地域密着を知れ (後編)

中編より続いて。

❸ガイナーレ戦における先制直後の光景。

得点した田中のところへ、樋口、村松が,、早速と抱きつきに来る。

まぁ、画としても、鑑賞に堪えるの図、ですが、

山雅にあってユース年代を送った才能が、ピッチでその領分を発揮すること。

これが、地域密着の、ひとつの成果に違いない。

僕は、彼らが、長野県生まれであることにはこだわってはおらず

山雅の近くで暮らしたこと、そこに着目する。

これは、

多くが、外からの寮住まい生徒で成立するスポーツエリート校、

つまりは、高校生野球における〈甲子園専科コース〉を、

そのまま地元代表として受容するような心情と同じなのかも知れない。

トップチームが、たとえどのカテゴリーにいようとも、

それ相当な準備期間を要したゆえの、

まさに今、でなければ味わえない、クラブ成長の軌跡

これを見逃す手はありませんぜ。

では。

地域密着を知れ (中篇)

前編よりの続きです。

鳥取戦の観客が、7,000人に届かなかったこと。

これなどは、地域特性がかなり反映したあたりまえな動向、と診ます。

松本山雅が、いかに、地域に〈裾広く〉密着したクラブであるかの証左みたいなもの。

5年前のデータ(2020年10月国勢調査による)ですが、

長野県の就業率は、62%で、全国 5位、

うち、65歳以上の就業率は、32%で、全国 1位。

たとえ、ゲームが土日であろうと(曜日に関係ない就労は、そこそこ多く)、

山雅ファン&サポーターは、幅広い世代(老若男女)が、お仕事を持っている。
(☞ これが、根底です)

また。

10年前の統計だと、

長野県の総農家数は、全国 堂々の 第1位。

なかでも、自給的、第2種兼業農家(農家収入が副収入)が、その8割を占めているらしい。

つまりは、農作業を、(会社等の) 休日を使って、集中的にこなすだろう。

さらに。

この季節、ホームセンターなどの園芸売り場の、その盛況のありさまを見よ。

これだけの前提条件のところに持ってきて、

鳥取戦は、FDAのエンブラエル機が、着陸をやり直すほどの強風下であったものの、

前日の雨模様からは、一転しての好天

農作業(植え付け)、庭いじり、ファミリーサーヴィスには、最適日だった。

晴天も、雨天と同じように、客足が遠のくその日に、

7,000人弱の参集、これをどう診るのか?、ということ。

しかもしかも、あのゲーム、たしか、地上波による中継があった。

……ならば、集客的には、そこそこの健闘です。

では。

地域密着を知れ (前編)

たとえ声を大にしなくとも、

果たして、

〈地域密着でないこと〉が、今のJリーグで成立するのかいな?

つまりは。

品質と強調協調性を落とさないために、12の球団数に制限するプロ野球でもないのだから、

(傘下) 60クラブにエキスパンションしちゃったJリーグにおいては、

もはや、地域密着でしかあり得ない。

いつかの神戸の、バルサ密着は、

金にモノをいわせた仇花。(金にモノをいわせることは、もちろん、否定しない)

さて。

それを前提に語ると、

❶よくある、(ホーム)スタジアムのアクセスの難易度論。

いかにもマヌケよなぁ、と思うのは、

スタ最寄り駅からの距離と時間を、評価のメイン軸にすること。

鉄道網の発達した首都圏、京阪、中京圏ならいざ知らず、

もはや、JR私鉄を問わず瀕死状態の〈地方〉(田舎)では、最寄り駅を起点とするアクセス論議は成り立たないし、

(クルマがないと、生存できませぬ)

そもそも、既存設備は、もともとが、郊外の、非住宅エリアの安価な立地で、地方政府が設けたものが多く、

クラブが、自前で、自由にスタジアムを入手もできない実情であるから、

スタジアムそのものの立地条件を持ち出したところで、まったく無意味。

日頃は鉄道を使って暮らすアウェイ観客の利便を、第一義的、とするのが暴論で、

だから、一体、どこの誰さまにとってのアクセスなのか?

(もちろん、クラブ収益面からは、割引しないアウェイチケットの増大は大切)

もしも。

首都圏などからの観客のため、このアルウィンのアクセスを格別なものにしようと思えば、

上田or佐久平駅から、信州まつもと空港駅をターミナルとして、北陸新幹線の分岐線を敷くこと、これが、推奨的な解決策です。

さすれば、このエアポート活用度の余地もかなり増える。

……そう言う前に、山雅はトップリーグへ、でしょうかね。

では。

コペルニクス的ほどでなくたって (鳥取戦レビュウ❷)

ここ2ゲームで浮き上がってきた、

戦術的な傾向値や、注文(= 課題)。

❶対鳥取戦、山雅がもらったファール(15個)のうち、

その40%は、安永 玲央がこうむったんではあるまいか?

敢闘賞は、〈痛み〉の代償的な勲章? とは、シャレにもならないが、

ボランチとして、ボールを持ち出す機会が多い事情もある。

とは言え、気の毒なことで、

ここらは、チームとして、ボール受け手の、位置取りと準備の迅速によってカイゼンでしょう。

❷思うに。

長野戦での 1失点目にヒントをもらったのか、または、そのやり返しであるのか?

横一線で網を設ける相手センターバックの頭上を越える(山なり)ボールと、そこへの走り込みの多用。

フォワード田中のプレイスタイルとも適合しているから、これからの重要な武器。

長野戦では、惜しくも枠外シュートだったけれど、

菊井 ☞ 山本 康裕のラインでも試みられた。

山なりボールを見せておけば、今度は、グラウンダーパスが活きる。

❸村越の離脱(佐相も!!) もあり、滝 裕太にチャンスが巡ってきていて

ゲーム後、

チノ氏の開口一番は、― 滝にはゴールを獲らせたいよね、だった。

あの動きを、❷のやり方、

または、相手ディフェンダーを背負ってでも、一旦、ペナルティエリア中央へボールを入れ、そこから、入ってくる滝あたりが貰って、シュートではどうでしょう?

❹ゲーム最終盤は、大橋が傷んで退場したこともあり、

松村と、石山 青空の、ダブルボランチで対処。

こういうことができるタレントを擁する強みは大歓迎。

これを、非常回避的にやるんではなく、早い時間帯で望むのですがね。

菊井 悠介の出来がなかなか良くて、いい意味でめだたず、あるいは、執拗な守備で魅せた。

彼からのボール配球が、

相手守備に囲まれて阻止されることよりも素早かったこと、それが要因、と思うけれど、

チーム全体としての、相手守備が捕捉しにくい攻撃テンポと、貰い手の早い準備。

これは、大きな勝因につながると診ます、今後。

❻高身長の活かし方
守備時のヘディングは当たり前として、

セットプレイにおける、ディフェンダーによるヘディング、このクオリティのこと。

特に、二ノ宮は、飯田師匠にお願いしてでも早急にその精度を上げること。

これは、彼が生き残るための必修科目ではないだろうか。

では。

プランどおりにやれる力(20255.18 鳥取戦レビュウ❶)

後半50分の、田中 想来によるゴールが決勝点になって、

1 – 0 の勝利。

一見すると地味だけれど、

こういう勝ち方もできることは、リーグ戦ではかなり貴重な〈強み〉に違いない。

コイントスで、風下(強風の)ではじめることになって、おそらくは。

前半は無失点(のイーブン)で行こう、というのが、指揮陣のプランであったと思います。

鳥取が、ゲーム冒頭こそ長いボールを入れて来たものの、

その後は、ひたすらパス選択だったことにも助けられ、そのとおりに進行。

相手センターバックからは、危険なボールが前線にはほとんど供給されないことを知るや、そこには下手に喰いつかずに、

センターバックからボランチへボールが出るところを、ボール奪取と反転攻撃のポイントに据えた。

35分頃から、

センターバック松村と杉田を、左右入れ替えて、さらに、

そこにアウトサイドハーフの位置取り変換を絡める、といった面白いチャレンジを咬ませるなんて、なかなか。

相手に、混乱を与えるような嫌味をやるのは、サッカーにおける妙諦でしょうから。

ハーフタイム談義で。

チノ氏とは、滝をもっと使おうや、後半開始の15分の攻めが鍵になるでしょうね、などと話したのですが、

やはり、というか、これは山雅流でもあって、

開始後、攻撃圧を強めると、相手に余裕を与えない、速いテンポと波状的な押し込みで、ゴール!!

最後は、

角度のないところからの想来のシュートで決め切ったんですが、

その前で、菊井、そして滝と、二手間かけた撃ち込みをしていたダメ押しは、ミゴトでした。

その後も、上手く時間を進め、最後は、バルガスを投入するほどのいやらしさ。

コーナーフラグでの時間稼ぎにつき合う鳥取プレイヤーには、うんざりの義務感が露わでした。

あれが鳥取の、ゴールに迫るスタイル、とはいえ、

結局、ガイナーレのシュートを、前後半で1本づつの、計2本(公式による)に封じた。

でも、こうやってゲームを締め切る〈巧さ〉が、

技量の〈上手さ〉(テクニック)と共存してこそ、

最高のファンサーヴィスであるところの、勝利へとつながっていくのでは?

長野戦(5/14夜)で確かめられた手法とか、

あれが勝利であれば、その夜のMVPを獲ったであろう安永 玲央の、一節遅れての敢闘賞、そこらへんは、プレビュウ❷でみるとして、

5月の 5連戦を、3勝1分1敗で乗り切れたのは、上々の出来と考えます。

これも、4ゲームをアルウィンでやれた賜物、としておきましょう。

では。