家人からは、
― あなた、ベタほめね、#15 の彼。
とか、まるで、僕一個人の好みであるような、言われ方。
なので、それはないだろう、ということで、今一度、書きとめておく。
菊井 悠介が、他クラブの強化担当の目につかないように、そうっと。
しかし、他から声がかからなかったとしたらなんとも不思議、というか、山雅よく獲りましたよ。
後半から登場、山本龍平の後を襲うように、右サイドに配されるように投入された。
けれど、実際はもっと広く、2列目(シャドウの位置)で、ピッチ幅のほぼいっぱいでプレイしている。
どこにでも顔を出して、攻守の起点となる、という塩梅。
自分でも(シュートを)打てて、他者にも打たせる、という局面で決定的な仕事ができる。
シュートの、その直前に、彼が絡む。
つまり、このミッションこそ、背番号#10、ファンタジスタのものでありましょう。
再三、右サイドからアーリー気味なクロスを入れてくる。
49分、ルカオからの横パスを受けて、ペナルティエリア外縁付近から、自らシュート。(惜しくも枠外)
52分、横山にパスを通して、シュートをお膳立て。
78分、左方向から、佐藤 和弘とのワンツーを演出、ペナルティエリアに突っこんでいく佐藤に、ちょこんと浮かしたパスを供給、シュートチャンスを与える。
79分、中央をドリブルで持ち上がると、ためておいてから、左45度から駆け上がてきた榎本 樹にそれはそれは、優しいパスを出して、シュートを打たす。(そのシュートはキーパー正面を衝く)
93分、コーナーキッカーとして、外山 凌を狙い、ゴールから離れていくボールを蹴り込み、逆転弾となったボレーシュートを導く。
もともと、このコーナーキックは、ぺナへ侵入を試みた稲福 卓あて、菊井が出したスルーパスから獲たもの。
……、とまぁ、めだったところを挙げてみたんだが、こういうプレイを、臆することなく、軽快に活き活きとこなす、そういう身のこなしが印象的なんです。
役割などに指示は当然あるんでしょうが、23歳前後の世代が、遠慮なく自分の強みでチームの一員として躍動する。
そういった姿を魅せた山雅に、このチームの持続的なウオッチャーであれば、新しい息吹を感じたはず。
ここ2年あまりの鬱屈に、なにか、新鮮な光が射しこんでくる、そんな風に。
攻撃の担い手として、小松 蓮、榎本、米原 秀亮、菊井、山本、横山 歩夢、これに、村越 凱旋らが絡んでくる。
と、強い期待感がこみ上げてはくるものの、今季でこのリーグから足を洗わないければ、きっと逸材の多くを失ってしまうだろうな、と手放しでは喜べない、そんな奇妙な心持ちです。
では。