秋田よ 秋田。(2021.8.09 秋田戦レビュウ 前篇)

註: ブラウブリッツ戦レビュウは、3回に分けて掲載の予定


ゲーム後の帰途、立ち寄ったコンビニ。

ブラウブリッツサポーターのご家族と遭遇。

― (勝ち点3だけでなく)花火もプレゼントしちゃいましたね。
秋田の美味しい酒をお土産にして、祝杯をどうぞ。(とくやしそう)

―いやいや、今夜は、たまたま勝てただけですよ。うちは、これからが勝負です。

ファンサポーターの交歓は良きもの。

無念さも喜びも、かようにオブラートに包んでやりあいたい。

左党でない僕は、残念ながら秋田の銘酒は味わえないけれど、秋田駅前のスーパーで購った、ハタハタの干物といぶりがっこで明日の朝食を楽しむんだ、と自分に言って、一路、山形/新潟をめざした次第。

ブラウブリッツ秋田の、2021スローガンは、秋田一体

また、竜太朗が大きくフューチャーされたマッチデイプログラム表紙には、
AKITA  STYLE 【誠実・献身】【躍動】【粘り強さ】【挑戦】、とある。

ゲーム前のアンセムとして、スタジアムには『秋田県民歌』が流れ、

さらに、ゲーム後監督インタビュウは、戦術的な事がらは極力簡略化しておいて、ファンサポーターの支援に報おうとする姿勢を強調する。

要は、この球団は、その存在価値を地域への還元に見い出そうとする理念に徹底していて、地方におけるクラブの生き残りを、地元の民との密着に求めている。


この点は、まったく我がクラブと軌を一にしているわけで、ゲーム云々を超えたところでも、互いに健闘しようではないか。

もちろん、クラブ存在価値の溌剌と拡散とは、仕事で成果を出し続けること、つまりは、上質で熱いゲームの遂行に多く負っている。

〈チームが本来いるべき位置で戦っていること〉が、決め手と言えるだろう。

昨夜の観客は、(アウェイ側330人を含め) 3,700人で、これは、今季2番目の多さだった。(1位は、第13節ジュビロ戦の3,900人)

中断期間の渇望感を満たそうとするファンサポーターの熱気が大きな後押しとなった数字だと思うが、このチャンスに、1 – 4 の惨敗はたしかに痛かろう。

けれど、地域に根差すクラブを目指すには、これも乗り越えるべき試練、と我がチームの足跡を振り返りながら思う。

では、山雅は?

たといアウェイの地にあっても、ホームアウェイを問わずに、観る者すべてを魅了するゲームをやり続けなくては、と感じた夜でありました。

では。

変えざるべきこと (秋田戦プレビュウ)

スペインU24について、いまだに、考えています。

あのチームの容貌は、24歳以下の俊英を集めてつくった、ではなく、A代表のなかから24歳以下のプレイヤーをチョイスした、そういったもの。

だから強くて当たり前とも、日本代表に比して格が違った、とか言いたいわけでもない。

このチームが目指したものは、相手との比較の中にはなく、自分たちの技量をベースに、自尊するスタイル、やり方をひたすら追求することにあった、それを言いたいのです。

年齢構成とはまったく無縁の、彼らが自認するスペインサッカー、がそこにはあった。

たとえばそれは、ボールを、彼我でイーヴンにするような状況を徹底的に排除するサッカーだ。
繰り出すボールの長短におかまいなく、常にボールを我が支配下に置きながら攻撃を組みたてる。
だから、サイドに展開して深くえぐっても、簡単にはクロスを投じて来ない。

単純なクロス投入は、敵味方が半々に競り合うシーンを作るだけで、ゴールへの確実性を低下させるから。

こういうのを、人によっては、ボール支配を追求したサッカー、と言うんだろうけれど、そういったこだわりに忠実な分だけ、わかりやすくて、ある意味、予測可能だった。

日本がつけ込むとしたら、予測に基づいて、スペインの定常性を乱すことで、リズムをこっちに持ってくるしかなかったように思うけれど、ボールホルダーに寄せる際の連動性、それと、相手を !!!っと、混乱させるような技量にいまだ不足していたのだろうか。

あるいは、まづはボールを持ってもらうところからスタート、という手順に忠実過ぎたのだろうか?

……、わけもわからんことを長々、と思われる向きもあるかも知れない。

長い中断、新監督の思想/戦術浸透、復調者、移籍加入などをそっくりほうり込んで、さぁ、となった時、先のスペイン代表にみられたような、新山雅としてこれだけは決して手放さないという〈スタイル〉とは何か?

それが立ち現れるのが、ここ(秋田戦) から 2~3ゲームだろうな、と踏んでいて、
それへの期待と選手起用の謎解きとが、ブラウブリッツ戦プレビュウのすべて、というのが、もったいぶっておきながら、最後は、まことにプアな結論なんであります。

久富、中村、飯尾、谷奥といった、かつて山雅でメシを喰ったプレイヤーに目がいきがちですが、
僕は、コーチ 臼井 弘貴氏(元山雅U18監督/コーチ)、サポートコーチ 熊林 親吾氏(元ザスパ、秋田)、の手腕に興味津々、一体、どういう策をチームに落とし込んでくるんでしょうかね?

では。

サッカーのある日常に戻ろう。

リーグ戦の再開が、あと6日後に迫った。

ゲームごとに、一週間が刻まれていく日常生活が、ようやく戻ってくる。

その嬉しさを味わうためにも、あえて吐き出すことで、この不快を葬ってしまおう。

対ニュージーランド戦を延長戦の前まで観た限りでは、相手のシステム変更にぜんぜん対応できず。

引き分けに持ち込んだニュージーランドの手腕を褒めるべきなんだろうが、ほとんど無策の、魅せ場に乏しいゲームでした。(U24日本準々決勝)

ところで、サッカー無知を自称するジョー氏によるなでしこ評(対スウェーデン戦)とは、巧いし、けっこうやるじゃん、日本。体格差はどうしようもないが……、というもの。

確かに同点に持ち込み、逆転の芽もあったという点で、そこそこの健闘だった。

ともに予選リーグを突破。
面白くもないゲームをPKでようやく切り抜けたU24と、果敢に格上を追いつめながらも地力差に涙を呑んだなでしこ、と。

両者にそれほどの違いを認めたくない僕なんだが、世間の扱いがずいぶんと違うのには唖然となる。

これは、日常、それぞれのリーグにそそがれる関心とお金の、大きな落差に正比例していると言えるだろう。

で、なでしこについては、元なでしこだった連中がやたらと苦言を呈した。

かつてトップを獲った者の発言は、それなりに尊重されてしかるべきとは思うものの、では、この人たち、この10年、サッカー界からまったく足を洗っていたのか。

サッカーでメシを食ってこなかったのならまだ許せるんだが、いままで影響力を持っていたのならば、なでしこをサポートする仕事の実際はどうだったんだ?

業界のしがらみの中、口出し手出しができない事情もあったのかも知れぬ。

けれど、敗退後、批判的コメントを採りにやってくるメディアに、待ってましたとばかりに応えるのは、なんだか、仁義にもとるしわざに思えて仕方がないんです。

望むことではありませんが、もしもスペイン戦で敗北しても、同様のU24叩きは見聞したくありませんね。

では。

再び、U24日本のこと (フランス戦など)。

そもそも、今回のフランスチームの全容も知らず、したがって、そこを日本が 4 – 0 で下したことが、どれだけのことなのか測りかねています。

たしか、フランスは予選リーグで、メキシコに 1 – 4 で敗れている。
失点しだすと歯止めが効かない何かが、チームに内在したんだろうか。

まじめにゲーム観戦もせず、ハイライトでお茶を濁すのはまことに恐縮。
が、それでも、感じることをいくつか。

❶なんだかんだ言っても、プレイヤーの選択肢を試す時間と智恵を、それなりにかけて来た首脳陣の仕事を評価すべき。
ということは、試されて振るい落とされたタレントがやたらと多い現実も忘れちゃあならぬ。

その過程で、For the Team、というところへとチーム内意思を統一できたことが、果敢に汗を流すチームを創った最大要因ではあるまいか。

俺が俺がの造反分子を許していない感があって、現下、チーム内不和は聞こえてこない。

❷2016年リオ大会におけるオーバーエイジ枠は、ホント仕事をしなかったけれど、今回は対照的にグッジョブ!

前線に豊富なタレントを擁すという事情もあるが、中盤と基底のセンターラインが安定しているので、攻撃にかけるエネルギーを存分に引き出せている。

❸前線では、かつてないスタイルのフォワード像が創られつつある。

上田や前田は、前方に張って得点チャンスをうかがうばかり、といった特化したFWでなくて、攻守どちらでも、あるいは、切り替え時の中継に絡むこともまったく厭わず、当たり前に行なう、そういったFW。

久保の登録ポジションを知らないけれど、彼もやはり、そういう動きのできるタレントだ。

これからのナショナル日本のフォワードの選定基準を作ったのが、今大会の価値。
ということは、ここしばらくは、こういう仕事をしないと、代表FWには呼ばれない。

違う表現をすれば、もはや洋の東西どこのクラブでプレイしているか、ではなくて、所属チームにおいてどれだけ切羽詰まったミッションを負わされ、それに応えているのかが、全ポジションでの選考基準のようだ。

こういう思想が、どうやってA代表の編成に流れ込んでいくのか、かなり期待。

❹ゲーム支配も上々の出来。
2点リードしたら久保を引っ込める、なんてのは、フランスにしたら屈辱以外のなにものでもなかったはずで、こういう心理戦は重要です。

フランスに、後半 さぁ! 行くぞ、と思わせておいて、結局は、メキシコ戦と同様、10人となった相手とやる局面が訪れた。

その際、カウンター攻撃を織り込んで、相手の戦意と意欲をむしりとったのは、メキシコ戦での学びを活かしたものと評価。

❺後半アディショナルタイム、前田のゴールをみて、クオリティの高いラストパスを通せる力量こそが、大然を活かす鍵、とつくづく感じる。

前田 大然を見い出したのは山雅です、などと浮かれる気分にもなれず、なぜ今、大然をアルウィンで観られないのか、と我がチームの足許を考えさせられるのであります。

では。

なでしこに告ぐ(その名誉のため)

1、4、5、6、7、8、9、10……、と並んだ数字。

これは、なにか?

既にご承知の読者諸氏でありましょう。

これ、当オリンピック女子サッカーで、決勝トーナメントに進出した8か国の最新ランキングなんであります。

1位の米国から始まり、オランダ、スウェーデン、イングランド、ブラジル、カナダ、オーストラリア、そしてしんがりは、10位なでしこで終わる、8つ。

ここにいないのは、2位ドイツと、3位フランスのみ。

予選を勝ち上がった顔ぶれ、ほとんどみごとにランキング上位。

で、なにが言いたいのか。

日本にとっては、これらのどことやっても、10回のうち 1、2、良くっても 3回くらいしか勝てない、という現実。

だから、この際、要らぬプレッシャーなど捨てて、勝って儲けもの、というくらいの醒めた気持ちで、のびのびと対戦するのがいちばんよろしい。

特に、昔相当な戦績を誇った先輩の忠言など、聞いたふりして流してしまう、でいいんじゃあないの?

選ばれて戦うのはわたしたち、文句なら選んだ奴に言ってくれ、ってことです。

だいたいが、国内リーグにおける人気の翳りと引き潮に手を打たずして、この期に及んで見苦しい論評はやめてもらいたい。

負けても(悔しかろうが)サバサバ、誰も君たちを責めやしない。

さて、準々決勝の相手は、ランキング 5位のスウェーデン。

予選リーグでは、米国を 3 – 0 で破ったばかりの、ご本家以上に米国スタイルの屈強サッカーをやってる、いわば〈旬〉のチーム。

これはもう、フツーに追い込まれて怒涛の攻撃を喰らうことは目にみえているんだから、ただ縮こまって凌いでいるばかりでは面白くなかろう。

ならば、思い切って攻撃的にやってみたらどうか。(やらしてくれるか、もあるけれど)

俊敏に、速く速く。

捨て身で切り込むものの、ただし、帰りの燃料だけは残しておいて自陣に戻る、そんなことの繰り返しを、ひたすらやるだけ。

2017年、U23 ラマンガ国際大会。

この時、なでしこは、スウェーデンを3 – 1 で沈めているんだから、相手ディフェンスをかいくぐるような、あの時の素早い動きを思い出せ。

そして、今大会ユニクロ製ユニフォームをまとうチームに引導を渡せたら、それも、また一興かと。

では。