ここから先へ (天皇杯ジュビロ戦レビュウ❷)

双方が保有する戦力を総テストするような、有料の、高級なトレーニングマッチを観るため、磐田の地まででかけて行った。大量点を背景に相手がゲームを締めにかかってくる終盤20分間を、こちらへと手繰り寄せたのは大きな収穫だった。― これが、レビュウ❶の要旨。

それをまぁ、長く、クドクド書きました。

申し訳もないことですが、やがて、ハイライト動画も公開されるでありましょうから、とにかく、全体の雰囲気だけはお伝えしたかった。

で、今や、これからも続く、残り24ゲームのリーグ戦をのみ照準に入れようではないか、読者諸氏よ。

そのために、天皇杯二回戦で感じたいくつかを。

❶山田 真夏斗
思うに、彼の魅力は、気の効いたラストパスであるから、ボランチ(インサイドハーフ)に配す、というのは肯ける。

ただ、当夜、ピッチ練習やゲームでの動きを観ていて思ったのは、彼、トップ下あたりのほうが、その攻撃的な部分のタレントが活きるのではないか?、と感じた次第。

❷篠原 弘次郎
昨季の対ジュビロ戦、山雅の、なけなしの1点。

それは、アウェイヤマハスタで、篠原が左から入れたクロスに、鈴木 国友が頭から飛び込んで決めたもの。

あの現場には僕もいて、ほぉ、これくらい攻撃的なセンタバックはいいよな~、と思ったもんだ。
その篠原が、同じヤマハスタで復帰とは、感慨も深く、ディフェンス陣の競争激化は望ましい。

❸安田 理大
きっと、僕がそういう眼で見てしまうんでしょうが、インサイドワークと、ゲーム局面に活を入れるプレイは貴重。
また、対戦相手をいろいろと制するにおいて巧いし、長けている感がある。

こういうのが、いろんな修羅場をくぐって来たことがうかがえる、ってやつだ。ヴェテランの重みを体現していて、リーグを勝ち抜くには、その存在は必要。

❹橋内 優也
ジュビロなんかとやると、何気なく前方スペースに出されたボールが、すんなり相手フォワードの手中に落ちる。

あれれ、うちのディフェンスむざむざとボールを渡しちゃうの?、って感じで。

こういった競り合いで、より速くボールに到達して遮断するのは、橋内の真骨頂。

斜め前で観戦のご婦人、
― まぁ!、速い。誰よ、今カットしたのは?、とつぶやく。

チーム内で競走すれば、横山 歩夢に次いで速いのは(おそらくは)橋内、というのは案外知られていない事実ではないか?

そこらへん、もっとアピールしてもらいたいもんだ、メディアとチームには。

❺ジュビロを越えてゆけ
このレビュウを書くについては、ゲーム後(無料配信の)プレイヤーインタビュウのみを確認していますが、そこには、やっぱりトップでやってるチームだった……、みたいな感想が読み取れる。

たしかに、ジュビロは巧い。
けれど、あの程度のインテンシティ(強度)と線の細さでは、やはり、トップリーグで戦うには限界もあるはず。
そこに定着するため、かなり苦悩、苦闘している、と思う。

やがてはそこへ駆け上がるためには、(テクニックと連携はともかく) 山雅は、もっと上、横浜FMくらいの強靭さを見すえて鍛錬ですかね。

……と、今回もまた、くどくなってしまった観戦記の最後に。

アウェイチームの監督が、場内にコールされた時、

この夜、最大にして最長の拍手が起きたことだけは、ジュビロファン&サポーターの義理堅さを称えるために、ここに記します。

では。

双子のゲーム思想 と光明 (2022.6.1天皇杯2回戦レビュウ❶)

時間をさかのぼって、当日は 午後2時過ぎ頃のこと。

阿南町(下伊那郡) のあたり、国道151号を南下していると、携帯に電話が入る。

― 〇〇君はね、本日のメンバーではありません !
さっき、〇〇付近で犬の散歩しているのを見かけたの、と家人が、親切なご注進。

― なるほどね。用意してきたゲーフラは、車に置いていくよ。

……こんなやりとりが、ゲームの伏線になるわけです、天皇杯は。

〈登録メンツの、相似性〉
ジュビロの登録メンツは、萬年予想が全く外れ、そのため、天皇杯へのアプローチが、両者でほとんどそっくりになってしまう。

磐田陣営はどうも、最少の労力投下で、三回戦への切符を獲ようとしたんですかね?

〈松本山雅〉
リーグ戦(5/29)の先発で、当夜も先発したのが、ひとり(常田)。
リーグ戦のサブ7人のうち、当夜の先発に、5人を採用。
リーグ戦の先発ふたり(住田、小松)が、このゲーム、後半に投入される。

〈ジュビロ磐田〉
リーグ戦(5/29)の先発で、当夜に先発したのが、ひとり(#28)。
リーグ戦のサブ7人のうち、当夜の先発には、6人を採用。
リーグ戦の先発ふたり(#2、#14)が、途中投入された。

……結果、レッキとした公式戦でありながら、

まるで、トレーニングマッチを、45分 × 3本やって、そのうちの、ラスト2本を、3,700人強の観衆にみせた、といった現象が起きたヤマハスタジアム。

つまり、2 – 5 のスコア(敗戦)とは、1 – 2、1 – 3 の 2回戦やっての合計、と分解できる。

これ、皮肉でもなんでもなくて、三回戦進出を賭けるように表層には見えているが、プレイヤーからしてみれば、自己価値の訴求と、定位置確保におけるハードワークをした90分であったと、僕は強く感じる。

別の言い方をすれば、チームの総合力の対戦、とも言えた。

〈このゲームを糧とするならば〉
テンポ良くサイドを割られ、クロスに対してひとり余った格好で飛び込まれての連続失点。
手馴れたテクニックの前に、相手をなかなか捕まえきれずに、反撃のチャンスがつかめず、その芽も巧くかわされて。

と、いわば、翻弄された60分が先行したけれど、5点獲って相手が手を緩めがちになったこともあるが、だんだんと、そのスピードに馴れてくると、ラスト 20分は、けっこう、こっちがボールを握れるような展開が生まれた。

特に、交代投入された、小松 蓮 と 村越 凱旋のコンビネーションが効いて、そこへ持って来て、中盤(住田 将)が落ち着いてさばけるようになったから、ゴールに迫るシーンが、連続するようになる。

狭いエリアで最後のラストパスを狙うのもいいが、思い切ってそこで打っちゃえ、なんて場面もあったりで、さらに、1、2 点入ってもおかしくない様相に。

ですから、80分台の追加点(by 小松)。

でもね、このたった 1点は、けっこう意味が重い。

振り返っても御覧なさい。

昨季、メンツはそれぞれに違うにせよ、2回やって、1 – 4、0 – 4 で殺られている相手なのだ。

それも、ゲームの最後の最後まで、押しまくられた。

ホームでは、金子 翔太に、96分に1点献上とか……。

それが、ココロを折らず、最後まで相手を追い詰め続けたのは、今回は、こっちだったわけ。

ここに、チームの成長と、新しい姿への脱皮を観ずして、なんのために遠州くんだりまでやって来たんだ。

……というのが、この遠征記のオチ。

ですから、ゲームが終わって帰り際、お隣で観戦のご夫婦に、

― このゲームによってきっと、リーグ戦での底上げができたんじゃあないですかね。今季いちばんのテーマは、あくまで一年での2部復帰ですから、

と申し上げたのは、もちろん、僕の本心。

では、あと少しの補足を、プレビュウ❷で。

気取らず楽に グルーヴィング。

この前、『眠れぬ夜』を取り上げたら、ルノワール氏から、

― オフコースならば、『Yes、No』でしょう!、と絡まれた。

そうかなぁ?、といまだに納得いかない僕なんです。

と、はっぴいえんどを真似てつぶやいてみる。

他に誰か?、と思ってみても、いまさら歌のシーンから消えて久しい 山本 潤子(1950~ )でもないだろうし……。

ちあき なおみを引き合いに出すまでもなく、

有能な歌姫の隠遁は、ひとりの男(亡夫)には果報、けれど、大衆にとっては不幸                 by 萬年

もともと英語の歌を、気障りでないイングリッシュで、日本人にフツーに歌ってもらえればそれでいいんんだけれど、そういうお方を知らない僕は、結局、こういう動画を拾って楽しんでいる。

いまだに、この曲が聴けるなんて。

車窓を飛び去る新緑に浸りながら聴けば、最高だろうな。

では。

天皇杯の,能天気 (ジュビロ磐田と二回戦)

もちろん、暢気なのは、萬年ひとりに限ったことであって、誠に申し訳のないことです。

前 貴之キャプテンの言うとおり、チームはあくまで、勝って帰るためにヤマハスタジアムに参戦するのですから。

中継や録画が皆無な(速報は別) ゲームだからこそ、現地に向かうんですが、

のんびりした遠江(とおとうみ)行気分にひたすら浸るべく、ナイトゲームゆえに西日も薄らぐだろうと、バックスタンドを購入してしまいました。

ヤマハスタは全席指定を貫いているから、フタを開けたら、一体どんな観戦の趣きになるのか、不安と恍惚のふたつ我にあり、状態なのだ。

第16節(5/29)対横浜FM戦、ジュビロは、ホームであえなく敗戦。

次節(ホーム)鳥栖戦は 6/18 だから、けっこうな間が空く。

となれば、現在、順位15位(勝ち点15)で不調なところにもってきて、ホームで、3部チームに対しぶざまなゲームも披露できまい。

だから、これはもう、第一級のスタメンとサブの態勢で来る、ってのが僕の予想。

そんなこと、誰にでもわかるか?

対し、中3日でリーグ戦、それも遠地の鳥取でやるこっちがむしろ、ターンオーバーで向かっていくとは、なんとも不思議な光景ではありませんか。

向こうは、昨季は山雅に大勝していることだし、よもや、負けはしないだろう、と思っているはず。

いろんな意味での、鬱憤と情熱を爆発させる山雅、それを観られれば良し。

リーグ戦では、先制されたり同点になっても、スタジアムに感じられる根拠なき安心が在る。

これ、結局のところ、ゲームでやりあっている最中に感得される、彼我の技量差(こっちが優位) から来ている。

対ジュビロでは、こういったことも期待できませんが、

まぁ、いいや。

力量差からして、おのずとゲームの立ち位置は決まってくる。

つまり、ボールはジュビロが握り、こっちはスキやミスを衝き、ボールを奪って反転攻撃を狙う、という展開。

それは山雅にとっては親和性も高く、やり馴れたスタイル。

三回戦 (ベスト16、6/22 ) へのチケットは、いわば、ボーナス。

とにかく、失うものは、なーんにもない挑戦者が我ら、なのだ。

では。

(予告、ゲームレビュウは、6/3投稿の予定です)

責任感がアダとなり (今治戦レビュウ ❷)

前半18分の失点シーン。

発端は、常田 克人が、センターラインを越えてボールを持ち上がった際に転倒し、相手にそれを掻っさらわれたこと。

そこから、今治の前線、中川 風希にパスが通ると、事態は一気にアラートな局面に。

すると、常田はみづからのミスを挽回しようと、中川を追走していく。

だが、ここは宮部 大己がディフェンスに入っていたから、味方ふたりがムダに交錯することになって、ボールがリフレクションしたこともあり、かえって中川に、自由とスペースを与える格好になってしまう。

最終ラインには、住田が入っていたが、中川の打ったシュートコースも絶妙だったため、住田が出した足と、ビクトルの差しだす右手もむなしく、ゴール!

なんとかしようとする責任感は、わかる。
だが、ここは常田、素早く最終ラインに落ちて、前を向くことで、シュートコースなりスペースを消すか、あるいは、徹底的にボールを持った中川に喰いつき削るか、どっちかのはず。

まぁ、ディフェンスのミスはけっこう失点に直結するから、どうしても目立ってしまうのが、辛いところ。

57分だった。

前 貴之が身体を倒しながら打った、大胆なビッグスイッチ(左へのサイドチェンジ) の先には、まったくフリーな下川 陽太がいた。

そこから斜めに持ち込んだ下川は、おそらくはシュートを意図したと思うけれど、彼が蹴ったボールは、バー上方を大きく越えていった。

もしも常田が責められるならば、この攻撃シーンの下川も追及されてしかるべきだろう。

もちろん、僕は、両者を責めるつもりもあまりなくて、

仕事を責任を持って貫こうとする意思は、かなり強固になりつつあるけれど、これからは、中途半端にならない冷静さと、先読みをもっと望む。

チャレンジすることは、リスクも引き受けることでもあるはず。

ヘタにみづからを逃げの姿勢に追い込んだところで、ロクなことにはならない。

失点をおそれず、とにかく得点するために前へ、これです。

この今治戦で言うと、たとえば……、
前の 機敏。
菊井の 狡智。
宮部の 耐性。
住田の 剛直。
下川と外山と山本 龍平の 果敢。
そして、常田の 沈着。
― こういった各個の強みとプレイスタイルを殺すことなく、チームとして統一された意思を込めてボールを運び、フィニッシュまでやり切れ、と願うのみ。

たまたま愛媛新聞 (今治側) の記事を読んだら、
後半は優位にすすめたものの敗戦、とあった。

相手にシュートチャンスを与えず、コーナーキックを多く獲って自分流にできた、という意味なんだろう。

ただし、ボールを握っているから、それで優位に立てている、といった浅薄な理解は慎みたいものだ、少なくとも、山雅の側に立つ者であるならば。

では。