強みにこだわれ。(福岡戦プレビュウ)

昨日、知り合いからメールが入りまして。

残暑見舞いへの返礼に添えて、
―惨憺たる山雅の戦いぶりに、あなたに声をかけるのも憚れる日々でした、とあった。

組織が成績不振に陥った時のいちばんの危険は、目標設定への疑念と、内部にギスギスしたものが生じることだろう。

失点につながったチームとしての不足は具体的に修正するとして、めざす〈完成形〉(=ベンチマーク)と試行内容に疑念を差し挟む必要はまったくない、と思う

現実的に、目標においてブレている余裕も許されないシーズンなのだから。

人は、強みによって報酬を得る。それゆえ、真っ先に〈われわれの秀でた強みとは何か?〉を問うべきだ。(P. F.ドラッカー)

山雅流に置き換えれば、着目して最大化しようとする個とチームの卓越点を、もっと強化すること。


で、今節の対アビスパ戦であれば要点は……、
❶ボール保持では凌駕できる、つまり福岡は当方に持たせるだろうから、攻撃面に特化してゲームを進める。
前を向く時間の最大化です。

❷3 – 4 – 2 – 1 を採るにせよ、実質的には、3 – 1 – 3 – 3くらいまで前がかりで。
これだと、アンカー周辺とサイドバック両端のスペースをヤラれそうだが、陣形を間延びさせず、先手先手でボールを動かす、これを追究する。

❸サイドをえぐってクロス。
これをゲーム中、何回繰り返せるか。
クロスが入って来る時の人数の揃え方、こぼれたボールを回収すべく後列の位置取り、これに集中しよう。

❹対し、福岡はボールを手にしたら、山雅プレイヤーの頭越しにボールを入れ、ディフェンスを背走させる局面を多く作り出そうとするだろう。

なによりも中途半端、あるいは弱気なパスは禁物。
そのためには、ボールを持っていないプレイヤーが速く動いてパスコースを作る。

前節の対ヴェルディ戦(1 – 3)を観て、馴染みのプレイヤーは、城後、鈴木、輪湖くらいであった。
屈強な4バックの他には、これといって強烈な印象は残らない。
連戦用に選択したメンツであった可能性も高いが、〈剛性〉を注入したチームづくりのようだ。

今節の注目は、前 貴之。
アウグストとの連携で右サイドを攻略するのを想像している。
その分、鈴木 雄斗は中央寄りでプレイしてもらいたいなぁ。

で、前君の兄貴は、アビスパに在籍しているんですね。

では、〈どうやっても静かな〉アルウィンで。

ベンチマーク をいまだ創れず (2020.8.12 千葉戦レビュウ)

 

―あぁ、山雅からは、今日も元気をもらえそうにないか……。

0 – 3 になった(68分)あたりで、家人が呟いた。

開始8分に先制すると早くも、千葉は攻撃の手を緩め、加点するとその守備的な姿勢はいっそう強まった。
退いて守り、カウンターで得点できればオーライで、あとは時間を確実に進ませるのみ。
こういう場面で工藤ちゃんが投入されるとは、なかなかしたたかな戦術。

今季千葉の最大テーマは、こういった規律を内面化することなんだろう、きっと。

〈今季のベンチマークにできた、この試合〉
現在の取り組みを完成させる、という見地に立てば、〈最適解〉を見い出すにはもって来いの、ゲームだったはず。

ボール保持60%強の側にまわるところまではクオリティを上げて来たのだから、その状況でスコアを動かすには手ごろな戦況なわけ。

つまり、ベンチマーク(ひとつの完成形)を創るチャンスだったのだ。

今、チームがみずからに課している与件は明白になっていて……、

先発フィールドプレイヤ10人の平均年齢(公式サイトより)は、25.5歳
連戦乗り切り策もあるだろうが、若手登用をかなり意識した、3 – 4 – 2 – 1 を採用。
スリーバックがすべてレンタル組というのも凄まじいが、これをテコにしてDF陣内の競争をもっと熾烈化させるべき。

❷上に書いたように、相手が守備に回れば、60%強のボール保持ができる地点まではたどりついた。
やはり、逡巡ないパスまわしと、サイドへの展開がその武器になる。
それが発動されるのは、個の技量によるボール奪取から距離感の良い連携が必須。
中盤より後方では、それなりの熟度を感じるまでになったが、プレビュウで書いたように、単なる外縁でボールを動かしたところで、堅固な陣形は崩せない。
さらに、中盤より下からのボールの持ち出しにも、いまだ不足な昨夜だった。

外国籍プレイヤーの活用にメドがたったこと
ゲーム勘とフィットネスを見究めつつだろうが、トライアルをより強く進めよう。
ただし、アウグストは右サイド、イズマはシャドウ的に運用したほうが、攻撃に厚みが増す、と思う。
センターフォワードはやはり、阪野、鈴木、服部ではあるまいか。

中盤(ボランチ)の組み合わせが豊富になったこと
塚川が投入されてから、チームはかなり攻撃的な容貌を増した。

さらに、米原は基底からの正確なパス供給に加え、長身を活かすべくペナルティエリアへの侵入を何度か試みている。これを続けるべき。

いかなる組み合わせでも、あるいは、アンカーとして一人を配するにせよ、ボランチの駆け上がりと攻撃参加が無いと、得点力は上がらない。

サイドの構成をどう組み立てるか
このポジションもかなりのタレントを試してきた。
そのミッションを、深い位置からのクロス供給の回数、と単純化して良いのではないか。
それに、カットインでシュート!、を上乗せするべきでしょう。

#10セルジ―ニョを どうフューチャーするのか?
ボールが出て来ないと我慢できず、みづからが後ろに下がってボールを前に運ぼうとするプレイが目立った今節。
そこから誰かに一度、二度預けてから、再度高い位置でもらいたいのだろう。

としたら、セルジ―ニョからの受け手、彼への出し手、との連携を深めないと、どうしたって、独りてんてこ舞いで、攻撃がノッキングする。

波長を合わせられるメンツが、サイドを併用しながら、しかも、中央寄りに何枚か入って来ないと、相手の守備網に穴は開かない。―喫緊のテーマだ。

以上、支持し、完遂を期待し、かつ個人的に注文をつけたい項目を挙げておく。

とは言いながらも、息子の言葉にも傾聴すべきだろう。

―増島の2点目。
フリーキックからヘディングでやられたシーンをみて、対セットプレイの練習やってないの?、って思うわ。
結果が出ていない(失点した)んだから、プロとしてだめでしょう。失望です。

ごもっとも、なことで。

では。

J3は 必見です。


トップリーグは不思議と観る気になれないけれど、それに反し、J3のゲームは観ていて、これが面白い。
(実況のみのDAZN中継は、いただけません)

特段どこのチームが、というよりも、元山雅戦士はどうしてるか?、といった興味から画面を合わせることが多いかな。

すると、トップリーグやJ2で実績を積んだプレイヤーが、けっこうピッチで確認できる。
さらに、J1チームからゲーム出場を期してレンタル移籍している若手も多い。

ということは、J2に比して、ゲーム進行にあって、よりトップリーグの自由闊達な雰囲気に近いものを感じることとなる。

J2ほどに堅くはなく、もっとやりたい放題な印象、といったら良いのか?

職場のヤナさんは、福島ユナイテッドのイスマイラ(ナイジェリア出身)を強く推している。
8/9 対讃岐戦のハットトリックは、たしかに見ごたえがあった。
このまま好調を維持すれば、かならず上位リーグからお声がかかるのは確実。

土つかずの9連勝の秋田を引っ張る中村 亮太も良いが、萬年的に気になるのは、やはり高崎 寛之か。
現時点で3ゴールは、チームのトップスコアラー。

さらに、FC岐阜では、2得点の中島 賢星にも注目。
誕生日が来ると 24歳。Fマリノスから移って、今年で4年目。
攻撃的なボランチとして成長してもらいたい、と思う。

中島は180㎝、米原 秀亮 (22歳)が、184㎝か。
山雅にそのうち、大型ダブルボランチが売りの時代が来たっていいじゃあないか。

では。

オーソドックスを乱せ (千葉戦プレビュウ)


〈安穏と暮らすべからず〉

思えば、萬年ブログの初回(2013年)は、持てる者(含む:フクアリ) JEF千葉について綴ったものだった。

金額的に頭打ちとは言え、リーグでは常にトップクラスのクラブ予算。
豪華なプレイヤー陣容を誇りつつも、J2で戦うこと 今季で11年。

―言葉は悪いが、これって、ほとんど犯罪の所業、ではあるまいか。

なぜ、ここまで言うか?

かなりの贔屓目だが、トップチームの顔ぶれをみる限り、山雅が今季昇格に手が届かなかったとすれば、これもやはり、犯罪モノであろう、という思いがあるからに違いない。

千葉とまみえるについては、変なプライドは無用なれど、そのくらいの切実感を持たないといけない。(精神論と決めつけられませんよ)


〈ヒール を演ぜよ〉
8/10 対町田戦は、千葉が前半に2得点、そのまま 2 – 0 で勝利した。
その後半を、20分ばかり観てみる。
優位に立った千葉があまり突っ込まないサッカーを展開したので、シーソー的に攻守が入れ替わる内容だった。

4 – 4 – 2 の布陣。
前へ前へと手早くボールを動かすサッカーを展開する千葉だ。
ロングボールをいとわず、その跳ね返りを奪取しようと狙う。
守備の時は、ラインを忠実に形成、攻撃に転ずると、ワイドに位置した両サイドハーフ(左 船山、右 米倉)が果敢に突っ込んっで来る。
―ざっくり言えば、オーソドックスで〈剛〉のサッカー。

最近の傾向からすると、対する山雅は 3バックで来るか。
最終ラインの左右を使われるリスクを敢えて引き受け、そこから反転攻撃ってのも面白い。
その際、ロングボールを相手に渡さない工夫が必要だろう。
DFが落として、誰が拾うかだが、千葉は前を向いたインサイドハーフ(=ボランチ)が出てくるだろうから、そのふたりに競り勝つことが肝要。

となると、ポイントは、当方のボランチが相手ボランチの働きをつぶせるかどうか。
そのためには、こちらのボランチが前を向いてボールを握る時間と機会をできるだけ多くしたいが、これは、できるだけ押し込んだ体勢を保持できるかにかかっている。

3トップくらいにして前に重心をかけ、ビックスイッチを織り交ぜて、千葉のラインを左右に振って崩す。

高橋 諒の復帰、前 貴之の加入という好材料があれば、ここはメドがたつのではないか。

とにかく、守備陣形の外縁をなぞるだけではダメで、要は、相手と同様なことを、それを上回る熱心さでおこなう。

正統的な千葉サッカーを、剛といやらしさで凌駕して勝機をたぐり寄せるのみ。

では。

光の射した 4連敗 (2020.8.8 磐田戦レビュウ)

Jリーグの順位表。
●が4つも並ぶのはうちだけ。
愉快ではない。
けれど、心中には希望の陽が射し込んでいて、それほど落胆もないのが真情。

そんな朝。

公式ページには、怒りを持って過去を振り返るな(英語で)……か。

おぉ、ファンの心情を読み取ろうとしているのか、山雅の中の方々は。

〈納得のゲーム展開〉
1 – 2 の逆転負け。

あまりにも画に描いたようなあっけらかんの得失点のありさまだった。

得点➩高橋 諒からのクロスのタイミングが絶妙。
つまりスイッチを素早く入れた分、磐田ディフェンスが準備できないまま鈴木 雄斗をまったくフリーにしてしまった。

失点➩2点ともミスから。
1点目、大森 晃太郎がカットインして入ってきたらシュートは目に見えている。明らかにディフェンダー(大野)の寄せ不足。
3人が立ちはだかれば、大森はその頭上を狙い打つのだから、ここで体勢を低くした村山 智彦の準備もミスに限りなく近い、と思う。身体を伸ばしていたらパンチングできたよ。

2点目、山雅最終ライン(大野)からの藤田 息吹へのパスがずれ、それを拾った大森に、大野が交わされたことが起点。


磐田は、ロングボールや、縦パスをサイドへ通して来た。
そのボール保持率は60%強。
2失点は、大森の1ゴールに1アシスト(小川へのパス)だったので、結果的に要注意人物にヤラれたわけだ。

なんだよ、萬年式プレビュウをそのままなぞるようなゲーム展開。
嬉しいやら悲しいやら。
けれど、反省点はあまりに明快過ぎて、むしろサバサバしまうわけです。

〈光明にフォーカスせよ〉
後半カードが切られるにつれ、ゲームの流れをグッと引き寄せた感ありあり。

アウグスト、イズマが存在感を、前 貴之は突破の鋭さを、米原 秀亮は気の利いたパス配給で魅せる。
常田 克人も復帰、DFが安定する。

前線が強化されると、DF陣の負担も軽減されるから、ボールの動かしが有機的になり、それが攻撃をさらに厚くした。

対し、磐田の攻撃は見事過ぎるほどに無言化。(省エネルギーの勝利へと舵を切ったのかも知れないが)

終わってみれば、シュートは相手の倍以上を打ったのではないか。

特定の主力級の不在への不満も消し飛ぶ攻撃は、得点こそなかったがその予感に十分だった。
ただし、アウグストは当初から左サイド右サイドで使うほうが活きる、と思います。
久保田 和音や鈴木 雄斗は、ほぼフル出場でお疲れさん。ここは、そろそろケアを要する。

さて、ここから5連戦。
ここから反攻。

たしかに怒りで後ろをみている余裕もありはしない。

では。