口からでるもの。

新約聖書には、こうある。

― 口に入るのものは人を汚さず、されど口より出づるものは、これ人を汚すなり。(マタイ伝 15:11)

口から摂った食物は、やがて排泄されてしまっておわり。

けれど、心に在る思いは言葉になって口から表れ、それがやがて、殺人、淫行、盗み、嘘、誹謗となって人を汚す。

たしかに、そうだ。

何を、どうやって食するか?、ってことに囚われずに生きていきたい、と思う。

……、と格好をつけているんだが、

たかが小松の牛乳パンを食べるのに、今や、いちいち予約しなきゃあならないのかよ、と毒づきつつ車を運転していたら、目の前を、そのお店の看板をつけたバンが横切って行った。

きっと、昨日、
― お前、口から出るその誹謗中傷に注意しなさい、と神様が教えてくれたんだろう。

では。

戦争と平和、と言うけれど『パリス、テキサス』

〈戦争〉の反対語として、〈平和〉が在る思考態度。

80年くらい前の4年間で、あれだけ徹底的に粉砕され、武装解除された記憶があれば、仕方がなかったかも知れないが、

要は、平和を語る際には、対極として戦争というものが必ず持ち出されてくる現象が、そろそろ不思議に思われてもいいんじゃあないか?

戦争が無ければ平和、というのも、ひどく乱暴な話でしてね。

戦争の反対語は、せいぜい、〈和平〉、すなわち、戦争を終わらせるための行動、に過ぎない、というのが今日の主張です。

『パリス、テキサス』(監督 ヴィム ヴェンダース)は、1984製作の 仏独合作映画。

題名は、テキサス州にある街パリス、に由来するので、パリス、と英語読みするのが適切。
ただし、日本では、もっぱら〈パリ、テキサス〉で通る。

或る家族の離散と、再会、そして……、を描く旅物語。

僕にとっては、作品そのもの、脚本(サム シェパード)、演出、撮影、音楽(ライ クーダー)、役者(ハリー ディーン スタントンら) のすべてが良く出来た映画。

こういう主題に触れてこそ、(あえて格好をつければ) 平和、なんてものを考えさせられる。

作品の冒頭、クレジットの文字が、鮮やかな赤であるところなんか、フランス映画の匂いがして、実に美しい。

では。

来年の花を。

明日、あるいは一瞬後には、生死もわからないのが、生き物のさが。

でも、頭の中では、自分の終末はなんとなく先に延ばして、来夏の花を準備している。

ひとつ。

素晴らしいブルーの朝顔が咲き誇っているお宅に気がついた。

晩秋の来る前にでも、タネをわけていただきに参りたい、などと思案中。

そうやって、4種類の朝顔を庭に咲かせてみよう。

ついては、配置や採光、見せかたのバランスを念入りに考えなくっちゃ。

ふたつ。

マリーゴールドが、次々と枯れ初めている。

種子(子孫) を残す大仕事を終えたのだ。

そこからタネを採って、どう保存しておいて、春にどうやって播こうか?

(マリーゴールドは、野菜につく害虫の忌避植物として植えてるんですが、本当に効いているのか、実はわからないまま)

では。

字数制限か 生存か。

季節の憶え ☞  9/28、庭の金木犀が開花した。

その同じ日、唐沢集落の『根橋屋』で、ざる蕎麦を頬張っていたら、

―  400字でしょうね!!   せいぜい。

と引導を渡されたのです。

目の前で、エビ天を食す家人から。

とにかく、短く平明を旨とすれば、もっと多くの読者を獲得できます!!、とご自分をスタンダードに見なして、譲らない。

―  いやね、サッカー戦術を語ればどうしても長くなるし、そもそも読んでくれる方に読んでもらえば本望なのよ、僕は、と抗弁してみたんだが。

ロシアの男ならば、青くなって国から逃亡すれば、軍への召集を回避できるやも知れないけれど、僕の場合、強い勧告への違背は餓死を意味する、つまりは、生存があやしくなるという境遇。

あの『天声人語』が 600字、『編集手帳』でさえ 460字なんですよ、と新聞のコラム字数を引っ張りだしたところで、なんの足しにもなりはしまい。

では。

(以上、400字です)

漱石先生の 秋。

夏目 漱石 (1867~ 1916年) は、俳人としても一流だった。

小説家として名を挙げるもっと前から、秀句を多く詠んでいて、俳壇的にも、それなりの地位を得ていたらしい。

明治32(1899)年。

漱石 32歳。

第五高等学校(後の熊本大学)の英語教師として、熊本に赴任して 3年が過ぎる(最後の年)。

妻帯して、やはり3年目だったが、家庭生活には不穏な暗い影が落ちつつあった。

 

阿蘇山あたりに遊んだ時の句と思われるものを、いくつか拾う。

灰に濡れて  立つや薄と  萩の中

行けど萩 行けど薄の 原広し

野菊一輪 手帳の中に 挟みけり

 

変わり映えもしないまま、さつまいもは何時収穫したらいいんだろう? と思案しては、こんな曲を聴いているのが、萬年の秋。

では。