美は,やはり,敗残者に宿る?

それに近い現象を、判官(ほうがん)びいき、とか言いますな。

源 九郎義経。

兄頼朝の不興(怒り)を買って、追討される身に転じ、やがて滅びて(自害させらせる)いった。

平家を滅ぼした後、義経には増長、傲慢の姿勢が顕著となって、独断専行をおこなったこともあったから、一族の主たる頼朝が、弟の行動に反感と激怒を覚えるのも当然ではあった。

けれど、滅びる義経に対し、世人が、義経の行動の是非などにはかまわずに、ひたすら同情を寄せる。

そうした心の動きを、義経の官位をそのまま使って、判官びいき と呼ぶようになった。

高校サッカー選手権の決勝(1/10) をご覧になった、クレ君いわく、

―あれだけ青森山田が強いと、大津のほうを応援したくなりますよ。
公立校なのに、良く勝ち上がってきたと思います。

僕は、このゲーム、ハイライトさえ観ておらず、また、観る気にもならないのだが、こういうのも、確かなる判官びいき。

クレ君に言わせると、山田のプレイヤーは、これが高校生か!、といったフィジカルの強さで、ずば抜けて強靭なサッカーをやってみせたらしい。

それほどまでの鍛錬と研鑽は、称賛されていい。

なのに、まるで悪役(ヒール)みたいに取り上げられてしまうのは、人間の根性が、そもそもマットウにできていない証拠に違いない。

対象が弱くなってはじめて、それに憐れみを覚えるのが、人間の哀しさ、というべきか。

余談ですが、山雅の常田は、青森山田高の出身なんだけれど、その風貌に、鍛え上げた剛性を感じないのは、何故なんだろう?

むしろ、キョトンと柔和すぎるくらいだよね。(もちろんホメているんです)

敗れた、というものの、大津高校は、高校年代サッカーの最高峰であるJFA高円宮杯プレミアリーグの西地区で 4位(2021季)なので、ばりばりの強豪校。

ちなみに、プレミアリーグには20チームが参戦、東と西にわかれ、それぞれ10チームでリーグ戦をやっている。
Jクラブユース16チームと、高校では、青森山田、市立船橋、流経大柏、大津の 4つ。青森山田は、東地区で 1位(2021季)でした。

ところで、全豪オープンへの出場で、豪州政府などと揉めているジョコヴィッチ。
この事案、彼の強者ぶりが災いしている部分が、かなりあるように思えるんですね。

愛される強者であること、これは至難。

出る杭は、かならず打たれます。

他方、いくら愛されても、敗残の身は辛かろうに。

でも、こういう不条理への理解があったからこそ、アントン チェーホフ(1860~1904)の戯曲や小説は、読むに値すると思っています。

(以前の投稿のリライトに近いことをお断りします)

では。