山雅流に徹せよ (徳島戦プレビュウ)


〈あえて総括を……〉

3分の1を終えて、多分に印象論になるが書いておきます。

❶友人の奥さん曰く、
山雅の闘いぶりが、あっさり(失点)、淡泊(ボールへの執着心)なので、とても熱くなって応援できない。
―なるほどな、と思う。

❷例えば、Aチームと対戦する。
すると、そことの勝敗に、A対B、山雅対Bの戦績がそのまま反映することがほとんどだ。
となると、千葉に対して前節2 – 1で逆転勝ちした徳島と、千葉に 0 – 3を喰らった山雅が対戦すれば、これは、なんとも切ない結果になる……。

萬年の中では、対町田戦(7/29)が、ワーストゲーム。
連動性に乏しいから、ほとんどの局面で後手を踏んで、強みを表出できず。
町田は、李 漢宰と中島 裕希を帯同までして準備、このゲームへの執着心でも優っていたのかも知れない。


〈徳島の容貌とは〉

監督4年目となると戦術理解と練度の深化、これをまづ受け入れる必要あり。

前節千葉戦の前半を観る限り、グラウンダーのパスで最終ラインから組み立てていって、ロングボールは、サイドチェンジか、相手DF裏を急襲する時以外は禁じ手。
攻撃は、究極、サイドを崩して侵入してクロス、あるいはカットイン。

千葉が堅い陣形をベースにして前からボール奪取に来ても、巧みなパスワークでかいくぐって前に向かう。
どこか大分っぽさを感ずるが、かと言って極端に誘うわけでもない。

徳島の攻撃思想は、数撃ちゃ当たる方式ではなく、確実な攻撃でしとめることを重視する。
やたらむやみに走らない。
巧緻なパスで交わしておいて、ここぞで裏かサイドを獲っておいて、スピードアップ。
ボールをイーヴンにするような局面を極力避けるので、ルーズなボールは多用しない。
―考え方としては明快だ。


〈狩って、そして前へ〉

これに対しは、ソリッドな守備にあまりにも体力を使うこと、これには賛成しない。
要は、できるだけ前方の、どこでボールを奪うかをハッキリさせて、そのポイントに集中だ。
ここではボランチとインサイドハーフが汗を流す。

今は、攻撃の仕上げのところをクリアすべき山雅。

ならば、失点もある程度覚悟しておいて、前へ前へ、と割り切ろう。

進化途上なのだから、ゲームの中で回数(=量)を伴ったクオリティ向上、それを行なうしかない。

徳島のリズムを削ぐためには、ロングフィードなどで乱調を演出しながら、当方が仕掛ける側に立つ時間を長くした上で。

セカンドボールを回収して、サイドへ、そこの回数を増やせ。

システム採用をのぞいては、それほど奇策に走らない徳島であれば、なりふりかまわず自分流に実直に、これで行きましょう。

山雅流を削り出す、そんなゲームになれば、と願う。

では、アルウィンで。

ダラダラと誠実に。


Jリーグは25日、現行態勢でのゲーム開催を9月末まで延長する、と発表した。

上限5,000人の入場、不自由な応援が、少なくともあとひと月は続くことになった。

毎日途切れることなく各地で集団感染が報告されているのだから、
せめて先手で判断してダラダラと、リーグ戦をやり切ることに専念するのが、今いちばん誠実な行動だろうな、とは思う。

ホーム4ゲームは(おおよそ)いままで通り、アウェイ4ゲームは参戦No! の、9月の過密日程。

他方、とりあえずは一年延期の開催が決まっている、2020東京五輪。

選手/スタッフだけで数万人規模の来日、期間中の感染防止措置とその実効性の困難を考えると、COVID-19 の脅威が今のままである限り、開催など論外だ。
観客受け入れにも、めどは立つまい。

開催者は、まだ一年有るとダラダラ放っておくのではなく、開催可否に関する条件を、適時小出しにでもコメントするのが責任ある行動だ、Jリーグのように。

が、現実は、メディアはアスリート目線の、未練に訴える報道でお茶を濁し続け、責任ある地位の誰もが、この課題に対して口をつぐんでいる。

メンツはともかく、莫大なお金が動く催事であることが、決定すべての足かせになっているのはわかるが、それを避けて説明もなく無為に日を過しているので、ギリギリになってすったもんだの大騒ぎが、目に見えるようです。

開催可否を言い出したら、えらい責任を引き受けるハメになるから、猫に鈴をつける度胸のある者は現れない。

巨像化したプログラムはとかく機敏性を欠く。

せいぜい各国(エリア)開催によって、各ゲームの記録を集計して順位を決める、これくらいが関の山ではないか?

これからもオリンピックを続けたいのであれば、永久的に開催地を固定して、無駄な資金の費消と都市の疲弊をやめてしまえを持論とする萬年だから、
2020大会は、元来どうでもよい話だったんだですけれども。

では。

今季のベストゲーム! (2020.8.23京都戦レビュウ)

逆転はしたものの、アディショナルタイムで追いつかれて、2 – 2 のドロー。


けれども、ここまで、という条件付きながら、間違いなく今季の ベストゲームでしょう。

❶メンバー編成が、ひととおり出揃うことで、チーム総力戦の仕様が整ってきた。(怪我による離脱は、やむをえず として)

❷ピッチ上に在るメンバー組み合わせごとの、攻撃の形、とくに円滑なサイド攻撃の再現性が相当に高まってきた。
前 貴之はもっと自分を押し出すべき。
久保田、セルジ―ニョ、杉本が同時にピッチに居る時間帯は必要でしょうね。

❸アタッキングサードに侵入していく連動性(とパス精度)がかなり向上。
逆に、ひと手間省いてもいいじゃん、というシーンもあって、ひとつ前でシュートを打てる決断と工夫を加えるべき。
そのくらいの個人技はあるのだから、いまや。

❹橋内の復帰も大きいが、最終ラインの安定が格段に増した。

❺#10セルジ―ニョの2得点目と、初アシスト(MVPを逸したのはむろん痛恨)。

❻ツーボランチ、塚川と米原ペアに見通しがついたこと。
……、といった部分で光った好ゲーム。

勝利した福岡戦よりもはるかに収穫があったはずで、残りリーグ戦 3分の2 に光明が射してきた感があります。

対京都という側面でいうと、スピードと強度で上まわり、サンガの良点を削ぐほどに先手を獲れたゲームを進行できたことは、高評価。

さて、DAZNのシステム予想が見事に違っていて、実際は 4 – 4 – 2 を採用。
(実況では、キチンとした訂正はなし)

ということは、右サイドバックは大野 佑哉が担ったのだ。
大野については、ゲームを重ねるごとに落ち着きをみせていて、プレイにもビビり感が消え、昨夜の出来にはちょっと驚いた。
大卒生え抜きがひとり、漸く開花しようとしているのは心強い。
同年代の吉田 将也との競争激化は願ってもないこと。

これから、シュアなゲームをこなすためには、4バックも採用すべき局面があるから、サイドバックに厚みが増したのには価値がある。
(このリーグには、3バック採用のチームはかなり多いため)

最後に、あえて難点を言いますと、
守備に入った時、ここまではやらせるが、ここは決して割らせないを、その都度、カッキリと決めて対処することでしょうか。

瞬時の判断だからこそ、日ごろの準備が必要です。

そういう意味で、昨夜のMVPには、橋内 優也を推したいのです。

では。

手段を選ばないサッカーと (サンガ戦プレビュウ)


16日間で5ゲームを消化してきた夏の連戦も、今節で一区切り。

気がつくと、リーグ戦も 3分の1 を消化する。
残りは、 3分の2 なのか……。

サンガスタジアムby京セラ への遠征は、今季いちばんの楽しみだったが、残念。
海老茶色の阪急電車も懐かしい。

〈サンガは手段を選ばない〉
さて、前節の対新潟戦をすこし観た。
そのサッカーは、ザックリいうと、
目的のためには手段を選ばないサッカー。(もちろん、良い意味で)

3 – 3 – 2 – 2 のシステムを採用。

守備の時は、5 – 4 – 1を形成し、左右サイドバックが猛然と出てきては、ボール奪取の起点を作ろうと連動する。

テクニカルかつ俊敏にパスをまわしながら、最終ラインやボランチから果敢な縦パスを通して攻撃を発動。

かといってボール支配にこだわるでなし。

前線にボールがはいると即、前を向いてゴールに向かい、どこからでもシュートを放つ。
ゲーム当りのドリブル回数は、リーグ 2位だ。

チームトップスコアラーのピーター ウタカはここまで 10得点、これは山雅の総得点と等しい。

先手先手の局面の中プレイするから、ファールが少ない。
(反則ポイントの少なさは、リーグ5位)
……、といった容貌。

つまり、手段を選ばない、の真相は、
チームとしての決め事はあるんだろうけれど、それを感じさせないほどにどこからでも、どこを使ってでも、場面場面の最適な手段を瞬時に採用して、攻め上がる、というスタイルのこと。

みずからのサッカーを、どうのこうのと定義せず、ボール長短、パス長短を窮屈に規定することもないがごとくに、ゴールに向かう。

なんと新鮮で、自在なサッカーではないか。

これを、安藤 淳のキャプテンシイ下でやっていた。


〈総力戦ができるサンガ〉

さらに、新潟戦は、前節から先発を9人変えて臨み、アルビレックスを翻弄して自分のサッカーをさせなかった。(結果は、先制したものの、1 – 1のドロー)

誰が出て来てもおんなじサッカーをやる見本で、これには驚嘆。
チームとしての意思統一がゆるぎないあかし。

〈あれもこれもでは 墓穴を掘るぞ〉
毎度のことになるが、相手の出方にあまりに対策的、かつ、ナーヴァスになったってしようがない。

我が強みの発揮に集中すべきでありましょう。

今や、山雅の強みとは、相手の力を削ぐ、相手の弱みを最大化することではなくて、いま在るタレントと連携を最大限に表現して攻撃を仕上げること、に変転しているのでは?

具体的には、京都3バックの両端のスペースに、こちらのサイドバックが何度侵入して、どれだけのクロスを浴びせられるのか。
あとは、中盤の、ボランチのところでボールの回収と奪取で先手を取れるのか。

―これくらいを徹底して、前を向いてボールをさばく時間を長くすること。

消極的なプレイはとにかく捨てて、果敢に挑む道を選ぼう。

上手くすれば、勝利の女神の前髪くらいは、つかめるかも知れない。

では。

順当な敗戦 (2020.8.19ヴェルディ戦レビュウ)

後半60分過ぎになって失点が積んだ結果の、0 – 3 の負け。

―もう、スイッチ切らない?
と家人が言うも、ゲーム途中でスタジアムを抜け出すようなことはできません、と思いつつ、画面を眺めていた。


註: ヴェルディの旧エンブレム

〈予期せぬ勝利を望んだが〉
「守備に徹し、より長く耐え続ければ、ひょっとしたら勝ちが転がり込む」とプレビュウに書いたが、まるで、それをなぞったような展開。

ボール保持率は、70:30くらい、はもちろん織り込み済み。
(観ていて心地よくはないがね)

後半の後半になって、陣形がルーズとなり、守備が硬直化したところを次々と衝かれた。

前々節ヴェルディは、福岡に3 – 1で勝ち、山雅はその福岡と前節やって、やっとこさで 1 – 0 に持ち込んだ。

以降、山雅の戦力と戦略事情、そのクオリティにはそれほど変化はない。

となれば、策が実らずにヴェルディに混乱を与えられなければ、3失点は覚悟する、ってのが萬年式予想だったわけ。

 

攻撃では凡戦、力尽きて敗戦、と潔く認めてしまったらどうか、と思っている。

〈不発に終わった対策
キッチリと守備網を敷いて、粘り強く反転カウンターを狙う。
前半は、これに終始。
トップ3人、セルジ―ニョ、アウグスト、杉本、この3人が時折ポジションを変えながら守備に汗をかく。―  想定通りの進捗でした。

後半開始から、フレッシュな3枚を投入して、より攻撃的なサッカーに転換。

すると、ヴェルデイのボール保持にかげりを生じさせ、ヴェルディ陣内へ押し込んでいく場面も増加した。

こういうシフトチェンジは、山雅の力量と相手の混乱と修正力からして、だいたい15分間が有効、というのが、いままでの傾向値。

なので、この時間帯に得点を、というのが山雅陣営の目標だったはず。

要は、この策が叶わなず、攻撃が尻すぼみになったこと。☜ここが最大敗因。

あぁなれば、あぁなるわな、という順当……。

そういう意味で、現状山雅サッカーの出来不出来は、まっこと、わかりやすい。

〈カードの配置について〉
さて、このギアアップ策は認めるにしても、出し入れするカードには (準備も含めて) 疑問が残ったので、それを書きとめる。

ボランチには、塚川を残し、昨夜は米原を投入するか、あるいはアウグストを当てるべきだったと思う。
要は、攻撃的な守備ができるカードで臨まないと、ヴェルディの中盤と張り合えない。
(塚川の被カード、アウグストのフィットの問題は棚に上げたうえで言う)

サイドバックは、前半の出来からすると、前 貴之を右に持ってきて、高橋 諒を左へ投入する。
その場合は、鈴木 雄斗は右シャドウで中央寄りに使い、和音君をシャドウの左に入れる。
この時、もし杉本を残すのなら、彼をボランチへ、という策も準備しておくべきではないか。
攻撃に打って出るのなら、その前段としてボール奪取に長けたボランチは必須だ。

〈お手軽に 結果を望むな〉
力量と戦術構築の深まり度からすれば、予期された敗戦と割り切り、手をつけている部分を完成に持っていく、この作業を続ける、これしかない。

ヴェルディの永井さんにしても、昨季チームを立て直す格好で就いてから1年かけて錬成してきての今があるわけで、前職がユース監督であったことの成果を、新人投入によって味わいはじめていらっしゃる、と考えよう。

トレーニングマッチが組めない中、登録プレイヤーの試行と見極めはかなりむづかしいはずですが、選手起用に関する布サッカーの方向性は、これを支持しております。

なお、 前節のような勝利があると、〈山雅らしさ〉の言葉でやや精神論過ぎるところへと話しが向かう。

こころの件がどうでも良いとは言わないが、その根拠はあくまで、取組内容の(考えることを含めた)量と質を増すこと、これに尽きることを忘れてはなりません。

では。