こういうゲームが観たかった (鳥取戦レビュウ❶)

0 – 0 、スコアレスのドローで投了。

もちろん、(結果としての)引き分けは、惜しまれる。

得点の機会は、ずいぶんと、あったのだから。

言ってみれば、

画竜点睛(がりょうてんせい)を欠くゲーム、でしょう。

せっかくの良い仕事になり切るところを、

最後の仕上げがおろそかになってしまった……ということ。

でもね。

ヘビでもなく、ワニでもなく、龍が龍として描かれた画だったところに、

このゲームの真価をみなくてはいけない。

ガイナーレが、素直であって、それほど前後に業欲でないサッカーをすることを差し引いても、

あれだけ、

圧縮した陣形を保ちつつ、

むやみに深追いすることを自重しては連動し、

向こうのボランチとシャドウ&ワントップを、

己の陣形の中に、2層にサンドしてしまうことで、

相手に自由なスペースを与えず。

たとえ、少々緩くなって、小気味良いパスを通された、としても、

ボールの獲り処をハッキリさせる連携で、相手の攻撃の芽を摘んだ。

前田 陸王は、そういうサッカーをたしかに体現していた、と思います。

つまり、

締めるところと、許すところが、チーム内で共有されていた。

……以上は、決して、守備面の話ではなくて、

こっちの繰り出す攻撃が、互いの距離の遠近が、ほどよく保たれたために、

たとえば、野々村からの縦パスが、村越、菊井にズバズバ通る。

宮部と樋口が、左サイドでこっちの優位を成立させる、そんなことです。

山雅にこれだけのサッカーをやられては

鳥取からすると、

前半の少しと、60分前後などは、ボールの主人公になれたにせよ、

ゲームの、残りほとんどの時間帯で、

仕掛ける攻撃は、山雅守備陣の裏狙いか、カウンターでしかなかった。

この記事のタイトルを、

こういうゲームができる山雅が観たかった、とするのが、より精確な表現かもしれませんが、

たとえ、

24ゲーム消化しての、やっとこさ辿りついた、ひとつの極みであろうとも、

やはり、琉球戦は、

山雅流を修正する点において、価値があったわけで、

残る14ゲームの、価値判断の基準が明確化した、と考えます。

では。

俺が俺が,でまずはやれ (鳥取戦プレビュウ)

今あたりの時候を、〈晩夏〉と呼ぶらしい (初秋とかさなるものの)……。

残り 15ゲーム。

勝ち以外は許されない、とホンキに考える向きもあるみたいで、

それは、まるで、二点間を結ぶ直線は一本しかひけない、みたいな絶対公理を求める姿勢。

純粋数学は、その公理で押しまくったから、学問として成功したのですが、

こと、サッカーという競技特性と、さらに、実力(=技量)ほぼどこいどっこいのリーグ編成からすると、

とても、そんな単純で、うわずった関心では、リアルな実相を見逃すに違いない。

どっちにころんでもおかしくない対戦の連続、

23回やって、2連勝がわづかに一度、

先制されたら勝利に届かないゲーム管理、

そういう我がチームの現実を踏まえれば、

勝ち点3を逃がすと、その分たしかに、今季末におけるチーム解体へのカウントダウンが進むわけで、

そうなれば、この晩夏は、挽歌への序章とも、なり得る。

……つまらん、コトバ遊びで恐縮ですが、

かといって、今を楽しめない理由などないのですから、

そうですね、

アルウィンで言ったら、バック自由席のアウェイ側あたりで、チームとサッカーへの愛着のココロで参戦している、そんな風情でいきたく思います。

現実的ゴールは、6位以内のできるだけ上位、ということで。

さて、鳥取戦。

根底には、前節琉球戦の良き点を踏まえつつ、ってことでしょうが、ポイントはふたつ。

ひとつめ。

ボールを率先して動かす(相手に、こっちの思惑どおりに持たせることも含む)ことで、ゲーム主導権を握りたいのならば、

スペースを拓くための、個による(ドリブルを絡めた)持ち上がりを増やして、

かつ、スコースに顔を出す責務をまっとうすること。

攻撃のノックダウンで苦労したのが、琉球戦の前半でしたから、その反省と修正。

この局面では、俺が俺が、で貫きとおせ。

さらに、ゴール前でも、基本そうなんだろうが、

前節の、詰めにおける想来のひとり相撲を観ると、

シュートを撃つに最適ポジションなプレイヤーを、チームとして見逃さないことは重要。

現状、試合時間が進むにつれて、これができないので、逆転弾も生まれない。

かつては、小松 蓮の動きを、常に皆が頭に入れてプレイしていたんですがね。

ふたつめ。(ひとつめと関連します)

前節が、ターニングポイントとなり得る秘密は、

ボール保持52%の力量を持つ相手に対し、最終的に、52.4%の保有を叩き出したこと。

直近の5ゲームは、

いづれも、ボール保持戦略を採るサッカーとの対戦で、長野戦をのぞけば(53.6%)、すべては、相手に保持が傾いた。

僕は、ボール保持論者ではないけれど、

ゲームにおいてイニシアティブを握りたい、という欲求からすると、

けっこうな前進ではある、と評価しています。

鳥取が、現在、ボール保持51.2%、リーグで 6番目の高さであるならば、

そこらへんの進化を測れる、好適な対戦相手。

そこが、勝機であり、見どころでありましょう。

では。

はじめてのかりがね。

いまや、正式な名前は違うんですよね。

でも、まぁ、いいや、かりがね(サッカー場)、で。

今週の火曜日のこと。

そこに、オフィスワタリ代表のジョー氏が、デビュウを飾ったのです。

彼、最近、ある趣味に凝り出したのだけれど、

自分の技量(腕前)の鍛錬のためにと、

山雅の公開トレーニングの場へ出向いたのだ。

自分のトレーニング内容は、データとして、僕のパソコンに送ってくれた。

結局は、トレーニング全部と、ファンサーヴィスのさわりまで付き合ったらしい。

で、こういう結論。

皆が同じ格好(トレーニングウエア)で、誰が誰かも知らずでは、良い作品になりません。
(もともと個とチームの知識がほとんど無い)

練習をあれだけ楽しめたので、ゲームは、もっと面白いんでしょうね。

 

なるほどなるほど、対象物に対する〈愛着、愛情〉が、なによりの鍵のようだ。

たしかに、ロバート キャパの作品に触れると、おおいに感じられること。

……と、いうこともあって、

ジョー氏を、(今月は都合が悪いようなので) 9月のホームゲームにお誘いしている。

しかし。

彼、こうも言っていた。

― さすがプロだけあって、ボールコントロールは巧み、また、スピードに溢れてるんですが、それでも、弱いんですか。

まったくもって。

それこそが、サッカーの難しさと、結果を出す苦労なんです。

では。

いつかの 林 誠道……そして次節へ。(琉球戦レビュウ❸おしまい)

それなりに、鮮烈なアルウィンデビュウ―だったから、

ストライカーとしての印象が強く刻まれた 林 誠道

だが、彼は、プロとして始めた鳥取では、オフェンシブハーフ(2列目)としてもプレイしているから、

なにも、ツートップを担うばかりのタレントではない。

僕は、2018年6月10日、南長野のスタジアムで、

ガイナーレの一員としてピッチに立った林を観ているはずなんだけれど、

調べてみたら、たった1分間の投入だったから、

まさに、マボロシに等しいような出逢いではあった。

その後、2021季。

林は、モンテディオ山形のメンバーとして、4分間 アルウィンにお目見えしていて、

そのホーム戦では、対山雅の、決勝点をアシストしているから、

過去には、我らとなんらかの接点があった、という因縁。

山雅公式では、次節鳥取戦の告知画像に、

馬渡 和彰を掲げている。

そのプロキャリアを鳥取でスタートした含みだろう。

ただし、林は、

鳥取には、2017年から5季所属しているので、

鳥取のファン&サポーターにとって、かなり記憶に濃いだろうから、

その意味でも、アウェイ鳥取戦は、

馬渡も絡んで、それなりの魅せ場が期待できそう。

では。

山本劇場!! (琉球戦レビュウ❷)

このゲーム、山雅にとっては、

ひとつの転換点となる予感がする。

具体的な数値は承知していないが、

リーグ第4位のボール保持率を有し、ボールを動かすことに長けているFC琉球というチームを相手に、

おそらくは、尻上がりに、相当にボール保持を高めながら、優勢に押し込んでいくゲームをやって魅せた、という点で。

同点ゴールは、攻め続ける流れの中で、生れたもの。

琉球とは、2か月前に対戦(3 – 0 で勝利)、

この時の、山雅保持率は、39.6 %だった。

勝敗はともかく、

チームとしての戦い方において、舵が切られつつあるのを、僕らは見逃してはならないだろう。

(もちろん、カウンター攻撃を棄てることはない)

ゲームの入りから、20分過ぎまでを別にすれば、

ボールの動かしとパスワークに練達度の高い相手に、

それほど遜色なくボールを握って闘えていたのが実相。

ゲーム開始からしばらくは、ボールの出しどころ、配球に時間がかかったり、逡巡がみられて、そこは不満点として残る。

そこには、ほんらいボランチ特性豊かな 安永を、ツーシャドウの左にした事情もあったし、

ドリブルでみずからパスコースを拓くことと、受け手の責任として、パスコースに顔を出す責任感、このふたつが、乏しかったのではないか。

ただ、ゲームが進行するにつれ、ディフェンダーの持ち上がりも織り込まれきて、ボールを要求する姿勢も観られたので、

こういう点には、期待が持てた。

最終盤、想来にボールが入り、田中はみずからシュートを選択したのだったが、

すぐ近くでフリーであった前田 陸王が、ボールが来ないのを、かなり残念がっていた(2度ほど)のは、ボールを要求する姿勢として好感が持てる。

やはり、こうでなくちゃ。

この日の陸王は、かなりキレていたしね。

さて、山本劇場。

ボールを持って、相手を押し込み、ゴール前のチャンスを拓くシンボリックなシーンは、前半37分あたりにあった。

右サイドを使いながら、

#25 ☞ 24 ☞ 19 ☞ 15 ☞ 25 ☞ 24 ☞ 15 ☞ 25 ☞ 15 ☞ (ここから中央へ持っていって、左サイドへチェンジ) 16 ☞ 7 ☞ コーナーキック獲得。

この一連では、センターバック、ボランチ、サイドバックといった多彩なプレイヤーが絡み、

結局は、山本 康裕 が、そのタクトを振っている。

こういう攻めが評価できないと、いまの山雅に、正当に寄り添えないでしょう。

では。