自分を見つめ鍛える (秋田戦プレビュウその❷)

〈水戸戦の宿題を書き上げる〉
第5節、対水戸戦。
山雅のボール保持率は、48%だった。
これ、山雅にしてはかなりの高値であって、ゲームの7割強を支配していたことの証拠でもある。

としたら、今節の相手が、ほとんど初物に等しい秋田であっても、勝利で終えるはずだった前節を、アルウィンの舞台でそのまま再現しなくてはなるまい。

〈柴田山雅 を再確認する〉
前回で描写したブラウブリッツのサッカーは、山雅にとってはいつか通った道にかなり近いけれど、今から、そこに帰ることはできない。

むしろ、苦杯を嘗めさせられたサンガのほうに感情移入してしまうわけだ。

ここで、昨季後半から今季にかけての、山雅の針路をくどい程に再確認……。

❶若手登用と成長をテコに、約束事を明確にしつつ、守備面の安定を図った。

❷前、佐藤らを補強、中盤における強度を上げると同時に、その攻撃性をより前線に近いポイントで発揮できるシステムを採用。

❸阪野をのぞいて、昨季戦力をごっそりと失った前線。
そこへ、チームとして新加入タレントを大量獲得。
実戦をとおして、個々の強みと、その組み合わせの最適解を模索中。
左サイド方面では、外山、河合が先頭を切るが、いまだ片鱗をも見せない人材は多い。

❹チャンスを活かしたDF野々村が売り出し中。橋内が復帰し、篠原が存在感をアピール。……、そんな感じか。

〈スタイルの組み合わせを 間違えない〉
どんなチームであっても、〈速攻〉はしたいし、しなくてはならない。
これはサッカーでは自明の理。

相手が帰陣して守備を整える前、広大なスペースがあるうちに攻め込めれば、ゴールのチャンスが大きいに決まっているからだ。

攻撃において、戦術として速攻を選ぶとすれば、相手をできるだけ我が側に引き付けておいて、ボールを奪って即反転攻撃、という策になる。
意識的に、敵を前がかりの態勢にさせる。

この時、相手の攻撃に堪える時間を無失点に切り抜けるためには、身体をはった〈堅守〉が絶対的に必要だ。
ガードを固めておいて、繰り出されるパンチ(攻撃)を敢えて受けるのだから。

つまり、〈堅守速攻〉とセットで呼べるのは、上のようなスタイルを基軸とする場合に限る。

二度のトップリーグ陥落の経験などを通過して、山雅は今、堅守速攻のサッカーを捨てた地点まで来ている。

その得点力の弱さゆえに、〈堅守〉はこれからも絶対命題だろうが、速攻でない攻撃(=ボールを保持して相手守備網を崩す)を研ぐこと。

これがベーシックな課題であるし、ここをクリアすることが、将来への布石になる。

編成されたチーム、タレントの面々をみると、この針路は明らか。

この視点からすると、(結果はともかく)、攻守に強度の高いゲームが続く今季であることは間違いなく、秋田戦にもそれを求めたい。

個々のプレイヤーへの思いは、挙げたらキリもないが、ともにキャプテンマークを巻く佐藤 和弘と中村 亮太。
中京大サッカー部同期の対決に注目しよう。

では。

強みの最大化こそ (秋田戦プレビュウその❶)

ブラウブリッツ秋田には、格別の思いがある。

長野パルセイロと対戦する際には、東和田や南長野へ出かけて行った。
気持ちだけでも、と思って、マンチェスターシティのユニフォーム(ブルー)を纏って。

アウェイのゴール裏に独り離れて座っていたら、秋田サポーターの方がやって来て、お菓子をいただいたのも懐かしい。

〈このまま躍進か?、ブラウブリッツ〉
第5節、対京都戦の前半を、DAZNで観た。

J2昇格のホーム開幕の喜びが、バックスタンド観衆からも伝わってくる。
雨中の中、3,000人のご来場か……。

ゲームは、京都がほとんどボールを握り(支配率65%)、シュートは相手4倍強の23本を放つ。
スローイン52本は、いかに秋田がクリアに逃げざるを得なかったかを語る。

しかし、最終ラインに抛り込まれたボール処理のミスひとつから、前半41分に失点。
先制した秋田の堅い守備を崩せずに、そのまま ジ エンドで、0 – 1の敗戦。

おそらく秋田ファンサポーターには、サンガによる長けたボールフィードや連携に、これが、J2かぁ!、という新鮮な驚きが在ったはず。

けれど、明らかに地力に優れた側が、思うようなゲームができずに、ピーターウタカも不発。

これもまた、サッカーのむごさ。

敵味方関係なく、いままで幾度も観てきた試合展開だ。

〈相手に合わせないサッカーの強み〉
ボールを奪ったら自動的のごとく、特に右サイド優先でボールを蹴り出し、そこに殺到する。
キャプテンの中村 亮太らが、そこへ絡んで来る。
そのためには、右サイド左サイドの飯尾 竜太朗らがキッカリと、その側からの相手侵入をガードしておく。

ハイボールの連続を苦にすることなく、中途半端なルーズボールの繋ぎも献身的におこなう。
セットプレイでは、ハーフライン手前からでもロングボールを入れてくる。
さらには、ロングスロウを活かす。
……箇条的には、こんなサッカー。

手際の良さ、スマートネスなど、もともと眼中にないようだ。

サンガは、ボールの動かしを、こういったルーズさと破調に乱されて、攻めあぐねる、という状況に追い込まれた。
フラストレーションが相当嵩じたに違いない。

秋田は、アウェイ連続4ゲームで始まったリーグ戦を、ここまで、3勝1分1敗。

実に、見事な滑り出しであります。

指揮官は就任2年目というから、既に名伯楽の入り口には立った。

このままJ2リーグを席捲できれば、なおのことだ。

プレビュウその❷は、山雅の考え方について。

では。

プレミアリーグの創設?

大分トリニータさん、ありがとう!

佐藤、小手川に続き、なんと、山雅へ、町田 也真人が再加入か、明日4/2の移籍ウインドウ締切を前に。
……、は、もちろんエイプリルフール、ってやつ。

―Jリーグでね、プレミアリーグ創設を検討するんですって(家人)。

ほう、丹念に情報を拾っているではありませんか。

そこで、チョイとニュースを斜め読みした。

斬新なアイデアのひとつとして、これを議論の俎上に乗せる、ということらしい。
14~15チームを想定か。
現状20チームから資金的に青息吐息の6チームを削る、ってことかいな?
楽天ヴィッセルなんかは、参入に即手を挙げそう。

議論はどんどんすべきでありましょう。
ただし、ここまでは行く、という限界点を明確にした上で。

どうも、イングランドをお手本にしている感じ。
最上級リーグ(1部相当)を、プレミアと呼ぶところなんかに、露骨ですな。

イングランドのプロサッカーの構成は?、というと……、

・プレミアリーグ (1部相当 20クラブ)
・EFL(English Football League)チャンピオンシップ (2部 24クラブ)
・EFLリーグ1 (3部 24クラブ)
・EFLリーグ2 (4部 24クラブ)

……、計92クラブからなる、4階層のピラミッドを成していて、各リーグ間には昇降格のはしごが在る。
以下に、実質5部のナショナルリーグ(プロアマ混在?)と続いていて、裾野は広く、深い。
渡英した息子の友人は、このあたりのリーグでプレイした、と聞いた。

EFLの創設は、1888年(世界最古)。

1992年になってプレミアリーグが創設されるにともない、EFLはその下部リーグとなった。

要は、歴史は古く、全英フットボール協会が管轄するリーグは 11部まである、というハンパなさ。

こういう先達を横目にみながら、Jリーグはいろいろ模索しているのだ。

ところで、プレミアリーグ導入とともに、外国籍プレイヤー枠の撤廃も検討されるらしい。

現行は、登録は制限なしで、ゲーム時は、J1は出場最大5人、J2&J3は最大4人。

これを、ゲームに何人出てきても良い、としたいわけか。

面白い構想だとは思う。

けれど、獲得資金面の問題はさておき、外国籍プレイヤー枠が撤廃されても、イングランドプレミアリーグのような外国籍盛況の図は、おそらくは生まれない。

いまだに、手垢に汚れた用語〈助っ人〉で、外国人差別をしている社会では、門戸開放において、放っておいても歯止めがかかるだろうから。

だから、いますぐにでも、外国籍プレイヤー枠なんか取っ払っても構やしない、というのが萬年持論。

いざとなると、先生!、と呼ばれて出てくるやくざお抱えの用心棒は、せいぜい2~3人ではないか。

イングランドプレミアリーグをベンチマークとするのなら、まづは最初に、膨大な資金を投入できる外国資本(組織&個人オーナー)参入を許容すべき。

でないと、差別化されたビッグクラブは生まれないし、チームの大半を外国籍プレイヤーで編成する、という発想もみなぎらないだろう。

※英国プレミアリーグにおける外国籍プレイヤー活躍は、EU加盟国のクラブチームでは、ボスマン判決(1995年)により、外国人扱いされない事情が決定的な要因になっている。

では。

水は運べるんだから (2021.3.28 水戸戦レビュウ)

0 – 3 の敗戦。

来客があったり、荷物の搬出があったりする中で、DAZNの画面をちょいちょいと観る、そんな慌ただしさとなった。

前半は、なかなかの出来ではないか、風を利することができる後半が楽しみだわい、と思っていた。

しばらくして戻ってみたら、なんと、ペナルティスポットにボールが置いてあって、その向こうに圍 謙太朗が構えているではないか!

77分の失点。
水戸がボールを右サイドに散らしておいて、受けたプレイヤーが、駆け上がって来るサイドバックに渡すタイミングをみているのが自明な攻撃。

そこ、外側からクロスを入れるであろうプレイヤーに、誰も詰めに行かないの?、と思っていたら、案の定。
フリーで中に入れられて、失点。
この2点目が、ゲームの帰趨を決定づけました。

必死に両手で掬い取ろうとしていた勝ちが、無残に抜け落ちる、そんな感覚。

運動量をいとわない、献身的な中盤、つまり、有能な、水を運ぶ者はいるんだから、詰めるべきは、ペナルティエリアのラインにまで、ボールが到達した時。

シュートなのか、セカンドボールを予測したアプローチなのか、シュートを打たせるお膳立て(シュートコースを開けること)なのか。

最終の直前、黒子は誰が担うのか。

たとえば、岩間 雄大のような存在を、誰が引き受けるのか、割り当てるのか。

3分2敗。

こうなると、この世の常で、どうしてもネガティヴな雑音も湧いてくるが、チーム山雅はどうかギスギスせず、着手したことに突き進むのみ。

前 貴之の負傷もあまり重篤でないようであるし、橋内 優也は復帰できたし、さらに、平川 怜はインテンシティを有することがわかったし、篠原 弘次郎のロングフィードは、シャープで気が利いている。

その意味で、ターニングポイントのゲームなのかも知れませんよ、後から振り返った時には。

では。

道 についての雑感。

ここ数日来、せいぜいその内容はハイライト映像で観るくらいなんだが、大量得点ゲームの報せが多い。

大宮 4 : 長崎 0 (3/27)
新潟 7 : 東京ヴェルディ 0 (3/27)

これらは、同じリーグの話ゆえに、けっこう胸が高鳴るけれど、むしろ大量失点した側の心情が思いやられてしまう。

海外に目を向けると、リーガ エスパニョラ (スペイン1部)では、

レアル ソシエダ 1 : FCバルセロナ 6 (3/21)

ダビド シルヴァを擁し5位あたりで健闘しているソシエダがまさか、とは思ったが、このゲーム、シルバはベンチ入りさえしていなかった。

6点も獲れば、最後のほうは得点時のセレブレーションはごく醒めたものになるもんだが、全員がきっかりとひとつに集まってくる律義さ。

入れて当然、といったスタープレイヤーの驕りを、全く感じさせないバルサには、感動する。

こういうゲームが気にかかるのは、おそらく得点産出に苦しむ我がチームのことが、抜けないトゲのように、いつもココロの底に在るからだ、きっと。

4~5年来ずっと、得点の乏しい山雅であるから、ここへ来てことさら気にすることでもないはずだが、〈新生〉に、いつかしら得点力の向上、を勝手に描き込んでいる自分がいる。

本日のアウェイ水戸戦にしたって、自分を失わずに平常心でプレイすれば良く、出口の勝敗をあれこれ気にするな、とチームには申し上げたい。

雨中、水戸へ出向くチームとファンサポーターには、心から感謝します。

こんなことを寝転がって考えていたら、ちょうど今から100年前に書かれた短編の末尾が、胸に去来した。

〈希望は本来有というものでもなく、無というものでもない。これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る〉(『故郷』魯迅  井上紅梅 訳)

では。