なぜ飛ぶのか? も知らないが、

その気になれば、重量350トンの旅客機に乗って、

大空を移動することだってできるのが、僕らの時代。

写真は、ボーイング777 – 300型(トリプルスリー、ダッシュ300)の、

JAL 8941機、のミニチュアです。

1998年に就航して、2015年 6月に退役している。

標準座席数は、244。

離陸するのに、滑走する距離、3キロメートルを要す。

世界最大の双発機が、(それなりのエンジン出力を持っている、とはいえ)、

空中を飛行する理論など、まったく知らなくたって、大衆はそれを利用する。

生命の価値うんぬんと言ってみたところで、

結局は、他人任せという、けっこう危うい世界を、僕らは平気で暮らざるを得ない。

実際。

2009年 7月、新千歳空港を飛び立った JAL 8941機は、

なんらかの異物によって剥がれたタイヤの破片が、主脚の油圧系統のチューブを損傷し、作動油量が低下する、という重大事故を起こした。

おせっかいに附言すれば、

777型のタイヤは、ブリ〇ストン社が、OEM供給していたはずなんで、なんらかの原因調査と製造上の是正があったのかも知れない。

……と、アルウインで見上げるだけの、ジェット機になじみのない僕ですが、

スティーヴ ミラー バンドの『Jet Airliner』(1977年)は、実に、軽快なロックンロール。

この曲でうたわれるジェット機とは、ボーイング 707型のこと。

スティーヴ ミラーとも長いつきあい。

要は、勝手に聴き惚れているにすぎないが、最近になって、この曲が、

ポール ぺナ(ペーニャとも、1950~2005年)が、1973頃に作ったもの、ということを知った。

ぺナの演奏は、多分にブルースそのものの味わいを放つから、

こういうところに、ミラーが惹かれてカヴァーした、と信じている。

では。

やはり,カヴァー曲『青春の影』(1974年)

僕にとって、チューリップのこの曲は、

やっぱり、そして、どこまでも、カヴァー曲なんだろう、と思う。

『The Long and Winding Road』(by The Beatles  1970年発表) の。

原曲のリリースから 4年後……の。

ジョー氏が、会話の中、青春の影に言い及んだのだったが、

氏には、チューリップのベスト盤(CD)をいただいた恩義があるものの、

この考えは、変わらない。

ここ30年で、なぜにチューリップが僕の中で退色したかと言うと、

強引に結論づければ、

柳ジョージが、ラブソングも歌ったのに対し、

チューリップは、ラブソングしか歌わなかった、その事に在る。

これが、キャンディーズならば、恋の歌だけでいいんだけれど。

で。

ジョー氏へのお詫びにと、原曲のピアノカヴァーを。

では。

 

プロテストソングそのもの『Blackbird』(1968年)

この曲は、ビートルズのアルバム『The Beatles』(168年発表)に収められた、

2分あまりの小曲。

実は。

この曲が、リトルロックハイスクール事件(1957年) と呼ばれる、

米国の高校における、人種差別と隔離策に触発されて、ポール マッカートニーが創った、という裏話をつい最近になって知った次第。

学校から排除されたアフリカンアメリカンの女性を擁護し、その解放を願う、

純然たる、人種的な差別を問うたメッセージソングなのだ。

けっして激烈ではなく、美しく穏やかな旋律と曲調が、

かえって、事の重要さをこころに届ける、そんな趣き。

ゆえに、美なるメロディを楽しむのはかまわないとしても、

漠然とした〈援歌〉とみなしてはいけない。

これは、同じ作者による『Let It Be』(1970年)が、

亡き母への追想と思慕を綴ったものであって、

宗教心や人々の苦悩への共感を、漠然と歌うものではないと同じ……。

では。

急に思い立って。

と言うより、直感が、今やっておかないと、と湧いて来て、

善光寺にごく近い、なじみの古書店へと出かけた。

僕が職業人として始めた時の先輩の弟さんが、その先輩(物故)の跡を継ぐ格好で、やっているお店なんです。

たしか、午後のみ営業だったはずだから、勤務を終えると、高速を使って。

駐車場に車をおいて2分ほど歩き、

店をのぞいたら電気が点いていて、入り口のドアも開けられたので、

奥に進むと、数年前とほとんどかわらないご様子で、

椅子に深く座る店主の姿が、そこにあった。

― 善光寺に参って来たの?、と問われ、

― いや、僕にはそういう信心もないし、本日は、こちら一択の長野行です。

……から始まって、

あとは、お決まりの取りとめもない話を、

こちらは、店内に積まれた本を見回しては引っ張り出しながら、やりとりする。

 

― 悪役ができる役者で、生きてるのは、石橋 蓮司、柄本 明くらいかな。蟹江 敬三は死んじゃったし。
生きていても、みんな年寄りになっちゃったね。

― 拠り所なくボーっとしているようで、巧い味わいの役者がいませんね。

……と悪役論に流れると、小沢 栄太郎とか佐分利 信に及んで、原田 芳雄にたどり着く。

― 彼、〈さすらい〉、小林 旭の持ち歌ね。
あれを、唄ってるんだけど、なんだか頑張り過ぎていて、ちょっとね。

あとは、だらだらと、ジェームス コバーンとか、ロバート デュパルとか……。

結局。

パブロ カザルスが、バッハの無伴奏チェロ組曲(6曲)を演っているCDと、

〈ポップス三人娘 ゴールデンアルバム〉の2枚を購入して、計1,000円也。

アルバム(LPレコード)のほうは、全12曲。

弘田 三枝子、千賀 かほる、ちあき なおみが4曲つづ歌っている。

これはもう、ジャケットの、ちあき なおみの良さに一目惚れして入手。

で、お店に再来する口実の意味を込めて、

望月 三起也の作品を注文しておく。

店主からは、半端で揃っていないから(オマケ)と、山上 たつひこの〈光る風(上)〉(ちくま文庫)をもらう。

帰途は、国道19号を。

もちろん、無伴奏チェロを大きい音量で聴きながら……。

☞ 若い読者諸氏には、さぞかしチンプンカンプンの名前ばかりで、まことに恐縮な記事でありましたが、

お詫びに、1曲あげておきます。

では。

Aubrey(オーブリー)とは 誰か?

〈Aubrey〉は、デヴィッド ゲイツ(米シンガーソングライター)の手による曲。

彼がリーダーを務めたブレッド(バンド名)のアルバム『Guiter Man』(1972年)に収録されて世に出た。

歌詞の冒頭……

And Aubrey was her name
A not so very ordinary girl or name
But who’s to blame?

それでね、オーブリーが その娘の名前
ありきたりでない変わった娘だった、名前もね
でも、それが どうした? って話さ……   (和訳のつもり)

のっけから惹きこまれますが、成就しなかった恋を語っています

Aubrey は、中世イギリス等では、元来、男性の名(意味は、妖精の王)だった。

が、その後、好まれなくなって(=立ち消える)しまう。

けれど。

20世紀後半、米国で、今度は、女性名として復活する。

実は。

ゲイツは、オードリー ヘプバーン(Audrey Hepburn)主演の

『Breakfast at Tiffany’s』(ティファニーで朝食を、1961年米映画)を観て、この曲を着想したらしい。

つまり、オードリー からの連想で、オーブリー、なわけです。

もちろん。

そんな裏話など引っ張り出さなくとも、楽しめる。

オーブリーとは、ただただ、ゲイツが創り出した女性なんですから。

では。