昇格と故郷 の話

―福岡がね、トップリーグに昇格を決めたよ。

―アビスパのことやろ?、まぁ、どうでもいい、って感じ。
たとえギラバンツでも、北九ではほんと、マイナーです。

―ふーん。

―福岡と北九州では、そんなかな。
ただし、ソフバン(※プロ野球のソフトバンク)となると、分け隔てなく好きです。
こっちでは、松本と長野がやはり、仲の悪い街なんでしょう?

―反目し合っている、って訳でもないと思うけどね。
ところで、福岡/北九州は、下道で、車だとどのくらいかかるの?

―国道を走ると、2時間半くらいですかね。

―なるほど、松本/長野と似たり寄ったりの距離なんだ。

で、ジョー氏との会話は、この後、北九州発祥の〈資さんうどん〉(すけさん)の話題に移り、
さらには、『喝采』を作詞したのは、北九州の若松出身のお方である、という話になっていくのであった。

……、みたところ、ジョー氏はいまだに故郷北九州に格別の思いを抱く。

松本で見上げるこの空は、ずっとかの地まで続いているなぁ。

なんてことを想いながら、米国西海岸の陽光が溢れる曲『Ventura Highway』を聴く。

アメリカ(バンド名)による、1973年の楽曲。

では。

 

 

労せずして得たものへ 敬意を。

柳多留 (江戸時代の川柳集) の中に、

  駿河者(するがもん)   我が物のごと  富士を言ふ

といったような句が、たしか在った。

労せずもして、もともとそこに在ったものを、さも、我が物顔に自慢することの滑稽を言っている。

で、これを真似ると、

 信濃者(しなのもん)   我が物のごと  槍穂高 

と、皮肉れるのか知らん。

日本アルプスの素晴らしさは、当地在住の者が、たとえば、〈岳都〉とか声を高めなくとも、訪問する方々に十二分におわかりいただけるに違いない。

山岳の感動と讃美は、専ら訪問者にお任せしようではないか。

だいたいが、槍や奥穂高の標高を問われて、即答できるのかいな?  、俺たち。

……以上は、松本山雅が、中部山岳国立公園(環境省)とパートナシップを締結したニュース(12/17リリース) に接し、心に浮かんだこと。

もちろん、この記事は、山雅の活動を否定するものではまったくない。

今年の選手紹介ムービーにも登場いただいた槍ヶ岳などには、アルプス一万尺の使用料も含め、情報発信や広報で、ひたすら恩返しをすべき、と思います。

では。

(写真すべての版権帰属先:オフィスウエストウッド)

なんとなく グリーティングの頃。

喪中により云々、の葉書も、そろそろ一段落しただろうか。

今年も、何通か届く。

特別のホリデーシーズンもない、年末年始がまたやって来る。

グリーティングカードのやりとりもだんだん減って……。

といっても、別に、寂しくも残念でもない、のですけれどね。

ただ、こんな曲を、ふたたび聴きたくなるような日々。

題名の、 It Doesn’t Have to be That Way とは、あんなのは おかしかないかい? という決まり文句なんでしょうね。

―僕たちが別れてしまうなんて、間違ってるんだよ。
寂しい男の背中が、見えるだろう?

クリスマスの季節、元の彼女とよりを戻したい男の未練を切々と……、そんな歌詞です。

果たして、この作戦は、巧くいくんだろうか?
相当に悲観的っぽいところが、曲の魅力でしょうけれど。

では。

 

甲斐だより (小淵沢あたり篇) 

かつて、単身赴任で数年を、山梨県(中央市)で過ごした。

その頃、手持ち無沙汰もあってか、休日、近くに出かけた感想などを小文にして、友人にメールしていた。

題名を〈甲斐だより〉と称して。


註:杖突峠より見る八ケ岳連峰 (2020.3.26)

先日、オフが家人と揃ったので、気晴らしをかねて、小淵沢あたりまで出かけて行った。

小淵沢ICを降り、そこらをうろうろしてから、次に、一般道を長坂まで走る。

八ケ岳、茅が岳、甲斐駒、北岳、それに富士。
贅沢な眺望だ。

昔の記憶と標識をたよりに、長坂ICの近くまで行って、オギノ(スーパーマーケット)に入る。

遠出の時は、地元のスーパーマーケットをひやかすことにしていて、今回もいろいろと興味深かった。

スイーツと、店内調理の惣菜など、かなり興味を惹かれたけれど、そこでは、澤田屋のくろ玉をひとつ、調達する。

家人としては、別にお目当てがあったのだが、今回は果たせず。

そのかわりに、八ケ岳山麓で採れたトマト(ミニサイズ)を入手したようだ。

帰宅後、薦められて食したのだが、これが、かなりの優れモノなのだった。

皮が厚いこともあって、その甘味ともども、ずっしりと味に迫力がある、という感じ。

みると、フルーツトマト〈フルティカ〉の名。

トマトはアンデス高地の原産というから、標高1,000mのあのあたりで栽培するのが本来なんだろうな。

……と、毎年酸っぱいトマトしか育てられない萬年さんは、感心しきりである。

では。

聡明さが 救う。

人生、という旅路にあって、
高学歴とか、学校の勉強ができた、とは違った〈頭の良さ〉に出逢うと、けっこう救われる、というお話し。

今のように気軽にSNSを使える時代でない頃のこと。

知人の息子さんが、米国から帰国することになった。

息子さんからは、〇〇航空の、第〇〇便に搭乗する、という連絡だった。

けれど、遠い信州から成田へ迎えに出向くのであるから、どうしても確認をとっておきたい。

で、その航空会社に電話を入れ、これこれの事情なんだが、搭乗の有無を教えていただけないだろうか?、と訊ねる。

―誠に申し訳ありません、当社は、ご乗客に関する情報は一切開示することはできないのです、と男性の声。

それでも、なんとか、と必死に喰い下がると、しばらく沈黙したあとで、

―そうですね、もしもですよ、私が貴方であったならば、かならずや成田に向かうでしょうね、との返事。

双方に、大人の分別がないとできない会話なんだろうけれど、テロリズムが世界を浸している現在、こんなやりとりは、もはやできない相談かも知れないな。

では。