0 – 0 の、スコアレスドロー。
〈この時流を読め〉
そりゃあ、勝つに越したことはないが、今節の意味合い(=本質) を見落としてしまうと、キチンとした評価は生まれてこない。
― 9,800人超の観衆が報われない、ダメな試合だった。
といった論調は、その典型でありまして、こいういうのは、よっぽど表層的か、あるいは、山雅に恨みでも有る観方か、のどちらかでありましょう。
(前者の、勝った負けただけの断定、これは感情表出として理解できないこともないが、後者ときたらまるで論外)
クラブが、10,000人集客キャンペーンを打っていて、
中3日が続く連戦、しかも、これからダービー2連戦と、期待も高まりつつある時節において、リーグ戦を1勝1分で乗り切ったのは、チームとしては、上出来でしょう。
そこには、カップ戦(5/8)と、その1週間後のリーグ戦に照準を合わせたターンオーバー(プレイヤ入れ替え)を挿し込まなくてはならない。
そこのところも大した破綻もなく、一定の検証も行えたのではありませんかね、このゲームでは。
〈ギラヴァンツを 侮るなかれ〉
昨季、2部リーグで、山雅と同じ7勝しかできず、しかも、このところ3ゲームで無得点と苦しむけれど、やはり、2部を知っていて、かつ、小林 伸行氏が後方支援するチームなのだ、ギラヴァンツは。
そこを相手に、わかっているだけでシュート3本(公式記録では 1本)しか打たせずに、さらに、全体的に優位にゲームを進めていたこと、これは素晴らしい。
このことを採ってみても、今季のチームづくりのおおかたがいい仕事になっているのが了解される。
〈采配下の仕事ぶり〉
初期布陣は、3 – 4 – 1 – 2。
スリーバックは、左から、常田 克人、大野 佑哉、宮部 大己。
左サイドバックは、住田 将、右には、吉田 将也。
ダブルボランチが、米原 秀亮と、パウリ―ニョ。
ツートップには、横山 歩夢と、村越 凱旋を並べ、その下に菊井 悠介を、かなり自由度を持って動き回ることを前提に置く布陣。
このメンツでもって、期待された仕事をかなり忠実に果たしたんではないか、と思います、各人が。
前線に高さがないので、ロングボールを競ってそこからセカンドを回収する、といった局面が生まれにくい。
となると、地上戦、複数人でスペースを絞っていってボール奪取、ということになるが、山雅は労力を惜しむことなく、最後までプレスを怠らなかった。
高身長の米原は、ボランチの一角にありながら、局面によってはボールを競う仕事をこなしたから、負担も大きかったけれど、よくやっていた。
大野同様に、敢闘賞モノ、と評価したい。
さて。
萬年の観方では、前半、ゲームが膠着したのは、こちら側がボールを持ち過ぎたからではないか、とも。
もっと存分に持たせて前がかりにさせておいてから、ボール奪取、即反転攻撃に特化してもよかったようにも思います。
まぁ、そこらへんは、横山のスピードを警戒した北Qディフェンスが互いの距離を上手く保っていましたね。
だから、相手ディフェンラインを、もっと左右に振る作業を入れるべきだったか。
吉田から、あるいは菊井や住田からの、ラスト(となるべき)クロスやスルーパス。
これからは、これを受け手とどうやって同調させるか、とにかく、そのクオリティアップでありましょう。
なんだかんだ言っても、数字をみる限り、シュートを ゲームで10本台の半ば打たないと勝ててないのが、今の実力。
いい位置でシュートを打ちたいのは痛いほどよくわかりますが、相手が喰いついてくる前に、例えば、他人を使ってオープンなスペースで打たせる視野とアイデも必要、と感じました。
……、若いチームとは、すなわち、ゲームコントロールにあって、首脳陣采配の占める比重がかなり高いチームであって、現状、ピッチのプレイヤーは、各ミッションに忠実に仕事を進める、それでいい。
ただ、どこかの時点では、いい意味で、采配を裏切る智恵と果敢さが生まれてきて、それが結果を出していく、そんな楽しみもありますよ、このチームには。
では。