ドリブル論を少々。 (栃木C戦プレビュウ❷として)

リーグ戦3分の2を終えた時点で、

リーグ20チームの、ゲーム平均ドリブル数は、10.9回

ひとつめ(確認)。

ドリブル回数のトップ 5 と、そのゲーム当り平均をみると、
註☞〈〉は、ボール保持率の順位を示す

❶栃木C      16.7回  〈5位(☜ ボール保持率の順位)

❷高知         13.9        〈20位〉

❸群馬         13.6        〈1位〉

❹栃木SC     13.5        〈12位〉

❺金沢         12.5         〈2位〉……となっていて、

では、山雅は……、

⓳松本       7.5 回    〈9位〉(20位は、鳥取で 7.4回だから、実質の最下位)

ドリブルに関し、このようなデータが残るのは、

フィジカルの優位とボール扱いの技量で相手を凌駕できれば、

ボールを持つ時間、機会がおのずから増す(=保持率が上がる)と同じように、

ドリブルに長けたプレイヤーを擁し、その強みを活かそうとすれば、

いきおいドリブル回数が増加するだろうから、が理由。

さらに、保持率を絡めてみると

高知のサッカーがどんなものか?、は容易に判りますね。

群馬については、べつの機会で書きますが、

おそらく、もっともサッカーの王道に取り組んではいる。

ここでは、ひとつだけ、指摘しておきましょうか。

それは、ドリブル上位の 4チームすべてに、山雅は前半戦で、負けを喫している!!という事実。

相手のドリブル回数ばかりが、こっちの敗因ではあるまいけれど、

でも、山雅の守り方にとっては、けっこう検証すべきデータではないか?

で。

勝ちを献上したチームのひとつと、あと数時間後には合いまみえるわけで、
ここをスカウティングしていないなんてことがなければいいが。

ふたつめ(確認)

栃木Cで、チーム内上位3人が、どのくらいの比率でドリブルを稼ぐのか。

上位の3人(田中、岡庭、吉田)で、チーム全体の、65 %を占める。

断然トップの田中パウロは、48.3 %。チーム半分のドリブルをこなす!!

しかも、彼は、クロスもチームトップ、アシストは 8個(チーム1位)。

となれば、そのドリブル対策は、彼自身によるゴールよりかは、

ドリブルでサイドを侵入してボールを渡す、その受け手のプレイヤーに仕事をさせないこと。

パウロにドリブルをさせないことがいちばんだが、それも困難であるから、

ゲーム内で、10回あまりはドリブルを仕掛けられるシーンを覚悟。

最後に。

(ドリブルリーグ最下位の)山雅について、チョイ見。

上位 3人(村越、菊井、想来)で、チーム全体の、54%をこなす。

だから、村越には、もっとドリブルを織り込むべし、とチームに注文をつける資格があるわけ。

でもって、第4位以下は、

樋口、小川、安永、康浩、龍平、馬渡、青空の順で、これがトップ10。

その量では決して誇れない我らがドリブルは、

ボールを持って相手ゴールに向かう時の、

有効で、殺人的なパス出しのためにあるのは、もちろん。

対栃木Cでも、ロングフィードに絡めて、それを、トライせよ。

なんとかセットプレイも凌ぎ、対等にゲームを持ち堪えて、勝機をさがそう。

しかし、ですよ。

青空がピッチに立っていない現状は、山雅がドリブル重視でないことの象徴か。

それだと困るんです (僕からすると)。

では。

ふたつの注文 (栃木C戦プレビュウ❶)

戦力の出し惜しみはするな、といってツートップをお奨めするのが、萬年式。

すると。

特に、シャドウのところ。

そこを担えるタレントに豊富な山雅であるから、その人選に苦労するだろう、

事実、前田を投入してもなお、佐相はピッチに立たないのが八戸戦でしたから。

それと。

#10の存在感を、フィニッシャーに絞らない、というのが基軸。

……さて。

4月のホーム栃木C戦は、こっちのボール保持が 64%ほどで、

対等にやれていて、ただ、ディフェンス陣の若さを、田中パウロに衝かれた。

(実は、このゲームが、0 – 5 で屈した高知戦の次のホームゲームであったところにメンツ選抜の綾があったのだが、これについては、またどこかで。)

あれから、4箇月が経って、

今の我がチームの深化ぐあいからすれば、そこそこの勝負には持ち込めよう。

して、その要件は……。

❶ドリブル回数を増せ。

八戸戦の出来の良さは、ドリブル回数が 14で、今季の最高を記録したことに支えられた。
(リーグ平均は 10.9回、山雅は、下から2番目にドリブルが少なく 7.5回)

山雅の今季第2位は、ホーム福島戦 13回。

ちなみに、先のホーム栃木C戦は 10回。この時の栃木のほうは、12回。

ドリブル、と聞くと、ボールを持って長い距離を突貫するイメージをしやすい。

たとえば、横山 歩夢、田中パウロ、鈴木 国友とかね。

けれど、ドリブルの真髄はひたすら、

ボールを動かすことで、ピッチ上の配置を変え、最適位置の場所とプレイヤーにボールを供給(=パス)すること、と思う。

この考えを山雅流に落とし込めば

こちらがボールを持って押し上げる、相手ゴールに向かう、その時、

駆け上がりのドリブルを使って、

持ち手が、どうやって効果的にパスコースを切り拓き、受け手は、どうやって、そのパスコースに顔を出せるか、そういうことです。

それが、ファン&サポーターには、積極性の表現、と映るに違いない。

守備にまわった時の、栃木Cの腕っぷしは、八戸ほどではないし、

前線に3人を並べる攻撃性の代償として、

4バックの前が、ワンアンカーならば、

その周りのスぺ―スを活かすことは、まさに、前節と同様ではありませんか。

❷セットプレイは狡く、かつ、隙を見せずに。
栃木は、総得点のうち、28%をセットプレイから獲っている(対し、山雅は23%)。

ゴール前に飛び込んでくる迫力は大、さらに、クリアボールが中途半端になれば、たたみかけてくるということ。

さらに、コーナーキックは、リーグ第2位、これはシュート数第2位とリンクしていると思われる。(参考に、CKとシュート数が、ともに1位が、鹿児島)

山雅、コーナーキック時の、ゾーンとマンツーマンの混合システムはまぁまぁ上手く機能しているとは言え、油断禁物ですぞ。

他方、反則数は、栃木は、FC大阪とともに、断然のツートップ。

つまり、こっちのコーナーキック数は相手の半分、とは言え、

削られるのは痛いとは言え、

こっちのセットプレイのチャンスはおのずから増すわけだから、

それを、活かさない手はありません。

前回エクスキューズのとおり、無念のDAZN観戦になりますが、

フォルツァ、 山雅!!

白生地にゴールドの勇姿で躍動だ。

では。

そんなシティにうんざりし。

シティはシティでも、マンチェスターシティ(イングランド1部の)ではなくて、

この週末に、山雅が対戦する栃木シティFCのことなんである。

北関東の地(栃木県岩舟)だから、参戦のつもりでいたのですが、

さて、チケットを、とみたら、

ビジター(ホームも同じ?)は、どこも 4,500円なり。

いつもの 5割増しの特別価格らしい。

商売において強欲なのは理解できるが、価格設定の能書きに、

来場者多数のゲーム運営には、人とモノが余計にかかるので、とある。

これはまるで、

繁忙期には人を増して接客するから、

その人件費をそっくり宿泊代に乗っけます、という旅館業界のたわごと、と同じ。

そこには、なんの企業努力もなかったから、

人々の観光動向が変化したら、それに対応する智恵も浮かばず、全国いたるところの温泉地では、いまや、ホテルの廃墟が出現している。

山雅さんの動員力を活かして、クラブがすこしでも潤いたいから、と正直にいえばカワイイのになぁ。

ただし、

遠征費総額に占めるチケット代は、それほどでもないので、

参戦を取りやめた僕の言い分もまた、単なる言い訳なのかも知れませんがね。

では。

前略 樋口 大輝 様 (八戸戦レビュウ❷おしまい)

#7 馬渡さんが怪我で離脱したので、左サイドバックは、先発があなた。

で、右の小川さんに交代カード(龍平さん) が切られると、今度は、君が右に入る、というのが直近の選抜。

しかも、大内さんからのロングフィードが、あなたをターゲットにする手法が、八戸戦では、あらわになった。

加え、セットプレイで、ペナルティエリア付近にボールが入る場合、菊ちゃんは、けっこう君を狙う。

そこらは、高橋さんらとの作戦会議によるものなのか、

とにかくも、セットプレイは、我が山雅の貴重な得点源でもありますし、

ホーム鹿児島戦で、

想来君ゴールのアシストとなった、ヘッドでの折り返し。

ああいうのも含め、今後、益々の奮闘をお願い申し上げます。 草々。

……かように、大輝の頭による落としであっても、

または、林、想来による落としであっても、

たとえば、林は、かなりボールを収めては、転送してくれているのですが、

いかんせん、布陣として孤立気味であることが惜しまれる。

八戸戦では、ついに、ワントップの先発を替えてきた首脳陣ではありましたが、

田中と林のどっちを先発にしようとも、ワントップ配置は、

僕には、小手先による戦力の逐次投入に思えてなりません。

パスで丁寧に前進するため、そこの部分に手数がかかってしまうせいなのか、

肝心要の、最後のシュートシーン。

その時、ペナルティエリア内で、クロスや、そこからのこぼれ球に反応する枚数が、決定的に少ないのでは?

ヴァンラーレは、4人はドッと侵入してきたように記憶します。

もちろん、山雅が人数をかけることもあるんですが、

やはり、クロスに合わせる人数に乏しい、といった残念なシーンは多い。

あれ?、そこに、誰もいないじゃん、という嘆き節。

撃つシュートの(枠内への)正確性、これなどはもう、個々に鍛錬してもらうほかはない話。

でなくて、その手前の、ボールをペナルティエリアへ持ち込む時の、人数的な迫力、そこを増すのがいちばんかと。

と、こう書いて来ると、

僕は、お決まりでツートップ、を持ち出したいわけ。

とにかく、戦況を、大胆な切り込みで突破しましょうよ。

ゲーム最終盤の、切羽詰まった常套手法でやるのだったら、

いま、センターバックの安定と、サイドバックの活発という好材料があるのだから、

ゲーム冒頭から、思い切って

4 – 3 – 1 – 2 でいかがでしょうか?

ふたりのフォワードの後方の 1には、

フォワード登録であるけれど良い位置取りで、シャドウ的にボールを動かせる村越 凱光を配し、

その下の3 は、菊井を三角形の頂点として、川上、山本が、左右の底辺に開く格好で、中盤を形成。

スリーボランチ、菊井はフィニッシャーというより、アシストで魅せる才能でありましょう。

最基底からの組立ては、適時、ボランチのひとりがひとつ降りて、ボールの中継役を果たす。

いくら無失点に抑えてみても、相手より得点できなきゃあ、テイク=オフ(離陸)はできず、

よくてドローに持ち込むうちに、リーグ戦という滑走路も尽きてしまう。

では。

ヴァンラーレは教えてくれる (八戸戦レビュウ❶)

某メディアのゲーム評に、〈互角〉とあったのには、かなり驚く。

売文(金を取っている)業なら、もっと精確に伝えておくれな。

ドロー、という結果のみからなのか、はたまた、

首位チーム(=強力との刷り込み)とまみえ、一方的にやられもしなかった心象からなのか、ヒドイもんです。

互角だったのは、せいぜいが、

前半の 20~35分あたりの時間帯であって、あとは、こっちのゲーム。

そこを見落とすと、このゲームと、(まだ不足はあるものの)山雅サッカーの深化を評価できません。

まぁ、一方的にヤラレタ(削られた)のは、被ファールの部分。

これは、執拗に喰いつくのを良しとする八戸サッカーの真骨頂その❶、でありましょうが、

僕が予想した、前後半ともに開始15分は圧倒、の課題はクリアした。

前半の入りは、ほぼパーフェクト。
相手の蹴り込みサッカーの上前を撥ねるような、ボールの蹴り上げを織り込みながらのスタート。

こういうのは、明らかにスカウティングと研究の痕跡。

そして、後半になったら、ほとんどゲームの流れを握っていた。

実は、そのわけは。八戸サッカーの真骨頂その❷

ボールを入手したら迅速に前へ、相手に渡れば即戻れ、の徹底のおかげ。

前後に、人と(ロングな) ボールが、敏捷に動く。

つまり、攻撃に迫力を加えるために、前線に4~5人で押し込む

他方で、相手の攻撃を阻止せんと 4枚が守備を固めるため、

陣形が、4 – 1 – 5のような様相を呈す。

砂時計の、真ん中がギュッと絞られた、あの容器のように。

で、相手ボールホルダーを猛追するので、その陣容は、けっこうバラバラになる。

中盤のひとりの役目は、当夜は、#7が 負っていた。

彼の周囲には、広いスペースが空くので、

ここを、こっちの山本、川上が、いいように使えたから、

チーム全体として、ボールを余裕を持って、機能的に回せたし、

ピッチ幅を広く活かそうという、横方向のパスも有効だった。

(プラス、終盤。八戸は、さすがに疲れたか運動量が落ちた)

ジョニ ミッチェルの〈Both Sides Now〉(青春の光と影 1967年発表、山雅と同じくらい古い!!) じゃあないが、ものごとには両側面があって、

八戸が八戸であることの、正と負(真骨頂の❶と❷)、

それにうまくつけ込めたことになる。

山雅ベンチが、どれほど意識していたかは、知りませんが。

ゲームの握り方におけるこの教訓は、高知、FC大阪、相模原、北Qあたりには活かせそう。

ただし、僕は、

八戸の、攻撃時にガッと枚数をかける考え方と手法こそが、

山雅の今後にとって、貴重な教え、と思う。

そのことについては、レビュウ❷で。

では。