盛り沢山の消化不良 (千葉戦レビュウその❷)

そこには、勝ちにこだわったジェフのゲーム戦略があったにせよ、最終のボール保持率が、山雅65 : 千葉35 は隔世の感あり、が前回のお話。

では、ここから山雅が覚醒するには?、が今回。

メンバー的にいって、一からチームを創るくらいの難事業。
とは思うけれど、このゲームでみえた課題を、期待を込めつついくつか拾ってみます。

❶アンカー平川 怜の旨味とは。
ボール扱いに優れる彼を基底に配し、最終ラインから攻撃を組み立てるやり方。
場数を踏むことで、周囲との連携が深まれば、より大胆なボール配球ができるだろう。
実は、こうすることで、佐藤 和弘を2列目で活かせる、というのが真の狙いかも知れないが、ならば千葉戦の場合、もっと高い位置でプレイしてもよかった。
下に降りてきたのは、平川の孤立が不安だったのかも知れないが。

❷河合 秀人を2列目で使う意味。
ドリブル突破に長けたタレントは何回も縦への突破を魅せた。
ボールを持って競上がり、それをサイドへ配球する姿には、メッシ(バルセロナ)を思わせる。それほどの可能性を感じた。
誰かにボールを一旦渡してから、次には、みづからシュートを打てるところまで行きつけるか?、あるいは周囲が、河合に打たせられるか?

❸トップの組み合わせはどうする?
阪野&戸島だと、どうしてもスタイルが被る部分があった。
両者ともに下りてきて組立てに献身する姿勢もあり、おそらくは起用にはそこまでの期待値も含まれているはずだが、スタートから飛ばす山雅スタイルからすると、ツートップならば、片方は、突っかかっていくタイプ、たとえば、鈴木 国友か横山 歩夢の先発で良くはないか?
あるいは、高さのワントップの下に、3人を並べるのも手。

❹小手川の可能性。
平川に替っての投入で、ゲーム終盤で、中盤より前を増強するため、センターバックふたりと、3人で最終ラインを形成するような配置のプレイだった。
このメンツにあってはやはり、ボール捌きに格段の落ち着きがあって信頼性が高い。
小手川をこうも使うんだ、と感心。
けれど、そうであるならばやはり、小手川は2列目で活かしたいなぁ。
(そのためには、4バックにすることで、2列目を3人にしたい!、4 – 1 – 3 – 2 で)

❺サイドからの侵入は?
このゲーム、クロス28回はよくやったと思います。
が、あれだけガッチリと固めた相手だと、その跳ね返り(セカンドボール)までを想定したやり方が必要でしたね。
バルサみたいに、8人が一斉にペナルティエリアになだれ込め、とまでは言わないが、クリアされたボールの出処に対し、やはりプレイヤーが足りていない。
表原 玄太は、右サイドで活性した動きを魅せていたけれど、あれだけ入っていけるならば、カットインシュートにチャレンジしていい。
(もちろん、果敢な守備は評価しております)
外山と表原は、ともに家族を公式に立ち上げた決意も新鮮だろうから、期待大!
あとは、田中パウロ、でしょうね。

❻で、突破口はどうやって?
で、上のような布陣と運用を段取りして、さて次。
結局は、攻撃の部分の詰め、ということ。
千葉戦でいうと、中を堅く締めた守備に対しては、ペナルティエリアのどこかに手薄なスペースを創らなくちゃならぬ。
コースを空けるために、ディフェンダーを引き連れていく動きが、あまりなかったように思いますね。
これ、ボールを持たないプレイヤーがすべき役割。
そうすることで、シュートコースとチャンスを創るって、やつ。

ワンツーのパスで前へ突っかけるにせよ、最低限のスペースがないとどうしても引っかかってしまう。
鈴木 大輔(千葉)のような老練なディフェンダーに対し、鈴木 国友はまだまだ若く正直過ぎました。

実直に押し込んでばかりではなく、虚を衝く飛ばしや引っ張り出しでダマシを入れる。

または、あの日は雨でスリップリイなピッチだったから、相手が引いているのならば、ペナルティエリアの外からでもミドルを打つ。
それが3本では、少々物足りません。(シュートは計9本)

……、とかなり新たなチャレンジの多かった千葉戦、試行はこれからも続くんでしょうが、特に攻撃面。
あれもこれもではなく、取り急ぎは、定型部分に集中特化。
セットプレイ(含むコーナーキック)、スルーパスとスペースへの抜け出し、サイド侵入とクロスボールへの対応、の三つくらいでいかが?

では。

新・ジェフの正体 (2021.3.21 千葉戦レビュウ❶)

※千葉戦レビュウは、何回かに分けて書きます。

孫子(兵法書)に、
〈彼を知り己を知れば百戦危うからず〉とある。

この言葉の説くがごとく、対戦では、相手のやり方への対処がかなり大きなウェイトを占める、が実感された千葉戦でありました。

ほとんど毎年対戦しているのに、相手メンバーがおよそ知らないメンツばかり。

#10船山 貴之が、終盤の10分程度に、時間稼ぎのカードとして投入されるなんてのは、前代未聞。

チーム状態もあるんでしょうが、新しい世代への転換が図られているのは確かなようだ。

それは、ゲームの進め方にも顕著。

20分に先制すると、それ以降は、自陣で堅く守ることを最優先。
時間を巧く使いながら、あわよくばロングカウンターで追加点、という戦術で一貫。

キャプテンのDF鈴木 大輔は、前半から既に、GK鈴木椋太に対し、ゴールキックは時間をかけるように指示していましたから。

まぁ、よっぽど勝ちたかったんでしょう。

なりふりかまわぬ姿勢は見上げたものですが、あぁ、これって、自分たちもいつか辿った道だったよなぁ、と感慨が深い。

まさか、ジェフ氏と立ち位置がこうも逆転してしまうとは、隔世の感がしきり。

でも、このリーグで戦う限りにおいて、山雅には、こういった単純な先祖返りは、もはや許されないでしょうね。

それにしても、
―#23、#24 、あれはなんなのよ、最低。
外山がボールを追わなかったから、失点したんでしょうに!!、と酷評は続く。

……入籍ハネムーンの外山は、とんだとばっちりで。

失点シーンは、3人が連続で剥がされたうえに、バーすれすれのシュートを叩き込まれたもの。相手をホメるしかありませんよ。

そんな落胆がすこしでも和らぐようにと、こんな曲を。

では。

避けて通れない道 (2021.3.21 千葉戦の印象)

― ゲーム当り2得点なんでしょ?  〇〇〇みたい!!
だったら、たまには、やってみなさいよ。
あれ、単なる努力目標なわけっ?
(註:〇内は、当ブログコードにより伏字とせざるを得ない言葉)

点が獲れない負け試合(0 – 1)。

そこに、ポンチョが防水不良のために、雨にずぶぬれになった不快感も加わってか、お怒り心頭な発言を、聞くハメになった帰宅。

さらに。

― こんな試合を観せられたら、山雅を嫌いになりそう!!

これは、ゲーム直後のスタジアムにおける ご託宣。

これらは、きわめて率直な反応なんだろう、と思う。

けれどもおそらく、〈新〉〈進〉めるためには、通過しなくちゃならない道だろうなぁ、と風雨の中で感じていた。

新しい道は、どうやら平坦でも、居心地がよさそうでもないらしいが、それに、ファンサポーターの〈心〉がいつまで堪え得るのだろうか?

山雅の春は、まだ遠い……。
バスタブに浸かって、ひたすら自問する夕方でありました。

より詳しいレビュウは、続編にて。

では。

4バックは使えない? (2021.3.20 琉球vs長崎)

16:00から始まった試合の、後半だけを最後まで観てしまった。
なかなか見応えのあるゲームだったからであるが、琉球が、3 – 1 で勝利。

攻撃については、それぞれ持ち味がある。

長崎は、どこかで鋭い縦パスを使う。
ペナルティエリアにボールを入れると、狭いスペースでもボールを動かし、前を向くプレイヤーが、とにかくシュートで仕留める。
ボールを丁寧に回して、組み立てて行くスタイルだが、昨日は、琉球が巧くつぶして、なかなかペナルティエリア深く攻め込めない。

琉球は、ピッチに広く展開し、多様なボールを使ってサイドを侵す。
クロスは速く、鋭く、多人数がゴール前に入ってくる格好だ。
多彩な攻撃、というのがピッタリする。

ここらへん、昨季第21節(前半戦の最後)、1 – 6 でやられまくった身としては、観ていてなにかと心疼くものがあるのも、事実。

そういう目からすると、長崎の最終ラインは、守備にまわった時、まことにきれいに4人が揃って並ぶ。
けれど、中央を固めたいのか、横にこじんまりとなって、両サイドに広いスペースが出現。
そこを琉球に思いどおりに使われる結果になってしまう。
左右のスライドが果敢でないのは、上原からのスルーパスを警戒するあまりだったのかも知れない。

ロングスローと同じで、気の効いたスルーパスは、使わなくとも武器になるわけだ。

だいたいが、両チームともが、琉球は自分の左、長崎は自分の右サイドへの寄せが緩慢。
長崎のほうが、サイドへの手当てにおいて、よりルーズであった、ということかも知れない。

でも、4バックの初期布陣をとりながら、こうもサイド攻撃をゆるしてしまうのは、いただけない。

だから山雅は、いちばんの底に5人を揃える3バックを捨てられないでいるのか?

もしも、そうであるならば、攻撃力を倍増できない限りは、このまま3バックなんだろうか?、と少々悲観的になっている。

では。

敢えてそつのなさを捨てる【千葉戦プレビュウ】

ニュースでは明日の予報を、春の嵐、といっていた。

雨はまだしも、そこに強風が加われば、周到な準備も無駄になるだろうな。

ならば、思うようにならない事態も見越した戦術が、必要だ。

少々粗いサッカーもやむなし、となったほうが、山雅に有利かなぁ、と割り切って雨天の憂鬱をまぎらすことにしよう。

〈そつのないサッカーをめざす千葉〉
そつ、とは手抜かりのこと。
千葉のやりたいことは、できるだけボールを手中にし、手抜かりなく相手ゴールに迫ること、のように見える。
磐石なボールの移動、スペースへの走り込み、プレイスキックの集中度、それらが、そのサッカーを支える。

前節の対ブラウブリッツ戦(@フクアリ)を、前半20分まで観返した。

前半17分までに、秋田が、2 – 0 にしてしまったゲームだ。(そのまま最終スコア)

秋田の勝因は、ロングボール、ハイボールを多用し、身体の寄せの速さと強さを保つことで、千葉に、そつのないサッカーをおこなう余裕と隙を与えなかったことにあった。

相手ボールホルダーにはかならず誰かが詰める、ルーズなセカンドボールには手を抜かずに走り込む、といった地味で単純なことの繰り返し。

右サイドへのボール供給と浸透。
自他にわかり切ったことを執拗に繰り返すことを、チーム全員が当たり前にやる。
そうしないと、おそらくは定位置など与えられないのではないか。

秋田についてはあっぱれなんだが、では、この結果から、チーム千葉が何を学び、今節に適応してくるんだろうか?
それが、いちばんに気になるところではありますが。

〈荒天のせいにしてしまえ〉
先ほど、少々粗い、と書いたけれど、千葉に対しては、あえて乱調と破断を織り込んだサッカーで向かいましょう。

ひとつ。
順序立ったような、お決まりのボール運びはやめにして、ひとつ飛ばし、大胆なサイドチェンジ、バランスを崩すような強引な突破、そんな要素を入れ込む。
要は、千葉ディフェンス陣の目先をおおいに惑わす、破調で。

ふたつ。
クロスであっても、プレイスキックであっても、自由に蹴らすことを許すな。
ディフェンスラインをむやみに下げず、丹念にボールホルダーの自由を奪いにいく。
船山が左サイドで起用されるのは当方にとってはむしろありがたいわけで、千葉の攻撃をタッチラインへ追い込んでから、次のところでボールを奪う。
このサイドは、前と大野に期待。
ショルダー to ショルダーであれば、相手を吹っ飛ばすくらいの精力でこそ。

強風を味方につけるくらいの気持ちで、粗く、(フェアに)荒く、これがキーワード。

ゲームが寸断されるセットプレイが焦点になりましょうが、そうなれば、ディフェンス陣が得点を狙わないといけませんよ。

まぁ、おおまかなゲームのやりかたは、千葉も同じことを考えるでしょう。

ですから、なにごとも先手先手で、文字通り、完璧にホームとなれば、怖いことなど、なにもありますまい、山雅。

では。