助手席に、小学一年生を乗せて、交差点で停まっていた。
気がついたなら、声をあげるだろうかな?、と思っていると、
案の定。
― わーっ、いまのなんての?
国道から右折して、僕らの脇を通過していってのは、
パブリカ(800)。(1961~1988年間に製造された)
― あれは、トヨタの旧い車。パプリカじゃあないよ、パブリカね、と念を押す。
この子は、旧車には、それはそれは、深いあこがれを持っている。
かつてのミニクーパー (ミスタービーンが愛用した版)が、お気に入り。
この趣味は、おそらく、父親によるなにげない薫陶によるものだろう。
いまのミニは、どこがミニだよっ!、と言いたくなるほどに大きくなってしまったから、
可愛げがないためか、あまり高く評価していない様子。
― 新しいのは、〈地味〉なんだよ、とおっしゃる。
快適、安全性の観点からだろう、世の中の車全般が大型化しているが、
持続可能社会、とか言いながら、これって、どうなんだ?
といっても、この思想、俺たち人類が続けばいい、といった身勝手な欲求にもとづくことだし、
人間が滅びたところで、しゃあないじゃん派の僕にとっては、まぁ、どうだっていいが。
今日の日本車だと、
彼の好みに引っかかってくるのは、ホンダ車の、一部らしい。
で、先日、その子が、トミカの、トヨタ2000GT(おそらく前期版)を、
― しばらく貸しておくね、といって置いていったんだけれど、
はて、2000GTのボディラインとは、こんなんだったっけ?
自分にとって、雲の上、かつ、遠い人づての過去の、馴染みのない旧車については、そんなものです。
では。