なぜラブソングか? 『Unchained melody』

この曲、1955年に公開された映画『Unchained』(米国)のテーマソングとして作られた。

これ、刑務所を舞台にした作品。
そこから逃走して、家族との再会を果たそうとする主人公を描く。

unchained、とは解き放たれる、といった意味。
監獄につながれる囚人であることからの命名だろう。

ただ、歌詞は、長年孤独であったために会えなかった恋人への思いを綴る内容だ。
ちょっと意味不明の題名と、その生い立ちからか、気の効いた日本題がひねり出されず、ここまで来ているようです。

そしてもはや、映画はほとんど忘れ去られて、主題歌が独立して世に残る。

1965年に、ライチャス ブラザーズが取り上げて、再ヒットさせている(プロデュースはフィルスペクター)。

ちょうど、松本城下で、かの喫茶店たむろの蹴球クラブが結成された年ですな。

20世紀においてもっともカヴァーされた曲のひとつらしい。

ウエディングパーティの定番ソングのような趣きがあるが、あと4年は、著作権で稼げる模様。

今回は、サム クックのヴァージョンで。

では。

緩急つけてサボらずに (新潟戦プレビュウ)


*エンブレムの中心、これサッカーボールのシルエット、とはじめて気づく。

アルビレックスとの対戦成績はここまで、2勝1分4敗。(リーグ戦、ルヴァン杯のみ)

勝ったり引分けに持ち込めるようになったのは、ほんの3年前からのこと。

しかも、まだビッグスワンでは、勝ったことがない。

となれば、今節の目標は……、ひとつ、ビッグスワンでの初勝利。

そして、2021シーズン、新潟に初黒星をつけるチームは山雅、のふたつ。

引き分けふたつを挟むとは言え、10連勝すればよほどの事態が無い限り、今後昇格レースの主人公になるアルビレックス。

となれば、山雅の現在地をたしかめるグッドチャンス、と思います。

【ゲームにおいてチャレンジせよ】
新潟のスタイルは、ひたすらボールを手中にして速く攻め立て、ペナルティエリアにボールを運んだら、かなり高い確率でゴールを仕留める、というもの。

平均ボール支配は、60%超。
ゲームあたり攻撃回数はリーグ19位ながら、ゴール数は1位、という数値がそれを物語る。
得点は、まづはセットプレイから 29.0%、次に、クロスから 26%、このふたつで半分超。

こうなればもう、せめぎ合いの様相はほぼ歴然なんだけれど。

相手がボールを持って、こちらはひたすらそのボール奪取を狙い、奪ったら反転攻撃、これしかない、と見せかけておいて……、

山雅の平均ボール保持は、49%。
待ち構えることに専念するスタイルでもないので、練度からすると相手より劣るかも知れないが、ボールを握る時間を最大化する……、といったチャレンジを仕込むくらいはして良い。
まぁ、そんなに甘くないだろうが。

要は、端からもたせる、とか規定してしまうとかえって墓穴を掘りますよ、ってこと。
失敗例が、前節の大宮アルディージャ(2 – 3 で逆転負け)であって、ボール支配は大宮 30 : 新潟  70 という数字だった。

【狡猾に 執拗に】
❶ポイントは、(守備として) どこでボールを獲るか?

❷獲ったら、(攻撃では)どうやってやって相手ゴールに迫るか?、ということ。

今季、失点を脅威的に改善している新潟。
観た感じでは、最終ラインをトコトン強化したというよりも、ボールを持つことで相手の攻撃回数を減じているのが真相ではないか。

であるなら、攻撃では、単純にロングボールを使い、最終ラインの裏を衝くか、あるいは競り合っておいてそのセカンドボールを手に入れるか、まづはこれでしょう。
これがハマれば、新潟の陣形を間延びさせ、守備と攻撃のラインを分断できるわけですから。
ここのところは、横山や河合の突っかけが活きてくる部分です。

前線におけるディフェンスでは、4 – 2 – 3 – 1の新潟の、2のところ。

少なくともボランチひとりが最終ラインとボールをやり取りするので、そこをサンドする形で追いたてておいて、サイドへ回させ、ロングボールを蹴らせ、それを回収。

【左サイド対決か】
ゲームにおけるいちばんの競合地点は、サイド。

こちらの左サイドでいかに多く侵入し、そして、新潟の左サイドをどれだけ封じ込めるか。

外山-下川ライン、浜崎 – 大野ライン、これに、前 貴之を起点に、河合と鈴木によるポジション移動を絡めて、中盤を作る、そんな格好で相手エリアを進みたい。

我らがテンポとリズム感、そこの時間でゴールを奪え

相手の左サイドについて言えば、新潟のすばしこいタレント(本間や高木)は、一度ボールを渡しておいてから、かならず続けて顔を出す。
しつこいんです。
そこのところ眼を離さずに、自由にやらせない。
ここらは橋内のスピードとアジリティが効くはず。

さて、コーナーキックの守備は、双方ゾーンとマンツーマンの混合形。
チャンスあれば、思いっきり手の込んだ策略だっていいんでは?

ゲーム展開にもよるが、ファールはこちらにどうしても多くなりそう。
となれば、つまらいない位置でのファールは避ける。

ゲームのキーパーソンは、(攻撃)外山と阪野でありましょうし、(守備)大野と阪野、と言えましょうか。

昨季第39節(3 – 1 で新潟に勝利) の感触、これをトヨ君が憶えていて、それを再現できることを期待します。

では。

谷奥 健四郎を祝す (秋田 vs 長崎)

第12節の結果を、ざっとみていて、
ブラウブリッツ秋田が、アウェイ長崎戦を、 2 – 1 でモノにしたのを知る。

しかも逆転勝利なのか。

結果、順位的には山雅の上、8位 (勝ち点18) で健闘している。

このゲーム、右センターバックとして 90分間プレイした谷奥 健四郎が、1アシスト1ゴールの活躍を魅せた。
もちろん、MVPです。

山雅での鍛錬と苦闘が、こういう格好で報われた、と勝手に思い込む萬年ではあるが、まことに嬉しいニュース。

こうなると、8月9日山の日のアウェイ秋田戦は、参戦を本気に考えないといけないな。

他方、ゲーム直前の5月3日、吉田監督の解任と、松田新監督就任を発表したVファーレン。
監督不在の対戦だったとは言え、辛い敗戦だったろう。

昨季の戦力をほぼ温存することに成功したものの、それまで、4勝2分5敗と、たしかに負けが先行していたとは言え、監督交代のカンフル剤はちょっと尚早では?……、と思ってしまう。

ま、蚊帳の外からは計り知れないような、内部事情がきっと在ったんでしょう。

あるいは、昨季3位までやれたという成功の残像と、なにがなんでもトップリーグ昇格という切迫目標のはざまでの決断だったか。

でも、人心とチーム戦略の刷新を図りたいのであれば、前監督をアシスタントコーチとして依然残すというのは、どうなんだろう?

また、監督更迭のニュースでは、プレイヤー(連名)の声明も挟み込んであって、
みずからの不甲斐なさを謝し、心を入れ替えて精進します、みたいな文面。

人事異動の案件に、なにも現場のプレイヤーを引っ張り出してエキスキューズしなくとも、と思う。

放送終了後30分までに、といった人を急かすような親会社のやり方。

そんな万事即決の気風が、クラブ運営にも浸透しているのかも知れない。

では。

天気,暗雲強風なれど (2012.5.5相模原戦レビュウ)

その荒天を味方につけるように、2 – 1 で勝利。

3連勝は、よくやった。

が、(直近3ゲームの対戦相手のメンツからしても)、勝ち負けをイーヴン (4勝4分4敗) に戻したことにこそ価値がある。

【ゲーム評あれこれ】
❶風下にまわった前半、というのは秋田戦と同様だった。
けれど、あの時とはチョッと様相が違っていて、特に、満を持していくべき後半、なにか中だるみ、となる。

ゲームを通じ、みずからのパスがずれるなどして、リズムをなかなか創れないことが大きな要因だった。

観ていて、あぁ、レビュウのタイトルは、〈ゲーム低調なれど〉かな?、と思案していました。

❷交代により、3トップのようにして、前線に強度を加えたことで新風が注入され、阪野 豊史による 2点目が生まれる。

この失点によって、相模原ディフェンスがかなり気落ちしたのが見て取れた。

だから、もっと老獪に攻めたてていれば、3、4点目が可能だったはずで、そこをまともに打ち急ぐ場面が多かった。
この辺、タメを作れない部分は、したたかさを欠く。


❸北ゴール裏の同志チノさんと意見が一致したこと。
横山 歩夢には、前田 大然の上をいく上手さ有り、がそれ。

相模原後藤 圭太のオウンだったとは言え、あれ、実質的には横山のゴールのようなものだから、その走りを継続せよ。

萬年、#32に希望を託したく、けれど今季ユニフォームは審美的にご勘弁。

で、2013年版蔵田 岬平のやつを着込んで参戦だった。
これが効いたもの、と勝手に独り決めです。

【もっと狡猾に、とは】
❹上の❷に関連して。
ボールが左右に動き、人が湧きあがってくる攻撃。
たとえば、前半40分頃の攻勢。

ボールを手中にしてリズムに乗れると、多くの場合、シュートか、その一歩手前まで持っていけるようになって、連携と練度が上がってきたことは喜ばしい。

ただ、注意すべきは、緩慢のない一定のリズムに終始した場合、ボールロストから一気にカウンターを喰うこと。

どこかに相手の意表を衝いた時間的なギャップを挟まないと、堅く固めた守備網を破るのも難しい。

それを、フェイクを何回も入れたカットインで演っているのが、たとえば、本間 至恩(新潟の)なんですが、相手を釣り出すような工夫をもっと入れましょう。

そういう意味で、後半アディショナルタイム、ボールを受けた田中パウロ淳一が、いったん下がっておいてから打った、バーを叩いたあのシュート。
ああいったタメ、余裕です。

しかし、ゴールにならなくとも喝采を得られるとは……。
パウロ独特の雰囲気は、チームにとって貴重です。

賢さの事例として、相模原FW藤本 淳吾のプレイをひとつ。
前半、強風を背にしたロングボールが中途半端に長くなったシーン。
コントロールできないと悟ると、それを、山雅ゴールラインに蹴り出してしまう。
むしろ、逆風下の相手ゴールキックにすることでリセットする、という意図。
学びたいスマートネスでした。

さてと、ようやくとひとつの長いトンネルを抜けた。
次節は、その国境の向こう、新潟平野に乗り込んでの決戦か。

では。

『1941』逃げる快感。

『1941』は、1979年公開の米国映画。

ヒットメイカー、スピルバーグがメガホンを取った作品なんだが、興行的には失敗した模様。
米国およびカナダにおける収入では、製作費を回収できていない。

そりぁ、そうだろう。
日本による真珠湾攻撃から6日後、今度は本土攻撃を受けるだろうという不安におびえるカルフォルニア州沿岸の街。
(時代設定は、いまからちょうど80年前のこと)

そこへ、日本海軍の潜水艦が迷い込んで始まった 一夜の惨劇(コメディです)、といったストーリーに、米国人が好感を持って接するとは思われない。

太平洋のこちら側、日本帝国海軍を有した国の子孫にとっては、けっこう面白いネタと配役ですけどね。

追っかけを筋に練り込んだ脚本で、スラスプティック(ドタバタ劇)を古典的なるままに踏襲して魅せたスピルバーグは、映画好き少年そのままのなれの果て、という感じです。

追っかけが、喜劇の手法として成り立つのは、逃げる快感を誰しもが体験しているからだろう。

鬼ごっこ、かくれんぼに熱中したご幼少の日々……。

そうしたら、ポール マッカートニイの『Band on the Run』(1973年発表)を思い出した。
監獄から脱走して、逃げ続けるバンド、という歌詞。

ちなみに、同名アルバムのジャケット写真には、クリストファー リーが、バンドの一員として写っている。

彼、『1941』では、日本の潜水艦に同乗する、ドイツ海軍の観戦武官を演じているんです。

では。