高校生によるスポーツはこうあるべき、という決めつけを、どこかに隠し持った実況/解説が、鼻持ちならなかった、というお話。
大晦日に行なわれたこの一戦。
挨拶がてらやって来た息子たちと、画面に背を向けてゲームに興じながら、ただTVをつけていた、という熱のなさを、まづはお詫びしたうえで、すこし書いておきます。
端緒は息子が指摘したことなんですが、
この大会、各出場チームが日ごろ、どこのリーグで戦っているのか、という視点がほとんどない。
ゆえに、実況や解説に、そういった説明や切り込みが皆無。
〈大人〉チームの大会ならば、参加ディビジョンは明確に提示される。
JFLとか、J3、といった所属リーグがわかっているがゆえに、その区別を裏切るようなプレイや勝敗に、おおく興味が湧くのだ。
県(あるいは地区)代表による、横一線、よーい!どんの、ノックダウントーナメント、という形式であっても、サッカーであるかぎりは、そういった視点は当たり前だろう、と思う。
サッカーを楽しむには、チーム力量をあらかじめ含んでおかなければ、とても浅薄な観方になってしまう。
特定のプレイヤーに対しては、某Jリーグチームに来季加入内定、とかうるさいほど言うのにネ。
ならば、同様に、大学なり社会人チームへの入部内定もわかる限り調べておけよ、ってんだ。
すべての高校チームは、最上位に東西のプレミアリーグ(各10チーム)、次に、全国9つの地域プリンスリーグ、その下に、各都道府県リーグ、といったピラミッド型に組み込まれていて、その階層の中、しのぎを削っている。
(リーグ成績によって、その間に昇降格がある)
たとえば、京都橘高は、〈スーパープリンスリーグ関西〉に在って、今季の成績は、第6位。
このリーグには、14チームが属し、JリーグU-18が3つ、高校11つの編成。
上位からたどると、セレッソ大阪U-18、東海大付属大阪仰星、履正社、ヴィッセルU-18、阪南、そして京都橘、次には、興国、大阪桐蔭……、と続く。
まぁ、聞いた覚えある錚々たるメンバー。
他方、松本国際は、長野県リーグの1部に在って、今季は8チーム中の第8位。
このリーグには他に、成績上位より、都市大塩尻、松本第1、上田西、長野パルセイロU-18、松商学園、東海大諏訪、長野日大が所属。
(ちなみに、県リーグは、1~4部で構成される)
リアルな話、松本国際の諸君は、相当な力量と経験差を前提にしてゲームに立ち向かった。
ゲームを3分も観ていれば、彼我の出発点は、明白ではあった。
国際は、どうだろうか、パスを3回を超えて続けることができず、ことごとく橘のディフェンス網にボールが回収される。
こうなったら、果敢に橘最終ライン(おそらく3バック)の裏を突けば?、とは思うが、戦術として錬成していないのか、あるいは、向こうの攻撃圧の前に屈してしまったのか、なんとも。
結局、多彩なフィニッシュで、0 – 6 の敗戦だったのであるが、もしも、他流試合を申し込んだなら、相手は、セカンドかサードチームで対応してくるような世界なんだから、この結果に下を向くほどのことでもない。
まぁ、こういっている大人より、当事者たる高校諸君生のほうが、ずっとリアリストであって、力量さをキチンと受け止めて明日に向かっているんでしょうね、きっと。
高校サッカーに、ウエットなまなこではなく、乾いたリアリズムで接す。
見どころに欠けた天皇杯決勝に対するのと、同じ視点で。
では。