アルウィン凱旋の日は近し。

2020天皇杯がらみの話は続きます。

準決勝のひとつは、フロンターレ vs ブラウブリッツ秋田 だった。

ハイライト動画を観ただけだが、まったく予想通りの展開。

力の差を前に、相手の攻撃を凌ぎ切ってから反転の攻め、という立場を採らざるを得ない秋田であったけれど、守備網を衝かれて、ゴールネットを2回揺らされる。0 – 2。

けれど、被シュートが14本、こちらが放ったのが 7本、というのはそれなりに喰い下がった結果だ。

秋田イレブンにとっては、2021シーズンに向けて、上出来なトレーニングマッチとなった、と割り切れば良い。

で、あと2箇月もしないうちに、山雅にとっては、秋田と対戦するスケジュールが確定してくる。
J3の戦場を、圧倒的な戦績(21勝10分3負)で席巻した、その秋田と。

中村 亮太、谷奥 健四郎はともに、契約を更新(12/31)。
久富 賢にも、そう願いたいところ。

そして、彼らが何年かの時を隔てて、アルウィンのピッチに踏み出す姿を眼にしたいものだ。

まるで、リユニオン(同窓会)のように再会を喜びながら。

(オフコース臭のしないオフコースの曲を聴きたいものだが、なかなか探せなくて苦労します)

では。

どっちも本当 の説 (2020 トップリーグのこと)

天皇杯決勝が魅せ場なしだった、というのはチト表現が違うかも知れない。

シュートを27本放ったフロンターレと、同7本のガンバ。
さらに、ペナルティエリア侵入のあかしであるコーナーキックは、川崎10本、に対しG大阪は、1本。

このスタッツだけみても、ゲーム観戦の興味がどこら辺にあったのかが、推量できよう。(萬年は、ハイライト映像で済ませた)

要は、ガンバは相手の引き立て役に過ぎず、ゴールキーパーはやたら多忙。
フロンターレからすると、あれだけシュートを放ってたった1得点は、スイマセンだろうか。

いやいや、これだけのパフォーマンスしかのガンバが、やはり御免なさい、のはず。

結論。
エンペラーズカップ決勝は、単に、トップリーグツートップの力関係を証明するゲームであって、フロンターレファンからすると、歓喜のゲームだった!

昨日職場で、ソネさんに会うと、
―昨年のJ1って、川崎が強かったと言われますが、他チームが不甲斐なかったのかも知れませんよ、との論評。

2位のガンバに、20点近い勝ち点差をつけてペナントを獲った川崎かぁ。

天皇杯の決勝結果からすれば、やはり、フロンターレは断トツだった、と思えてくるのです。

けれど、他方、下位3チームをみると、その勝ち点が、28、28、27。
その上の、15位 横浜FCにしても、33。

一昨年の山雅(17位) でさえ 31点だったことを思うと、これらは、一体なにをやっていたのか!、ということにはなるでしょうね。

ということは、トップと最底辺のチームとの序列格差は、マスマス強まった、ということでしょうか?

お金の多寡はもちろん、対外トレーニングマッチもできないのでは、クオリティの高いチームがますます有利か。

ところで、志知 孝明は今回、横浜FCからアビスパに完全移籍のもよう。

できれば、来年トップリーグでまみえたいものです。

では。

高校サッカーにリアリズムを (松本国際vs京都橘)

高校生によるスポーツはこうあるべき、という決めつけを、どこかに隠し持った実況/解説が、鼻持ちならなかった、というお話。

大晦日に行なわれたこの一戦。

挨拶がてらやって来た息子たちと、画面に背を向けてゲームに興じながら、ただTVをつけていた、という熱のなさを、まづはお詫びしたうえで、すこし書いておきます。

端緒は息子が指摘したことなんですが、
この大会、各出場チームが日ごろ、どこのリーグで戦っているのか、という視点がほとんどない。
ゆえに、実況や解説に、そういった説明や切り込みが皆無。

〈大人〉チームの大会ならば、参加ディビジョンは明確に提示される。

JFLとか、J3、といった所属リーグがわかっているがゆえに、その区別を裏切るようなプレイや勝敗に、おおく興味が湧くのだ。

県(あるいは地区)代表による、横一線、よーい!どんの、ノックダウントーナメント、という形式であっても、サッカーであるかぎりは、そういった視点は当たり前だろう、と思う。

サッカーを楽しむには、チーム力量をあらかじめ含んでおかなければ、とても浅薄な観方になってしまう。

特定のプレイヤーに対しては、某Jリーグチームに来季加入内定、とかうるさいほど言うのにネ。
ならば、同様に、大学なり社会人チームへの入部内定もわかる限り調べておけよ、ってんだ。

すべての高校チームは、最上位に東西のプレミアリーグ(各10チーム)、次に、全国9つの地域プリンスリーグ、その下に、各都道府県リーグ、といったピラミッド型に組み込まれていて、その階層の中、しのぎを削っている。

(リーグ成績によって、その間に昇降格がある)

たとえば、京都橘高は、〈スーパープリンスリーグ関西〉に在って、今季の成績は、第6位。

このリーグには、14チームが属し、JリーグU-18が3つ、高校11つの編成。

上位からたどると、セレッソ大阪U-18、東海大付属大阪仰星、履正社、ヴィッセルU-18、阪南、そして京都橘、次には、興国、大阪桐蔭……、と続く。
まぁ、聞いた覚えある錚々たるメンバー。

他方、松本国際は、長野県リーグの1部に在って、今季は8チーム中の第8位。
このリーグには他に、成績上位より、都市大塩尻、松本第1、上田西、長野パルセイロU-18、松商学園、東海大諏訪、長野日大が所属。
(ちなみに、県リーグは、1~4部で構成される)

リアルな話、松本国際の諸君は、相当な力量と経験差を前提にしてゲームに立ち向かった。

ゲームを3分も観ていれば、彼我の出発点は、明白ではあった。

国際は、どうだろうか、パスを3回を超えて続けることができず、ことごとく橘のディフェンス網にボールが回収される。

こうなったら、果敢に橘最終ライン(おそらく3バック)の裏を突けば?、とは思うが、戦術として錬成していないのか、あるいは、向こうの攻撃圧の前に屈してしまったのか、なんとも。

結局、多彩なフィニッシュで、0 – 6 の敗戦だったのであるが、もしも、他流試合を申し込んだなら、相手は、セカンドかサードチームで対応してくるような世界なんだから、この結果に下を向くほどのことでもない。

まぁ、こういっている大人より、当事者たる高校諸君生のほうが、ずっとリアリストであって、力量さをキチンと受け止めて明日に向かっているんでしょうね、きっと。

高校サッカーに、ウエットなまなこではなく、乾いたリアリズムで接す。

見どころに欠けた天皇杯決勝に対するのと、同じ視点で。

では。

『捲土雷鳥』の体現 (2020シーズン振り返り)

 

リーグ戦の幕が下りてから、10日が経った。

〈捲土雷鳥を求め続けたシーズン〉
今は、年初に定めた合言葉を、なんとか示してくれた我が山雅であった、と総括している。

トップリーグへの返り咲きという目標が、たまたま途中で、指導陣交代と前期の苦境からの挽回、というように再設定されたんだが、〈捲土雷鳥〉のこころは、それなりに全うできた、のではないか。

失敗や事故をいかに切り抜けてみせるかこそがプロの仕事、と思っている萬年からすれば、現指導陣とプレイヤーは、プロフェッショナルであることを証明してくれた。

そのことを、誇りに思う。

〈捲土重来のあかし〉
たとえば、リーグ後期だけの戦績をみると、山雅は、第5位だった。

前期が19位であったから、その改善度を、19 − 5 で、〈14〉で示す。
これは、リーグ22チーム中のトップ。
以下、山形〈13〉、群馬〈12〉、琉球〈7〉、水戸〈5〉と続き、これらが挽回度におけるベスト5。

参考までに、失速度のワースト3は、北九州〈▲18〉、京都〈▲12〉、町田〈▲10〉。

(もちろん、徳島〈0〉、福岡〈3〉、長崎〈0〉の変動の少なさは立派。
これは、年間を通じて安定してトップ競争をしていたことの証拠)

〈挽回の手法とは?〉
柴田氏は、布さんが打った碁盤上の布石を、ご破算にすることなく修正をかけていく方法を選択した。
(過密日程では、スクラップ&ビルトの余裕もなかったはず)

❶相当なクオリティーを有するプレイヤーを集めた、ということを大前提にして、各個の強みを引き出すような布陣と戦術を採用した。
つまり、個を組織戦略の中へと縛り込まないような、やり方。

❷テクニカルな人材を有する中で、攻撃は、ショートカウンターにフォーカスして、人とボールの動かしを、出来る限りシンプルなものへ整理した。

❸そのために、守備面で、より前線からのディフェンスを構築。
ボールホルダーへの圧力のかけ方のルールと意思統一を徹底したことが、ひとつ。
ふたつめとして、ボランチ(相手攻撃の狩人)的資質と経験を持つプレイヤー(杉本、塚川、前) を高い(2列目)位置に置く布陣を採用。

❹最終ラインは、若手を使い続けるとともに、経験とスピード(橋内)を加味して強固なものに。同時に、守備時の決まり事を明確にした。

❺前と後ろを結ぶボランチに佐藤を配することで、攻守切替えの鋭さと、活発なボールの動きを導入した。

……ゲームを観続けた者としては、これぐらいが目についた内容であるけれど、これらがさいわい巧くチーム内で機能したのだと思う。

さらに、久保田本人の努力があったとは思うが、長期間ゲームから遠ざかったプレイヤーを抜擢して使い、その彼がアシストの仕事をしてみせる、という采配の見事さを特記しておこう。

〈変わるべき 山雅らしさ〉
このカイゼンを、山雅らしさが戻った、というような感想を聞くことがあったが、もともと〈らしさ〉も定義されていないし、さらに、プレイヤーのクオリティーがここへ来て格段に向上しているから、〈らしさ〉さえも変わらなきゃならないはず。

ゆえに、回帰うんうんの意見には、同調できないし、したくもないのがホンネ。

さてと、ここまで挽回してみせたところから、来季の模索が始まっていくという前提、つまりは、〈捲土雷鳥 第2章〉が続くという覚悟で、プレイヤーの出入りを楽しみながら、暮らしましょうか。

では。

中途半端は、最悪。

今年の、第100回天皇杯には、そんな感想をもってしまう。

この大会、いちばんの眼目は、アマ、プロ問わず、JFA(日本サッカー協会)に第1種登録されたすべてのクラブに、出場機会が開放されていること。

ところが、COVID-19禍によってJリーグの日程が変則、過密になったためか、
Jクラブの参加を、J1の1、2位と、J2およびJ3の優勝チームの、4クラブに絞った。

で、秋田と徳島は準々決勝から、川崎とG大阪は準決勝から出場し、
結局は、トップリーグのツートップが、決勝(1/4) (1/1) に残る。

大会には、優勝チームにACL出場権が与えられるという規定があるので、なんらかの形でJクラブを関与させる必要をやりくりするための開催要領だったんだろう。

でも、どっちつかずの中途半端感が、否めない。

そもそも全クラブの参加を否定した時点で、既に大会の本義は消えてなくなる。

であるならば、萬年的には、ACL出場権獲得規定は凍結しておいて、Jクラブを不参加にすべきだった。

そうすれば、JFL以下に属する全クラブの日本一を競う大会となるから、かなりスッキリしたと思う。

主催者としての責務なら、Jリーグは、他にいかようにでも果たせるだろうに。

天皇杯だからこそ、スッキリと上手く生きのびてもらいたいのだが……。

ついでに言っておくと、山雅の歴史(2009年対浦和戦) を忘れているわけじゃあないが、下位リーグのチームが上位に一矢報いることにばかりフォーカスする姿勢は、どうも好きになれない。

では。