近ごろの大収穫 『Your Song』(by Nils Landgren)。

エルトン ジョンが、1970年に発表した。

あぁ、既に、54年前か。

時を経るにつれて、その良さが評価されているような曲。

むかし、中田 英寿がゲーム前に聴いていた、と聞いたことがあるが、

その人柄を感じさせるエピソードだ。

もともとが、ジャズ風味の曲だから、

存命ならば、フィービ スノウ(1950 ~ 2011年)に歌ってもらいたいなぁ、とか思っていたが、

最近、二ルス ラングレン(1956~、トロンボーン奏者、ヴォーカリスト) が、ジャズクヮルテットで、この曲を演っているのを見つけ、

その出来には、少々参ってしまった。

淡々と、なんら奇異を衒わない演奏。

けれど、ムダな音を削り落としたうえで、気の効いた音で攻めてくる、そんな感じ。

久々に、新作の(この曲が収録された)アルバムを購いたくなった。

既に、評価を確立しているラングレンではあるが、これから、目を離せない。

では。

変わることなく聴いてやる〈Back in The U.S.S.R〉

Back in The U.S.S.R

ビートルズ、1968年発表の 2枚組アルバム『The Beatles』の冒頭に収まっている曲。

〈ソ連邦に帰国して〉

マイアミ(米国)から、BOAC(今は亡き英国の航空会社)機で出発すると、

機上、膝に紙袋を抱えて、それはひどいフライト。

昨夜は一睡もできなかったけれど、

こうして、やっとこさ、祖国ソ連に帰国して、なんとラッキー……、

と、ソ連のビジネスマンが、自国を讃える。

歌詞の中で、各地の女性を採りあげてあって、

そこでは、ウクライナは ユークレン、グルジアを ジョージア、モスクワは モスカウ、と英語読みで押し通すのは、興味深い。

かの時代、世界は、冷戦中。

東西陣営が対立し、ソ連は東の親玉。

そんな状況を、リアルタイムで見聞きしているのは、現在、アラウンド50歳以上の皆々様に限る?

カーテンの西側に居て、東を礼賛風につづった皮肉、あるいは、まったくの無思想。

歌詞には、新味はないけれど、

チャック ベリーの、Back in The USAのパロディをやっちゃえ、だけで、これだけの作品を創れるところが、出色の才能です。

人気の絶頂にあったビートルズであったからこそ、俺たちにはなんでも歌えるぜ、という自負もあったのでしょう。

これを、軽快なロックンロールに、彼ららしいコーラスを乗っけた曲、というんだろうが、

僕など、通ってた高校の音楽の授業が、なぜか自習の時間となった日、

クラス委員みたいな級友が、じゃあ、今日はこれ流します、といってクラスで聴かされたのが、

このアルバム〈The Beatles〉だった。(僕は初聴でした)

天候のためだろうか、なんだか陰鬱な曲調に思えてしょうがなかった記憶がある。

たとえ、その後に、オブラディ オブラダが続いても、です。

たしかに、たしかに、優れたバンドには違いないが、

このアルバムに到達してみてはじめて、

このグループの力量は、

ポール マッカートニーの音楽的素養とセンス、

それと、プロデューサーのジョージ マーティンの、クラシック音楽の造詣、

これらふたつに大きく依存していたことがわかる。

でなけりゃあ、これほど多く、出来の良い楽曲は生み出せなかったことが。

なにも無理して、ここ2年あまりやってる戦争を引っ張りだす必要もないけれど、

かつての我が祖国ソ連は、いまもあまり変わらない?

では。

足許の話は,続く……。

先日、拙宅にやって来た小学二年生が、新しいスニーカーを履いている。

全体が白で、かかとの部分がグリーンのシンプルさ。

― これ履いて、アルウィンへ行くんだ、と嬉しいことを言ってくれるではないか。

僕も負けじと、そろそろ新調したい足許のこと、を考える。

アディダスは、山雅界隈ではありきたりだし、

ナイキの、 ダンクLOW レトロSE、などはいかが?

白基調で、ヴィンテージグリーンを、縁取り的に差し色に配し、シューレースも深い緑を採用、なんてのは、上品だなぁ。

もしも〈ミドリ〉がくどければ、靴紐を、たとえば、紺色に変える、とか。

でも、価格が、100ドル超……。

これじゃぁ、相方の支持取り付けがむづかしいかも知らん。

なら、他種を探しましょうかね。

ところで。

大宮遠征の頃から、愛車に流れているのが、

ライ クーダ―のアルバム『チキンスキン ミュージック』(1976年発表)。

さきの二年生が、この中の、

〈Smack Dab in the Middle〉をかなり気に入って、スキップして曲を探しては聴いている。

どこがいいの?、と訊くと、

繰り返しの最後、歌詞の、

Well,let me rock and roll to satisfy my soul 

この末尾、単語〈SOUL〉を引っ張るようなコーラスが、素敵なんだそうな。

確かに、豪華なバックコーラス。

で、このアルバム全体のテーマ、

古いスタンダードな楽曲を、ライとその仲間たち独自のエッセンスを注入して、

アッと言わせるほどに、(別ものの)新曲に仕立てて魅せる感が、満載。

というわけで、1977年のライヴ演奏(BBCTV)で、それを楽しんでしまおう。

メンバー紹介をやってるから、コンサートのラストナンバーでしょうか。

ちなみに、SOULは、どこかの球団では、SOU1、ですけどね。

では。

『バッファロー ’66』からの、おまけ。

この作品には、スタン ゲッツ(テナーサックス奏者、1927~1991年)の楽曲が使われている。

そう言えば、当ブログの〈過去画〉の紹介では、

ゲッツが、チェット ベイカー(トランペット奏者、1929~1988年)と、

1983年、ストックホルムのコンサートで競演した、

〈Dear Old Stockholm〉を採りあげてあるんだった。

この曲は、僕の、大大お気に入り。

なので、

ブログでは、いままでに

マイルス デイビス(トランペット奏者、1926~1991年)と、

ユタ ヒップ(ピアニスト、1925~2003年)の演奏を、それぞれ、ご紹介した(記憶があります)。

で。

懲りずに、今回は、トミー フラガナン(ピアニスト、1930~2001年)のやつをご紹介に及んでしまう。

しかしまあ。

こうやって、親しいジャズミュージシャンを、ズラリと書き下してくると、

皆さん、昭和一桁(初頭)の生まれ。

でもって、今世紀に入るか、その手前で、他界されている……。

今さらながら、

僕は、そのあたりの方々の演奏をよく聴いてるわけだ。

では。

『Still Crazy After All These Years』(1975年)

ポール サイモン(1941~) による作詞作曲。

同名のアルバム冒頭に収まっていて、のちに、シングルカットされた。

アルバムには、他に、

〈50 Ways to Leave Your Lover〉といった秀曲もある。

いづれも、題名を聞いただけで、ムムっ、とさせられる、良きセンス。

Still Crazy ……を、直訳すると、

〈ずっとやってきたけれど、いまだにクレイジー〉となるが、

☞ すこし意訳を込めてしまって、

何年経っても、僕はあいかわらず』は、どうでしょう?

……昨夜、通りで 昔の恋人とばったり。
僕をみて、彼女、ずいぶん嬉しそう

で、僕は 微笑んでみせた。
ふたりビールを飲みながら、あの頃のことを話し込んだり。

何年経っても、あぁ、僕はあいかわらず……。

人とのつき合いに憧れるような奴でもなく

むかしからの自分流でやっていきたい男。

かといって、アタマの中に流れるラヴソングを焦がれるほど単純じゃあない。

朝の 4時。

手を叩いて起き出すと、欠伸をしてみる

人生を追いやってしまいたい、などと思いながら。

かまうもんか、そうだろう?

すべては過ぎ去るんだから……。

窓辺にすわって、僕はいま、クルマの流れをみている

素晴らしい日を みづから台無しにするんじゃあないか?、と心配にはなるが

仲間から あれこれと糾弾されるようなことは、ごめんだな。

そう、何年経っても、僕は僕で、あい変わらず……。

元の女とよりを戻すほどの情熱も感じない、昔を偲びはするが、

未来に怖気づいて立ち止まってしまうわけでもない。

……ちょっと見は中途半端で、けれど、やすやすとは自分を譲らない人生。

それこそが自然、と思いたくなる。

アルバムのセッションに参加したメンツを見ると、これが、けっこう豪華。

かつ、ジャズ畑の連中も、チラホラだから、そういう味付けをしたかったわけですな、ポール。

ゆえに、この曲が、いまや、ジャズミュージシャンが好んでカヴァーするのは不思議でもなし。

しかし、萬年的には、

カレン カーペンター(1950~1983年) がカヴァーしていたことで、
曲の価値が深まりもして、それが、発表されたのは、没後の 1996年だった。

ブラッド メルド―(1970年生、ピアニスト)によるカヴァーも捨てがたいですが、

今回は、ニルス ラングレン(1956年生、スェーデンのトロンボーン奏者)によるカヴァー。(歌唱も彼です)

ふたりともが、若い当時、ほぼリアルタイムで影響を受けたであろうクラシックを演っている、と言えますが、

いつまでも、自分に対して〈現役〉で居たいと、つくづく思う。

では。