投資話で釣ってみる (ユニフォーム 後日譚)

お昼休み、隣のテーブルのヴァン氏に向かい、

― あのう、かなり有望な投資がありましてね……。

― またまた。今の世に盛んな、詐欺に近いような話なんでしょう?

― いやいや、最近山雅の来季ユニフォームが発表、発売になったんですよ。
これには(写真にはありませんが)、袖に、J3のロゴが入るので、後世、レアものとしてプレミア価格がつくこと、ほぼ間違いなし。

― どれどれ、とヴァン氏は早速、スマフォで公式ページを開いてご覧になると、

― まったく代わり映えしないじゃん、今持っているのとどこが違うのよ。大胆さのカケラもないし……。

― ユニフォームなんてそんなものです。
だいたい、アディダス社が繊細な色調をデザインするはずもなく、これこそ、まさに、イングリッシュテイスト!
アウェイなんか、もっとシンプルでござんすよ。

―  なによ。変哲もなにもないじゃん。

(料理でいうと、調理性がまったく無いって、ことか)

……、とまぁ、元アパレル業界で暮らしていた御方からは、散々な評価なんでありますが、

約2万円弱の投資案件、すこしでも我がクラブの収入増になればと、しばらくは吹聴を続けようか?、と思っている次第。

でも、つくづく見れば、J3ロゴは、まったく創造性に欠けるデザインですな。

なんとかならないものか知らん?

では。

自分を人質にとるな。

職場のヤナちゃんが、
― 今回のサポーターミーティング、けっこうキツイ発言ありましたよ、

と教えてくれた。

会社の経営層は、降格を招いたんだから、引責辞任するのが当たり前だろう、という趣旨を、激烈に語ったんだとか。

次から次へと、トップ昇格を狙う者に事欠かない企業ならば、それも良し。

また、トップ交代が、事態収拾にとって有効であるならば、それもあり。

果たして、そういう一切合財を含んでみてのご意見なんでしょうか?

後先を省いて、とにかく辞めろ、ってのはどうも浅慮、としか言いようがない。

けれど、自分の会社でもない組織に対して、そういう口を叩けるのは、地域を基盤とするサッカークラブの開放度の証拠なのかも知れない。

地域の器のひとつであるから、部外から辞めろ、と我が物顔に言えてしまうような錯覚は必要か。

ワン ソウルの、別の顔として。

ただしだ、勢いあまって、連中が首脳である限りは、自分はサポートしないぞ、ファミリー山雅からは去るぞ、と言い出すとしたら、チョッとね、と思う。

こういうのは、あいつが上司ならば、誰が熱心にやるもんか、といった根性と変わらなくて、みづからをどちら様と思っているのか?、自分を人質に取ったようなところが、滑稽だ。

何に対してかは知らないが、自分が盾(たて) となり得る、と思い込んでいる点で。

では。

いまさら,デ ニーロをまねて (マウンテンパーカ讃歌)

職場でご一緒する、或る女性。

そのお方が、ブリック(レンガ色)のパーカーをお召になっていたので、すかさずマネっ子精神が頭をもたげ、お買い求めの店名をうかがった。

― それね、『ディアハンター』の中で、ロバート デ ニーロが、鹿狩りをするシーンで着てました。

― その映画、ロシアンルーレットの場面が、とにかく強烈で。
いまなら、涙なしでは観られないわ、きっと。

ふむふむ、人生の重みをココロに深めている人のご発言ですな……。

シェラデザイン社の、60/40混紡生地によるマウンテンパーカを、ここまで臆面もなくコピーするのは、タラスブルバ社(日本)くらい、と思っていたんだが、ここがやってくれるとは。

さすがに職人ご用達ショップから脱却しつつある、〇―クマンらしいや。

元祖のパーカが、8着も購えてしまう価格で、しかも、それなりの防風性を備えているとなれば、これは買い!

ということで、早速入手。

バック(背中)ポケットがないことと、ファスナーの取っ手がややこぶりであることをのぞけば、がんばってコピーしている。

腰のドローコード(内側の紐)をしっかり締めて、いかにも山野へ出かけます、みたいな風情を楽しんでおります。

これからの季節、シェラデザイン式パーカの着まわしのポイントは、内側にそれなりに重ね着して、まづは防寒を確保。

そして、その上着として、首まわり、袖口をきっちりと閉じて、外気流入をシャットアウトすること、なんであります。

だから、着丈もしっかりとお尻が隠れるほど長い。

要は、シルエットがスマート過ぎず、かと言って、分厚く防寒風になり過ぎず、ほどほどに野生的、というのが、シェラ社のマウンパの味わいだ。

さて、二週間後。

― あれから、どう?、買いました?

― もちろん。
ただですね、デ ニーロを気取るならば、今度は、濃紺のニット帽を買わないといけません。

作品のテーマ曲、カバティーナは、いつ聴いても哀しく切ない。

では。

平凡なる非凡、シンプルで良き (2022季ユニフォーム)

ユニフォームは、毎季、どこが変わったのさ?、くらいで変遷するのが良い、と思っている。

なので、リリースされた来季デザインは、まぁまぁ、僕の審美基準には入った。

ドット(の大小) を使ってグラデーションっぽさを演出した濃緑の生地。

これ、遠目では、グリーンの濃淡もあまり目にうるさくはないだろう。

背中も前面と同じように、濃淡を入れてよかったのではないか、とも感じるが、シンプルで気に入った、というか、気障りでない。

中でも、ファーストとセカンドで、それぞれパンツが、白と黒なのが、古典的な雰囲気を醸す。

差し色にも凝らず、使う色も少ない。

けれど、この邪心のなさによって、案外、歴代トップクラスの出来かも、としておきましょうか。

家人は購入の意思がないように言うが、袖にJ3ロゴが入ることで、後世、稀少価値が出るやも知れません。

唯一の不満は、いつになったら、ポロシャツに準じた襟仕様に挑戦してくれるのか?、ということ。

立ち襟にもできることで、精悍な雰囲気が完成されるし、かつ、シーズンパスのストラップが肌にあたる不快感もなくなって、おおいに助かるんですがね。

では。

石を投げる者にはならない。

平和論、責任、信頼、といった事がらで、頭がいっぱいでないことだけは、まづお断りしておきます。

ま、ごくごくたまあに思い起こしている、に過ぎない。

それよりも、家庭や職場、道行く人々と平穏にやっていくことが、ずっと大切。

最新の、市報の表紙には、『愛の消防団』とかいう言葉がみえて、思わず笑ってしまった。

準公務員という立場で、地元の安全を守ってくださっている青年達には感謝しかない。
率先して引き受けることには躊躇があるに違いない奉仕の業に、こころよりお礼をいいたい。

で、なぜに失笑したか?といえば、かなり以前のこと。

隣人と険悪になった(と相手は思ったらしい)時、そこのセガレが、消防団員であったようで、

― 隣りから火が出ても消してやるもんか、と言った言わないが、耳に入ってきた。

まぁ、そう言うのは勝手だけれど、そんなことをしたら、じぶんちだって焼け落ちるのに、と思ったのは、今は昔。

道で会えば、それはそれは丁寧な挨拶をするように心がけているのだが、それが、向こうが犬の散歩中だと、いささか厄介なことになる。

この犬、けっこうな犬種らしいんだけれど、無駄吠えがとにかくヒドイ。
その家の者が帰宅する時も、騒ぎまくるのが聞こえてくる。

この前なんか、玄関ドアを開けて外に出た途端、物凄い剣幕で吠えたてられ、ギョッとその場に立ち往生。

ちょうど、拙宅前の道を通過中だったんですな、飼い主とペットが。

まるで、出合い頭の事故。

彼、恐縮を示そうと懸命になって犬を叱ってるんだが、普段できないことが、今できるわけもなく、空しい努力。

あんたが躾られなければ、この僕が礼儀を教えてあげようか、と思わずムッとなるが、さすが、その言葉は飲み込んで、ニッと笑ってお見送り。

人が出来ている僕のことゆえ、決して、他人を石もて追うようなことはしないのです。

では。