描くことで救えたか『High Crimes』(2002年)

家人がBSで録画してくれたやつの、おこぼれを頂戴した今回。

モーガン フリーマンが出ているから観る気になったんだけれど、そういう役者が現役ではあまり居ない、ってこと自体、キネマにトンとご無沙汰な僕の近況を物語る。

原題の意味は、重罪。

しかも複数形なので、犯された犯罪がいくつも在る、って寸法。

邦題は、そのまま、〈ハイ クライムズ〉。

思い切って意訳してもいいのでは?、と思うが、じゃあ何とする?、となると、これが、なかなかむづかしい。

『忘却の法廷』、『失意の法廷』、ぐらいかな、思い浮かぶのは。

しかし、これだと硬いか……。

『沈黙の法廷』じゃぁ、二番煎じだし。

感想の走り書き
12年前に起きた、米海兵隊員による、中米はエルサルバドルの民間人虐殺に関する軍事裁判を扱った、法廷物サスペンス映画。

軍隊内の法廷に、敏腕の民間弁護士(主人公、女性)が突っかかって闘いを挑む、というプロットが目新しい。

しかも、弁護するのが、元特殊工作員だった身分を隠して一緒に暮らす自分の伴侶、と来たもんだ。

その夫の無罪を、軍事法廷専門の弁護士(フリーマン)の協力下、立証しようと(文字どおり)砕身、奮闘する。

ただし、(サウスポーとか、いろいろと伏線が張られた) 結末に、どんでん返しが用意されていて、重罪が、結局は、法廷内で裁かれることがなかった(私的な制裁によって、でしか)、という仕立て。

そこのところの無力感による視点が、もっと強調されてもよかった、と思う。

法廷とは、ある意味、茶番の場所である、を言いたいのであれば、だ。

民間人殺害の背景には、実は、国家として機密にしたい陰謀が隠されていた。

ために、検察(軍)と弁護側の戦略と論点が噛みあっていないことが、エンドロールの後で、あぁ、そうだったのか、とわかる仕組みになっているが、どうも胸への落ち方が弱い。

まぁ、正義とは本来とらえ方でどうにでもなる、という現実の曖昧さ。
それを表現したかったんなら、それでいいが……。

記事タイトルを、描くことで救う、とはしたものの、一体何が救われたのか?が、観た後でよく考えないとピンとこないのは、やはり減点の対象でしょう。

最後、ふたりの弁護士の再開シーンで終わってよかったのか……を含め。

ただし、これ、交わされる英語がすべて理解できない者の理解不足から来るのかも知れないので、条件付きということで。

もちろん、安定のモーガン フリーマンでありまして、どこか敗残の匂いと、弱点を持ち合わせた有能な人物像、という期待を、やっぱり裏切らないのはありがたい。

したがって、68点(合格点)は、差し上げてしまうのです。

では。

スタイルに殉じた,貧ゲーム (2021.10.30ザスパ戦レビュウ)

ゲーム終了直後、ヒーローインタビュウが、オーロラビジョンに映し出される。

決勝点となったPK、を決めた大前 元紀が、
― 1 – 0 で勝っているのに、ボールはほとんど握られ、それらしくないゲームをやってしまいました、云々。

たしかに、これ以上に的を得た試合評もないな、と感心してしまう。

こちらにしてみれば、あれだけボールを握れて、後半はほとんど相手陣内でやらしてもらいながら、工夫のないゲームをやってしまいました。
― これが、がすべてだった。

みづからのイージーなパスミスなんかでリズムを悪くした時間帯に失点、とは琉球戦の反省が生かされていませんよ。

ゲーム開始10分過ぎから約20分くらいが、それ。

ボールを失ったら取り返せるほどに、群馬は緩い相手ではあったけれど、あれだけミスを犯せば、こちらの歯車が狂う。

中二日中三日して迎えるアウェイ町田戦を見すえての先発起用だったに違いないけれど、
ボランチに安東、小手川を並べたのは、萬年ご推奨の案件。
さらに、セルジ―ニョを、45分目一杯使う。
さらにさらに、田中パウロ、山口を70分台に投入するのは、僕の注文していたところなんで、それ自体は文句なし。

加え、ペナルティエリア外からも、強引にミドルを狙う姿勢も望むところ。

ところが、シュートを10本打って、枠内は、おそらく1本……か。

枠内に飛ばせ、なんてのは、プロに向かって失礼だろうから、
ここでは、あれだけクロスを入れるんなら、たまには、もっとカットインして入っていくとか、相手守備の視線を動揺させることもやったら?、とだけ言っておきましょう。

最後。
星キョーワンが犯したファールによる、ペナルティキックについて。

あれには、伏線があった。

こちらの左サイドをけっこう割られていた際、マークの受け渡しの混乱なのか、星がサイドに出て行く。

そして、相手ドリブルを、足を巻くようにタックルして防いだことが、数回。

これを主審は、ファールと認めていなかったので、再度、それをやったんだが、今度はペナルティエリア内で、かつ、相手があれだけ見事に倒れ込んでみせれば、笛がなるのも致し方なしか。

しかし、主審清水某と、あれだけジャッジに正確と主体性を欠く(メインスタンド側) ラインズマンが揃っていたのが、敗戦の根底的な伏線だった。

と、こちらの貧弱な得点力を棚にあげて言いつらう、快晴の正田醤油スタジアムでありました。

では。

アメトラは シーラカンスなのか?

ルノワール氏 曰く。

きょうび、アメリカントラディショナルのいでたちを重んずるなんてぇのは、せいぜい戦後ベビーブーマー世代(~1964年生れ)までのお話。

要は、(化石化した)シーラカンス的な存在、なんだそうだ。

半世紀前は、若人の遊び着としてもてはやされたものが、いまじゃぁ、爺いのご趣味。

今の若い世代には、見向きもされない、とか。

確かに。

なんとかビズが定着、タイを締めないのが当たり前になって、レギュラーカラーだと襟がつぶれてしまう首元のだらしなさを避けるため、ボタンダウンシャツが主流だ。

けれど、そこでは、やってはいけない無分別な、襟まわりの配色やら、色ボタンの使用やらが横行しているからなぁ。

……とか、こんな苦言を呈しているからこその、シーラカンスなんだろうね、きっと。

すると、1960年代末におこった、かの国の流行は、みづからのトラディショナル(伝統) からの息抜きだったんだろうか?

人間性というやつに変わりはないが、風俗は生まれ滅びる。ゆえに、風俗は記録して保存されなければならない。 (by 不詳)

では。

【コメント】
☞ルノワール氏より (2021.10.31 13:36)

恋人は底抜けの笑顔で
街角で楽しんだものよ♪
アイビールックの2人連れ♪
byシンシア

アメトラは街着なのです。アメトラスーツを着て自動車で移動ってのは🆖
電車で移動して
街を楽しむのがルーツ
晴れの日のタウンアンブレラ(グリーンのブラックウォッチターン
懐中時計、黒縁のメガネ
は欠かせないアイテム
 ↑
だからシーラカンスなのかも?
シーラカンス は絶滅危惧種
だが生き伸びて欲しい!

継続しかないだろう (ザスパ戦プレビュウ)

― 落ち目のチームを注目してくれるなんて、ありがたいこと。

なにかの拍子に、家人が、こうつぶやく。

〈落ち目〉……かぁ。

しかし、何十年ぶりに聞いた文句だよ、これ。

例えば、フーテンの寅が、自身の境涯についてため息交じりに発するような場面しか思い浮かばなかったけれど、そうだよな、こういう時に使うべき言葉なんだわ!、と、その言語感覚には、妙に感心してしまった。

継続は力なり、とは結局のところ、今取り組んでいることをやり続けるしかないだろう、やっていることの方向性が端から間違っているなんて、ゾッとするような考えは葬ってしまって、という決意表明に過ぎない。

であるとしたら、前節対琉球戦で、カチッと歯ごたえが在った、責任感をみせたプレイを続けてもらおうではないか、今度は、前橋の地で。

こむづかしい戦術の話は、この際止すとして、琉球戦の80分あたりにピッチに散っていたメンツに、前 貴之を加えた陣容でやってもらいたい、ということぐらい。
セルジ―ニョが、いまだ復帰できないとしたら。

榎本 樹が、この懐かしき街(前橋育英高卒業) で、なんらかの実績が残せたら、それはそれは嬉しいこと。

……、とタカをくくっていたら、一体、いくつ用意した座席数か知らないが、ビジター席が、完売なのか。

こうなったら、責任感あるファン氏は、メインスタンドから見守らなくちゃあ。

では。

そこに在る プレミアリーグを つまみ食ひ

ご当地チームほどには、のめり込むこともないが、

けれども、サッカーのゲームは、どれをとってみても、そこそこに楽しめる。

イングランドの、プレミアリーグ(1部)  第9節。

マンチェスターユナイテッド vs  リヴァプール の好カード(10/24)。

ハイライト映像を観ただけの、熱意のなさではあるけれど、

このゲーム、アウェイの地で、リヴァプールが、5 – 0 と、マンUを粉砕した。

聖地オールドトラフォードで、一方的なスコアを叩き出された、マンUサポーターの悲嘆たるや、軽々に想像も及ばない。
その気持ちだけは、よくわかるんですな、これ……。

スピード豊かな、スペースをダイナミックに使う、迫力ある攻撃。

これだけの達成をみるには、やはり、相当な時間と智恵をかけてきたんだろう。

と思いながら、これほど身体能力を要求されるスタイルでは、南野がレギュラーを獲るのは、かなり難しいことが、痛いほどわかる。

で、ハイライトを2回観返すと、今度は、マンUの守備陣が、失点にまったく歯止めかからぬまま、烏合の衆のようにバタバタしているのが無残。

追走しているばかり、といった印象。

まるで守備に決まり事がないような感じであって、それに比べ、リヴァプールのプレイヤーがすべて倍速で走っているような錯覚さえする。

ま、参考までに、得点シーンを集めたハイライトをご覧ください。

もちろん、こういったサッカーを真似ろ、とかいった単純な話ではないけれど、ピッチを思う存分に使った、わくわくするサッカーには、憧れますな。

見習いたいのは、攻撃になると、4人くらいがなだれ込むようにペナルティキックエリアへ突入していく勤勉さでありましょう。

で、この結果、リヴァプールは 2位に浮上、マンチェスターユナイテッドは、7位に後退。

けれど、ふたつのチームが得たものと失ったもの、それは順位とは比較にならないものであったはず。

その歴史的な因縁からしても……。(ふたつの街は、50kmの距離に在る)

では。