曝されて 白くなる。

一年ほど前のこと。

小学一年生に、

― 最近、調子どう?、と、(学校生活を念頭において)尋ねたら、

― ボーっと、過ごしている、と、笑いながら答える。

……なかなか洒落たことをいう、と感心した。

人間、考えることをやめると、〈時代〉に逃げ込みたくなり、

物事を見つめようとすれば、〈個人〉に迫らざるをえない。

ふと、そんな言葉が、口をつく。

年月に曝され、ものが漂白されると、

そこでは、個性が、押しつけがましくもなく、ただ静かにたたずんでいる。

果たして、そうなれるかな?

では。

嘘でも,かまわない。

人間の記憶を、もっともよく喚起する感覚は、嗅覚である

……いつか、家人が言っていた。

その出典は知らないが、

匂いや香りが、ひとの記憶を、呼び覚ます契機になることが多い、とか。

そのご説の真偽など、どうでもいいんだが、

クズ(葛)、ラベンダー、キンモクセイ(金木犀)の、それぞれの花の香りを知っていることを、大切にしよう、とは思う。

その金木犀が、9月30日に匂い出した (=開花した)。

涼しくなったことでもあるから、これから 1週間は、楽しめるかも知れない。

秋冷の頃の、ならわし……。

では。

オプションの裏付け (八戸戦レビュウ❷) 

ゲーム後半でやって魅せた、ロングボール作戦は、

まぁ、今後、使えるオプションのひとつくらいには、なるだろう。

忘れちゃいけないのは、前後半の戦法転換の前提には……、

❶ヴァンラーレが、3バックで、
守備にまわった際には、5 – 3 – 2 といった格好となり、
かつ、カウンター狙いの前傾体制となるサッカーをすること。

つまりは、ロングボールで、最終ラインの裏を衝かれ、かつ、センターバックがタッチライン方向へ引っ張りだされると辛い、という事情があること。

❷山雅が、交代カードとして投入しうるタレントの質において、3部リーグにあっては、他よりも頭2つ半くらいは、優位性を持つこと。

……、を挙げておきます。

つまり、リーグ戦の今後をみすえた時、

❶から導かれることとして
☞ 3バックを採用して、手強いカウンター攻撃をするチーム、
たとえば、岩手、長野、沼津には、有効な手段になり得る、ということ。
(もちろん、ゲーム様相次第ですけどね)

日程をみれば、なに、すぐ次とその次ですけれど、

こういう戦法一辺倒にならないゲームをすることが、まづ大切であって、でないと、いままで積み上げた宝の持ち腐れになってしまう。

次に❷について。

手早く言えば、交代カードの切り方すべてが、戦法の貫徹にキッチリはまっていた。

これこそが、素晴らしい!!

しかも、すべての力を前方向へ、という意思統一、これが、効いていた。

ターゲットとなる小松 蓮は、最後まで稼働するとして、

すばしこい八戸のナイジェリア人フォワード#90には、藤谷 壮を当てがって、かつ、2人でつぶす。

野澤 零温は、右に置いてファーストディフェンスに専念させるはずだから、

はて?

すると、山口 一真は左なのか、活きるかね?、

と、懸念しましたが、なんの苦もなくプレイしていて(見くびってごめんなさい)、

同点弾アシストの起点となり、さらに、逆転弾(そのひとつ前のコーナーキッキッカー)を導いてと、かなりの貢献。

住田 将も、3列目から何度も猛然とチャージする、などなど。

交代に、メッセージ性が伴っていること。

山雅がゲームをモノにする時は、これが必ず介在している、好見本でしたね、一昨夜は。

では。

45分で,勝って魅せる (2023.9.30八戸戦レビュウ❶)

2 – 1 の逆転勝利。

おいおい、あっけらかんと、ペナルティキックで失点かよ。

けれども、それが開始早々(4分) だったがゆえに、

相手が時間稼ぎで守りに入るような、膠着したゲーム進行にもならず、

山雅プレイヤーに心的ダメージが少なかったのが儲けもん、でした。

― キックするたびに、すごい水しぶきが飛ぶわよ、と家人。

― いや。あれ、砂が飛び散っているのよ、芝がはがれたところの。

― でも、不良なピッチは、お互い様だから、理由にならないわ。

― いやいや。
あの芝でやり馴れているホームチームが、断然有利です。
荒れた芝を、勝敗の言い訳にできない、というのはたしかですけどね。

……(おそらくは)そういったコンディションのために、

後半開始早々からは、ロングボールを蹴り込んで、そのセカンドボール回収戦法に踏み切ったんでしょう。

そこの修正によって、ゲームをモノにできたと考えるならば

ほぼ完璧な試合運びによる勝利(=完勝)、という評価になります。

逆に言うなら、それほどに、ヒドイ前半でした。

ボランチの安永や米原が、有意味にボールタッチできたのは、ようやく(おそらく)ゲーム開始後15分以上経過していたのが象徴的で、

要は、前半はほとんど、山雅にはゲームメイクする中盤が存在しなかった。

で、中盤における蹴り出しやパスが、ほとんど相手に渡る。

それに加え、村山 智彦や小松 蓮に諫言されてしまうような、低質なジャッジレベルがあり、

ムダに熱くなって、荒れたゲームに流されっぱなしになる危うさが噴き出して来た。

そこで。

自分流サッカーを見切ってしまって、

むしろ、相手のやり方に降りて行って、それを、力量で凌駕してしまう考え方を採用したベンチワーク。

八戸の地では、後半の45分だけサッカーをやった山雅だったにせよ、

あの舵切りをやって魅せたベンチワークこそが、もっとも称賛されるべき、としておきましょう。

では。

明快に徹せよ。(八戸戦プレビュウ❷)

ヴァンラーレ八戸とは。

3バックシステムを採用、カウンターをつねに狙っていて、右サイド攻撃に強み。

さらには、セットプレイ(含むコーナーキック)で活路をひらく力を持っている。
山雅、たしか、昨季は、セットプレイから失点している。

かと言って、ファール数はそれほど多くなく(ウチら並み)、カードについては、リーグ最少だから、ガツガツと削りにくるわけでもなく、

ボール保持にはこだわらず(ここまで、平均保持率 44%弱)に、

ボールを獲たら、とにかく手数少なく、相手ゴールへ向かう、そんなサッカー。

ゆえに、山雅からすれば。

いままで積み上げたサッカーを、より忠実、実直に信奉して戦う、それしかありません。

プレビュウ❶で指摘した通り、攻撃の不調からの立ち直り、それこそが、今節のテーマですから。

❶たゆまぬファーストディフェンス
前節を観戦していて、岐阜のほうが、出て行くと行かないの使い分け、パスコースの消し込み、このふたつをとっても、山雅より格段上手かった。

あれだけ前線からの追い込みに力を注ぐならば、もうちょっとは決め事、特定のパターンなりを作り込んでおけよ、と思ってますが、

とにかく。

八戸に対しては、3バックに対し、3トップと数は足りているから、
つねに圧迫をかけ続けることで、そのボール出しを窮屈、不精密にすることで、ボールを我が物にしたい。
その際、後ろも押し上げて、中盤に、空いたエリアを作らないこと。

❷縦に手早く、果敢に
パスミスなどから、カウンター攻撃に曝されてしまうリスクをおそれず、

思いきって、鋭く縦、あるいは、斜め前方向にパスを入れ、空いたスペースに人とボールが飛び出していく、そういう攻めを繰り返す。

中途半端さ、軽さを慎み、好位置、好体勢の他者を活かす、そんなところでしょうか。

山雅公式ページにの八戸戦に、

常田 克人がフューチャーされているのは、青森県(青森山田高)で過ごしたキャリアのゆえでしょう。

いまや、リーグ戦全28ゲームを、すべて先発出場し続ける〈鉄人〉に化けつつある常田ゆえに、彼に称賛を惜しんではいけませんが、

僕が注目するのは、同じ青森山田出身の、住田 将。

前節、山本 龍平にかわって投入され、10数分、左サイドバックをやっていたのは、

果たして、手薄なサイドプレイヤーを埋めるための苦肉の策なのか、それとも、住田の、新たな可能性発掘であったのか?

で、得体の知れない、左サイドバック起用が、まさか今節もあるんだろうか?

アクティブな八戸右サイドを、どう抑え込むのかも懸案事項ですしね。

しかしですよ、青森市と八戸市は、距離で90㎞近く。
車だと約2時間の所要。

常田や住田に、格別の馴染みがあるとも思えないのですが。

では。