敢えて乱調を起こす (北九州戦プレビュウ)

(時候の憶え: 5/2 庭のアヤメが開花)

そう言えば、ギラヴァンツとは、昨季共に降格した同士だった。

そんなことも疾うに記憶から薄れている。なんだか遠い過去の話みたいに。

思うに。
我が山雅には今、若い推進力が備わって来ていて、それを楽しむのに忙しいからだろう。

近い過去のことは忘れてしまい、むしろ、小手川 宏基とか星原 健太が在籍した2014年頃が印象深いなんて、ほんとジジイに相応しいことだわい、と苦笑する。

さてと。

2020年季に、2部昇格の立役者たちがごっそり抜けてから2年、小林 伸二氏が監督から退いて、スポーツディレクターに回った今季であっても、やはり、
北Qのやりたいことは、パス多用の、活力あるサッカーのようでござります。

ゲーム平均パス数はリーグ第2位、ボール支配は、57%で、これもリーグ2位。

さらに、得失点の様態はというと、あまり偏ることなく分散している。

……、となれば、あまり極端に尖がったところのない、オーソドックスなサッカーと診ていいのではないか。

プレイヤーとしては、#10 高橋 高澤 優也、#13 前川 大河、このあたりのすばしこい個性をどうやって捕まえるのかが、重要でしょうか。

ギラヴァンツを、このようにザッと総括してしまうと、山雅がやろうとしている
無骨で緻密な攻撃サッカーにとっては、比較的やり易い相手ではないか、と思います。

ボールを持ちたい相手なんで、最初の立ち位置もハッキリしていて、当方は、ひたすら執拗にボール奪取を狙い、奪ったら即反転してゴールに向かう……、とわかりやすい。

願わくば、パス多用の相手に対しては、あちら様のプレイヤー同士の距離をいかに不適正なものにしてしまうか、ここが智恵の使いどころ。

ここは、こちらのボランチの、出たり入ったり、前後に走り回る仕事ぶりにかかっているのでありましょう。

で、最後の決め手の部分のお話。

もっとも旬な歩夢には、引き続き注目ではありますけれど、抑えおきたいのは、(シュート前の)〈ラストパス〉では、菊井 悠介 14本、住田 将 11本、佐藤 和弘 8本のトップスリーのところ。

彼らがペナルティエリア近辺で、ワンツーを噛ませて、いかに多く仕事をするのか?

誰がゴールゲットするにせよ、そこのところを楽しめれば、と思います。

格好良く言えば、可変的システムを使いながら、緩急(スピード) と 伸縮(スペースの活用) でもって相手を翻弄して崩す、そんなのが観られれば幸いです。

では。

勝手知ったる 心地よさ。

ニッティー グリティー ダート バンド が、つい2週間前、新しい動画をリリースしたのを知って、おおいに喜んでいる。

再びここに戻ってきた、といった熟達に触れる安心感。

それと同時に、新たなエネルギーを感ずる演奏には、惚れ惚れする。

なんだかんだ言ったところで、北米発の、カントリーなロックンロールは、僕にとっては、クラシックみたいなもんですから。

彼ら定番のカヴァー曲、『ミスター ボージャングルス』(by ジェリー ジェフ ウォーカー、1968年発表) については、また別の機会にでも……。

では。

勝利に値するゲーム (2022.4.30 沼津戦レビュウ)

横山 歩夢の、個人技によるゴールを守り切って、1 – 0 で勝利。

〈長い 前置き〉
昨夜は、子連れ6人の大所帯で観戦したせいか、周囲に気がまわらずにいて、チノ氏が先に、こっちを見つけて挨拶に来てくださった。

お互いに数箇月ぶりなんだが、単刀直入に話題に入れるのが、ゴール裏同志の良いところ。

で、ゲーム感想を訊かれ
― うーん、タイトルをつけるとすれば、不出来な勝利、かなぁ?

ところが、観客席テッペンの高い位置から、より分析的に観ているチノ氏によるゲーム評価は、かなり高いのだ。
― 例えば、ボールホルダーには 2人でいくとか、練習による裏付けを感じさせます、云々。

まだまだ語り足りなかったので、次節北Q戦の時にでも、と言うと、御柱を行なう地にお住まいなので、ここしばらくは、それも叶わなさそう。

だから、チノ氏との山雅談義は、10節以降のお楽しみとなるけれど、
彼の評価と指摘を頂戴しながら、DAZNで今一度振り返ってみて、この記事を書きます。

〈修正力と我慢する力〉
❶ゲーム進行の中、お互いが 左サイドに攻撃の軸足を置くような展開になった。

山雅の場合は、システムを変えながら、下川 陽太を右サイドバックに配転することで、沼津の#10 佐藤渡邉 りょうの 厄介な動きに手当をしつつ、左に広く展開した横山を、突破の起点にするような策に出る。
ゲーム中の、こういった対応力は今季かなり効いていて、前半の中だるみをずいぶんと救いました。

❷相手が支配する時間、というのサッカーには必ず在るので、ここをどう凌ぐか?が、ゲーム帰趨を大きく分ける。

昨夜は、前半10分からの時間帯と、後半の中盤あたり、がそれ。

そういう局面では、こちらのテンポがなかなか出なくてもひるまずに、執念深くボール奪取を試みる。

あるいは、陣形を崩さないで、攻守のためにポジショニングを繰り返す。

そういった姿勢が、最後まで消失しなかった。

特に、ミスなどで自分が起点となったボールロストは、最後までボールを追いかけていって、不利な状況を取り返そうとする、といった責任感有るプレイがそこかしこに目立つ。

堪えることが、攻撃的にできるようになったこと、これは素晴らしい。

〈考える力と企画力〉
❶何故に、コイントスで、わざわざ風下を獲ったのか?

思うに、沼津が、早くロングボールを入れて来る、というスカウティングがあって、その精度を落とさせようとする意図かな?

風によって、ボールがかなり流れましたからね、昨日のアルウィンは。

相手の良さを消す、という作戦は、今の山雅のおおきな特長。

❷54分のコーナーキックは、佐藤 和弘がキッカー。
直前、菊井 悠介と住田 将が、ペナルティエリア外縁でなにかヒソヒソ。
ははぁ、これはなにか仕掛けるな、と思ったら、佐藤は、ニアに居た前 貴之に鋭いグラウンダーを送った。

あるいは、52分のコーナーキックの場面。

ここでは、2人が前方に位置することで、これをマークしようとする沼津プレイヤーを3人引っ張りだしておいて、ゴール前に敷く沼津守備網の目を粗くしてしまう。

そこに小松 蓮が飛び込んでヘディングシュート。
ボールは惜しくもバーを叩いて未遂。
ですが、実質的には、策が奏功した1点ものです。

〈目指すスタイルは 今こそ露わ〉
a)特に、後半の入りからしばらくの時間帯。
ここで魅せた、複数人でボールに絡み、ゴールに迫るサッカー。

村越 凱旋が魅せた、狭いスペースでも突っ込んでいって、シュートを打つポジションにボールを運ぼうとする姿勢。

b)それと同時に、前方に空いたスペースの活用があって。
例えば、33分、左サイドで菊井が、横山を走らすように出したスルーパス。

スペースを細かく、かつ、広大に活かす。
このaとbの、両極端を使い分けることで、相手ディフェンスを翻弄すること。

やるべきは、その練度と回数を増すこと、でしょうね。

ポイントは、速いテンポ。

球離れがテキパキと速ければ、被ファールも、また、こちらの犯すファールも少なくて済むわけで、レフェリーの笛も、こっちに優位に引き出せる。

昨夜、相手に与えた山雅によるファールは少なくて、4つ(うち1つは、遅延行為によるもの)であったことは、特筆しておきます。

……、と萬年式ゲーム総括は、かなり高いものに。

こういうゲームができるようになった、いちばん根底的な要因と結果は、

ピッチにたつプレイヤーの指向性が、だんだんと統一されて来たことかなぁ?、と観ていて強く感じます。

ゲーム中、相談していたり、調整している様子がここかしこ散見できますから。

では。

山雅NOW 【その革新の核心】

本日の第7節と、次節。

このふたつ、けっこうな節目、となりそう。

というのは、今季初のホーム2連戦。

そこで、松本城下のサッカーファンに対しどれだけ、山雅NOW、とびきり旬の山雅を、強く訴求できるか?、がかかっているからだ。

チームが、アウェイとホームを選別して戦っているはずもないだろうけれど、今後の観客動員といった観点からしても、無様なゲームだけはご免蒙りたい。

といっても、どうやればいいか?、ってのは観客目線では、簡単。

なにを徹底してやり通したいのか、今の山雅は、ということが腑に落ちれば、それで良し。

プレイヤーの怪我、好不調の波をやりくりしながら、定位置争いは横一線を明確にしておいて、失敗を恐れず果敢に前へ前へ進むサッカーを標榜している。

その根底には、おそらく……、

❶首脳陣が、人材登用の面で、相当シビア、かつ、大胆な抜擢(=選択) を辞さない姿勢を保っていて、それが、チームに浸透しつつあること。

❷指揮官の戦略的な志向が、チーム内により強く反映しつつあること。

……、総じて、ナナミズムの徹底が在るのかいな?、と感じています(あくまで推断ですよ)。

その基盤の上に、これまで、そこそこのサッカーで、それなりの戦績を刻めている、と考えたい。

アルウィンで、そこのあたりが納得できるかできるかどうか?

チームとして、そんな 2連戦にできるか?、して魅せるのか?

どんな決着を得られるかはともかく、来季以降へつなぐための今季の実験、という視線で山雅を捉えよう。

というのが、ファン&サポーターが共闘するための但し書き、とダメ押ししておきたいのですが、U19日本代表候補として合宿に呼ばれた、横山 歩夢。

彼、いいこと言うじゃあない!!

― 自分は山雅から来ていると自負しているから、(U19で結果を出せずに) 山雅とは、こんなもんか、と思われたくない。

とっぴな比喩にあるけれど、明治初頭、国費で西欧に留学した日本青年のような矜持を感じました。

では、ナイトゲームのアルウィンで。

たやすく胸を合わすなかれ (沼津戦プレビュウ)

公式戦では、はじめての対戦(のはず) 。

富士山の麓、愛鷹。

そして、落ち着いた古色豊かな沼津の街を本拠とする。
でもって、ジュビロを兄貴分とするクラブ。
……、それくらいの知識で、申し訳もありません。

加えて、2週間前の、対ギラバンツ戦のハイライト動画を観ての感想です。

〈迷うことなき 前進サッカー〉
こむづかしい事はやらず、とにかく、前へ速く入って来る。
ロングスロウもそういった武器のひとつで、ボールを、とにかくペナルティエリアへと送り込む。

そんな感じでしょうか。

北Q戦では、ボールを70%持たれ、それなりのチャンスを作られ(シュート本数は同じ)、けれど、ストレスで凹むことなく、スキを逃がさずに、4 – 0 で勝った。

危険因子として、マークすべきは、前線の、#10、#20 のふたり。

〈いなすか、潰せ〉
そんな、直線的で、まっとうなアスルクラロのサッカーに対しては、

リズムを決して同調させることなく、ねじ伏せて奪取反転でいくとか、相手よりも数段速くボールを運んでフィニッシュに向かうとか、とにかく、こっちのペースに引きずり込んでいくような工夫が、必要。

前がかりになった相手の後方スペースを獲るか、あるいは、相手を後方へ走らすか。

要は、調子を合わせてマトモにやろうとすれば、かえって後手を踏みやすい。

現在、成功裡にやれている、前線、すなわち相手の最終ラインにボールを放り込み、ここからのセカンドボールを前向きで回収、そこを起点に攻撃を仕掛けるやり方、これを強化、徹底するでいいのでは?

というのは、この戦法は、次の対北Q戦で活きてくるから。

比較的オーソドックスにやってくるギラヴァンツも、この際、見据えてしまう、ってことです。

加え、セットプレイにおけるアイデアの追求。

中途半端な様子見、これだけはどうか、ご法度で。

では。