新・ジェフの正体 (2021.3.21 千葉戦レビュウ❶)

※千葉戦レビュウは、何回かに分けて書きます。

孫子(兵法書)に、
〈彼を知り己を知れば百戦危うからず〉とある。

この言葉の説くがごとく、対戦では、相手のやり方への対処がかなり大きなウェイトを占める、が実感された千葉戦でありました。

ほとんど毎年対戦しているのに、相手メンバーがおよそ知らないメンツばかり。

#10船山 貴之が、終盤の10分程度に、時間稼ぎのカードとして投入されるなんてのは、前代未聞。

チーム状態もあるんでしょうが、新しい世代への転換が図られているのは確かなようだ。

それは、ゲームの進め方にも顕著。

20分に先制すると、それ以降は、自陣で堅く守ることを最優先。
時間を巧く使いながら、あわよくばロングカウンターで追加点、という戦術で一貫。

キャプテンのDF鈴木 大輔は、前半から既に、GK鈴木椋太に対し、ゴールキックは時間をかけるように指示していましたから。

まぁ、よっぽど勝ちたかったんでしょう。

なりふりかまわぬ姿勢は見上げたものですが、あぁ、これって、自分たちもいつか辿った道だったよなぁ、と感慨が深い。

まさか、ジェフ氏と立ち位置がこうも逆転してしまうとは、隔世の感がしきり。

でも、このリーグで戦う限りにおいて、山雅には、こういった単純な先祖返りは、もはや許されないでしょうね。

それにしても、
―#23、#24 、あれはなんなのよ、最低。
外山がボールを追わなかったから、失点したんでしょうに!!、と酷評は続く。

……入籍ハネムーンの外山は、とんだとばっちりで。

失点シーンは、3人が連続で剥がされたうえに、バーすれすれのシュートを叩き込まれたもの。相手をホメるしかありませんよ。

そんな落胆がすこしでも和らぐようにと、こんな曲を。

では。

昭和から 最後のプレゼント。


※本文とは、ほとんど関係ないかもしれません。

某公共放送でやっている連続ドラマの主人公は、女優 浪花 千栄子 (1907~1973 )がモデルなんだそうな。

ずいぶん渋い選択だなぁ。

思うに、浪花が活躍したのが、昭和初期から1970年代、というのがミソ。

昭和の残光を嬉しく想う世代へのプレゼント、というわけだな。

本名が、南口(なんこう) キクノだった縁で、大塚製薬『オロナイン軟膏』のCFに登場。

この女優について萬年が知っているのは、ホーロー看板の中、両手でその製品を掲げて優しく微笑んでいる姿が、ほとんどすべて。

ただし、映画『悪名』(1961年大映) の中で見せた、女親分の演技。
あれは、凄みがあった!

この作品では、山茶花 究(さざんか きゅう 1914~1971 )が演じる、落ち目の親分役の演技と、いわば双璧でありました。

となると、主演 勝 新太郎 (1931~ 1997) の歌なんかを聴きたくなるわけです。

では。

 

 

恋しき春の『Early Morning Rain』

齢を加えたためか、昔にくらべ症状がだいぶんと緩慢になった。

とは言え、この季節は、花粉症に悩まされるのがならわし。

十数年前のある医学論文を読んでいたら、日本人の10%に花粉症状が発現している、とあった。

アルウィンが超満員になっても、ホームタウン総人口の 4% にあたる人々が集うに過ぎない。
それからすると、10%というのはその2倍強だから、かなりの数字だ。
(変な比較で、申し訳ありません)

天気に注文をつけられるわけもないけれど、願わくば、2日にいっぺんの割合で雨が降ってくれると申し分ない。

雨で花粉が地面に叩き落とされる日、そして翌日はすがすがしくクリアな晴天、という具合に。

『Early Morning Rain』は、ゴードン ライトフット(1938~ ) が、1966年に発表した曲。

カナダ出身のゴードンは、1960年頃ロサンジェルスに逗留していたことがあったが、ちょくちょくホームシックに陥った。
で、それを癒すため、ロサンジェルス空港まで出かけて行って、旅客機を眺めたようだ。

早朝の雨に、酔い醒めの身体。
数時間もすれば故郷の空を飛んでいるだろうボーイング707の離陸を見送っている、ミュージシャンがひとり……。

ナターシャセブンの日本語での演奏は、気が利いた訳で、原曲の孤独な雰囲気を保っていて好きだ。

要は、こんな雨が一日おきに、しっとりと降ってもらいたいのだ。

では。

 

ラブソングが国歌となる 不思議。

サッカー北アイルランド代表のユニフォームは、伝統的にグリーン。

だから、山雅ファンのひとりは、自然と親しみを覚えてしまう。

さらに、1970年代のマンチェスターユナイテッドで鳴らしたジョージ ベスト(1946~2005)は、北アイルランドの首府ベルファスト出身。

と、くれば、僕の親近感は、ますます深い。

ところで、北アイルランドの(事実上の)国歌は、『Danny Boy』。

もともと在ったアイルランド民謡『Lomdondery Air』(ロンドンデリイの歌、起源は18世紀末まで遡るらしい) に、1913年、新しい詩を与えたもの。

歌詞は、女性が、愛する男性(恋人、夫、息子は不特定)との別れを告げる内容。

― たとえこの先、花が枯れるごとくこの私が地下に眠ってしまおうと、
帰還した貴方は、墓にひざまづき言葉をかけてくれるでしょう ― とある。

たかだか1世紀ちょっとの歴史だが、愛する者への惜別を、国歌として歌い込むなんてのは、趣きがあってよい。

まぁ、一体感の高揚は、悲壮感(悲劇)を必要とする、という見本であります。

で、今は、このダニーボーイを聴こう。

では。

辛い時代よ、もう来るな。

『Hard Times (Come Again No More) 』は、スティーブン フォスター(1826~1864)が、1854年に作った曲。

記事のタイトルは、その題名を訳したもの。

〈hard〉は厳しい、でもいいかも知れぬが、歌詞は、時代に押しつぶされるようにして苦しく生きている人々を描写しているから、辛い、と訳した。

貧困の中で、妻子にも去られ、孤独に死んだフォスター自身の生涯が重なってくる曲だ。

times、と複数形になっているところが深い、ですな。

なんだか、隠れたアメリカ国歌みたいな趣きの歌だけれど、ここでは、メイヴィス ステイプル(1939~)のカヴァーで。

2008年、僕は単身赴任で静岡県に住んでいて、ワンルームのアパートで、メイヴィスが2007年に発表したアルバム『We’ll Never Turn Back』を、よく聴いていたものだ。

このアルバムは、ライ クーダ―がプロデュースしていたから買ったってこともある。
齢を加えて、その声からはなめらかさ自在さが薄れたけれど、信念を歌い込む迫力は、さすがだなぁ、と思った。

で、昨日、山雅の公式ついツイッターを読むと、どうやらチームは静岡県でトレーニングに励んでいるようだ。

京都戦まで松本で備えるかと思いきや、帰松してふたたび県外の地へ。

なんとも厳しく辛い日程ではあるが、今年の山雅は、これりゃ、本気だわ。

では。