今こそ 馴れるな! (2020.7.15水戸戦レビュウ)

勝っておかしくないような個のクオリティと練度。
そこに達しつつあるがゆえに、0 – 2 から引分けに持ち込んでも、もはや、手放しでは称賛されない、山雅。

継続してウォッチしているファンサポーターであれば、昨夜のゲームにそんな感想を持ったのではないか。

〈完璧に近いゲームプランだった〉
前半40分までの出来は、決して悪くはなかった。

0 – 0 でハーフタイムを迎え、後半の頭から前線を刷新する。
そうすることで一気にギアを上げて、水戸を突き放す。

―こういう青写真であったのならば、過密日程の中、なかなか考え抜かれたグッドプランだった、と思う。
準備されたカード、阪野、セルジ―ニョ、杉本、&イズマは、まったく見事に機能していたのだから。

ところが、である。
前半終了間際に立て続けに2つの失点。
これによって、交代と布陣の変更は予定とおり実行されたけれども、勝利が手からすべり落ちた。
特に2失点目が、致命的で、これこそは要修正点。

〈開発された成果の いくつか
❶このゲームのMVP  塚川 孝輝。 
後半からは、最終ラインに吸収されるようにして、4バックの一角を担う。
DFとしての守備をこなしつつ、ボランチとして後方からゲームを創るミッションをこなす。
結果、1アシスト(セルジ―ニョへのロングパス)1ゴールを挙げたゆえに。

❷左サイドも難なくこなせる  鈴木 雄斗。
後半から左サイドバックに回り、山雅レフト攻撃の一角を成した。
失ったボールを再奪取するひたむきさ、果敢なサイド侵入で、1アシスト(塚川ゴール)。

❸超攻撃的なバランチ 久保田 和音。
イズマ投入によって、それまでの右シャドウから下がってボランチをこなした。
ピッチのどこにでも顔を出す勤勉と、テクニカルなボール捌きで90分間動き回り、運動量の衰えを感じさせない。

……、チームとしては、セルジ―ニョ、杉本、久保田が同時にピッチに送り込まれた場合、J2リーグではトップクラスの、脅威的左サイド攻撃が実装できること、これを証明したわけだ。
事実、水戸の右サイドを圧倒していて、他チームもここの対策に追われるだろう。

さらに、後半に形成された4バックは、どこからでもキラーパスが前線に供給できる体勢を創出、これも今後の光明だ。

で、最後には注文。
コンパクトな陣形とは、同時に、後方に広大なスペースを背負うこと。

パスミス、トラップミス、アバウトなボールの処理、それが相手のカウンターを発動してしまう危険なシーンがまだまだ多い。
力量差からすれば、対戦相手のほとんどは、カウンター攻撃に活路を見いだすに決まっているのです。
アルビレックスやホーリーホックのように。

リスクすべてを排除することはできないが、それを致命的なものにしない連携面に磨きをかけること。
それを望みます。

J2の水に決して馴れるな、雲り空の向こうに、光を見つめよう。

では。

練度で圧倒せよ。 (水戸戦プレビュウ)


※なんでエンブレムに龍?、と思って調べたら、水戸光圀のあざな〈子龍〉にちなんでいるのか。

〈水戸こそ 新生〉
一年リーグを留守にしていたこともあって、ホーリーホックについちゃあほとんどわからん、がホンネ。

監督は変わり、レンタル組もほぼ去って、ここ2年間の隆盛(昨季は7位)が退潮した感は否めない。

2019年最終節の先発メンバーのうちで、前節山形戦に出場したのは GK松井とDF細川のふたりだけ、というのがそれを物語る。

前半30分くらいまでを観て、予習した。

水戸プレイヤが出足の良さで優り、決定機も作っていて、こういうのを〈勝てた試合〉というんだろう。

これのみでチームの本質など到底つかめないが、着眼点をすこし記しておく。

❶3 – 3 – 2 – 2 のシステムを採用。ワンボランチ(安東 輝!)。
で、守備にまわった時は、サイドバックと2列目が一段後方に降りて、5 – 3 – 2に変容する。
こうしたのは、山形の3 – 4 – 2 – 1対策であったどうかは不明。
ただ、秋葉新監督は、対戦相手によって、なんらかのテコ入れをするタイプ、とみた。

❷目についたプレイヤー
◉右サイドを快速ドリブルで再三えぐった #27 松崎 快。
東洋大卒のルーキーだ。
水戸というチームであるからこそ、使われて化ける可能性あり。
大然のように。

◉屈強かつ他者も活かせるFW #9 中山 仁斗。ジュビロ在籍の昨季、ルヴァンGSの対戦で2得点された苦い記憶が蘇る。

◉センターバック真ん中 #4 ンドカ (浦和東高卒、加入3年目)。
特に、最終ラインからのボールフィードの質に驚いた。
ひとつ前のボランチあたりでやったら、やたら脅威を増す感じ。

〈ゲームのポイント〉
❶両者ともに前節から中3日、再び、中3日で19日にゲーム。
となると、プレイヤー疲弊対策で、かなりターンオーバーするだろう。

かつ、相手システムへの対応に積極的、となれば、先発の布陣に注目したい。

個人的には、ピッチに比較的均等にプレイヤーを配置する 4 – 4 – 2 をお奨めしたいけれど、DF離脱による手駒不足によって、やはり3バックか。

❷コンパクトな陣形で高い位置から圧力をかけ、ボールを奪取、有機的にボールを動かし、ペナルティエリアに侵入する回数を増して、トドメ。
―このスタイルは不変。あとは最後の仕上げのクオリティのみ

❸水戸は山雅最終ライン後方に広く生じるであろうスペースを狙い、人とボールで侵してくるはず。
たとえシュートまでいかなくとも、クロスのクリア等で、コーナーキックを獲りたいだろうから。

すると、データ上から、今季全失点がコーナーキックからという山雅 vs コーナーキック数がリーグトップの水戸、という構図が浮かぶ。

システムにかかわらず、相手のツートップとサイドプレイヤを縦に走らせない方策が重要だ。

レンタル移籍契約のため、安東 輝に会えないのは残念。

まさか、ンドカがボランチなのか?

では。

新潟戦レビュウ 追加 (翌日談)。

ゲーム翌日の萬年周辺では……。

〈その1〉
職場で山雅課長と挨拶したら、
―萬年氏には会いたくなかったんだよなぁ。がっかりを思い出しちゃって……。

―まぁまぁ、課長。
魅せるサッカーだったですよ、山雅。

〈その2〉
また、同僚と、

―昨日の結果は?
―はぁ、敗戦です。
しかしですよ、山雅がボールを保持する側にまわり、対して、アルビレックスがカウンターを狙う、なんてことは、つい数年前には想像もできなかったんですから。

―とにかく、山雅の悪口は決して言わないもんね、萬年さん。

〈その3〉
家人に、かつての同僚よりラインで、

―昨日はがっかり⤵
力が抜けました~
悪くはないけど得点に繋がらない。
セル&息吹さんはそろそろ休ませないといけないし……
(水)には水戸戦が。
新生山雅を見守るしか出来ないけど……

(※これに対し、家人は、主審の笛が偏向したと返信した)

すると、また、
―群馬戦購入しました!?
思ったより売れてる。
シーパス使えるまではダゾンです。
記念ユニNo.55で注文しました。
久々のユニ購入です。との返事。


こういう会話を妙齢のご婦人がふつうにする。
しかも、萬年レビュウの数倍の濃さで。

松本はもはや〈蹴都〉

では。

敗れても 魅せる (2020.7.11新潟戦レビュウ)

ちょうど2年前ぶりの対戦は、0 – 1 の敗戦。

実力が均衡しているためだろうが、引き締まったゲームになった。

前半、主導権を握りつつあった時間帯に1点を失う。すると主に心理の綾からか攻撃が退潮する。
後半、ふたたび持ち直して攻撃を繰り出すがチャンスを活かせず、アタイムアップ。― ざっとは、そんな流れ。

守備面で破綻したわけでもなく、ハイプレスとコンパクトな陣形は身につき、
かつ、ボールを能動的に横と縦に展開してゴールに迫る戦術カードも豊富になった。

実際、ゲームでは、ペナルティエリアに侵入する連携、ハッとさせるアイデアを随所におおく魅せてくれた。
(リーグにおいてペナルティエリア進入回数は、山雅はトップクラスのはず)

このスタイルをトコトン追究し磨いた先に、捲土雷鳥の光があることは、間違いない。

これから中3日の過密日程となるので、コンディショニングと、サッカースタイルに見合った、その時々の登録メンバーの顔ぶれが楽しみだ。

藤田、森下が特に安定した働きをしたと思うが、ふたりの高木(利弥、彰人)に期待が膨らむ。

(あとは、高橋 諒や外国人プレイヤーの動向が気になりますな)

ところで、DAZNの解説者、梅山 修氏の語り口にはひどく感心してしまった。

抑揚を抑えた穏やかな口調、口数が少なくも、適宜に納得性のある言葉。

ひょっとしたら、今ゲームの最大の収穫は、梅山氏を発見したことか。

この御方、昨年はアルティスタ浅間のヘッドコーチ、現在はクラブアドバイザーでいらっしゃるんですね。

では。

 

 

リーグ成立を 悲観的に考えておく。

第4節からはスタジアムに、生身の観客が戻ってきて(5,000人が上限)、世間の動きを見まわしながらゲームが消化される。

が、もっと先まで見通さないとならぬ。

規約によると、リーグが成立する、つまり最終順位が確定する要件は、
年間予定総試合数の 75%以上、かつ、すべてのクラブにつき年間予定総試合数の50%以上が開催されること。(第40条の2)

COVID-19ばかりに目が行きがちだが、豪雨や台風の自然災害、さらに冬にかけてのウイルス再活性など、まったく予断を許さない。

となると、42ゲームやって最後に笑え、なんて悠長な話はなしだ、今季は。

急に打ち切り、かも知れません。

リーグ戦の半分を過ぎるあたりで、そこそこ上位を固めていないとマズイ。

すると結局、10試合やって上々のスタート!、が求められる。

開幕早々から、ゲーム勝敗の一喜一憂が、例年よりかなり重くなるのは、けっこうシンドイ。

楽しむしかないが。

では。