意思統一と怪我が報われた (2022.6.26 いわき戦レビュウ)

2 – 1 の逆転勝利。

スタジアム全体で結束した山雅、そんなものが味わえる、心地よいゲームでした。

これぞ、現地参戦しないと体感できない醍醐味、というやつ。

いわきFCに、ひたすら自分流にやるひたむきさを教えてもらった御礼として、ゲーム後、南ゴール裏を中心に、ケミカルライトを(そのクラブカラーの)赤に切り替え、アウェイチームの健闘を讃えることができたのは、いいゲームにつき合えた充足感が、まづ背景にあったから。

〈いわき対策における意思統一とは〉
❶左右からえぐられることに弱いいわきの守備を衝こうと、広く、大きくサイドを使う攻撃を多用したこと。
外山 凌(左)、前 貴之(右)を、それぞれ置くやり方が大いにハマる。

これによって、山雅の右サイド攻撃が2得点の起点となったし、同時に、いわての左右サイド攻撃の芽を、効果的に摘むことができた。

MVPを外山、敢闘賞が前、というのは極めて至当な評価であります。

たとえば。
横山 歩夢のように、速く、とにかく速くやれば、いわきは案外、緩い守備をして来るのは、計算済みだったんでしょう。

❷ハイボールの (ヘディングによる)行ったり来たりについても、焦れることなくつき合えたし、大胆に蹴り出してしまうことによるリセットもできた。

ここらへんに、チームへの戦術の浸透を感じました。

中盤の、パウリ―ニョと安東 晃の潰し込みによる効果もあったとは言え、センターバック陣の落ち着いた対処も、高く評価されていいと思います。

〈怪我をしたおかげで……〉
こっちがリードしていた事情があって、リスタート妨害による遅延行為のカードが2枚 (by安東、榎本 樹)。

うち1枚が、安東の退場劇につながってしまう。

あれは、相手のキックスタートが至近に在った安東の足に当り、それを反射的に蹴り返してしまったもの。
そういうタイミングと悪意の無さなので、イエローはいかがなものか?、って感じ。

とにかく、山雅は、残り30分近くを 10人で戦うことに。

ところが、これが、両チームに真逆の明暗を投げかけることになった。

サッカーってのは、奥が深いんです、つくづくと……。

❶山雅のほうは、5 – 2 – 2、あるいは、5 – 3 – 1 といった陣形を固めることを余儀なくされるけれど、これがむしろ、割り切って意思統一された守備の強化、となって現れる。

❷ショートカウンターを身上とするいわきは、今度はボール保持の態勢から崩していく、どちらかと言うと、やり馴れないサッカーを引き受けることに。

するとここで、崩しのアイデアの貧弱と、大ざっぱなクロスのクオリティーが露呈することになる。

さらに、風上のため、ボールが速く遠くに流れてしまうという不利も在った。

あれだったら、ゴールキーパーは田中 謙吾のほうが、キック精度においてもっと脅威になったと思いますね。(チノ氏見解のいただき)

……というわけで、それぞれが、それなりの対策※を持って臨んだ前半戦最大のチャレンジゲームだったんですけれど、その3分の1が、双方あれでは、山雅にしてみると、巧くゲームを締めたくらいが評価できるゲームとなりました。

※いわきはコーナーキック時の守備を、マンツーマンとゾーンの混合に変えた。

あとは。
a)攻撃と守備の両局面で、いわきはペナルティエリアに多人数をかけること。

b)ボールを持たせたほうが、こっちのカウンター攻撃のリスクは減じ、かつ、いわきには打開策が乏しいこと。

c)スローインはほぼ、至近に駆け込んだプレイヤーが返すか、あるいは、受けてダイレクトに前方向に蹴り出す、……が判明したくらいか。

約一箇月後には、再戦する相手なんで、それを窺え知れたこともまた、怪我の功名、つまりは、安東が次節出場停止の報いであった、と書いておきます。

では。

速く あくまで 速く (いわきFC戦プレビュウ)

〈ざっくりと、いわきFCを表現すれば〉
〈ショートカウンターと、いとわない空中戦〉スタイル、となるだろうか。

カウンター攻撃に賭ける、ということは、ボールポゼッションにはこだわらないということ。(いままでの全試合で、保持率は50%を切る)

さらに、そこへ持って来て、ショートだから、ボール奪取の位置が高い、ということを意味する。

グラウンダーのパスは、ペナルティエリア近辺に入っての仕上げに使う感じで、中盤では、たとえ無理な体勢であっても、空中戦をいとわず、回避せず。

(だから、例えば、藤枝とか愛媛といった、パス多用で小奇麗なサッカーを志向するチームは、軒並みに苦戦している)

で、カウンターモードに入ると、サイドからクロスを迷わず早く投入してきて、果敢に中に入ってくるプレイヤーは、身体のどこを使ってでもシュートまで持っていくのがチーム規律、というか、鉄則のようだ。

〈山雅の勝機ポイントは、三つ〉
いわきスタイル、つまりその特長とは、かくのごとくあっけらかんとして、明快なんだが、じゃあ、山雅はどう立ち向かうのか?

❶思うに、強く、速く、聡くの中では、
〈速く〉を攻守にわたって尖らすことが肝要、と診る。

ひとつは、相手のカウンター攻撃に対する、素早い手当てとしての守備。

ふたつめは、クロスからの失点が比較的に多いいわきディフェンスに対し、態勢が整わないうちにフィニッシュまでやり遂げる速い攻撃。

この両面で、山雅としては、俊敏さを絶対的に要するだろう。

速い攻撃には、もちろんドリブルでの突っかけも含む。

というのは、反則ポイントで現在断然トップなのがいわきで、これは、ボールホルダーへの執拗なファールが案外少ないことを表わしていると思われる。

ちなみに、山雅は反則ポイントでは、下から3番目の 16位。
挟撃的に相手の攻撃を潰すやり方が、こういう結果になっているんだろうが、したがって、強くをことさらに強調しなくたって、山雅戦士は粘着的に守備をするに違いない。

いわきにファールが少ないというのは、同時に、相手との真っ向衝突になる以前に、それをかわして前進するからではないか。

とすれば、やっぱり、山雅にとって、

前後に向かって、より速くに始まり、より速くで終わる、がゲームテーマになるはず。

❷空中戦にフラストレーションをためず、かつ、その後を制すること。
もちろん競合に勝てればいいが、勝ち負けよりもむしろ、丹念にそれを処理して、リズムを崩さないことが大切。

特に、こぼれたボールの回収。
ですから、2列目のプレイヤーのボールの行方を察知する能力と、それを次につなげる展開力、これが試されそう。

中盤を締める、ということになれば、安東 晃の突破力も貴重なんだが、ゲームのリズムをいわきの流儀で進ませないという意味で、浜崎 琢磨が持つ、パス供給能力とボール保持テンポも、できれば希求するんですがね。

数日来の強風が続くようであれば、風を巧く使う智恵も要るかと。

❸聡いセットプレイは有効。
特に、コーナーキックの守備時、いわきはゾーンディフェンスで待ち構える。

ゆえに、空中戦を得意とするチームに対し、マットウなボールを入れたところで守備網の破綻は、あまり期待できない。導けない。

今節こそ、いままで貯めこんだ、さまざまのアイデアをデパート陳列のように披露すべきではありませんか?

いまのところ、当日は炎天、その後雷雨の予想。

そこらあたりの気温低下への対策も講じながら、6月を勝利で締めましょう!

いくぞ、キョーワーン。

では。

油断した とは思わないが (愛媛戦 と今後)

時候の憶え、6/20今年最初の朝顔が開花、それと、カシワバアジサイも。

月曜日に、山雅課長と話をした時、

― (愛媛戦) 油断したね~、とのご感想でありました。

なるほど、そういう捉え方もあるのか?

ゲーム内容の良さからすれば、僕としては〈油断〉とも思えないけれど、

あの愛媛戦で、敢えて敗因を挙げるとすれば、

愛媛FCが、まるで、2部リーグのような戦い方をして来たことに尽きるのではありませんかねぇ?

つまり、相手の嫌がることを追求するような〈対策戦法〉に徹していた。

石丸さんの勝利への執着、それと、その狙いに応えられる (1~2部リーグ級の)タレント、それが愛媛には在った。

たとえば、0 – 2 と苦杯を嘗めた今治戦(前々節)、終盤にやっとこさドローに持ち込んだ長野戦(前節) の反省の上に立って、ポゼッションと、パスワークを駆使するサッカーを棄て、相手の最終ラインを背走させるようなロングボールを多用。

それが奏功したのが、松田 力による先制点だった。

……さて、前半戦を、あと4ゲーム残した現時点。

3部リーグでやって来て、はじめて味わった、あの徹底された山雅対策に、今後も多く曝されるのかどうか?、なんだが、

僕の見立てだと、2部リーグ経験の豊富なチームとやる時には考慮すればいい。

つまりは、レアケースとしておきましょう。

なぜならば、❶おおかたの3部チームは、ひたすら自己の強みを押し出した攻撃的サッカーを追求していること。

❷その背景には、ゴールを成立させるに足る、フィニッシュの精度に著しく劣っている事情があって、回数多くシュートを打ち込む必要があること、つまり、質より量を採らざるを得ないこと。

……ゆえに、敢えて守備的に引いて、相手を誘いこんでおいてから相手の裏を衝くような、手のかかるやり方は採用しない、と診るんです。

愛媛には、質の高いフィニッシャーを保有するという自己信頼が在るんですね。

まぁ、ここらへんは、後半戦に入ってからの経過観察も必要なんですけれど、次に当たるいわきFCとは、1箇月で2度戦うことになっているので、ある意味、その観点からも興味深い対戦になりそう。

初回となる第14節ホーム、そんなこともあって、ますます楽しみになりますが、そこはまた、プレビュウにて。

では。

みづから川を背にするために (2022.6.18 愛媛戦レビュウ)

アウェイのナイトゲームは、2 – 3 の敗戦。

遠地に出向いたファン&サポーターの皆様、共闘、まことにお疲れ様でした。

〈素直に 相手を褒めるしかない〉
愛媛の2点目(フリーキック直接ゴール)と、3点目(30m内外のミドルシュート)。

これがもう、文句のつけようがない、ファインゴール。

で、1点目は、対山雅のために!、石丸清隆氏が精根込めた、ディフェンス裏狙い戦術がピッタリ当たったクロスへの飛び込み。

キレイに揃う山雅最終ラインへの攻略法、だったんですな。

まさに、プレビュウで警戒していた、松田、茂木、佐々木の、トリプル揃い踏みゴールなので、あっさり脱帽です、あたしは。

だから、深刻に反省ぶるのは、この際止しにして、せいぜいヤバい位置での不要不急なファールは慎む、それから、オフサイドをセルフジャッジしてプレイを絶つな、というくらいの修正を加えよう。

〈収穫に 目を向ける〉
今季、これで、2敗目。
だが、いづれも、一旦は同点に持ち込み、かつ、最後の最後まで粘って最少得点差に持ち込んだ。
これこそが、チーム変貌を表す象徴的な有り様、と思います。

1 – 3 になって、プレイヤーに平常心で闘え、といってもメンタル的には無理な話、と考えたい。

けれど、それでもなお、アディショナルタイムを含め、終了の笛が吹かれるまで諦めない姿勢、それは示してもらえた、と感じています。

天皇杯の対磐田戦レビュウにも書きましたが、こっちが撮った最後のたった1点。

こういうのは、必ずや、次の勝負を手繰り寄せる。

小松の2得点(@藤枝戦)にしたって、そういった伏線があってこその仕事だったのではないか。(プラス、鳥取戦の不出来の猛省かな)

で、敗戦における途中の同点劇には、いづれも横山 歩夢が主役になっている。

このことは、采配の妙と、横山のセルフイメージの高まりを示していて、

昨夜のシュートにしても、外山 凌からのマイナスのクロスを、さも簡単そうに決めるところが、非凡。

サイドを侵して中へ供給するにしても、ああいう感じで、入って来るプレイヤーがカウンター気味の無理のない態勢で打てるような、スペースと時間を創ってあげること、これは今後のポイント。

佐々木 巧(愛媛)は、個人技(フェイント) で大野 佑哉のタックルを外すと、もっとも打ちやすい態勢とボールとの位置を創り出してから、スーパーシュートを放った(3点目)。

こういうことを、山雅の場合は連携の中でやる、ってことでしょうね。

あとは、けっこう鋭いクサビとなる縦パスの使用が、今節は目だった。

これを倦まず敢行することで、相手ディフェンスの間隙を切り裂いていく。
それを、武器にしましょう。

今後、どうみったって技量における(当方の)優位性からすると、相手が守備的に堅いゲームに持ち込んでくるシーンが増えるだろう。

とすれば、狭い、密集した壁(=相手の守備網) を貫いていく業に熟達しとかないと、ゲームを勝ちに持っていくのが難しいでありましょうから。

……というわけで、昼間、周囲の人々には、

― 次節の、2位、3位対決となるいわきFC戦。
これ、実質的な 6ポイントを縮めるゲーム。
今日、おそらく、少なくとも、いわきに勝ちはないでしょうから、これと勝ち点差3以内、での対戦になるはず。

これを見越してですね、みづからを川を背にした境遇に追い込んだのが、昨日の敗戦だったわけです。
10,000人を容れるためのキャンペーンも、煽ってるんです、きっと。

……、と吹聴しておく。

そして、帰宅してJリーグ公式ページを見ると、なんとまぁ、リードされたギラヴァンツが、後半のアディショナルタイムに同点に持ち込んでいるではありませんか!

これこそが、サッカーの神様からのギフトでなくて、一体なんなんだ……。

背水の陣はともかく、次節のコピーは、

山雅よ、走れ、うさぎ(脱兎)のように、で決まり。

では。

強く,あくまで 強く (愛媛FC戦プレビュウ)

今や 3部での対戦にはなったけれど、やぁ、懐かしの愛媛FCとできるんだ、って感じです。

最後に対戦したのは、昨年8月。

セルジ―ニョも戻って来て、シュートは相手の倍を打ち、決定機も多かったものの、川村 拓夢のたった一発にやられた、アルウィンでのゲーム。

で、結局、昨季は 2戦2敗。

それまでは、14戦して負けがたった1回の上得意さん、だったのにねぇ……。

〈チーム創りと スタートにおける明暗〉
対山雅、昨季の2勝に貢献した川村も今は、広島に復帰したが、今季の愛媛は……、
レンタルを含めて、新加入は、16名 (内、新卒とユースからの昇格が、計3名)

他方、退団は、16名で、レンタル元への復帰が 5名、後は完全移籍 9名、レンタル1名など。

要は、(おそらく例年と比較しても) かなり大きくプレイヤーの顔ぶれが変わった。

例えば、前節の長野戦なんかだと、後半から交代で、横谷 繁(昨季加入)、松田 力、佐々木 匠、茂木 駿佑が次々に投入されるなんて、おや、まぁ、これが、3部チームなの?

愛媛の、よどみない流麗なパスワークは、長野の何枚か上をいっていたから、このぶんだと、1点リードしている長野は、かなり守備的にやらないと失点は時間の問題だよなぁ。

……、と観ていたら、案の定、87分にセットプレイから、負けに等しいドローに持ち込まれてしまう。(by 森下 怜也のゴール)

だから、攻撃が巧くハマったら、一気にシュートまでやり遂げる。

愛媛は、それはそれは、怖いチームなのだ。

けれど、僕の観方だと、守護神(GK)の、秋元 陽太(引退)と、岡本 昌弘(鳥栖へ移籍)を失ったことが、守備の弱体には、けっこう効いている。

(その岡本も、それと守田 達弥も、鳥栖ではレギュラーを奪えていないから、なんともなぁ)

また、4 – 4 – 2の、インサイドハーフ(ダブルボランチ) の選定が、ゲーム毎に違っていて、試行錯誤感が否めない。

たとえば、今治戦(6/5)では、森下 怜也と横谷 繁のセット。

このふたり、本来が、センターバックであったり、もっと前め中央で起用したいプレイヤーなことを考えると、リーグ戦3分の1を消化してもなお、中盤の要がキッチリ決まらない、そんな様相。

……それと、新任の指揮官(石丸 清隆氏) による方向性の浸透に時間を要することもあってなのか、現在、12位。

ようやく、勝ち分け負けを、4 – 4 – 4 のゾロ目にまで挽回した、という現在地。

〈2部の匂いに惑わされるな〉

対照的に、山雅の場合はと言うと。

新加入 7名 (うち、新卒が 4名)
あとは、レンタル移籍組をできるだけ復帰させて戦力化を図る。

かつ、流出も極力抑え込んで、完全移籍による退団は、5名にとどめ、保有権を手放さないレンタル移籍が、3名。

つまりは、リーグ陥落の憂き目を、できる限り戦力を落とさずに乗り切ろう、という戦略。
(もちろん、その前提には、監督続投があったはず)

(あくまで)現状の戦績からすると、このチーム創造の志向性と、世代交代の思想が奏功した、と言えましょうか。

ですから、テクニカルでクオリティ高い愛媛とやるにしたところで、

強く、速く、聡くのスタイルは、もちろん不変。

そこへ持ってきて、今節は、〈強く〉のトーンを、全面に押し出すべき。

あの華麗なパスワークに飛び込むことを恐れず、人数をかけて挟撃して奪取をひたすら繰り返し、奪ったら、枚数多くペナルティエリアを目指す、これでいきましょう。

特に中盤で後手を踏まずに、そのエリアを制して、前へ前へ。

肉を切らせて骨を断つ、とか言いますが、そんなやり方で。

愛媛さんには申し訳ないけれど、ここでどれだけ自己スタイルでやり切れるか?が、次節 (いわき戦) につながります。

お叱りを受けるかも知れませんので、これはあくまで内緒のココロですが、アウェイ引き分けでも、構わないと思いますよ、戦略的には。

では。