ひたすら胸をかりる (鹿児島United戦プレビュウ❶)

萬年式予想によれば、今季3部リーグ最強のライバルは、鹿児島ユナイテッド。

だから、ホーム開幕戦が、そこと当たり、しかも、天候が雨予想、とはなんとも因果な(=不幸な) お話なんであります。

2014年、J加盟をめざし、鹿児島県に在った2つのチームが合体して、船出。

それが2019シーズンには既に、この統合クラブは、2部リーグ初年度を戦っていた。
残念ながら、1年で降格の憂き目をみたのだが、それでも勝ち点は 40(11勝)。

たった7勝しか挙げられず、勝ち点34だったチームが、どうして、先輩風など吹かせられようか。

要は、これだけの急成長株には、みづからの立ち位置を勘違いしないで謙虚な気持ちで立ち向かえ、ということです。

とはいっても、当方も今季それなりの流儀で、過去2戦、キラリと光る戦いを魅せているのも、確か。

特に、前節の、対Ys横浜戦。
ボールを、(僕の期待に反して) 60%も握られ、

かつ、ペナルティエリアには、ほぼ倍の回数を侵入され、

コーナーキックはこちらの3倍で11本、クロスは 16本入れられながらも、

ゲーム総体としては、6割がたを制したという、実に粘り強い姿を披露してみせた。

特に後半、割り切ったサッカーに徹し、それを完遂できるようになったところに、チームとしての成長を読み取る。

僕は、感じる。

好調であるならば、誰にでもレギュラーポジションが与えられる風通しの良さ、や、雰囲気を。

だから、ルーキーたちが物怖じすることなく、自分の強みを発揮する。

ゆえに、今節のテーマは、執着心と清新さで、経験豊かな薩摩隼人の胸をかりる。

これで、決まり。

では、プレビュウ❷に続きます。

過度な欲求の 可笑しさ (2022.3.20 Ys横浜戦レビュウ❷)

もうずっと昔、
― 最高のファンサーヴィスは、勝つことだよ。
……と、看破してみせたのは、落合 博満。

今こそ、そのことを実感なさっているのではありませんか?、山雅ファン&サポーター諸氏よ。

❶良い部分を、もっと見よう
3部リーグの他チームに対して、我ら山雅は、フィジカルとテクニックのところでは幾分かは優る。

とは言え、無双、と言えるような圧倒的なチーム力は無いのだから、第2節対Ys横浜戦は、今の、ベストに近いゲームだったように、僕は思っている。

ゲーム入りの数分と、前半30分台は明らかに、Ys横浜がゲームを握っていた。

が、上に書いたような事情からすれば、主導権がシーソーのように互いを行ったり来たりするのが、サッカーというもの。

たしかに、ボールを縦に通しておいて、即、横に入ってくるプレイヤーにボールを渡すYs横浜の攻撃には、かなり手こずった。

が、追走ばかりの守備シーンはなかったし、1対1で執拗にボールを絡めとろうとする執着心は、ゲームを通して衰えなかった。

正面から行って捕まえきれずに、横のスペースへとずいぶん交わされましたけれど、僕はむしろ、自分流の戦法に奉じた Ys横浜イレブンをホメたいですね。

ビクトルの再三のファインセーヴに助けられたとは言え、その前でコースを窮屈にしていたり、ブロックを惜しむこともなし。

あと、失点シーンは、そのビクトルがボールを後逸してしまったため、後方でディファンスの態勢が崩れてしまったところを、ヘディングで被せられたもの。

たしかにミスなんだが、無為の失点でもないのだから、改善を期す、ぐらいでいいんじゃあないか?

欲を言えばキリがなく、新たなサッカースタイルの構築を続けるチームをポジティブに見守るのが肝要だと考えます。

とにかく、今節で、特筆すべきことは、

監督コーチの指示があったにせよ、(おそらく前半の反省とパス多用の相手のやり方から) 4 – 4 – 2 の陣形を、縦横にできるだけリジッドに保持しておいて、相手のボランチに空いたスペースを使わせないような守備に、後半は徹底したこと。

横山 歩夢が不用意に相手のセンターバックを深く追いかけようとすると、すかさずパウリ―ニョからポジションを修正(連動性のこと)するように指示が飛んでいましたから。

守備から攻撃への反転を、自動化させるような構え、というべきでしょうか。

❷守備と攻撃の一体化にこそ注目を
2得点とも、素晴らしいクロスからの得点でありましたが、もともとの起点は、相手ボールを奪取したところから。

特に、2点目(by 小松 蓮)は、ボールを奪った菊井 悠介が、かなり低い位置から小松に通した鋭いパスから始まった、流れるような連動だった。

彼、ボランチでやっていけるんじゃあないか?、と思わせるプレイでしたが、奪って即前へ、というのが、合言葉なんでしょう。

2戦連続先発を獲った米原 秀亮もそこのところは意識していて、随所に攻撃を考えたプレイでしたし、コーナーキック時の守備では高身長を活かしている。
このゲーム、影のMVP推しです。

❸緻密さを織り込んだセットプレイ
後半、ゴールへ向かって、右45°付近からフリーキックが2本あり、両方、佐藤 和弘がキッカーだった。
初回のやつは、ファーに構えた常田 克人めがけて入れて、中へ折り返す策。

で、2回目はですね、蹴る前にわざわざ常田を呼んで、なにかを耳打ちする。
あぁ、なにかのフェイクなんだろう、と思っていたら、案の定。
相手の守備ラインとゴールキーパーの中間に鋭いボールが、蹴り込まれた。
全員がゴールに雪崩れ込む格好のやり方。

あるいは、コーナーキックでは、佐藤から外山 凌へと短く出しておいて、外山が、中央へ走り込んで来る米原に送り、ぺナ外縁から打たす、とか。

要は、細部の仕込みにまで工夫がされてきている、そういうチームの状態を評価したいのであります。

では。

謙虚に 胸を張れ (2022.3.20 Ys横浜戦レビュウ❶)

2 – 1 の勝利。

職場のヴァン氏には、
― フツーにやれば(地力差からいって)  3 – 0 でしょう。
けれど、サッカーはミスもあるし、ひょんなPKも取られるんで、さぁ、どうでしょう?

……、などと不遜な予告をしてあったのですが、それなりの結果なので、メンツも立った、という次第。

マリノスが在って、横浜FCが在って、その同じ街で、Jクラブとして存在すること、これはまぁ、なんと難しい仕事か、とずっと思いながらの観戦でありました。

昨日の入場者数が、1,900人ちょっと。

うち、アウェイの山雅ファン&サポーターが、およそ 1,500人ならば、ホーム側は 400人のご参集であったということ。

それならば、バックスタンドを開放した日には、手数ばかりが増えて非生産的でありましょうし。

ピッチに散水が行なわれなかったのも、結局は、運営上の限界なんでしょう。

かように、3部でやる、ということの現実がだんだんと露わになれば、勝ち切っていくためにも、それに順応しなくてはならないものの、その生活に馴らされてしまってもいけないなぁ、とファンのひとりとして感じております。

要は、これくらいか、という気持ちは一切棄てて、全力応援をやり遂げる。

これが僕らにできる、ブレちゃあいけない原点、ってこと。

さて、ゲーム内容に関するたわごとは、レビュウ❷に続きます。

では。

際立つスタイルで勝て (Yscc横浜戦プレビュウ)

懐かしの三ツ沢グランドへは、さて、何年ぶりのことだろうなぁ?

横浜駅からバスに乗り、公園前で降りると、あのダラダラ坂を下ってスタジアムに向かうだろう。

前回の讃岐戦同様に、対戦相手のことは何も知らないけれど、讃岐戦で魅せてくれた、チーム山雅採用の、特徴的なスタイルがそのまま踏襲されるだろう、くらいを予想しながら、横浜に向かおう。

❶終わってみれば、ボール保持が 60%を超えるくらいに、自分たちからアクションを起こし続ける。

❷相手からの粗暴なタックルによる怪我を避けるべく、ボール離れを素早くし、前方へ前方へと、ロングなボールを厭わずに蹴り込む。
前線でボールを収めるか、あるいは、跳ね返しセカンドを確実に拾って、中央から、または、ゴール角度45°あたりから、ペナルティエリアへと侵入。

❸4 – 4 – 2 の強みを活かし、左右サイドが高く上がり、そこを起点にクロス、っていうのを、20回はやらなくちゃあ。

❹システムは、ゲームの中で変えていくんでしょうが、ボランチが、基底に落ちたり、時間帯によっては、高くシャドウの位置にまで顔を出して攻撃参加をする、前節の、米原 秀亮がみせたようなプレイが、今節もあるんだろうか?

❺セットプレイ(特にコーナーキック)は、かなり工夫されている。
横山 歩夢のゴールは、常田 克人が後方へフリックすることが織り込んであったことによる奏功。
外山 凌の逆転ボレー弾は、はじめからファーの彼を狙ったボール。
これだけ工夫するということは、相手による工夫も研究してあるはず、とみます。

❻というのは、Ys横浜にしてみれば、チャンスは、カウンター攻撃とセットプレイのどちらかになろうから、まづい位置でのファールは禁物ということ。

❼競う才能のうち、先発、ベンチ入りは誰々と気にはなりますが、中盤から前のプレイヤーが豊富になったことで、割りを喰っているのが、実は、ディフェンダー陣。
ゆえに、その競争激化を願いつつ、好調なタレント出場を望むだけ。

……、そんなことを考えながらの参戦です。

では。

悔しいから,讃岐戦でそっとメモる。

家人からは、
― あなた、ベタほめね、#15 の彼。

とか、まるで、僕一個人の好みであるような、言われ方。

なので、それはないだろう、ということで、今一度、書きとめておく。

菊井 悠介が、他クラブの強化担当の目につかないように、そうっと。

しかし、他から声がかからなかったとしたらなんとも不思議、というか、山雅よく獲りましたよ。

後半から登場、山本龍平の後を襲うように、右サイドに配されるように投入された。

けれど、実際はもっと広く、2列目(シャドウの位置)で、ピッチ幅のほぼいっぱいでプレイしている。
どこにでも顔を出して、攻守の起点となる、という塩梅。

自分でも(シュートを)打てて、他者にも打たせる、という局面で決定的な仕事ができる。

シュートの、その直前に、彼が絡む。

つまり、このミッションこそ、背番号#10、ファンタジスタのものでありましょう。

再三、右サイドからアーリー気味なクロスを入れてくる。

49分、ルカオからの横パスを受けて、ペナルティエリア外縁付近から、自らシュート。(惜しくも枠外)

52分、横山にパスを通して、シュートをお膳立て。

78分、左方向から、佐藤 和弘とのワンツーを演出、ペナルティエリアに突っこんでいく佐藤に、ちょこんと浮かしたパスを供給、シュートチャンスを与える。

79分、中央をドリブルで持ち上がると、ためておいてから、左45度から駆け上がてきた榎本 樹にそれはそれは、優しいパスを出して、シュートを打たす。(そのシュートはキーパー正面を衝く)

93分、コーナーキッカーとして、外山 凌を狙い、ゴールから離れていくボールを蹴り込み、逆転弾となったボレーシュートを導く。

もともと、このコーナーキックは、ぺナへ侵入を試みた稲福 卓あて、菊井が出したスルーパスから獲たもの。

……、とまぁ、めだったところを挙げてみたんだが、こういうプレイを、臆することなく、軽快に活き活きとこなす、そういう身のこなしが印象的なんです。

役割などに指示は当然あるんでしょうが、23歳前後の世代が、遠慮なく自分の強みでチームの一員として躍動する。

そういった姿を魅せた山雅に、このチームの持続的なウオッチャーであれば、新しい息吹を感じたはず。

ここ2年あまりの鬱屈に、なにか、新鮮な光が射しこんでくる、そんな風に。

攻撃の担い手として、小松 蓮、榎本、米原 秀亮、菊井、山本、横山 歩夢、これに、村越 凱旋らが絡んでくる。

と、強い期待感がこみ上げてはくるものの、今季でこのリーグから足を洗わないければ、きっと逸材の多くを失ってしまうだろうな、と手放しでは喜べない、そんな奇妙な心持ちです。

では。