魅せるべきもの【栃木戦レビュウ 追記その❶】

月曜日、会社に行くと、
ビートル氏は、― いやぁ、辛い負けだったねぇ。
モモ氏は、― 次、頑張りましょう!

ありがたきは、そっと山雅を見守ってくださる方々。

さて、舌足らずであった昨日のレビュウを、2回に分けて補足します。

娘は、山雅ファン歴においては萬年より古いんですが、現在は子育ての真っ最中ということもあって、栃木戦が、今季初の現地観戦でありました。

そこで、ゲームが押し迫った頃を見はからって、現在のチームの感想を訊いてみた。

― 皆、そつの無いプレイをしているとは思う。
けれど、サイドをひたすら前後に走り続けていた玉ちゃん(玉林 睦実) が発散していた、あの鮮烈さは感じないわね。

これを聞いて、そうだ、萬年が最初に名を憶えたのは、あの#14 だったんだ、と今更に気づかされた。

娘が現所属のプレイヤーの特長に疎い、という事情はあるにせよ、山雅愛の湧き出てくる秘密が、玉ちゃんのプレイには在った。

それは、単に気持ちとか、精神論云々ではなくて、あくまで、培われた、強みのプレイとして表現された何かによって、であったはず。

これ以上巧く言えませんけれど、これ、昔のようにやれ(先祖返り)、ということでは、もちろんありません。

田中パウロ、榎本 樹、村越 凱旋、このあたりから匂ってくるもの。

彼等が、我一流の強みを前面に出そうとプレイする姿勢。

言い換えると、プロとして、何によって他人に憶えられるのか?、の追求。

個のプレイが、チームへの貢献という責任感によってひとつに結集されていくこと、そこのところを見守りたい。

では。

見透かされた得点力 (2021.10.10栃木戦レビュウ)

PK被弾による、0 – 1 の敗戦。

〈軋みの中で考えた…… 〉
ゲーム進行を観ながら、感傷的な自問自答をしていたことも事実なんでありまして、
それは、(負傷/不調による離脱はべつとして) 眼前の光景は、 来季もこのチームでやることを覚悟した戦士に絞り込んだ結果かもしれないな、との、ほとんど妄想。

きっと、事実はもっとドライなんでしょうが、それはファン&サポーターの側にも言えること。

苦戦苦悩の中、8,000人が集まるといった底に流れる山雅愛。

他方、1点差で70分に差しかかった頃には、かなりの観客がアルウィンから立ち去ったという現実。
この方々は、冷静な読みと、妥当なゲーム観の所有者。

この様子じゃあ、とても得点できそうにもないな、という感覚はごくマットウでありましたし、それは、栃木指揮官田坂氏の発想と、ほぼ同じものであったはず。

ただここで、光明として見逃せないのは、ゲーム後、当方の指揮官インタビュウに〈チームへの貢献〉というキーワードが登場したことか。

この視点が在る限りは、現指揮官の方向性を信頼すべきであって、この緊迫した状況下、プレイヤーの自己実現とその評価の根っこはそこにしかない。

〈不足しているものとは……〉
ゲームの入りからの、ハイボールが落ち着かずに行ったり来たり。

相手が栃木であれば、これ、予想できた展開であって、当方として、同様にしてそれと遣りあうのか?、あるいは、ボールを足許に落ち着かせて持ち込むのか?、ここを、もっとはっきりさせるべきでした。

ゲーム後インタビュウからすると、後者の策を採りたかったようです。

乱暴に言ってしまえば、こちらが先手でボールを動かせれば、どっちでもいい。

今のチームに不足しているのは、こういう戦術の選択を、ピッチ内で誰が率先しているのか、ほとんどわからないこと。

違う言葉でいうと、蹴り出すボールには、まだまだチームメイトへのメッセージが不足している。
これを感じるのは、外山 凌くらいですよ。

だから、結局はハーフタイムや飲水の機会を経ないと、戦い方に変化が生まれない。

先制した栃木は後半、豊田と矢野を、得点源ではなくてファーストディフェンダーに見限るほどの徹底度で、守備陣形を堅くする。

後半、栃木のシュートはたしか、やぶれかぶれのが 1本だけでした。

それもあって、驚異的なボール保持下、こちらは攻撃に専念。
ボランチが、開いたスペースに入って来てはボールを捌くシーンが増えて、ボールはかなり潤滑に回るようになった。

予定調和的、お決まりのボール回しには、だんだん工夫が仕込まれてきているのはわかるんですが、あれだけ栃木が自由にやれせてくれたんですから、ボールを持っていないプレイヤーが、もっと一見ムダな動きを活発にしてもらいたかった。

そうすることで、ディフェンスをおびきだして、守備網に穴を開ける、あるいは、網の目を粗くできる。

ボールに行っている2~3人のプレイヤーの必死はたしかに伝わってくる。

が、その他の者が、次の動作に入る、次にボールをもらうスペースを獲る、といった連携が感じられない。
だから、ボールの行く先へ向かう動作が、どうしても遅くなる。

得点が生まれないことに対し、〈精度〉を求める、これはわかるんですが、その精度をもたらすための、時間的な、スペース的な余裕。

そこに手をつけない限り、このリーグ特有の、素早く寄り集まってくる守備の突破は、なかなか困難。

昨日のゲームを観たかぎりでは、センターバックが高く上がって引きつけ、そこを起点に、いったん中継してボールを(サイドなどに)散らしたボランチがペナルティエリアに入って行く、そういう一連のパターンの再現性を上げていくのが、いちばん確実なやり方だと思います。

クロスを上げさせるのは、ディフェンスに高さを多数擁する栃木の思うツボでもあったでしょうから、クロスの高さ低さ、長短、これに工夫がもっと要ったのかも知れない。

リーグ戦の最後に進むほど、こういった堅い守備を崩すべき局面がますます予想されるわけで、そこが原点ならば、避けずにチャレンジしてもらおう。

あと附言すると、時間を区切って、ファーストディフェンスのエリアと高低を変化させた栃木の綿密さ、あれは見習いところ。

〈さて、今週の暮し方は……〉
せめてもの救いは、下位集団の中で栃木がスルっと順位を上げたくらい、残りは、ほぼ停滞した今節であったこと。(その分、上位10チームが遠くなった)

ここまで勝率2割のチームに、のこり9試合に、4~5割の勝ちを求める萬年式胸算用。
まぁ、これが、きわめて虫のいいご説であることは承知です。
が、決意表明の旗を畳むわけにもいきますまい。

前 貴之が戻ってきたこと、それを喜びます。

では。

答えはない、と決める覚悟。

イングランドのプレミアリーグ(1部)、直近のハイライト映像。

たとえば、リヴァプール vs マンチェスターシティ なんかだと、観客席はぎっしりで、マスクをしている人は見つけるのに苦労する、そんな様相だ。

ロイター通信による統計で調べたら、
英国の新規感染者数は、36,060人(10/8)、死者数は、124人(同)。

感染者数は増加傾向にあって、1日平均 34,542人の新規感染が報告されている。

対し、日本はどうか。

新規感染者数は、776人(10/9)、死者数が、24人(同)。

1日平均の新規感染者は、そのピークだった8月28日の4%にまで減少した。

……、これが数値的なリアル。

8月を中心に急激に増えた感染(いわゆる第5波)が、9月以降、どうしてこんなにストンと落ち込んだのか? ※ただし死者数は、5月にピークを記録。

なんとか宣言を引っ込めるにあたって、だあれも、その原因をわかるように説明してくれていないんですよね、これが。

複合的な要因が考えれらる、とかおっしゃる。
最後は、気候が幸いしたとまで。
人がコントロールできないことまで言い及ぶ、とは、要は、なにが決定的なのか?、ようわからん、ということですな。

言い方がすこしもったいぶっているけれども、不明です、と正直に吐露しているようなものだから、それはそれで、好感が持てた。

専門家、の方々の中、どなたかが、原因と結果のなんらかの因果関係を、防疫学的に、必死に追求しているのでは?、と思うが、そういう議論をほとんど聞かない。

増えた時は、会食会合の戦犯探しに忙しかったマスメディアも、事態が沈静をみせると、急に論調がトーンダウンして、乏しい。
感染数値のルーチン報告は、依然、だらだらとやっているが。

で、最近は、そもそも、決定的な答えが在るはず、という前提に立つのがおかしい、と思い始める。

専門家ヅラした連中に答えを求めること自体が間違いなのだ、と。

まぁ、せいぜい、落ち着きを取り戻した今こそ、将来的な診療体制の確保に動いてもらえれば、と、それくらいが願望。

萬年の予想によれば、たとえ、季節性インフルにおけるタミフルのような特効薬(予防的服用も可)が出現したとしても、COVID-19の騒ぎは、あと1年は続くのだから。

ここまでの感染状況(や死者数)だったら、サッカー観戦はここまでの制限、といった割り切り、というか覚悟を、とにかくすばやく。

それが、たとえ30,000人以上が毎日感染していても、ほとんど自由な観戦を許すイングランドと、同じ大胆さであるとは、すこしも思ってはいませんが、とにっかく、声を出せない状況下で、我がチームが正念場を戦うことが、なんとも切なくての発言です。

では。

大宮に学びつつ (栃木SC戦プレビュウ 後編)

学ぶ、とは言うものの、アルディージャとやって、0 – 4 で敗退した山雅にそれができるのか?、はこの際、棚上げにして、まぁ、聞いて下さい。

〈ともに下位に沈む者の明暗〉
前節、大宮はアウェイで栃木と対戦して、3 – 1 でこれを退けている。

開始早々4分に先制したのがかなりおおきな要因、ですが、

被シュート22本、与えたコーナーキック10本、打たれたクロス39回。
ボール支配は、栃木が53%

対し、大宮のシュート 5本、コーナーキック 1本、クロス 7本。

ペナルティエリア侵入回数は、栃木 27、対し、大宮 3回。

これ、同時刻に行なわれた千葉 vs 山雅のスタッツと寸分違わないので、びっくり。

【シュート】千葉 22本、山雅 5本。【コーナーキック 】千葉 13本、山雅 0本。
【クロス】千葉 39本、山雅 7本。 【ぺナ侵入回数】千葉 21、山雅 3。

同じようにスタッツで圧倒的に劣勢でありながら、片方は快勝(結果として)を得、他方は、0 – 0の引き分けに持ち込むのがやっとだったのだ。

やった相手が違う、というのは確かなんだけれど、実は、栃木と千葉は、相似なサッカースタイルを持っていて、特長を一言でいうと、

ボールを手中にしたら、とにかく速く敵陣へ入るショートカウンター、これに尽きる。(ただし、守備に回った際の帰陣は、千葉のほうがすこし優る)

ならば、ゲームを有利に遂行した巧者アルディージャに、やはり学ぶべきでありましょう。

〈プランを、いくつか持つべし〉
下位に低迷しているだけあって、苦しみながらも大宮のやったことは、
先制した強みを背景にして、
栃木にボールを持たせることによって、その速く強度ある攻撃を封じた、こと。

栃木にしてみると、相手の守備陣形が整うまえにショートカウンターで侵入するという武器を、みづから手放す格好になった。

大宮ほどの狡猾な手際を持ち合わせてはいない我がチームは、ゆえに、いくつかのプランを考えておいて、臨戦することになる。

その際、栃木と秋田のスタイルの類似性に着目して、8月の対ブラウブリッツ戦の勝因を紐解きながら、それを行なうことが大切。

❶中盤飛ばし策
栃木のショートカウンターに対抗するため、こちらが先手で相手ディフェンスの裏を、ロングな、あるいはラインをひとつ飛ばすくらいのボールを多用して、狙う。
できれば、この場合は、ツートップ(のような態勢)にして、ヨーイドンで走り込むのが好ましい。
で、陣形を縦に間延びしないように、コンパクトにして連動しながら押し上げる。
当方は相手の中盤をスカしてその頭を超えるけれど、相手にはこちらの中盤を使わせない、これが重要。

❷持ちたくないが、持たざるを得ない局面でも
サイドを突破口にするしかありません。
両サイドで優位に立つことによって、ひとつは、たとえ、クロスが制止されても、コーナーキックを獲られるチャンスがある。
ふたつめには、栃木にサイドを譲ってしまうと、こちらが苦し紛れでタッチラインに逃れた場合、ロングスローの洗礼を浴びる。

栃木のゲーム当りスローイン回数は、リーグトップ。
どのチームも、そのカウンター攻撃をサイドに回避する傾向がわかります。

いまや、豊田、矢野といった百戦錬磨のフォワードを擁する栃木には、深い位置でのスローインを与えると致命傷になり得る。

❸セットプレイを狡猾に
栃木のトップスコアラーは、センターバックの柳。

実際、アウェイでは彼のヘディング2発に沈んだ山雅。

ですから、上で指摘したように、スローイン、それとサイドを割られた結果としてのコーナーキックは極力避ける。

と同時に、こちらがプレイスキックをできる限りゴールに繋げるように持っていかないと。

繰り返しになりますが、サイドで克つことが第一。

さらに、こちらから前へと先手で仕掛けることで、相手のファールを誘うこと、これでしょうね。

千葉戦では存在感を消していた、外山、下川らサイドアタッカーが仕事をしないと始まりませんよ、このゲーム。

正直言って、勝機はそれほど多くはないでしょうけれど、相手がわかりやすいサッカーであることを救いと考えたうえで、そのお株を上まわるのか、あるいは、徹底的に押し込むのか、方法論についてのチーム内意思統一をはっきりさせること、これを期待します。

では、アルウィンで。

胸算用の時 来たる (栃木SC戦プレビュウ 前編)

〈乱暴な胸算用だと……〉
J2が、22チームで争われている限り、という条件だと、過去実績から……、

トップリーグへの昇格勝ち点の目安は、ゲーム当り2点で、累積 84点
下部リーグへの降格勝ち点の目安は、おなじく1点で、累積 42点

……これが、ざっくりとした勝ち点勘定。

残り10試合を切ったあたりから騒ぎ出せ、と以前書いた手前、ここで、こんな算数をしてみる。

現在、山雅のゲーム平均勝ち点は、(ニヤリー)ジャストの 1点。(勝ち点31)

要は、このままの勝ち負けペースで最後まで行くと、ほとんど降格が待っているという現実。

よって、それを回避するには残り10試合で、勝ち点 15(累計で45点) を積むことが至上命題。
つまり、ゲーム当りの勝ち点にすると、 1.5 を獲ること。

これ、けっこう厳しくて、引き分け2試合続けてもおっつかない。

極端な話、1勝1敗の戦績をずっと刻まなければいけません。

もちろん、連勝、あるいは1勝1分すれば違う世界がみえてくるが、今季の我がチームに、それを期待するのは虫のいい話だろう。

たとえ負けを挟んでもいいから、勝ちを貯めることが必要。

つまり、指揮官の言う〈ホーム全勝〉とは、おそらくこの勘定に基づいているはず。

得点しなければ決して勝ちはない、となれば、残り10ゲームは、ゲットゴールにフォーカスを絞る、これしかないのであります。

〈踏んだり蹴ったりは、もう嫌だ〉
さて、明後日の栃木戦。

振り返れば、5月第15節のアウェイでは、0 – 3 のミゴトな敗戦でありました。

プレイスキックからヘディング被弾の 2発、ポスト直撃の跳ね返りをニアに撃ち抜かれて 1発。

ゴールキーパー村山は3失点のシーンすべて、すこしは動いてみせろよ!、と思うくらいに棒立ちの酷さ。

さらに、捕球に行った場面では、頭部を足蹴にされたりで、文字通りの、踏んだり蹴ったりの厄災日。

あの後味の悪さ、これをアルウィンでは吹き払うため、その対策については、後編で。

サビアを擁した頃の栃木SCには、とても勝てる気もしなかった。

トップリーグの燃えかすも既にとぼり、金沢や千葉に、やっとこさで引き分けるような山雅の現在地は、その当時に戻ったくらいのことと割り切って参戦だ。

では。