継続しかないだろう (ザスパ戦プレビュウ)

― 落ち目のチームを注目してくれるなんて、ありがたいこと。

なにかの拍子に、家人が、こうつぶやく。

〈落ち目〉……かぁ。

しかし、何十年ぶりに聞いた文句だよ、これ。

例えば、フーテンの寅が、自身の境涯についてため息交じりに発するような場面しか思い浮かばなかったけれど、そうだよな、こういう時に使うべき言葉なんだわ!、と、その言語感覚には、妙に感心してしまった。

継続は力なり、とは結局のところ、今取り組んでいることをやり続けるしかないだろう、やっていることの方向性が端から間違っているなんて、ゾッとするような考えは葬ってしまって、という決意表明に過ぎない。

であるとしたら、前節対琉球戦で、カチッと歯ごたえが在った、責任感をみせたプレイを続けてもらおうではないか、今度は、前橋の地で。

こむづかしい戦術の話は、この際止すとして、琉球戦の80分あたりにピッチに散っていたメンツに、前 貴之を加えた陣容でやってもらいたい、ということぐらい。
セルジ―ニョが、いまだ復帰できないとしたら。

榎本 樹が、この懐かしき街(前橋育英高卒業) で、なんらかの実績が残せたら、それはそれは嬉しいこと。

……、とタカをくくっていたら、一体、いくつ用意した座席数か知らないが、ビジター席が、完売なのか。

こうなったら、責任感あるファン氏は、メインスタンドから見守らなくちゃあ。

では。

そこに在る プレミアリーグを つまみ食ひ

ご当地チームほどには、のめり込むこともないが、

けれども、サッカーのゲームは、どれをとってみても、そこそこに楽しめる。

イングランドの、プレミアリーグ(1部)  第9節。

マンチェスターユナイテッド vs  リヴァプール の好カード(10/24)。

ハイライト映像を観ただけの、熱意のなさではあるけれど、

このゲーム、アウェイの地で、リヴァプールが、5 – 0 と、マンUを粉砕した。

聖地オールドトラフォードで、一方的なスコアを叩き出された、マンUサポーターの悲嘆たるや、軽々に想像も及ばない。
その気持ちだけは、よくわかるんですな、これ……。

スピード豊かな、スペースをダイナミックに使う、迫力ある攻撃。

これだけの達成をみるには、やはり、相当な時間と智恵をかけてきたんだろう。

と思いながら、これほど身体能力を要求されるスタイルでは、南野がレギュラーを獲るのは、かなり難しいことが、痛いほどわかる。

で、ハイライトを2回観返すと、今度は、マンUの守備陣が、失点にまったく歯止めかからぬまま、烏合の衆のようにバタバタしているのが無残。

追走しているばかり、といった印象。

まるで守備に決まり事がないような感じであって、それに比べ、リヴァプールのプレイヤーがすべて倍速で走っているような錯覚さえする。

ま、参考までに、得点シーンを集めたハイライトをご覧ください。

もちろん、こういったサッカーを真似ろ、とかいった単純な話ではないけれど、ピッチを思う存分に使った、わくわくするサッカーには、憧れますな。

見習いたいのは、攻撃になると、4人くらいがなだれ込むようにペナルティキックエリアへ突入していく勤勉さでありましょう。

で、この結果、リヴァプールは 2位に浮上、マンチェスターユナイテッドは、7位に後退。

けれど、ふたつのチームが得たものと失ったもの、それは順位とは比較にならないものであったはず。

その歴史的な因縁からしても……。(ふたつの街は、50kmの距離に在る)

では。

さて来季 回顧趣味で 語る秋

 行けど萩   行けど薄(すすき) の 原広し   漱石
                            (註:阿蘇の外輪山にて9月、詠んだ句。旧制熊本高校の教師時代)

たまたま、岐阜 vs 長野パルセイロ(第24節)を、ハイライトで観る。

結果は、3 – 2 でホームの岐阜に軍配は挙がったんだが、岐阜の初期システムをみると、

ダブルボランチに、本田 拓也、柏木 陽介……。

なんとも豪華で、シーズンここまで来て、やっとこさ辿り着いた配置。

これで、中島 賢星を、シャドウに置けるわけか。

安間監督には、こういった攻撃的な布陣が、よく似あふ。

三ツ田 啓希も、レンタル先で、先発を獲れているから、一安心。

おまけに、チーム内ゴールランキングが、川西 翔太に次いで  第2位(4点)。
先発20ゲームで、出場が、21。
― これ、かなり立派な修行先での稼働、と言える。

本人の努力もあるとは言え、ピッチに送ってくれる岐阜首脳陣には、深く感謝しなければならない。

対戦相手のパルセイロでは、同じくレンタルの、山本 龍平が先発。
先発11を含む、19ゲーム出場だから、耽々と成長を続けている、といったところ。
左サイドバックがほとんどだけれど、センターバックもやっていてプレイの幅を拡げている。

ところでだ、もしも、横浜FCが2部に降格すれば、星キョーワンは呼び戻されそうだし。
なんて考えると、三ツ田は戻して、今度は、大野 佑哉を一度修行に出して……、とか勝手な夢想に浸る僕。

……思えば、たった3年前。

FC岐阜には、セルティックで今をときめく古橋 享梧、風間 宏矢(現 琉球)、そして、田中パウロといったタレントが在籍していて、大木サッカーを体現していた。

山雅は、そのシーズン、1分1敗で、岐阜とはいいゲームができず。
…といったことも、ずいぶん昔のような。

さて、J3リーグは残り4節。

岐阜は、2位宮崎との勝ち点差が、7。

なんとも厳しい状況だけれど、善戦を期待しよう、三ツ田の成長のためにも。

では。

足許を見習え (マックイーン流)

最近になって、

アメリカン トラディショナルの着こなしの最高の見本は、スティーヴ マックイーン(1930~1980) だろうな、と思うにいたった。

50歳そこそこで他界したから、若々しい画像しか残っていないことも彼に有利なんだろうが、段返り三つボタンのフランネル スーツを、襟のロールもしっくりと着こなしている姿は、一級品です。

アメリカン エスタブリッシュの出身でもなく、反体制派だったのに。

特筆は、パンツの丈。

それがスーツであっても、綿パンであっても、常に絶妙な短さ、これです。

マックイーンは、身長175㎝ (一説には 177㎝)、ウエイト 73㎏ だった。

アメリカ人、しかもスターとしては、決して押し出しがいいとはいえない体格であったがゆえの、パンツの短さへの配慮だったはずだ。

この身長は、日本人と大差ない。

ゆえに、アメリカントラッドを装うならば、ぜひマックイーンの着こなしを参考にすべきだろう、と、特に、若人にはお奨めしたい。

なお、首が細い若年層の骨格を考えれば、アンソニーパーキンス (1932~1992) の襟ロールの作り方、カラーの高さを取り入れると、破綻がないように思う。

パーキンスは60歳で亡くなっているので、こちらも若々しさに富んだ着こなし例が多い。

まぁ、いちばん大切なのは、上から下までが、傍から見ていて気づまりするようなガチガチ感を避けること。

どこか抜いた肩の凝らなさ、気障りのない平静さ、それが、トラッドの基本でしょうね。

そして、なにかに一段落したら、ニット タイをばグッと緩めて、こんな曲でリラックスしましょうよ。

では。

【コメント】
☞ルノワール氏より (2021.10.26 21:04)

パンツ丈にもこだわりを持つ萬年さん
流石です!
アメトラの基本は
⭐
パンツ裾幅23㎝
3、5㎝幅のマッキン付です
裾がダブルの為パンツ丈は後で修理不可
よって、とても気を遣います。
⭐
また靴によってもパンツ丈は、変わります
プレーントゥ、ウイングチップの場合はタッセルやコインローファーより1㎝長いパンツ丈が綺麗です。
こだわりこそがアメトラの醍醐味ですね。

確かなる変化 (2021.10.24 琉球戦レビュウ)

〈はっきりいって、好ゲーム〉

― これだと、(降格の)覚悟が必要かなぁ?、
とは、北ゴール裏同志のチノ氏のつぶやきなんですが、そこらへんの勝ち点と順位の勘定は、この際、脇へ置くとして。

さらに、先制するも、1 – 2 の逆転負け、の残念も、確かにあるけれど、

ゲーム全体を観れば、力の出し惜しみもなく、無責任なプレーも激変激減し、運動量も惜しまない、今でき得る最上の部類の内容だったように、僕は思う。

暮れなずむアルウィン、プレイヤーの挨拶回りの中、ペンライトを赤色にして抗議をしている観客の姿はあったけれど、せっかくスタジアムに足を運んでいるのだから、そこらへんの変化を見逃してしまうのは、なんとももったいない。

称賛するほど楽天的にはなれないが、諦めていない姿勢、前へ向かう意欲は十分に表現された、ねぎらいの拍手に値するゲームでありました。

シュートは、ほぼ互角に打てて、思い切り良くなっているのも好印象。

相手がやり方が変わったチームになった、とは言え、琉球と接戦できるようになっただけでも、前進ではないか。

― これ、戦うチームへの〈静かなる〉変容、といった印象で、たとえば、そこそこの順位にいれば、おそらくは、まったく違ったゲーム評価になるに違いない。

感情や情緒は否定しないが、それに眼とココロを曇らされて、降格怖しと、あたかもクラブやチームの息の根が止まるような大騒ぎと批判。

なんとも見苦しいことであって、逆風の時にこそ、そのお方の品格や本性、それと耐性なんかが試されますな。

〈戦略的な話になれば〉

90分を、15分×6回と考えると、そのうち、60~75分の、たった1回分で、後手に回りまわり続けたのが、いちばんの痛恨。
不用意なバックパス絡みで流れを渡し、押し込まれ続ければ、ああもなるか、って感じですな。
ゲーム中、ふと気がつけば、赤嶺、上原、清武、それと風間、これだけの攻撃タレントを擁しているのか、とあらためて琉球の怖さを実感するなんざぁ、我ながら失笑でございます。

〈戦術的に求めること〉

❶チノ氏に言わせると、ノッペリした前半。
これ、予想に反し、琉球が、ダブルボランチを経由した、縦に鋭いボールを使わなかったことが、おそらくは、主なる要因。
上里がベンチ要員であったのは、そのあかしだったんでしょうか。

センターバックからは、ほとんどサイドに展開する格好。

たとえば、その右サイドであれば、サイドバックに渡してから、いったん中の、#8風間に渡してそこからまたサイドへ出すか、外に戻して、山雅のサイドバックの裏狙いのボールを蹴り出していく、という戦術。

あるいは、左の清武に斜めにロングなボールを入れて勝負させる。

その後も、琉球はそのやり方を堅持。
早めのクロス、または、ヨーイドンの、ふわりとした裏狙いのボール、これを多用する。

分析による予想と違ったサッカーには、かなりとまどったんでしょうが、それなりの予測と運動量を使うことで、まぁまぁ破綻なく対応できていたと思います。

予測して動く部分では、常田、佐藤あたり、特に、#8風間をマークしていた平川 怜は、潰しが効いていて、合格点をあげたい出来。
あとは、せっかくカットしたボールを、手中にできるポジション取りが課題でしょうか。

相手のプレイを敢然と切る、というプレイ、やはり橋内はいいねぇ。

❷苦言を申し上げるならば、
これは、どこから守備を始めるか、という選択でもあるけれど、競る中で、ボールに対して素早く身体を入れられて、相手に持たれてしまうシーンがまだ多い。

センターバックに関しては、左右どちらの足でも難なくキックできる技量を身につけないと、相手をかわすようなパス出しのレヴェルには遠い。
意表を衝くパス交換、ここを克服してこそ、中盤が価値を増せる。

さてと、最後に。

逆転された80分になって、さぁっ、と動いた指揮官でありましたが、榎本、田中パウロ、山口、彼等は、せめて、あと10分早く投入してもらいたかった。

競り合った結果のセカンドボールをモノにして、ひたすら攻めたいのであれば、余計に。

(大野の)怪我による功名であったが、星を前線に入れたパワープレイも含め、強引に主導権を握るにも、こういった活性化は必要だと思います。

こうなったら、この良き変化を、次戦は、どうしても現地で確かめることになりそう。

では。