薄氷を踏む者たちへ (2022.8.27讃岐戦レビュウ)

1 – 0 の、最少得点で逃げ切っての、勝利。

【耐性をもって、見守れ】
やってるほうが、どれだけ計算づくだったのかはわからんけれど、終盤は特に、守備に追われるゲームとなりました。

これには、65分からの選手交代の妙、そんなものがかなり影響していたと思います。

いづれにしたって、ボール保持に関して、それを、自分でしっかりとコントロールできるほど成熟したチームではない、と考えておきましょう。

とにかく今は、ドキドキ、ハラハラに堪えながら、共闘する時季なんでしょうね。

勝利が、内容をも錯覚させる、とか言いながら。

というのは、移籍したての中山 陸(21歳) を、すぐさまベンチ入りさせるほどに、チームは有能な若い世代を抬頭させたいわけであって、そこには、羽化したばかりの蝶のような危うさ、脆さがどうしたって出てしまうのは、事実。

それでも、1対1の絶好機を外してしまうその若手が、次は、無人化させたゴールマウスに、絶妙なアウトサイドループでゴールを決めるんですから、そういう舵取りなんだと、割り切らねばなりません。

【讃岐の善戦、復習の山雅】
チーム創りのひとつの到達点、とも言える 3 – 3 – 2 – 2 を採用して臨戦した山雅。
(しかも、先発の顔ぶれは、前節とまったく同じ)

対し、讃岐も、まったく同じ布陣。

ゲーム後、北ゴール裏での総括談義で、チノ氏が、

― 相手の中盤のところ、#20、#7 のあのパス回しの巧さ。
あのプレイが出来るチームなのに、どうして?
最下位近くに沈んでいるのが不思議。
フォワードに難ありなのか?
相手は(山雅の左サイド) 外山 凌の側を狙ってましたね。

― 特に前半、讃岐が思うようにボールを握りました。
ファールの笛がほとんど鳴らなかったのは、山雅が寄せ切れない (=ファールも犯せない) ほどにボールが早く回っていた、ということでしょうから。

讃岐にしてみれば、ゲームの出来自体は、今季の最上部類ではなかったか?

ただ、その3トップは高さもあるのに、上手く活用されていない、という印象。

他方、山雅。

言ってみれば、前節北Q戦の復習、といった感あり。

今のところ、(アンカーの)パウリ―ニョ、その前に、逆三角形に菊井 悠介と佐藤 和弘が開き、菊井と佐藤に、攻守にわたって高い自由度を与えるやり方が、ベストなんでしょう。

こうすることで、チノ氏の表現によると、パウリ―ニョが〈ピッチ内の監督〉として、より機能するわけだ。

― あとは、中山 陸から出るパスに、横山 歩夢がどれだけ反応できるようになるか?、でしょうね、とチノ氏。

前節同様、センターバックの駆け上がりは顕著。
守備に切り替わった際、サイドバックよりもむしろ、センターバックがボールホルダー深く迫る、なんてシーンも多々ありました。

ただ、野々村 鷹人と下川 陽太の右サイド。

野々村から下川へのパスが、(相手が寄せると)時間的に余裕に乏しい格好になってしまう。
下川の、利き足の窮屈さがあるのかも知れないけれど、そこで、一旦後方へボールを下げざるを得なくなり、前進が停滞する。

(こちらへ相手をスライドさせておいて、空いた左サイドへと展開する含みなら構わないが)
あそこは、野々村から縦にボールが出る危険を、相手に感じさせたいところ。

だとすれば、中盤、前線プレイヤーがもっと絡んで、縦方向のパスコースを生みだしてもらいたい。

【声援復活の効果あり】
― 声援そのおかげで、プレイヤーの足が、3~4歩分は余計に出ていた、と思います、とチノ氏。

それは、確かに言えた。

今節目立ったのは、攻撃に反転した際の、プレイスピード(とパススピード)がかなり向上していること。

日頃の練成のたまものが、声援によってアルウィンのピッチでさらに倍加するならば、万々歳。

萬年的には、カマタマーレには失礼なんだけれど、このゲームを、次節愛媛戦の〈予習〉に捉えたいところがあった。

愛媛のエレガントな攻撃サッカーには、こっちも、かなりプレイスピードを上げておけないと対峙できない、と思っています。

そして、コイントスに勝っても、無声の時とは違って、後半、自陣ゴール裏へ向かって攻撃するという意図にみられた、細かいベンチワークも見逃してはいけません。

大胆に、丁寧に、これが次なるテーマなんでしょうか?

では。