オーソドックスを乱せ (千葉戦プレビュウ)


〈安穏と暮らすべからず〉

思えば、萬年ブログの初回(2013年)は、持てる者(含む:フクアリ) JEF千葉について綴ったものだった。

金額的に頭打ちとは言え、リーグでは常にトップクラスのクラブ予算。
豪華なプレイヤー陣容を誇りつつも、J2で戦うこと 今季で11年。

―言葉は悪いが、これって、ほとんど犯罪の所業、ではあるまいか。

なぜ、ここまで言うか?

かなりの贔屓目だが、トップチームの顔ぶれをみる限り、山雅が今季昇格に手が届かなかったとすれば、これもやはり、犯罪モノであろう、という思いがあるからに違いない。

千葉とまみえるについては、変なプライドは無用なれど、そのくらいの切実感を持たないといけない。(精神論と決めつけられませんよ)


〈ヒール を演ぜよ〉
8/10 対町田戦は、千葉が前半に2得点、そのまま 2 – 0 で勝利した。
その後半を、20分ばかり観てみる。
優位に立った千葉があまり突っ込まないサッカーを展開したので、シーソー的に攻守が入れ替わる内容だった。

4 – 4 – 2 の布陣。
前へ前へと手早くボールを動かすサッカーを展開する千葉だ。
ロングボールをいとわず、その跳ね返りを奪取しようと狙う。
守備の時は、ラインを忠実に形成、攻撃に転ずると、ワイドに位置した両サイドハーフ(左 船山、右 米倉)が果敢に突っ込んっで来る。
―ざっくり言えば、オーソドックスで〈剛〉のサッカー。

最近の傾向からすると、対する山雅は 3バックで来るか。
最終ラインの左右を使われるリスクを敢えて引き受け、そこから反転攻撃ってのも面白い。
その際、ロングボールを相手に渡さない工夫が必要だろう。
DFが落として、誰が拾うかだが、千葉は前を向いたインサイドハーフ(=ボランチ)が出てくるだろうから、そのふたりに競り勝つことが肝要。

となると、ポイントは、当方のボランチが相手ボランチの働きをつぶせるかどうか。
そのためには、こちらのボランチが前を向いてボールを握る時間と機会をできるだけ多くしたいが、これは、できるだけ押し込んだ体勢を保持できるかにかかっている。

3トップくらいにして前に重心をかけ、ビックスイッチを織り交ぜて、千葉のラインを左右に振って崩す。

高橋 諒の復帰、前 貴之の加入という好材料があれば、ここはメドがたつのではないか。

とにかく、守備陣形の外縁をなぞるだけではダメで、要は、相手と同様なことを、それを上回る熱心さでおこなう。

正統的な千葉サッカーを、剛といやらしさで凌駕して勝機をたぐり寄せるのみ。

では。

光の射した 4連敗 (2020.8.8 磐田戦レビュウ)

Jリーグの順位表。
●が4つも並ぶのはうちだけ。
愉快ではない。
けれど、心中には希望の陽が射し込んでいて、それほど落胆もないのが真情。

そんな朝。

公式ページには、怒りを持って過去を振り返るな(英語で)……か。

おぉ、ファンの心情を読み取ろうとしているのか、山雅の中の方々は。

〈納得のゲーム展開〉
1 – 2 の逆転負け。

あまりにも画に描いたようなあっけらかんの得失点のありさまだった。

得点➩高橋 諒からのクロスのタイミングが絶妙。
つまりスイッチを素早く入れた分、磐田ディフェンスが準備できないまま鈴木 雄斗をまったくフリーにしてしまった。

失点➩2点ともミスから。
1点目、大森 晃太郎がカットインして入ってきたらシュートは目に見えている。明らかにディフェンダー(大野)の寄せ不足。
3人が立ちはだかれば、大森はその頭上を狙い打つのだから、ここで体勢を低くした村山 智彦の準備もミスに限りなく近い、と思う。身体を伸ばしていたらパンチングできたよ。

2点目、山雅最終ライン(大野)からの藤田 息吹へのパスがずれ、それを拾った大森に、大野が交わされたことが起点。


磐田は、ロングボールや、縦パスをサイドへ通して来た。
そのボール保持率は60%強。
2失点は、大森の1ゴールに1アシスト(小川へのパス)だったので、結果的に要注意人物にヤラれたわけだ。

なんだよ、萬年式プレビュウをそのままなぞるようなゲーム展開。
嬉しいやら悲しいやら。
けれど、反省点はあまりに明快過ぎて、むしろサバサバしまうわけです。

〈光明にフォーカスせよ〉
後半カードが切られるにつれ、ゲームの流れをグッと引き寄せた感ありあり。

アウグスト、イズマが存在感を、前 貴之は突破の鋭さを、米原 秀亮は気の利いたパス配給で魅せる。
常田 克人も復帰、DFが安定する。

前線が強化されると、DF陣の負担も軽減されるから、ボールの動かしが有機的になり、それが攻撃をさらに厚くした。

対し、磐田の攻撃は見事過ぎるほどに無言化。(省エネルギーの勝利へと舵を切ったのかも知れないが)

終わってみれば、シュートは相手の倍以上を打ったのではないか。

特定の主力級の不在への不満も消し飛ぶ攻撃は、得点こそなかったがその予感に十分だった。
ただし、アウグストは当初から左サイド右サイドで使うほうが活きる、と思います。
久保田 和音や鈴木 雄斗は、ほぼフル出場でお疲れさん。ここは、そろそろケアを要する。

さて、ここから5連戦。
ここから反攻。

たしかに怒りで後ろをみている余裕もありはしない。

では。

志を高く 引き分けを狙う (磐田戦プレビュウ)

ソネさんは、先日の北九州戦をスタジアムで観戦した。
―山雅の出来は、現地でみていてどうだったの?、と訊くと、

―双方にミスも多かったけれど、山雅はどうしても攻撃が遅いんですよね。
次の磐田はアウェイでもあるし、引き分けで御の字、と思っています。

―うむ。
今季降格無しの恩恵が、まさか自分らのために在った、と感じるこの頃だよね。

そうはいうものの、ジュビロ磐田と引き分けること自体、決して容易な業でない。

昨季は4戦して、1分3敗という戦績が、それを証ししている。

〈ゲームは、速さで決めよ〉
前節ジュビロの対愛媛戦を、チラッと観た。

4 – 4 – 2 の布陣、センターバックふたりを底に、左右サイドバックはピッチ幅一杯に高く位置し、パスを重ねることなどにこだわらず、長いボールも選んでは、素早い攻撃を仕掛けてくる。
相手ディフェンスの裏を狙って、フォワードあるいはアウトサイドハーフを標的にする。
相手ボランチの間にスペースができればすかさず、鋭く、長く縦パスを打つ。
そのため、パスもワンタッチや、ダイレクトを多用。

このやり方は、3バックの対愛媛仕様だった事情も多分にあるが、
ジュビロが狙っているのは、攻撃のスイッチを入れたら手早く ゴールまで到達すること。
個の技量をベースに、それを仕掛けてくるのだ。

ゆえに、最大の防御ポイントは、前線への縦パス(スルーパス)。
プラス、セットプレイへの対応だろう。

ボールの出し手へ厳しくアプローチするのは勿論だけれど、ボールを持っていないプレイヤーを自由な位置に走り込ませないこと。
特に、左アウトサイドハーフながら、どこにでも顔を出す、#8 大森 晃太郎には仕事をさせちゃあいけない。

で、山雅は、相手以上に速い攻撃を心がけよう。

ジュビロの、トップリーグ育ちの、ある意味、緩慢な部分を衝くのだ。

力量からすれば、どうしたって60%位はボールを保持されるだろうから、ボール奪取からのカウンター攻撃に特化する。

その際、パスの出しどころを探しているようでは。相手の守備陣形が揃ってしまう。
決め事をキッチリと準備しておいて、手早く攻めよう。

〈投資を 回収せよ〉
磐田のFWルキアン、在籍2年目にして、ここまでで5ゴール。
その仕事ぶりは、覚醒途上と表現していい。
今節も、彼をめがけてロングなボールが幾度も入るだろう。

外国籍プレイヤーは、年俸も相当なんだから、適応力や理解力を言い訳にせず、出場機会をもっと与えるべきでしょう。

彼らには、ゲームに破調/変調をもたらすくらいのインパクトを求めたいのだから、使いこなせないのでは、山雅のランクアップには限界を感ずる。

蛇足ながら、愛媛 vs 磐田のゲームでいちばん気になったプレイヤーは、愛媛#24
センターバックを務める、池田 樹雷人だ。
23歳、184cm。
粗削りなプレイだが、攻撃的な部分が魅力。注目したい。

では。

ギラヴァンツ戦が 証明したもの (レビュウ その2)


古参サポーター京子さんからの、ゲーム翌朝の定期メール。

放出したプレイヤー、レンタル移籍のプレイヤーをごっそりと復帰させよ、といった内容で、クラブ幹部へのうめき声が、書き込まれてあった。

たしかに、下川、永井、小松 蓮。現チームで重用されているようだし、気持ちはわかります。

次いで、青森の親族からは、前田 大然、マリノスに決まりですよ、との報が入る。(確めたら、期限付き移籍)

情報チャネルには、事欠かない萬年家なのだ。

午後は、庭の草むしりをしながら、つらつらと考えた。

コロナ禍での応援では、拍手のみが許される。
ゆえに、観客は、不甲斐ないプレイに不満を表現する手段を奪われている。
これは、ゲーム自体の変容だ。特に、アルウィンのような処では。

無声援の、ひどくアンフェアな状況に縛り付けられて観ている。

この事情は、果たしてクラブに届いているんかいな。

J1第8節は、浦和が引分けたのみで、あとはホームチームがすべて敗戦。
ひょっとしたら、チームの移動負担をのぞき、ホームの優位性は無いぞ、今季。

つまり〈静かなる応援〉では、アルウィン劇場は決して開幕しないな。
リモート応援以外の、別の方策を開発、許容しない限りは。

前節と今節の2点目は、間違ったパスと、マークすべき相手を逃したDF大野 佑哉のミス。
だから、大野は、ゲームふたつ分の借りを作った。
彼には次なるチャンスに、それを埋めて余りある仕事を期待する。

しかし、与えたコーナーキックが 13本かぁ。

こういう流れを断ち切る、なんらかの方法論的な修正が、ピッチ上のメンバーでできないのか?
精神論ではなくて。

結局は、そこなんだろうなぁ。

ただ、昨夜前半なんとか凌げたのは、ボール回しにおけるギラヴァンツの拙さを衝けたから。
要は、相手には結構ミスや逡巡もあった。

だが、次節磐田は、もっとお洒落に巧く繋いでくる。

さぁ、どうする?

では。

去るべき者は誰か (2020.8.02 北九州戦レビュウ)

アディショナルタイムに、中美 慶哉が 一矢報いたが、1 – 2。
敗戦が、デジャヴのように、これで3つ並んだ……。

継続性のサッカーを展開できるギラヴァンツに対し、連携(意思統一)と練度にかなり不足する山雅が、持ち堪え切れずに屈する、ってのがゲーム様相のデッサン。

解説の飯尾 和也氏は山雅同伴者みたいな御方なんで、かなり好意的な物言いだけれど、そもそも、堪えておいてから、さてっ、という出発点が、山雅の偽らざる現在地、と思い知らされた夜、と心の日記には書いた。

前節同様、被コーナーキックへの対応不足と、追加の2点目をやすやすと許したのには、怒り心頭、ってレベル。
ゲームへのこだわり方が、軽い軽い。
以上は、最初に、苦言として。

さて、第9節を終え、登録メンツの出し入れについてはチーム内事情まで承知しないので、ともかくも、
見守るファンとして、今こそ覚悟が必要と、感じている。

〈不信と 内部崩壊は ご法度なり〉
チーム本体の諸事情は、中の人々に挽回をお任せするしかない。

ここでは、クラブを取り巻く者としての思い切り、について。

❶トップリーグに居る山雅しか受け入れられない者、常勝の山雅のみを支持できる者。
こういう方々は、この際、引き下がって身を引く、ってものだろう。
勝ち馬にだけ乗りたい、という価値観ではおそらく、いまの山雅に付き合え切れない。
さっさと、リボンマグネットを剥ぎ、旗を巻くのがよい。

❷辛くとも、新時代を画する覚悟でやっているスタッフ、プレイヤー、チームと添い遂げることを前提とした、語り口が求められる。

シュート19本、コーナーキック13本の雨あられ、というのは、まるでJリーグ1年生の頃に戻ったようなめまいさえ覚える。

けれど、この事実を前に、昨季トップリーグに居たチームがなんだかんだ……、と持ち出して来たところで、建設的な切り口は見い出せない。

まぁ、独りでつぶやくのなら文句は言いませんがね。

❸むしろ、召集されたメンバーによるゲーム作り、采配について論じよう。
やがて復帰するメンバーの分だけ、そこへクオリティが増し加わる、ってもの。
僕たちの頭の中から振り払うべきもの、それは、残像にすがることと、〈不在〉への不評だ。

チャレンジャーとしての自己定義が、僕たちには弱まってしまったのか?

〈誰になにをやらせるのか?〉
DAZN観戦、という制限下での感想は、この見出しに尽きる。

MAX5人の交代と、布陣の変更を織り込みながら戦術を遂行する今季。

となると、攻守における各自のミッションがかなりハッキリと共通理解されてないと、ゲームが作れない。

チャンスを新たに与えられるプレイヤーからは、強みを出そうという姿勢が感じられるのだから、誰にどの強みで勝負させるのか?、をチーム全体で演出していくことに、もっとフォーカスして準備すべき。

たとえば、服部 康平を前線の起点とするならば、彼にボールを当てるその時、他のプレイヤーがどこで、なにを予測するかを、もっと突き詰めること。
ボールが落ちてからまでの画が、いまだ描き切れていない。

山本 龍平、吉田 将也、アウグスト、彼らからはサイド攻撃の可能性が強く予感された。
ならば、最終そこへボールが入るための組み立てをデザインして、練習で再現性を高めておく。

ゲームの中、田中 隼磨の表情からは、ツーカーでないことへのフラストレーションを読み取った。
単発、孤立ではいけない。

中美 慶哉のボランチ起用は成果をみたのだから、できたことにもっと光を!

久保田 和音を前に上げて、アウグストをボランチに、というのも観てみたい。

Use, or  Lose.
使え、さもなくば、失うであろう。
特に、外国籍プレイヤーをなかなか使いこなせない伝統は捨てようよ、山雅。


そして、松田 直樹がクラブに注入したものを味わっている梅雨明けの今日……。

では。