確かなる変化 (2021.10.24 琉球戦レビュウ)

〈はっきりいって、好ゲーム〉

― これだと、(降格の)覚悟が必要かなぁ?、
とは、北ゴール裏同志のチノ氏のつぶやきなんですが、そこらへんの勝ち点と順位の勘定は、この際、脇へ置くとして。

さらに、先制するも、1 – 2 の逆転負け、の残念も、確かにあるけれど、

ゲーム全体を観れば、力の出し惜しみもなく、無責任なプレーも激変激減し、運動量も惜しまない、今でき得る最上の部類の内容だったように、僕は思う。

暮れなずむアルウィン、プレイヤーの挨拶回りの中、ペンライトを赤色にして抗議をしている観客の姿はあったけれど、せっかくスタジアムに足を運んでいるのだから、そこらへんの変化を見逃してしまうのは、なんとももったいない。

称賛するほど楽天的にはなれないが、諦めていない姿勢、前へ向かう意欲は十分に表現された、ねぎらいの拍手に値するゲームでありました。

シュートは、ほぼ互角に打てて、思い切り良くなっているのも好印象。

相手がやり方が変わったチームになった、とは言え、琉球と接戦できるようになっただけでも、前進ではないか。

― これ、戦うチームへの〈静かなる〉変容、といった印象で、たとえば、そこそこの順位にいれば、おそらくは、まったく違ったゲーム評価になるに違いない。

感情や情緒は否定しないが、それに眼とココロを曇らされて、降格怖しと、あたかもクラブやチームの息の根が止まるような大騒ぎと批判。

なんとも見苦しいことであって、逆風の時にこそ、そのお方の品格や本性、それと耐性なんかが試されますな。

〈戦略的な話になれば〉

90分を、15分×6回と考えると、そのうち、60~75分の、たった1回分で、後手に回りまわり続けたのが、いちばんの痛恨。
不用意なバックパス絡みで流れを渡し、押し込まれ続ければ、ああもなるか、って感じですな。
ゲーム中、ふと気がつけば、赤嶺、上原、清武、それと風間、これだけの攻撃タレントを擁しているのか、とあらためて琉球の怖さを実感するなんざぁ、我ながら失笑でございます。

〈戦術的に求めること〉

❶チノ氏に言わせると、ノッペリした前半。
これ、予想に反し、琉球が、ダブルボランチを経由した、縦に鋭いボールを使わなかったことが、おそらくは、主なる要因。
上里がベンチ要員であったのは、そのあかしだったんでしょうか。

センターバックからは、ほとんどサイドに展開する格好。

たとえば、その右サイドであれば、サイドバックに渡してから、いったん中の、#8風間に渡してそこからまたサイドへ出すか、外に戻して、山雅のサイドバックの裏狙いのボールを蹴り出していく、という戦術。

あるいは、左の清武に斜めにロングなボールを入れて勝負させる。

その後も、琉球はそのやり方を堅持。
早めのクロス、または、ヨーイドンの、ふわりとした裏狙いのボール、これを多用する。

分析による予想と違ったサッカーには、かなりとまどったんでしょうが、それなりの予測と運動量を使うことで、まぁまぁ破綻なく対応できていたと思います。

予測して動く部分では、常田、佐藤あたり、特に、#8風間をマークしていた平川 怜は、潰しが効いていて、合格点をあげたい出来。
あとは、せっかくカットしたボールを、手中にできるポジション取りが課題でしょうか。

相手のプレイを敢然と切る、というプレイ、やはり橋内はいいねぇ。

❷苦言を申し上げるならば、
これは、どこから守備を始めるか、という選択でもあるけれど、競る中で、ボールに対して素早く身体を入れられて、相手に持たれてしまうシーンがまだ多い。

センターバックに関しては、左右どちらの足でも難なくキックできる技量を身につけないと、相手をかわすようなパス出しのレヴェルには遠い。
意表を衝くパス交換、ここを克服してこそ、中盤が価値を増せる。

さてと、最後に。

逆転された80分になって、さぁっ、と動いた指揮官でありましたが、榎本、田中パウロ、山口、彼等は、せめて、あと10分早く投入してもらいたかった。

競り合った結果のセカンドボールをモノにして、ひたすら攻めたいのであれば、余計に。

(大野の)怪我による功名であったが、星を前線に入れたパワープレイも含め、強引に主導権を握るにも、こういった活性化は必要だと思います。

こうなったら、この良き変化を、次戦は、どうしても現地で確かめることになりそう。

では。