろうから、保健所だって、いちいち念入りに事案を取り扱ってもいられまい。

責める気持ちはまったくないけれど、
いまや、濃厚接触者なし、というのはあてにならない文言、と思わないと、という教訓。

そこで、ふと思ったんです。

政府による宣言下での対策と措置がなまぬるいと批判するのはいいけれど、

では、これから7日間、対象地域では、行政、医療、介護の一部、救急、公衆衛生(ごみ処理)、金融機関以外は、すべて休業、休校。
交通機関も、災害時のように運休、または、ダイヤを大幅縮小。

ただし、スーパーマーケット(食料/日用品)の類は、ひとつの家族で2回まで利用可、と住民にお願いしたら、皆、応ずるんでしょうかね?

なんだかんだ言って、以前と変わりなく職場に通っている者、通学者がほとんどなんでしょう?

テレワークとかいう言葉は、よく聞くけれど。

たとえば、休業による自宅待機は、有給休暇の使用でまかなう、有休のない方にはそれに準ずる特別休暇を与え、事業主にはその分を補填する。

これだと、個人事業者は切ないけれど、ゴーツーなんとかに税金をつぎ込むよりは、よっぽどマシなんでは?

その期間、TV局はニュース天気予報以外は、すべて特別番組で編成。

懐かしの邦画洋画、スポーツドキュメンタリーを、アーカイブから引っ張り出して来て、24時間延々と流しまくる。

これぞ、プレミアムな、秋のヴァケーションではありませんか。

では。

To be, or not to be? (2021.8.22 愛媛戦レビュウ 本論)

〈盛り沢山の 夏の終わり〉
攻めに攻めたが、たった一発のカウンターを被弾。

結果、0 – 1 の敗戦に沈めば、そりゃあ、面白くないに決まってる。

ビハインドでは、シュートも、焦れて粗くなりますしね。

けれど、ゲーム終了後、スタジアムにたたずむ僕らのココロは、負けても、不思議な期待感に満ちていたのも、事実。

お帰り! セルジ―ニョ、またやって来たフォーエヴァー #3の季節、延期された恒例の花火。

……、いろいろ詰まったゲームであったことだけでは説明できない、明るい兆しが、そこにあった。


〈何によって憶えられるチーム となるか?〉

― この一箇月、いろいろ動きがありましたね。

久しぶりにお会いした、北ゴール裏の同志チノ氏の第一声が、これだった。

確かに、いまだ夏の夢の中にいるような感覚……。

でも、新監督体制になって、最初の60日が経過、ひと月ぶりにアルウィンに帰還したチームは、まぎれもない変貌を魅せつけた。

ゲームをとおして、あの愛媛は、ひたすら守り抜いて必殺のカウンター狙い、を選択する。

対戦相手をそう仕向けたことこそが、新しい山雅の目標品質が彫り出された証拠だった、と言えましょう。

おそらくは、前節の秋田戦を検証した上で臨戦した愛媛であったはず。

とすれば、対山雅の戦術論は、当方の変容と並行する格好で、すでに出来上がりつつあるんだろう、きっと。

❶安定をみせるセンターバック陣。
上背を利してのヘディングシュートに加え、ボールを持っての駆け上がりの回数が増えている。
常田 克人の場合は、サイドバックを追い越すプレイをみせていて、今後、左からの攻撃を厚くするだろう。
宮部 大己、星 キョ―ワァンも、それに続け。
今節、愛媛があまり強く競らなかったせいもあるが、ボールを無駄にクリアすることが減り、次に繋げる場面が増えた。
こういうプレイと意思は、セカンドボールの回収に大きく貢献している。

❷攻撃的な中盤の形成
特に、小手川 宏基を2列目において、ある程度自由にポジションを採らせる策が効いているが、
ここ2戦、平川 怜がボール捌きと散らしの巧さで頭角を現しているのは好材料。定位置を手中にしたかも。
ゲーム前半、阪野に出した鋭いスルーパス、あれが決まるようになれば。

そこに佐藤 和弘を加えたトライアングルは、攻撃組立ての、決定的な起点だ。

❸前線3枚の組み合わせ、の整理
リザーブメンバーの、なんとも豪華なこと。

ディフェンス(橋内 優也)とボランチ(米原 秀亮)がひとりづつ。
で、残るは豊富な攻撃のタレント。

後ろを落ち着かせておいて、さて次は、攻撃陣のチョイス。
各個の貢献(運用)をあきらかにしつつ、交替の局面ごとに最適解を見い出す。
― これが、指導者の手腕になるんでありましょう。

たとえば、あれだけやっていた阪野 豊史を替えて、後半の頭から投入した伊藤 翔がいかにチームにフィットできるか。

また、今節を観る限り、セルジ―ニョの自由度を、チームとしての攻撃の多彩さと流動性としてどれだけ活かせるのか?、これが、ある意味、一番の悩みどころではないか。

セルジ―ニョのプレイを空回りさせず、他のプレイヤーが引き出して利用するということ。

実際、攻撃のアイデアがもっと整理されて、かつ、こなれないと。

ハムレットの台詞じゃあないけれど、もはや、
これでいくのか、そうでないのか?、という疑問への答えははっきりした。

これからの17戦は、残留をキッチリと決める戦い、と腹をくくろう。

たしかに、秋田戦みたいな大量得点をいつも期待できるほどには信用できない。
けれど、創り込まれているチームは、十分に信頼できそうだ、そんな敗戦の感想でありました。

では。