Hold On ! YMG (栃木戦レビュウ 各論)

3連敗のあと3連勝で、10勝到達とは、御嶽海ナイス!、と喜んでいた今朝、京子さんのメールが入る。

―  田坂さんにしっかり対策されなーんも出来なかった
いいようにボール持たされ自陣でのパス回し
攻撃に行けない
村井チェアマン山雅のゴール裏に来たんだね
村さん 大野さんのシーンどう感じたんだろう?
どちらもレッドカードで一発退場っす!!
朝から毒吐き ―

【人にやさしくない理由】
真剣にお怒りのファン&サポーターは、まことにありがたい存在、いろんな意見があってこその山雅だ。

2019シーズンのデータですが、山雅の新規観戦者の割合は、1.9 % 。

要は、アルウインの観衆中、ご新規さんは、100人のうちせいぜい2人。

根強いリピーターのファン&サポーターが圧倒的となれば、その眼が肥えているのは当たり前。
かつ、高年齢な方々は、山雅がビッグチームになるのを、この先30、40年などと悠長に待てないのだから、当然、意見や批判も厳しくなろう。

【ボール保持60%は、もともとわかっていた】
ただ、萬年が甘く見積もって失敗したのは、こうまで鮮やかに栃木が過去に先祖返りできる、とは想定しなかったことだった。
直近のゲームを観ても、〈かつて見た栃木〉へと、ここまで蘇生するとは!

これを山雅対策、とするのは、チト自分らの実力を買い被りし過ぎなような気がしますね。
たとえ相手がどこだろうと、今節はトンネルをひとつ出る覚悟の栃木だったんですよ。

ガツン、と向かってくる栃木と読んだからこその阪野先発だったわけであって、ボールを持たされた、というのは、ボールを持って相手をはがす技量の無さを素直に認めない言い方で、すがすがしさに欠けます。

喰いつかせてその裏を獲るには、自陣へ誘うことだって敢行すべきなので、どこでパスを回しているかというよりも、テクニック不足、連携(意思統一)の希薄、これを曝してこその反省でありましょう。

栃木の戦術がどうのこうのではなく、それを上回って振り切ってしまう実力が山雅には無いだけ。

【ファール裁定についての私見】
重症者が出なくて幸いだった、のがいちばん。
クレームに関しては、何をいまさら、という感あり。

ファールによってゲームが中断した際、主審に詰め寄る迫力は、犯した側の栃木のほうに執着心を感じたのをどう考えるか。

もしも、ゲームを当方に有利にコントロールしたければ、異議申し立てでかえって当方にカードがでないような方法、例えば、キャプテンを通すなどして喰い下がってみるような努力があったのか?、なかったのか?

こういう部分に気魄を込めずして、相手のスタイルをいろいろ言ったところで生産的ではありません。

ひたすら自分の不足にフォーカスして、持ち堪えましょうよ、山雅。

では。

栃木のビンタに 貧打で報う (第15節レビュウ)

5/14の夜、20時30分からわずか数分間。

高度400kmを周回するISS(国際宇宙ステーション)が、かなり明るく光りながら頭の真上を通過するのが観られた。

サッカーフィールドとほぼ同じ面積(108m × 73m)で、富士山を100個分ちょっと重ねた高さを、地球を90分かけて1周している物体。

それが、南西の空に忽然と現れると、一直線に北東へと進み、やがて雲間に消えて行くのが肉眼ではっきりと。

0 – 3 のミゴトな敗戦に接し、山雅のやり方が、ISSの飛行とよく似ているので、こんな話を持ち出した。

3連勝と輝くと、やがて、うっすらと消えゆく有り様、そして、かなり定常的に一本調子の軌道が、それだ。

結論から言うと、この調子でいけば良くって 5~10位近辺の順位で今季を締めるようになることを、リアルに覚悟した。

〈理由〉
❶5敗のうち4戦で、 3点以上を失点している
不利を挽回すべく攻めに前傾したところをカウンター一閃で沈むケースが多い。これは、パスワークのクオリティ不足によって、シュートまでやり切れない途上で、ボールを奪取されているから。
これを改善するには、各個の技量レベルを上げることにかなり依存しているから、どうしたって相当の時間を要する、あるいは、一定の限界がある。

❷対戦するチームに個別に適合するようなスタイルは採らず、一定の布陣とスタイルを貫いて戦っている。
これについては是、とすべきだと思う。
それが、今山雅が自己に求める〈格〉というもの。

けれど、❶で指摘した個の成長を、どこまで我慢できるのか?、がこれからのゲームマネジメントのポイント。

もしも、切羽詰まった状況になり、それでも、ゲームをモノにしたければ。

栃木と愛媛のように、相手が厳しく寄せて来た場合にまったく機能しなくなる、距離とリズムとテンポの自在さ。
これに、なんらかのテコ入れをしないとならない。

今回は速く詰められたので、シュートまで行ったのは4回でした、ではお話になりません。

また、コーナーキックからの失点が一向に減らないことに対して、どういう守り方をするのか?
正直、今節は緊張感を含め、無策に等しかった。
マークや態勢が適正なのかが、チームで共有されている感じが皆無。
単に、上背で対抗する、といった簡単な話でもないな、これ。

実は、投稿が冗長なので読む気がしない、と同居の読者から苦言があり、それに報おうと、簡略にして、今回は、以上。

各論は、追々に採り上げようと思うけれど、これでもきっと、及第点はもらえそうにありません。

では。

心あらば つばくろよ 。

のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて 足乳根の母は死にたまふなり

【読み】のどあかきつばくらめふたつはりにいて たらちねのははは しにたもう なり

斉藤 茂吉。歌集『赤光』(1913年 発表) の中にある。

玄鳥の、〈玄〉とは黒色のことで、燕を意味する。

〈足乳根の〉は、その後にかならず〈母〉が続く。

はじめは女性の胸の描写だったが、いまや意味を失い、〈母〉を導く紋切りの五文字。
こういうのを枕詞(まくらことば)と呼ぶ。

けれど、枕詞を、字数のムダと思わずに使い、しかも、それが成立するところに短歌の根強さがある。

ところで、職場の、大型トラックが出入りするプラットホームの天井では、今年も燕たちが多くやって来て、子育てに忙しい。

先日、ひな鳥が一羽、足許のケースの中、さかんに啼いている。

どうやら誤って巣から墜ちたのを、誰かがそこへに入れたんだろう。

でも、巣は地上数メートルの高い場所にあって、とても差し上げてやることもできず、まして、どの巣に居たのかも皆目わからない。

近くに寄って来る親鳥もない。

今は盛んに動いているが、次第に消耗すれば、その行く末は目に見えている。

捨て置くこともできず、ひょっとしたら、隣家にやって来ている燕夫婦の温情にすがれるかも? と思い、持ち帰った。

主人に頼み込んで脚立を貸してもらって、玄関の上方にある巣の中へ入れてやった。

巣にはいまだ雛の気配は無かったけれど、毎日電線に止まっては、萬年を見下ろしているよしみで、なんとかお願いしたい、と実に虫のいい気持ちだ。

その後、ひな鳥がどうなったのかを確かめる勇気もなくて、幾日かが経っているのです。

では。

持つことの悩みを過去に (栃木SC戦プレビュウ)

〈他人事でない、栃木の変容〉
前節の対琉球戦を、 冒頭20分あたりまでを観返しての感想です。

このゲーム、この時点では 1 – 1 だったけれど、最終的に、2 – 4 で敗戦。

これで栃木は、3連勝の後、8戦勝ちなし(うち引分けが5つ)と、長いトンネルの真っ只中。

データからは、得点15はそこそこで、攻撃回数もよく創出してはいる。

けれど、相手陣地深くへの侵入回数が、リーグで最下位。

どうも、ボールを相手ゴールに近くまで持ち込むことに課題多し、とみる。

琉球戦を観ていて、印象に残ったのは、少し前まで感じた、ガツん!と向かって来るディフェンスや、割り切ったガムシャラな突入がかなり薄らいだこと。

ロングボールを入れ、その跳ね返りを回収してシュートを狙う、という徹底度は不変なものの、田坂サッカーは3年目にして、ずいぶんとオーソドックスなものになった。
大人しい優等生的サッカーに変容した、と言ってもいい。

この事情は、反則ポイントにも表れて、現在、 ▲16ポイントで、リーグ第2位。

こういう変わり様は、我が山雅が踏んで来た道でもあるから感慨が深い。

かつ、琉球戦で今季はじめて、3 – 5 – 2 の布陣を採ったので、より同類感もあるわけ。

自力の差を埋めんとして、田坂さんなら、対山雅も、3バックで来るような予感がする。
敢えてミラーゲームにすることで、各プレイヤーを覚悟の境地に追い込んで。

〈宿題は続く、より高まるために〉
前節の金沢戦、80、90%の優勢を保ちながら、結局はゴールを割れず、金沢には巧く勝ち点2をもぎとられた山雅。

クオリティを高めるにも、その総括の上に、栃木戦を組み立てるだろう。

まづは守功にわたって、相手を、速度と強度の徹底度で上まわれば、勝機はかなり見えてくる。

漫然とした攻守のやりとりになることを避けながら、ボール保持が 60 : 40 となるのを想定せざるを得ない。

栃木のスタイルからして、おそらく、こういう数字となる。

山雅にとって今季をつらぬいくテーマのひとつが、ールを持つことが悩ましい時代を、過去のものとして葬り去ること。

だから、栃木戦は絶好なチャレンジの場、そのためには……、

ひとつ。
最基底からパスワークで組み立てる際は、自分たちの距離を保って、これを行なうこと。
開くにせよ、密になるにせよ、先手先手でボールを動かさないと、ボールロストから相手のショートカウンターが発動する、と考えないとなりません。

ふたつ。
攻撃に、〈スペースとプレイヤーの粗密〉を作り出すことで、相手ディフェンス網を間延びさせ、結果、フリーでクロスを蹴り込む、フリーで前向きなシュートを打つこと。

みっつ。
リズムを出させないようなスカしたハイボールを、裏へのロングボールと交えて栃木は多用するはずだから、これに焦れないで、とにかくセカンドボールを手中に。
……で、いきましょう。

レンタル契約上、乾 大知と吉田 将也に逢えないのが残念。

決戦地はカンセキスタ。

でも、今は、グリスタの光景を懐かしむ。

では。

五月雨に 忘恩悔ゆる 無花果かな (萬年)


註:標題の句は、無花果(いちじく)を、ムカカ、と音読みで。

光風舎主人、田中 博文氏のツイッターは、2014年5月13日を最後にして、今も残る。

ご逝去によって、途切れたまま。

病を知って、長野市の病院に田中さんを見舞ったのは、その少し前だったか。

癌と闘うベッドの上で、かなりやつれていたが、いつもと変わらず飄々として、淡々。

万事、成り行きに任せるよ、といった風情で、切羽つまらない態度に、かえってこちらが救われた。

帰り際、その著書『真田一族外伝』を下さると言うので、自署をねだった。

長野で、編集者、フリーランスのライター、そして古書店経営とキャリアを重ねた田中さんだったが、もともとは、松本は村井のご出身。

墓所は寿地籍の菩提寺に在ると、ご遺族から聞き、かつて訊ねてみたがわからず。

日々のせわしさで、そのままになっている。

忘恩を悔うのならば、今度こそは伺わないとな、と自分に言い聞かせる五月……。

では。