先日、居間を通り過ぎようとして、フトTV画面を見ると、『男はつらいよ』のいちシーンであった。
ドサまわりの歌手リリー、こと浅丘 ルリ子と、船越 英二郎。
とくればシリーズ第16作『~寅次郎相合い傘』(1975年8月公開) か……。
―ほお、あなたが、ねぇ。
車 寅次郎の、直情径行的な粗暴さに我慢ならず、ゆえに、この作品集も好まなかったのではないかい?、と言外に匂わせても、
―この前は、光本 幸子がマドンナの作だったわ、と平然としている家人。
―うん、それ第1作。だから初代だね。御前様(笠智 衆)の娘という設定で。
さらに、その数日後、ふとした折に、『~お帰り 寅さん』(2019年12月公開) もご覧になった、とのご託宣なんである。
―倍賞 千恵子の老けようには驚いたわ~。
でもね、根っからの寅さんファンだと、この作品の評価は、ずいぶんと割れるんじゃあないか知らん?
渥美 清はもういないんだし、ゆかりの人たちがオンパレードで出てきてもねぇ。
なぜ?、今さら、って感じ……。
―やはり、お金(興業収入)がいちばんなのかな?
松竹は、『釣りバカ日誌』シリーズが2009年で終了して以来、盆暮れのヒット作もないから、ここでひとつ、ということかもよ。
でもさ、監督の力量などからすれば、そこそこ安定した作品にはなるんだろうが、やっぱりさ、進退を賭けるようなチャレンジを、作品には求めたいな。
だいたいがね、寅の甥っ子が小説家になってる、なんて設定が、良いとこ取りで、安易に過ぎませんか?
……、とまぁ、いまや我が家では、当シリーズに関するかなり深~い評論が飛び交っている。
思うに、これも、つーさんや、ジョー氏の映画通から、インスパイアをいただいたゆえ、と感謝しているんです。
ところで、前回記事では、1920年を持ち上げたんだが、ミヤコ 蝶々(1920~2000)を失念してしまったので、ここに追記しておこう。
蝶々は、この寅さんシリーズで、寅次郎と生き別れになった実母を演じた。
で、渥美は、1928年生れ(~1996)であるから、このふたりの実年齢差は、たったの8つ。
そのふたりが、親子を演じてみせたわけ。
果たして、蝶々が老け役に徹していたのか、あるいは、渥美が若く見えるのか
そんなつまらんことで悩んでいる。
では。