ほとんど 智将 ? (2020.10.05山形戦レビュウ)

3 – 1 で、7試合ぶりの勝利。

アシストとゴールゲッターの、ポジション的なちらばりが、本日のゲームを見事に語っている。

さて、雑事にかまけていたら、DAZNの前に座るのが、ゲーム開始直前になってしまう。

そしたら途端に、山雅のほうの先発布陣の予想が映された。

―えっ !!! この並びの3 – 5 – 2 ?

中盤の 5の配列は、左サイドバック が高橋 諒、右サイドバックが 鈴木 雄斗。
まぁ、そこはわかる。

が、中央が、アンカー(基底)に米原 秀亮藤田 息吹、左には、前 貴之米原 秀亮、右に藤田 息吹前 貴之と、V字型が前に向かって開いたような配置になっている。

おいおい解説よ、大丈夫?、と思ったが、笛が鳴ると、そんな陣形。実際にはアンカーには米原、左に前、右に藤田だったが、この3人の顔ぶれに変わりなし。

でも、待てよ。
このゲームは中盤で山形に優位を保つことが前提、と書いたのはおぬしだったろうが? と、もうひとりの萬年がつぶやいた。

確かに、こうすればあたかも、刈りとれて押し上げ、且つ打って出られる者が、中盤で三枚並ぶ、という豪華な布陣が出現するではないか !
まるで、スリーボランチのように……。

トッポく飄々とした表情の下に、この監督、かなり豪胆な智将の部分を隠しているかも知れないな。

前節、萬年的MIPであった前が、まさかアウトサイドハーフも出来ることはつゆ知らず。
不勉強のそしりを受けても、返す言葉なしです。

要は、この采配がかなり効いて、前線からプレッシャーが効果的に入るようになったお蔭の、2点目、3点目だった。

特に2点目は、藤田が手中にしたボールをセルジ―ニョへ転送。次にセルジ―ニョがそれを、駆け上がった前に優しく転がして、前が決め切ったもの。

これだと今後、杉本 太郎のボランチ起用は、十分にあり、だな。

(もはやほとんど)智将の、上に述べた先発内容、さらに、途中交替の采配(5 – 4 – 1へのシステム変容) が大当たりであったことに加え、

❶米原 秀亮が攻守において、かなり高めの位置で、かつ、自信に溢れたプレイを遂行したこと。パスの配球は、特に。

❷最終ラインでは、無駄に押し込まれる状況に陥るような判断とプレイが減ってきていて、攻撃へと直結するようなボールを入れようとする姿勢が顕在化。

結局、中盤以降が安定し攻撃的になれば、自然とその前のほうは、やることにおいて選択肢と時間的な余裕が多くなるわけか。

モンテディオにしてみれば、表面的には上手の手から水が漏る、といった感があるやも知れないが、外縁をいくらなぞってみても得点機は発生せず。
反対に巧者が、自陣深くで追いつめられてからの 3失点だった。
(加藤 大樹が 左サイドに不在だったことには、ホッとした)

どんな形でもゴールネットが揺れればいいのであって、手を抜かなかったイレブンの勤勉さにこそ感謝しよう。

勝利後インタビュウでの大野の発言はけっこう心に浸みた。
リーグ戦がゴールするまでには、渡っていくべき河はたくさん在るぞ、ということだ。

Many Rivers To Cross を聴きながら、山雅の勝利によって辛さを乗り越えているファンサポーターは多い、ってことをしみじみと思ふサンデイ ナイト。

では。

アサギマダラのためだけに。

庭のフジバカマ(藤袴)。
昨冬に刈り込み過ぎたのか、あるいは、アネモネ カナデンシスの繁殖力の前にトボッてしまったのか、ギザギザの葉を出すも、現在20㎝くらいにしか伸びていない。

10月までチャンスがあるとは言え、この調子だと今年の花は楽しめそうもないか。

ということで、せめては他人様の庭で楽しませてもらおうと探したら、その持ち主とお話しまでできた、というお話。

―アサギマダラを呼ぶために、これを植えただよ。

なんともロマンティックなココロではないか。

―撮るなら、止まって羽を開く時を狙うだね。
また、晴れた日に来たら最高だ。

なにかとお心遣いとお許しをいただいて、近くから美しい乱舞を眺めることができた。

こういう日もあるから、人生は捨てたもんじゃあない。

では。

〈コメント〉
☞つー  さん より (10/4 11:55)
人生の海原を渡りきろう。
アサギマダラのために藤袴を植える。実にいい話ですね。近所の人とのそんなさりげない会話で、充分一日が満たされる気がします。
近所にいる小さな蝶が、実は大海原を渡る。
「昨日見た夢ちっちゃいでっかい夢だよ。蟻がリュックしょって富士登山」そんなフレーズが浮かびました。
心休まる話、ありがとうございました。
では、また。

☞萬年より  (10/4 13:54)
   てふてふが一匹 韃靼海峡を 渡っていった。(安在 冬衛)
……、の世界ですね。
アサギマダラの場合は、群れをなすと思いますが。

山雅銀行をやめるには? (山形戦プレビュウ)

山雅と対戦すれば、相手はほぼ確実に、そこで勝ち点を貯金できる。
23試合やって、それができなかったのは4度だけ。

これって、ある意味驚異的な数値ではないか。
〈山雅銀行〉が、J2で重宝されないわけがない。

T氏と昨日お会いしたら、
―女房が、山雅について萬年さんの見解を聞いて来い、とのことでね。

―直接見聞してないのですが、クラブのトップが柴田監督は暫定的、と発言したらしいです。
何故、そんなことを言ってしまうのか、愚かですよ。

―編成部の長が、監督を続けるわけにもいかないのだろう?

―ツナギであることは秘しておいて、次の人選を進めれば良いのです。
おかげで、10月は捨てたも同然。
なにせチームの腰が据わりませんからね。
ただし、今季の目標は修正するとして、希望を捨ててはいませんよ。

その居心地の悪い10月の最初にあたるのが、ひと月前(9/5)にやったばかりの山形。

前回は、押されに押され、倍のシュートを浴び、セルジ―ニョの個人技に頼りに頼ったあげく、幸いにして獲ったPKの 1点を守り切って勝った。
山形にしても、あまり調子の出ない(16位)今季、下位に沈む両者にふさわしいようなパッとしないゲームだった。

さて、今節。
前回と同じように山形の攻撃が長くなるだろうが、前節、群馬ゴールに4点を叩き込んでチームの意気上がっていれば、シーソーはもっと山形に傾くのが自然。

先の山形戦以降 ここ6戦勝ち無しの山雅プレイヤーたちが、せいぜい下を向くことなくゲームに入ることを祈るしかない。

でも、せっかくのゲームなんで、勝利できる可能性を少しでも探ってみる。

60分までに、2点のリードを保つこと。
怪我明けや、連戦の疲労などから先発メンバーの交代時期までに、できれば先制して、2点差をつけておけば、9割がたは、勝ちが転がり込むだろう。

❷中盤を有利に制することが前提にはなるが、パスを繋ぐ戦術にこだわるならば、(相手ディフェンスを崩して)シュートコースを開ける工夫に執着すること。
本当は、山形ディフェンスの態勢が整うまでにシュートに持ち込めればベストだが。

攻撃においては我慢が必要、というのは、何回でもチャレンジする執拗さを言っていて、精度を上げるには、そもそも回数が多くなければ話にならない。

セルジ―ニョのテクニックと自在さは買うけれど、彼と意思疎通する気概と具体的ノウハウが周囲にどれだけ浸透しているか、それを観たいですな。

❸守備。
身体を張って守れ、なんて陳腐なことはもはや言い飽きた。

最終ラインからのパス出しにおいて進化することが最大の課題であって、どうしようもなくなってGKに戻すようなシーンはいい加減にしてもらいたい。

狭い視野、判断の遅延、ボランチとの連携不足。
そこを克服することで、果敢な守備をゲームで表現できなければ出てくる価値はありません。

❹(やらないとは思うけれど)前節の金沢がやったサッカーだって、できないことはない。
相手の処理しにくいようなロングボールを入れて、それの奪取を狙う。
さらには、ペナルティエリアを視界に入れたら、すかさずシュートを打ち込む。
スペースをあらかじめ特定しておいて、ボールを手中にした瞬間、そこめがけてプレイヤーとボールを入れる。
ドタバタした忙しいサッカーにはなるが、これ、やりますか、柴田さん?

―最近、ブラジル人選手と契約解除したんだって?

―かつてポルトガル領だったギニアビサウ国籍の、イズマですね。
コロナ禍の中帰国したい意向といってますが、表向きの理由ですよ。
もっとゲームで使っていれば、きっと残ったと思います。

―いままで上手くいったことを、チームに地力が身についたと勘違いしちゃったかね。
でもさ、山雅のサポーターはこんな状況でもついて行くんだからさぁ。

たしかに。
でも、果たしてその情の厚さをいつまでアテにできるのか?

では。

スモーキー ロビンソンの貢献(その2)に泣く。

先回、友人k君の葉書から引用したが、実は、後段には、

―ダニー ボイル監督『イエスタディ』観ましたか?
ビートルズへのオマージュたっぷりの感涙ものの映画でした。
改めて彼らの楽曲の良さに痺れ、パラレルワールドのジョンの姿に涙しました。

……、とあった。

萬年にとってロックンロールへの導き手となったK君の感動には敬意を表しつつ、そして、もちろん、このグループの価値については異論などないものの、今の萬年の涙はそこには落ちない、というのがホンネ。

聴いて泣きが入るといったら、こういう動画なんだな。

実は、旧ブログでも紹介したけれど、データが消し飛んだので再度ブログにピンナップしてしまおう。

『The Tracks of My Tears』(1965年発表) 。

スモーキー ロビンソン&ミラクルズがヒットさせてから10年後、
リンダ ロンシュタットが、スタジオで録音している風景を撮ったものだ。

リンダのカヴァー版は、『ひとすじの涙』という邦訳。

何度も流した涙なんで、複数形になっているんでしょうか、きっと。
ならば、ひとすじ、ではなくて、いくたびの涙、とかどうでしょう?

―外見は楽しくやってるようにみせてるけれど、心はブルー。
あなたが去ってからずっと。
まったく、悲しいピエロなの。
よくみてごらん わたしの頬を。
涙の痕が残ってる。あなたがいなくちゃお終いのこの私。

逆に、こう言わせた側からしたら、本望、ってことか。

当時、時代の歌姫のような存在だったリンダ。

近年パーキンソン病によって引退を余儀なくされてしまったこともあり、よけいに胸に来る歌唱です。

では。

〈コメント〉
☞つー さん より (10/2 10:04)
男の涙に嘘はない。
別れに際して男は女々しく、女は潔いと言われるが、多分女性の場合、より良い遺伝子を求め種の存続を図ると言う、いたって生物学的本能のため、過去の男にいつまでもこだわってなどいられないのだろう。

私の経験した幾つかの別れでも、女性は確かに潔く凛々しかった。
しかし、それも当たり前で、そんな場合女性の関心は既により良い遺伝子を持った男に向いている場合が多いのだから。
別れた後も自分を思ってくれる女性がいるのは、男冥利に尽きるが、別れた女性にいつまでも未練を残しながらも、さらにその女性が幸せになるのを願う。もちろん心の中でだ。
それはそれで良いのではないだろうか。
では、また。
☞萬年 より   (18:40)
なるほど。
となると、嘘の涙を流すのは、女類の生物学的なマトモな行為、ということになるのか。
倫理や善悪を超えた部分での。

象徴的な敗戦 (2020.9.30 金沢戦レビュウ)

80分近くになって先制され、そのまま 0 – 1 で終戦。

今季の容貌である、チグハグさが、もっとも表出された象徴的な試合だった。

その意味で、萬年的には、ワーストゲームかも知れません。
リーグが終わった時に、いちばん悔やまれる、という意味でも。

失点自体は、CKからの混戦の中、一番上背のある奴に頭で押し込まれたもので、あまりとやかく言う内容でもない。

けれど、そのCKは、ディフェンス間の横パスをかっさらわれたことに端を発していて、判断の遅れと、怖気づいてしまうようなディフェンスがいまだ克服されていないシーンを見せつけられた。

そのまた根底には、ジリジリと金沢ラビットらの走力に押し込まれ、思い切りの良いロングボール、素早いボール回し、早めのシュートに対して、後手に回るようになった事実があって、強固な意思の面では、金沢が優った。

トンネルは早々に抜け出せるものでもないが、ついに最下位(群馬)と勝ち点1差の21位、フツーだったら立派な降格圏なわけで、いやはや。

〈明確になったことは 何か?〉
采配(ゲームプラン)は、かなり明快になった。
例えば、怪我明けの、橋内、前については、60分稼働をあらかじめ決めてあるとか。
また、米原を(おそらくは)ワンボランチ(=アンカー)にした、3 – 5 – 2 を採用とか。

ただ、この陣形だと、右アウトサイドに入った久保田のミッションに消化不良が残った。
後ろへボールを叩いてから前方へ走り込むという作業が窮屈でスピード感に欠ける。
その後方にいる前 貴之との連携が上手くいったとも言い難く、右サイドの攻撃が停滞したのは痛かった。
左サイドがかなり活性化していたので、余計に目立ったのかも知れぬ。

個人的には、ゲームのMIP(最も印象に残ったプレイヤー)は、前 貴之。

右サイドバックでは、持ち上がったらそこで打てよ、と言いたくなるような、変に遠慮したプレイが不満であったが、後半開始からツーボランチの一角に配転されると、急に活き活きと輝き出した。
身体でブロックにいって止めたシュートも何本かあったように記憶する。

となると、初めから、米原と前のツーボランチを採り、3 – 4 – 2 – 1で良かったと思う。

〈いまだ不透明なところとは?〉
❶攻撃では、セルジ―ニョを中心とした多彩なパス回しと、見切りをつけて打つ形を整合すること。
手間をかけることとシンプルにやることのメリハリですな。

❷守備では、最終ラインのボールの動かしの初速と連携、前へ出て身体を入れる決断。怖気は、だいぶなくなったけれど。

見出しをつけるならば、
最適を見い出すために、我慢する攻撃と、前に打って出る、果敢な守備。

これが実現しない限り、上昇気流には乗れないだろう。

失点直後、森下がまるで自分のミスを挽回するかのような感じで、最前線に駆け上がっていった姿、まさにこれですよ。
できるんだから、遠慮せずやってくれ、森下!

せいぜい白馬そだち(お米)の当選券に当たったことを慰めにして、アルウィンを後にする夜になった。

では。