自己の課題を乗り越えろ (FC大阪戦プレビュウ❷)

前稿で、FC大阪(の特徴)を、ざっと診た。

さらに。

そこに、リーグ最少の失点数 13 を、足さねばならぬ。

これは、山雅(27)のちょうど半分だ。

その母数となる被シュートは、(少ない方から) 5番目。

メディア的な常套表現をすれば、

堅守、カウンター速攻に優れ、セットプレイに強みあり……そんなうたい文句でいいか。

では、そこと、どうやる?

チームは、それなりの策をもって臨戦する、とは思いますが、

論点は……、

ボール運びにおいて、カウンター攻撃の餌食にならずに、いかに、相手陣地奥へと侵入するか?

❷反則数リーグ3位の大阪の厳しさによって、こっちのセットプレイが増す。(要は、アクチュアルプレーイングタイムが短くなる)

ならば、このリスタートの(手続き)時間と、セットプレイそのものを、いかに、狡知かつ聡明に、利用できるか?
(☞ ゲーム運びの局面)

……に絞られるように思います。

なぜなら、それが、現状、真っ先に克服すべき課題でもあるから。

で、萬年の推奨戦法は、

ファーストディフェンスが生命線である山雅でなので、

相手の強みを逆手にとった〈クロスカウンター〉(ボクシング用語)しかない。

相手が繰り出したカウンターをかいくぐり、あるいは、交わして、速攻で侵入していく、これです。(カウンターのカウンター、とでも)

予想範囲内で運用するパスワークは、

おそらく、今回の相手には、さほど脅威にならない。

もちろん、その先。

サイドから行ってどうやって中に入るのか、

中央を縦のキラーパスで、だれが裏を獲るのか、などはあろうが、

どうやったって、相手の得意技カウンターに曝されないで済むと思うのは、幻想。

ならば、やらせておいて反転するや、

その頭上、足もと、最もいいのは、空いたスペースへの奔り込みを繰り出す。

これが、ボール保持とシュート数(攻撃の終点)が、必ずしも一致しない山雅の皮肉を克服するための、ヒントになるかは別として、

現状の山雅を、いつか見た山雅の郷愁からのみ評価するギャラリーにも、受けがいいではありませんか?

では、アルウィンで。

やはり,ワンチャンスだった (FC大阪戦プレビュウ❶)

前節にケリをつけ、次に進むための総括から、はじめよう。

八戸のゴールは、〈やはりワンチャンス〉であった、と。

シュート数、山雅 17本 (枠内 3 )、八戸 10本 (同 1)

つまり。

山雅の攻撃を、圧迫と奪取(タックル、クリア) によって寸断し続け、

終盤、ついには、ゲームをとおし枠に飛ばした唯一のシュートで、勝ち切ってしまう。

ゲームをどちらが握っていたのかは、両者の視座によって、異論も出るだろうが、

肝心の勝者がいづれかであったのか?……からすれば、

ゲームは、八戸のものだった、という結論で良い。

さて。

今節の相手、FC大阪。

❶前回対戦の振り返り
前半戦は、雨中のアウェイ。

9枚のイエローと、2枚のレッドが提示された。
(佐相のレッドは、突っかけられた相手ゴールキーパーの演技賞、と診るが)

雨とピッチの状態から(だろう)、山雅はパス仕立てのサッカーを棄てた割り切りのゲーム。

その結果として、ゲームは、相手の土俵に乗っかった様相を呈し、

たとえば、シュート数、クロスともに、倍を打たれているから、

スコアレスドローは、山雅にとっては、ある意味、救済だったのかも知れない。

❷前節八戸戦からの学び
乱暴な話になってしまうが、前節を、大阪戦の予習とみなしても、そう外れてもいない。

システムの相違(3バック ☞ 4バック)はあるけれど、

FC大阪は、八戸同様、カウンター攻撃が十八番のサッカーで、かつ、八戸よりかは、前進(攻撃)において強力。

左サイドの駆け上がりが、特長。

さらに、全得点の40%を、セットプレイからあげている。

これは、鋭いカウンターによって敵陣に侵入すると、

攻撃の多くが、ワンタッチやクリアによって、ボールが。相手ゴールラインを割っていることが察せられる。

コーナーキックは、リーグ3位。 (山雅はリーグトップ)

さぁ、こんな大阪の男たちと、どう戦う?

では。

寝苦しい夜分の夢に起こされて。

たしか、日付けが変わった頃だったか、と思う。

今引き抜いたティッシュペーパーが、最後の1枚だった。

といった、舌打ちしたくなるような場面があらわれると、

その後に、

あの八戸戦は、失点シーンから観始めたのではなくて、

正しくは、

あの失点シーンまで観て寝落ちした、に訂正してもらわないと困る、という注文が舞い込んだ。

さらに言うなら、

念のために、ゲームを、後半開始から 82分まで観返した上で申し上げるが、

あのゴールを〈文字通りワンチャンス〉としてしまっていいのだろうか?

という問題提起があります。

その 37分間をとおして、

山雅が、能動的な崩しをできたのは、52分に、

米原☞菊井☞安藤で創った、マイナス折り返しのシーンのみ。

他方、八戸は、全時間帯において、オリオラ サンデーが起点となって、落ちることなくプレスをかけ続け、

前からのプレスを交わされて 1列進入されても、山雅には、ボランチの前でボールを持たせる、あるいは、サイドバックの前でボール保持することを強いていて、

最悪、クロスが入ったとしても中央を締めている。

ただ、52分のあのしかけだけが、八戸の前プレスをはがせた効果的な崩しだった。

ちなみに、後半、山雅のプレッシングは、絶望的なくらいに効いていない。

行っていいのか、と悩みながら迷っている浅川の姿が、そこにはあった。

是非とも、萬年氏には、同じ時間帯を観返していただきたい。

自分のゴールに向かって背走を強いられたのは、どっちのディフェンス陣であったのか?

サイド並走の、一対一勝負のシーンを作っていたのは、どちらだったのか?

ハメられてボールロストしたのは、どちらだったか?

最後のクオリティに欠けるプレイは、どちらに多く在ったのか?

縦ポンに走ったのは、どちらだったのか?

……これらを、ヴァンラーレ目線に立ってみるべきです。

攻守でゲームをコントロールしていた八戸が、その数分前から、

ちゃくちゃくと最後のクオリティへと詰めて、波状攻撃をした結果の、

なるべくしてなし得たゴールではなかったか。

さらに、収穫として、ひとつの気づきがあります。

それは、負けるべくして負けているな、ということの痛感。

アンチ霜田といったフィルターを排除して観ていても、

あの 37分間には、両者の差が著しく横たわっており、

八戸ファン目線に、かつての山雅をみる視点を重ね合わせると、

いかに八戸がゲームをコントロールしていたのかが、腑に落ちる真夜中。

たまに、無料配信のゲーム後コメントを読みますが、

今回のは、特に違和感が強烈で、

大内、常田コメントと、監督のそれの乖離が大きいことに失望。

先ほど申し上げた、小生の所感と似たことをプレイヤーが発言しているのには少々びっくりですが、

さらに監督が、ゲームをコントロールできていた、と考えていることに二度びっくりで。

チーム内におけるコンセプト浸透が、実地にどうやって落とし込まれているのかが、おおいに気になるところです。

…以上、皮肉めいてしまいましたが、

サッカー批評は、他競技にくらべ、雑多な観方が混在するゆえに、不毛な議論を感情的に戦わすにはうってつけの場にもなりやすい。

しかし、この感想は、決して萬年氏を貶めるものではありませんので、

ご気分を害することの無きように願います。

この私も、一応は、山雅応援の心持ち、使命感だけは持ち合わせていることだけは申し添えます。

……寝苦しく、混沌とした意識の中、

〈袖を引っ張ってくれる者を持つことで救われる〉

そんな言葉が、ブログ主の頭の中をよぎる夢見ではありました。

では。

あの試合運び,では……(2024.7.6 八戸戦レビュウ)

本日(7/7)、息子家族がやって来て、共にした夕食の席。

あの試合運びをしてたら、勝ちはないわ、が息子のご感想。

彼、ちょうど、

セットプレイの跳ね返りを、再度入れたボールに合わせた

八戸の、文字通り、ワンチャンスヘディングゴール(78分)の直後から観はじめて、そう思ったらしい。

なるほど、と感じるものがあるので、

0 – 1の敗戦を、その言葉をまんま借用して、評しておきます。

八戸は、3バックの布陣を、あえてピッチ左右前後いっぱいに拡げ、

そうすることで、相手にボールの獲りどころを絞らせないようしておいて、

いざ、ボールを手に入れるや、速く一気に、相手ゴールに向かう戦略を採る。

〈前後に速い〉とプレビュウに書きましたが、帰陣も、やはり素早かった。

こういう相手なので、

パスによる侵攻が、もっぱら端正、淡泊だと、その守備網になかなか穴は開きませんでした。

ファーストディフェンスもあまり効果を生まないし、

もし、サイドから侵すのならば、もっと相手守備を、左右に振る手間をかけるとか、

あるいは、

引き出した相手ディフェンスのその背後に、こっちのプレイヤーが入っていき、

そこを起点に、ゴールマウス中央にボールを持っていって、そこから撃つ……、

そういう工夫が、ほとんど印象に残らなかったのは残念です。

マトモに打てたシュートが、ありませんでしたよね。

失点から終了までは、20分近く残されていたので、やりようはあった、と思うのですね。

手こずりはしたが、決して、球際で劣ったわけでもなく、

また、つながらないパスワークが散見されたので、

きっと、ミスを糾弾するような浅薄な議論も湧き出るでしょうが、

それと、失点や敗戦を、原因と結果として、ひもづけするような内容でもありませんでしたから、

そんな箇所をつついてみたところで、生産的でも、ありゃしません。

……つまり、こっちのリズムに変調を起こさせたり、正攻法を発動させないようなやり方を採ってくる相手に対し、

では、どうやって、それを、うわまわる狡猾な(=賢い)手を、開発するのか?

折り返して、残りは、18ゲーム。

対処的なサッカーで押して来るチームはけっこうありますから、

そういった課題に、面と向かわないといけません。

今節は、コーナーキックなどセットプレイに、もっと相手を出し抜くアイデアを注入してもよかったか。

90分フルタイムを、走り切れているので、そっちの体力はいいとしても、

そこにプラスして、

90分間、途切れることの無い〈頭脳的な体力〉が必要なんでしょうか?

では。

剛直に押し込めるか (ヴァンラーレ八戸戦プレビュウ)

ひとつのデータ。

〈無失点試合率〉山雅 ☞ 26% (5ゲーム)  八戸 ☞ 32% (6ゲーム)

〈無得点試合率〉山雅 ☞ 11% (2ゲーム)  八戸 ☞ 47% (9ゲーム)

ここから、

両者、失点率はほぼ同等だが、得点力になると、断然、山雅のほうに傾くのがわかる。
(山雅が得点できなかったのは、対大阪、対福島の 2回のみ、これらとは今月のホーム、夏限定ユニで闘う日程!!)

では、八戸が攻撃していないの?、と思ったら大間違い。

攻撃回数は、リーグトップ。

シュート総数は、山雅(203本)がリーグトップで、

八戸は、リーグ10位(167本)、シュートはそこそこ打っている。

コーナーキック総数をみると、

山雅(114本)は、リーグトップ、八戸は、第7位(92本)。

さらに、

被シュート数では、八戸が、山雅より、ゲーム当り 2本ほど少ない。

要は……、

八戸は、カウンター攻撃を主体にしたサッカー。

反則数が、リーグ 4位であることは、ボール奪取に向かう強い姿勢を表している。

ゆえに、被ファール(怪我)はいやですが、

ボール際で及び腰になると、カウンターを発動されます。

ホーム(敗戦)の対戦では、

ヴァンラーレは、リードしてから、むしろ、攻撃圧や、強度が高まったことが強烈な印象だった。

……となれば、これはもう、アウェイチーム(山雅)が、よほど新奇な策に走らない限りは、

ボール保持が、山雅のほうに傾くのが、自然の成り行きなんだから、

こっちは、終始、ボールを握って相手ゴールへと向かい、攻め続ける。

八戸は、前後に速く襲ってくる。

ならば、それをうわまわる、隙のない剛直さを、青森の地で、披露するしかありますまい。

プラス。

セットプレイにますます磨きをかけて、ゴールをゲット。

このブログでも、4 – 3 – 3 の採用とその運用については、いろいろと議論してはいます。

が、システムは、そのサッカー思想と流儀を具現化するための、単なる〈奉仕者〉に過ぎず、

めざすのはあくまで、豊富な手法による攻撃的サッカーであること。

ここから、目を逸らすと、不毛な議論になります。

では。