To be, or not to be? (2021.8.22 愛媛戦レビュウ 本論)

〈盛り沢山の 夏の終わり〉
攻めに攻めたが、たった一発のカウンターを被弾。

結果、0 – 1 の敗戦に沈めば、そりゃあ、面白くないに決まってる。

ビハインドでは、シュートも、焦れて粗くなりますしね。

けれど、ゲーム終了後、スタジアムにたたずむ僕らのココロは、負けても、不思議な期待感に満ちていたのも、事実。

お帰り! セルジ―ニョ、またやって来たフォーエヴァー #3の季節、延期された恒例の花火。

……、いろいろ詰まったゲームであったことだけでは説明できない、明るい兆しが、そこにあった。


〈何によって憶えられるチーム となるか?〉

― この一箇月、いろいろ動きがありましたね。

久しぶりにお会いした、北ゴール裏の同志チノ氏の第一声が、これだった。

確かに、いまだ夏の夢の中にいるような感覚……。

でも、新監督体制になって、最初の60日が経過、ひと月ぶりにアルウィンに帰還したチームは、まぎれもない変貌を魅せつけた。

ゲームをとおして、あの愛媛は、ひたすら守り抜いて必殺のカウンター狙い、を選択する。

対戦相手をそう仕向けたことこそが、新しい山雅の目標品質が彫り出された証拠だった、と言えましょう。

おそらくは、前節の秋田戦を検証した上で臨戦した愛媛であったはず。

とすれば、対山雅の戦術論は、当方の変容と並行する格好で、すでに出来上がりつつあるんだろう、きっと。

❶安定をみせるセンターバック陣。
上背を利してのヘディングシュートに加え、ボールを持っての駆け上がりの回数が増えている。
常田 克人の場合は、サイドバックを追い越すプレイをみせていて、今後、左からの攻撃を厚くするだろう。
宮部 大己、星 キョ―ワァンも、それに続け。
今節、愛媛があまり強く競らなかったせいもあるが、ボールを無駄にクリアすることが減り、次に繋げる場面が増えた。
こういうプレイと意思は、セカンドボールの回収に大きく貢献している。

❷攻撃的な中盤の形成
特に、小手川 宏基を2列目において、ある程度自由にポジションを採らせる策が効いているが、
ここ2戦、平川 怜がボール捌きと散らしの巧さで頭角を現しているのは好材料。定位置を手中にしたかも。
ゲーム前半、阪野に出した鋭いスルーパス、あれが決まるようになれば。

そこに佐藤 和弘を加えたトライアングルは、攻撃組立ての、決定的な起点だ。

❸前線3枚の組み合わせ、の整理
リザーブメンバーの、なんとも豪華なこと。

ディフェンス(橋内 優也)とボランチ(米原 秀亮)がひとりづつ。
で、残るは豊富な攻撃のタレント。

後ろを落ち着かせておいて、さて次は、攻撃陣のチョイス。
各個の貢献(運用)をあきらかにしつつ、交替の局面ごとに最適解を見い出す。
― これが、指導者の手腕になるんでありましょう。

たとえば、あれだけやっていた阪野 豊史を替えて、後半の頭から投入した伊藤 翔がいかにチームにフィットできるか。

また、今節を観る限り、セルジ―ニョの自由度を、チームとしての攻撃の多彩さと流動性としてどれだけ活かせるのか?、これが、ある意味、一番の悩みどころではないか。

セルジ―ニョのプレイを空回りさせず、他のプレイヤーが引き出して利用するということ。

実際、攻撃のアイデアがもっと整理されて、かつ、こなれないと。

ハムレットの台詞じゃあないけれど、もはや、
これでいくのか、そうでないのか?、という疑問への答えははっきりした。

これからの17戦は、残留をキッチリと決める戦い、と腹をくくろう。

たしかに、秋田戦みたいな大量得点をいつも期待できるほどには信用できない。
けれど、創り込まれているチームは、十分に信頼できそうだ、そんな敗戦の感想でありました。

では。