残菊の不義理。

昔お世話になった或る御方の命日には、つとめて墓参するようにしている。

が、今年は、いつしか忘れてしまい、一箇月あまりが過ぎてそれに気づく始末。

あぁ、いけない、ということになって、さて、手向けの花はどうする?

見回すと、庭のそこかしこに、株分けした菊が、今は盛んに群れをつくって咲く。

そうだ、これを持ってお墓にうかがおう、と決めた。

これから毎年こうならば、なにも命日などにこだわらず、今時分に、自前の花束持参でいいではないか、などと不届きなことを考えながら。

  

 残菊を 手向けん西日 背に負うて by  萬年

では。

選ばされている〈個性〉。

自分のお好みで、心地よく生活を演出し、満たしたいのはわかる。

日本くらい社会の高年齢化が進んで落ち着いてくれば、なおさらのことだ。

でも、よくよく考えないと、自分で選んでいるつもりであっても、実は、すべては、都合よく与えられている事物や希望であることが、なんと多いことか。

つまり、メディア、情報媒体によって、自分の感性、趣味性、視点のかなり大きい部分が、巧くコントロールされている情況なのだ。

メディアはいくらでも、社会的な(富と力の)分配を牛耳っている体制に接近するし、その代弁者としても利用される。

こういう事態は、もう何十年と続いてきたから、空気みたいなもんで、馴れっこになってしまっているんです。

だから、〈個性〉という言葉も曲者で、誰かがあなたに勝手に押しつけている可能性が高い。

個性とは、せいぜい、人の手の感触や、動きの繊細さについて云うこと。

個性、という言葉をやたら使う人々は、疑ってみるべき。

では。

だったら ひたすら剛直に (富山戦レビュウ❸)

多少、皮肉めいて聞こえるけれど、

3得点したのは、今季、やっとこさの2度目。

たとえ苦しい70分が先行しなくても、なにも自ら、むづかしい局面や、崖っぷちに立ち入ることなく、初めから〈攻撃的スタイル〉が発動されれば、なお良い。

4点獲った富山が、(得点を棄て) いなしと時間稼ぎによって、こっちの意欲を挫じこうとしてきた状況であっても、それに屈しなかったんだから、

あの、ラスト20分間の攻撃を再現するチャレンジをしないのは、実に!!もったいない。

土壇場の2ゲームには、そのココロこそが不可欠。

さて、富山戦。

3部リーグではあまりおめにかからない (双方の)良質な外国籍プレイヤーが、そこかしこで、ゲーム局面に効いていた。

たとえば、富山による中盤のやりくり。

ボランチのひとりが最下底におりるので、山雅の3枚(住田、パウリ―ニョ、安東)に対し、どうしても、中盤が手薄になる。

この数的不利を、FWのアルトゥールシルバ、安藤が降りて来てボールを捌いては、再び上がって、山雅最終ライン裏を獲る動きをすることで、消していた。

本来、ボールホルダーに喰いつくのがルーチンである山雅ボランチは、こういった、いわば、逆方向からの降って湧いたようなはぐらかしについてゆけず、それが無駄なファールの誘因になった。

これ、ボランチの責というより、実質的に、2列目が無かったような位置取り、つまり、前線の後方に空いたスペースの出現、をゆるした采配ミス、と言える。

その意味で、横山ラン作戦をさっさと切り上げて、剛直さを持った2列目を用意した後半のテコ入れは、きわめて適切でした。

なお、萬年的には、中山 陸を先発でサイドに使うべきだった。

ともかく、後半。

スピードと剛性をもって前へ〉と転換してみせたのは、妥当。

この感触を持続して、残り2戦をやるしかないでしょう。

特に、直線的サッカーが身上のテゲバジャーロに対しては。

オマケに。

富山側のMVPは、(2得点の林堂をあえて差し置き)、#14 松岡 大智。

山雅として求むべきタレント、と強く推奨します。

では。

前半を見誤るな (富山戦レビュウ❷)

レビュウ❷は、前半の辛酸をどう振り返るのか?、という点について。

a)相手にボールを持たせ、それから反転アタックを狙う、という意味では、それほど破綻があったわけではなくて、想定内の進行だった。

致命的だったのは、要らぬファールを、しかも、同じような位置(左サイド奥)で 3回も与えてしまったことに尽きる。

うち、2回はそのまま失点につながり、
残る 1回も、ビクトルのファインセーブによって救われたものの、あわや!! のシーン。

ファールの発端は、ロストしたボールを追いかけて強引に回収しようとしたこと。
で、ロストの原因は、判断の遅延や、トラップミスだった。

(もちろん、富山の寄せの速さも徹底してましたし、山雅に後ろ向きのプレイを強いた富山の対策は、レビュウ❸で)

結局、ゴール30m付近では、後ろ向きになるようなプレイに追い込まれるその前に、前方へと早急に展開する。
相手がどう出てこようとも、リスク低減は、これに、尽きます。

b)対し、右サイドはけっこう踏ん張っていて、そこから裏抜けを狙う横山 歩夢に再三のロングボール供給を敢行した。

ただ、林堂、今瀬クラスのセンターバックになれば、横山単騎で侵入を試みてもなかなか自由を与えてくれない。

そこには、一旦、横山から受けたり、時間を創るバックアップ要員が必要で、ここらに、佐藤、菊井不在の悲しさが出ましたかね。

久々の先発だった住田 将にしてみれば、ここで信頼を得たかったはず。

ですが、守備に追われ、位置取りが低かったのは悔やまれる。

……以上、〈スピードと剛性をもって前へ〉と修正してみせた後半との印象的ギャップで見誤りがちですが、そこそこの前半ではあった。

でも、まぁ、残りの2つの対戦相手は、富山さんほどには狡知、老獪でもなさそう。

であれば、つまらんファールとその要因分析をしっかりやっておけば、これからも、速さは不可欠の、基本、ああいうゲームの入り方で良いのでは?

では。

どうにかできる見本 (2022.11.6 富山戦レビュウ❶)

レビュウ❶は、主に、印象論です。

快晴の、美しい秋日。

ラスト20分からの追い上げが、あとわづか足りず、3 – 4 の敗戦。

残り6ゲームの時点で、あと5勝。
悪くても、4勝2分け、と踏んでいたので、この負けは、許容範囲と考えます。
(つまり、ラスト3戦では、2勝せよと)

結果、ラスト2戦を全勝でいかなくちゃあならないんですけどね。

ゲームのMVPは、ルカオ。

諦めずにボールを追う姿勢は、ややもすれば精神論に走り勝ちな日本人なんかをはるかにしのぐ執念でした。

こういうところで(図らずも)人生を教えてもらえるのが、サッカーの良いところ。

そのプレイすべてがゴールに向かっていて、特に、2点目の、野々村のヘディングにつなげた、オーバーヘッドの折り返しなんかは。

確かに、いろいろと言いたいことは皆さんお持ちでしょうが、最後まで試合を捨てず、しかも、ここまで挽回をして魅せるゲームをやってくれたのは、ここ3年間では思い浮かばないのでは?

ゲーム途中、( 0 – 4 時点で)
― これじゃあ、鹿児島 (いわきに 0 – 3) を笑えないわ、と家人。

いやいや、得点結果として、0 – 1 の敗戦と同等まで振り戻した労力は、称賛に値します。

後押しによって挽回させた、ファン&サポーターの熱心を含め。

これぞ、スタジアム観戦の賜物でしょう。

この部分は、ひとつの達成とみるべきことであって、チーム意思統一(ひとつのプレイのかみ合わせそのものではない)、戦術の徹底(特に後半)は、確かに深まっている。

それと、フレッシュなプレイヤーが多かったとは言え、終了の笛がなっても、へばった様子をみせなかった鍛え方(体力)、これも今季は上手くいっている。

次につながる成果とは、ここだと思います。

では。