谷奥 健四郎を祝す (秋田 vs 長崎)

第12節の結果を、ざっとみていて、
ブラウブリッツ秋田が、アウェイ長崎戦を、 2 – 1 でモノにしたのを知る。

しかも逆転勝利なのか。

結果、順位的には山雅の上、8位 (勝ち点18) で健闘している。

このゲーム、右センターバックとして 90分間プレイした谷奥 健四郎が、1アシスト1ゴールの活躍を魅せた。
もちろん、MVPです。

山雅での鍛錬と苦闘が、こういう格好で報われた、と勝手に思い込む萬年ではあるが、まことに嬉しいニュース。

こうなると、8月9日山の日のアウェイ秋田戦は、参戦を本気に考えないといけないな。

他方、ゲーム直前の5月3日、吉田監督の解任と、松田新監督就任を発表したVファーレン。
監督不在の対戦だったとは言え、辛い敗戦だったろう。

昨季の戦力をほぼ温存することに成功したものの、それまで、4勝2分5敗と、たしかに負けが先行していたとは言え、監督交代のカンフル剤はちょっと尚早では?……、と思ってしまう。

ま、蚊帳の外からは計り知れないような、内部事情がきっと在ったんでしょう。

あるいは、昨季3位までやれたという成功の残像と、なにがなんでもトップリーグ昇格という切迫目標のはざまでの決断だったか。

でも、人心とチーム戦略の刷新を図りたいのであれば、前監督をアシスタントコーチとして依然残すというのは、どうなんだろう?

また、監督更迭のニュースでは、プレイヤー(連名)の声明も挟み込んであって、
みずからの不甲斐なさを謝し、心を入れ替えて精進します、みたいな文面。

人事異動の案件に、なにも現場のプレイヤーを引っ張り出してエキスキューズしなくとも、と思う。

放送終了後30分までに、といった人を急かすような親会社のやり方。

そんな万事即決の気風が、クラブ運営にも浸透しているのかも知れない。

では。

天気,暗雲強風なれど (2012.5.5相模原戦レビュウ)

その荒天を味方につけるように、2 – 1 で勝利。

3連勝は、よくやった。

が、(直近3ゲームの対戦相手のメンツからしても)、勝ち負けをイーヴン (4勝4分4敗) に戻したことにこそ価値がある。

【ゲーム評あれこれ】
❶風下にまわった前半、というのは秋田戦と同様だった。
けれど、あの時とはチョッと様相が違っていて、特に、満を持していくべき後半、なにか中だるみ、となる。

ゲームを通じ、みずからのパスがずれるなどして、リズムをなかなか創れないことが大きな要因だった。

観ていて、あぁ、レビュウのタイトルは、〈ゲーム低調なれど〉かな?、と思案していました。

❷交代により、3トップのようにして、前線に強度を加えたことで新風が注入され、阪野 豊史による 2点目が生まれる。

この失点によって、相模原ディフェンスがかなり気落ちしたのが見て取れた。

だから、もっと老獪に攻めたてていれば、3、4点目が可能だったはずで、そこをまともに打ち急ぐ場面が多かった。
この辺、タメを作れない部分は、したたかさを欠く。


❸北ゴール裏の同志チノさんと意見が一致したこと。
横山 歩夢には、前田 大然の上をいく上手さ有り、がそれ。

相模原後藤 圭太のオウンだったとは言え、あれ、実質的には横山のゴールのようなものだから、その走りを継続せよ。

萬年、#32に希望を託したく、けれど今季ユニフォームは審美的にご勘弁。

で、2013年版蔵田 岬平のやつを着込んで参戦だった。
これが効いたもの、と勝手に独り決めです。

【もっと狡猾に、とは】
❹上の❷に関連して。
ボールが左右に動き、人が湧きあがってくる攻撃。
たとえば、前半40分頃の攻勢。

ボールを手中にしてリズムに乗れると、多くの場合、シュートか、その一歩手前まで持っていけるようになって、連携と練度が上がってきたことは喜ばしい。

ただ、注意すべきは、緩慢のない一定のリズムに終始した場合、ボールロストから一気にカウンターを喰うこと。

どこかに相手の意表を衝いた時間的なギャップを挟まないと、堅く固めた守備網を破るのも難しい。

それを、フェイクを何回も入れたカットインで演っているのが、たとえば、本間 至恩(新潟の)なんですが、相手を釣り出すような工夫をもっと入れましょう。

そういう意味で、後半アディショナルタイム、ボールを受けた田中パウロ淳一が、いったん下がっておいてから打った、バーを叩いたあのシュート。
ああいったタメ、余裕です。

しかし、ゴールにならなくとも喝采を得られるとは……。
パウロ独特の雰囲気は、チームにとって貴重です。

賢さの事例として、相模原FW藤本 淳吾のプレイをひとつ。
前半、強風を背にしたロングボールが中途半端に長くなったシーン。
コントロールできないと悟ると、それを、山雅ゴールラインに蹴り出してしまう。
むしろ、逆風下の相手ゴールキックにすることでリセットする、という意図。
学びたいスマートネスでした。

さてと、ようやくとひとつの長いトンネルを抜けた。
次節は、その国境の向こう、新潟平野に乗り込んでの決戦か。

では。

さらなる高みの開幕 (SC相模原戦プレビュウ)

まづ、明日の予報が降水確率60%で、多少うんざりなのですが、このゲーム、今季ひとつのターニングポイントとなる予感もしています。

過去2戦、ポラロイドカメラのプリント紙、ミルク色の海から、被写体の輪郭と色彩が浮かび上がってくるみたいに、山雅の到達点がだんだんと見えてきた、そんな感が強い。

もちろん、水面下では苦しいやりくりがあるんでしょうけれど、各タレントが与えられた持ち場で、個々の力を発揮しつつあるのは嬉しいもの。

ですから、今節のテーマは、対戦相手の出方に関係なく、リーグ戦における起承転結のうち、〈承〉の部分、つまり、連携を深め、チームのクオリティを増すステージのはじまり、とも言えましょう。

周囲の方々には、快進撃のアルビレックスに土をつける最初のチームが山雅でしょう、などと傲慢な予告もしていることもあって、ここは複数得点を追求したいところ。

SC相模原については、初昇格のチーム、3バックシステムの採用、要所にヴェテランを配し、最後まで戦いを捨てずにやり抜くチーム、そんなイメージしかない。

さらに、前節ホームの対琉球戦は大敗(1 – 5)。

となれば、同類愛憐れむの情も湧いてきて、ゲーム模様のチェックさえしておらず、まったくもっての怠慢をおゆるしいただくしかありません。

まぁ、今回は、そういうゲームの楽しみもあるさ、とのノリで、アルウィンに向かうこととしましょうか。

では、アルウィンで。

ESLの挫折に 学んだこと。

日本ではそれほどのニュースにならなかった、ヨーロッパ スーパーリーグ(ESL)の、あえなき挫折を横目にみて、考えさせられたことです。

ESLとは、欧州の、〈いわゆる〉ビッグクラブ15チームが、リーグ戦(ホーム&アウェイの28試合)をたたかい、プレーオフで年間チャンピョンを決する、という構想。

各チームは、いままでどおり国内リーグに参加しながら、ESLに参戦する。

各国リーグはおおよそ週末開催なので、ESLのゲームは、週の半ばに組まれる。
リーグにおける昇降格はない。

去る4月18日、リーグ創設に参加する、オリジナルの12クラブが公表された。

2018/2019シーズンの、これら12クラブの収入(推定)を、1ユーロ=129円のレートで、日本円で示そう。(ただし、ACミランはひとつ前のシーズン)

❶FCバルセロナ             1,084億円
❷レアルマドリッド          976億円
マンチェスターU           917億円
マンチェスターC           787億円
リヴァプール                780億円
トテナムホットスパ        672億円
チェルシー                    661億円
❽ユベントス                    593億円
アーセナル                    574億円
❿アトレチコマドリッド      474億円
⓫インテルナショナル        470億円
⓬ACミラン                      267億円

各クラブがどうやって、これだけの資金を集めているかはさまざまだけれど、この原資で、優秀な指導者やタレントを集めまくれば、やっぱりそれなりの戦績を残せるだろう。

ちなみに、2018年度のJ1 クラブ18の、営業収益合計は、855億円。
その上位三つが、神戸 96億円、浦和 75億円、鹿島 73億円だった。

J1リーグの総合計よりも、マンチェスターシティの収入が多かったということ。

ところが、リーグ立ち上げが発表されると、それぞれのファンサポーターから反対の声が猛然と沸き起こる。

チームの現場、指導者やプレイヤーからも疑問の声が漏れだしてくるわ、くるわ。

なかでも、イングランドは、首相までもが、抗議する事態に。

欧州サッカー界の元締めである、UEFA(ヨーロッパサッカー協会)、さらにはFIFA(国際サッカー連盟)も 反対を表明。

参加クラブはヨーロッパチャンピョンズリーグから、所属プレイヤーはワールドカップの国家代表から締め出すぞ、とまで言い出す始末。

結果、プレミアリーグ傘下の6チーム番号赤字が、真っ先に、リーグからの離脱を表明。

その後、ドミノ式に、4クラブが追うように離反。

残ったのがふたつでは、もう無残。

このお話は、発表後、なんと48時間で、瓦解してしまったのです。

〈教 訓〉(どうでもいいこと順に)
お金は大切
でなけりゃ、きちんとしたクラブ経営は成立しないし、それなりの戦力も集まらない。
ただ、今回の稚拙なリーグ構想と公表をみていると、収入は相当ありながらも、どうやら、薄氷を踏むような危うい経営となっているフシがある。

ゆえに、UEFAにピンハネされることのないような興行(放映権など)収入を、是非とも手にしたい、という焦りを感じます。

②莫大な資金ありきのサッカーが、もしもファンサポーターをないがしろにした世界を志向すれば、かならずや、その反発と離反を招く。

今回のは、ファンサポーターに支持されないクラブ行動の、まったく良い事例。

本来、フットボールは上流階級のお楽しみでもありませんから、強欲の者が強欲の者に叛旗をひるがえすようなストーリイは、唾棄の対象。

そもそも大衆は、ヒーローの心変わりを望まないものなんです。

では。

キャプテンはここにいる(2021.5.1北九州戦レビュウ)

アウェイの地で、2 – 1の勝利。

同点には持ち込まれたが、交代したプレイヤーが関わった得点で突き放す、って展開、なかなかいいではありませんか!

【やはり中盤の制圧がポイントだった】
佐藤 和弘 (キャプテン)を欠くものの、前 貴之(副キャプテン)が、ゲームキャプテンを難なくこなして魅せたのが大きかった。
アンカーとして中盤を締め、特に、アウトサイドのプレイヤーを巧く使っていた。

中盤、というと、阪野 豊史が降りて来てボールを捌いたのが効いていたし、新しく開発した手法として、2列目を担った鈴木 国友が、やはり2列目の河合 秀人とサイドを変えるパス交換をしたのも、北九州の中盤に上手く穴を開けました。

北九州は、ボランチに、六平 光成と針谷 岳晃のふたりを並べてきた。

ヴェテラン六平を使ったところに、小林監督の、中盤が肝、との意思が観てとれましたが、山雅にしてみれば、すばしこい永野 雄大先発のほうが厄介だったかも知れない。

ついでに、前川 大河がベンチスタートであったことも幸いでありました。

あとは、#10 高橋 大悟が、要所要所で光るプレイを魅せた。
ギラヴァンツ生え抜きの3年目か……。
この活躍を続ければ、トップリーグからの誘いもあり、でしょう。

北九州の攻撃の面目は、その中盤から、ペナルティエリアに鋭い縦パスが入ってくること。
これに4人くらいの前線が瞬時反応するわけですが、予測も含めて、山雅の最終ラインが、大過なく対応できていことも素晴らしかった。

【やっとチームの骨格が】
11節目にして、台所事情はともかくも、戦うチームとして、ひとつの達成が露わになってきた、という感があります。

特に、サイドからの崩しにこなれた仕事ができるようになったのが大きい。

象徴的なのが、14分、河合のゴールが生まれた、その前のプレイ。
浜崎 拓磨から、北九州センターバックの裏へロングパスが供給される
これを、走り勝った横山 歩夢が追いついて手中にしたシーン。

こういった局面の再現性を高めることで、クロスなりカットインの起点が創れるわけですから、このゲームでいちばんの魅力的場面だったかも知れません。

では。