冴えたセンターラインよ (相模原戦レビュウおしまい)

アウェイ観戦になると、周りには、ふだんとは違った方々が席を占め、

そのつぶやき、交わされる会話が、それとなく耳に入ってくる。

今節、バックスタンドのホーム(つまりアウェイ)側では、いろんな〈声〉が聞かれ、山雅を観馴れていれば、やはり、そうなるでしょうね、というのが多かった。

〇久しぶりのヴィクトルの、安定感と、落ち着いたプレイ。

たとえば、21分。

フリーキックから岩上 祐三が入れたハイボール。
村山ならば、おそらくはパンチングを試みたろうが、しっかりとキャッチできるプレイには安堵。
身長で 5㎝ 優る、ということはリーチを加えれば、10㎝ は高所に手が届くわけだから、ずいぶんと違う、などなど。

〇小松 蓮の、成長ぶりへの称賛。

後方で観戦の女性(中年)が、
レンタルから復帰後、体幹、フィジカルが強くなったことを強調していた。

たしかに。

J参入後、19得点は、船山 貴之、高崎 寛之以来か、と思うが、

ユース生え抜きフォワードがブレイクしつつあるのを観られるのは、山雅も、歴史を更新しつつあるということ。

それに加え……、

〇インサイドハーフ(ボランチ)米原 秀亮の、充実。

たしか、熊本から移籍してきた当時は、20歳だった彼。

相棒が安永 玲央であることも刺激になっていると思うが、ボール捌きの技量がずいぶんと向上。

鹿児島戦で魅せた、右サイド藤谷へのロングボール供給(先制のアシスト)は、視野の広さと素早い判断力の証明。

プレイから遠慮や逡巡がなくなった分、より攻撃的なボランチに変容。

上背があるのも魅力。

まぁ、あとはシュートに磨きをかけて、と思う。

……、こうみてくると、チームのセンターラインがしっかりしていると、安定、強固なゲームができるということか。

もちろん、センターバックの出来も上等で、常田のロングフィードは、攻撃の重要なスイッチになっている。

あとは、野々村の鋭い縦パスが、もっと観られることを願います。

では。

セットプレイを究めよう (相模原戦レビュウ❷)

勝ったら勝ったで、

あれだけ後半も果敢に押し込んでいたので、3 – 0 で終わらないと……。

とか、ファンの欲は、なかなか尽きることがない。

けれど、63分。

小松 蓮のヘディングシュートがネットを揺らしたんだから、良しとしよう。(つまり、実質 3 – 0 )

これがオフサイドでノーゴール、とジャッジされたのは、
僕の推定だと、小松と並んで飛び込んだ野々村の位置がオフサイドで、

野々村は、ボールには関与しなかったけれど、相手ディフェンダー(#2?)の動きを抑え込むことによって、プレイに関与した(小松のプレイを利した)、とみなされたのではないか?

レフェリーは、山雅プレイヤーに、オフサイドであった理由を説明すべきであって、

オフサイド判定を下した副審に歩み寄っただけで、責めるため詰めよった,

としてイエローカードは、無体な話ではありませんかねぇ?

菊井は、キャプテンマークを巻いている。

ならば、説明を求めることができる立場ではないか。

さて。

これを含め、この日のゴールはすべて、セットプレイが、はじまりだった。

後半に入ると、セットプレイを獲るたんび、ずいぶんと時間を使っては、選手間で談合がおこなわれた (オマケで、安永は遅延のイエローをもらう)。

相手に流れが行くのを絶ち、かつ、自分たちへ時間を引っ張ってくる、ということでは、効く。

リーグにあって、山雅の次にファールが少ない(第4位)相模原が、このゲームでは、22個ものファールを犯した事情をこっちに有利に使った、とみなせば、チームはなかなかクレヴァ―になった、と評価しよう。

ボールを握る、というのは被ファールのチャンスを生む、という局面があるわけですな。

ちょっとした技量差、チーム完成度の差、これらによって、山雅がファールで削られる傾向にあるのなら、フリーキックを工夫し、高めましょう。

これは、ロングスロウや、コーナーキックにも同じことが言えて、

要は、自分たちが時間をリセットすることで、ゲームの主人公になれればよい。

では。

ホームの…(2023.10.28相模原戦レビュウ❶)

バックスタンド、ちょうど自陣のペナルティーエリア真横あたりから観戦した……、というのは、もちろんジョーク。

両者のチームカラーが緑、ということもあって、

ジャック、なんて物騒な言葉などなくとも、

すんなりと、かつ、あたり前に、

スタジアムを第2のアルウィンにしてしまった山雅ファンサポーターに、まづは、ありがとう。

アウェイ側は、1,800人だったらしい。

ただただ山雅を勝たせたい、それを心の支えにして、時間と空間を楽しんでいる、そういった理屈ぬきの単純さ。

― それがアウェイ参戦のすがすがしさの理由でしょうか。

もちろん、感謝とねぎらいは、

2 – 0 で勝利できた満足感が言わせているんですが、

今回の遠征には、けっこう良き事も多かったので、ちと触れておきましょう。

❶スタジアムDJ (就任2季目)が、まことにアウェイ観客に配慮できるお方。

2009年天皇杯vs浦和戦をアルウィンで観戦した、といった個人的なエピソードを織り交ぜながら歓迎していただき、

山雅サポーターへの業務連絡、と称して、アウェイチーム紹介の予定時刻を教示して、ご準備をお願いします、といったご配慮。

こういうココロの広さ、深さ、丁寧さは、見習いたいものだ。

こういうのは、サガミスタが創り出しているところの、

ギオンスタジアムの安穏、平静な雰囲気によるところが大きい、と思いたい。
(ホメている)

❷ゲーム後のゴール裏挨拶の中、ファンサポーターが、藤谷 壮を、祝福したこと。

この日、右サイドでは、村越とギクシャクしたシーンも見受けられたんだが、攻守でやり切るプレイの安定感は、あいかわらず。

僕の後ろで観戦していた女性が、
― どうして、藤谷?、と言うので、
― あぁ、あれは、今日が藤谷の誕生日だからでしょう、とお教えしたら、
僕が#48のゲーフラを掲げていたこともあって、
― 藤谷のお父さん?、とか(冗談に)言われてしまうが、まぁ、いいか。

❸帰宅して、DAZNでハイライト映像だけ確めたら、

実況が、フェアな姿勢と、もの言いに配慮ある、懐かしの平畠 啓史さま、なのだった。

レビュウの❷は、見逃しの全編を観返してから、書きます。

では。

通用するか?,やり遂げるだけ (SC相模原戦プレビュウ)

ほとんどが学卒ばかりのプレイヤーを加入させ、チームを一新する編成。

そこに、かなり沈着な理論派青年監督をすえて、新装スタートした今季のSC相模原。

夏の移籍で瀬沼、岩上と、ヴェテランの経験値を導入した。

前節は、首位の愛媛と戦って、

1 – 2 と負けはしたが、拮抗したゲームをしているようだ。(現在19位)

勝敗などどっちに転ぶかわからん、あやうさ、もろさ。

それが、いまの 3部リーグ。

だから、山雅からすれば、

まったく同じ地平、水準に在る身として立ち向かう、これが大々前提。

敢えて、こっちが有利な点を捜すとしたら、

❶瀬沼、岩上は (先発ならば) 70分間くらいの稼働体制であることと、

❷たとえば、スローインは、4割近くが相手に渡ってしまうような〈甘さ〉

そういったところを、衝けることだろうか。

とにかく、簡単じゃあない。

…… 沼津戦終了直後。

古参サポーターの京子さんから家人へのメールで、

― (敗戦を受けてだろう) 霜田さんのサッカーはもはや古く、このリーグでは通用しない。

― なら、どこが古くて、どこが通用しないのを、具体的に教えてもらってよ、とお願いしたら、

― 彼女にもわかっていやしないわ、周りのお仲間が言うことの受け売りよ。

……その是非はともかく。

霜田サッカーの根本姿勢のひとつは、引き分けを良しとしないところ。

ゲーム終了まで攻め続けるから、
最後のほうでの得点も多いけれど、同じように、終盤における失点も、また多い。

引き分け数 7つは、リーグ同率で、少ないほうから、3位。

もしもですよ。

被逆転や、被追加点で落としたゲームを、4つでも引分けにできていたら、

勝ち点50で、いまごろは 4位ですから(もちろん捕らぬ狸のなんとかです)。

イチかバチかのギャンブル的な勝負は避け、

自分らのあるべき姿が、どんな相手や状況であっても発揮されるように、

ゲームとボールを握るスタイルに、チームを創り上げたいのだろう。

たとえば、最近のピッチ内練習は……、

前線の4人で、ボールを渡し受けあって、そこから撃つシュート、

ディフェンスラインは、ボランチと控えを含めての守備の確認、

それから、両サイドバックからのクロス投入に反応した、シュートの打ち込み

……と、かなり実戦的になって、ゲーム直結志向になっているのは、好ましい。

霜田さんが言う、もっと強くなる、とは、

そういうことを積み上げて、相手を圧倒するほどにスタイルをやり遂げて勝つこと、と思う。

今は、そのサッカーを支持せずして、 One Sou1 とは言えまい。

恵まれて現地参戦します。

それぞれが別チームになっていますが、

なぜか、2021季をやり直す、そんな気分が抜けませぬ。

では。

愛鷹で, それぞれの秋 (沼津戦レビュウおしまい)

シュート数は2倍近く、クロスは、相手の 3倍投入したところで、

スタイルの徹底度と習熟度において、完敗。

それも、今季いちばんの力量差を目の当たりにしたために、レビュウがだらだらとなるのか。

本人にもわかりませぬが、これでお終いにします。

……ゲーム後のファンサポーターへの挨拶。

常田が、他の選手がつくる列よりも、ただひとり前方に立っていた。

まるで、敗戦の誹りを俺にぶつけてくれ、それを受けるから、とでも言うように。

家人は、それを、― ポーズよポーズ。

けんもほろろにあしらうんだが、

やはりなんらかの決心が、彼にはあったほず、と思いたい。

藤谷は、長々と頭を下げたあと、まるで、拝むように両手をあわせ申し訳なさそうに、また二度三度と会釈。

最後方からは、山口が、キッと前を見すえ、憮然と引き揚げて行った。

行く我れに とどまる汝れに 秋ふたつ  (正岡 子規)

そんな句が想い出されたが、感傷は棄てて、前に進め。

では。