順当な敗戦 (2020.8.19ヴェルディ戦レビュウ)

後半60分過ぎになって失点が積んだ結果の、0 – 3 の負け。

―もう、スイッチ切らない?
と家人が言うも、ゲーム途中でスタジアムを抜け出すようなことはできません、と思いつつ、画面を眺めていた。


註: ヴェルディの旧エンブレム

〈予期せぬ勝利を望んだが〉
「守備に徹し、より長く耐え続ければ、ひょっとしたら勝ちが転がり込む」とプレビュウに書いたが、まるで、それをなぞったような展開。

ボール保持率は、70:30くらい、はもちろん織り込み済み。
(観ていて心地よくはないがね)

後半の後半になって、陣形がルーズとなり、守備が硬直化したところを次々と衝かれた。

前々節ヴェルディは、福岡に3 – 1で勝ち、山雅はその福岡と前節やって、やっとこさで 1 – 0 に持ち込んだ。

以降、山雅の戦力と戦略事情、そのクオリティにはそれほど変化はない。

となれば、策が実らずにヴェルディに混乱を与えられなければ、3失点は覚悟する、ってのが萬年式予想だったわけ。

 

攻撃では凡戦、力尽きて敗戦、と潔く認めてしまったらどうか、と思っている。

〈不発に終わった対策
キッチリと守備網を敷いて、粘り強く反転カウンターを狙う。
前半は、これに終始。
トップ3人、セルジ―ニョ、アウグスト、杉本、この3人が時折ポジションを変えながら守備に汗をかく。―  想定通りの進捗でした。

後半開始から、フレッシュな3枚を投入して、より攻撃的なサッカーに転換。

すると、ヴェルデイのボール保持にかげりを生じさせ、ヴェルディ陣内へ押し込んでいく場面も増加した。

こういうシフトチェンジは、山雅の力量と相手の混乱と修正力からして、だいたい15分間が有効、というのが、いままでの傾向値。

なので、この時間帯に得点を、というのが山雅陣営の目標だったはず。

要は、この策が叶わなず、攻撃が尻すぼみになったこと。☜ここが最大敗因。

あぁなれば、あぁなるわな、という順当……。

そういう意味で、現状山雅サッカーの出来不出来は、まっこと、わかりやすい。

〈カードの配置について〉
さて、このギアアップ策は認めるにしても、出し入れするカードには (準備も含めて) 疑問が残ったので、それを書きとめる。

ボランチには、塚川を残し、昨夜は米原を投入するか、あるいはアウグストを当てるべきだったと思う。
要は、攻撃的な守備ができるカードで臨まないと、ヴェルディの中盤と張り合えない。
(塚川の被カード、アウグストのフィットの問題は棚に上げたうえで言う)

サイドバックは、前半の出来からすると、前 貴之を右に持ってきて、高橋 諒を左へ投入する。
その場合は、鈴木 雄斗は右シャドウで中央寄りに使い、和音君をシャドウの左に入れる。
この時、もし杉本を残すのなら、彼をボランチへ、という策も準備しておくべきではないか。
攻撃に打って出るのなら、その前段としてボール奪取に長けたボランチは必須だ。

〈お手軽に 結果を望むな〉
力量と戦術構築の深まり度からすれば、予期された敗戦と割り切り、手をつけている部分を完成に持っていく、この作業を続ける、これしかない。

ヴェルディの永井さんにしても、昨季チームを立て直す格好で就いてから1年かけて錬成してきての今があるわけで、前職がユース監督であったことの成果を、新人投入によって味わいはじめていらっしゃる、と考えよう。

トレーニングマッチが組めない中、登録プレイヤーの試行と見極めはかなりむづかしいはずですが、選手起用に関する布サッカーの方向性は、これを支持しております。

なお、 前節のような勝利があると、〈山雅らしさ〉の言葉でやや精神論過ぎるところへと話しが向かう。

こころの件がどうでも良いとは言わないが、その根拠はあくまで、取組内容の(考えることを含めた)量と質を増すこと、これに尽きることを忘れてはなりません。

では。

ホーム観客上限5,000人 の恩恵。

さまざまな制限下のゲームに足を運んでいると、

失って 初めて悟る 劇場アルウィン、と後ろ向きなことを呟いてしまう萬年。

けれど、少しでもポジティブになりたいと、予期せぬ恩恵を考えてみた。

そのひとつ。

ベンチからの指示、プレイヤー同士の声が観客席までけっこう届くこと。

北ゴール裏に座っていると、ゴールキーパーがフィールドプレイヤにかける声が特によく通る。

それを聞いていて、内容そのものよりも、言われた側はどんなふうに思っているんだろうか、とつい忖度している。

自然、声だけではなくコミュニケーションを図ろうとする行動にも目が行く。

たとえば、前節対アビスパ戦の54分。
ボランチの塚川 孝輝がセンタバックに通そうした横パスがずれて、ファンマがそれを難なくかすめ獲ったシーン。

眼下の出来事に、あぁ、これは!、と失点を覚悟して観客席はフリーズ。

だが幸いにも、グラウンダー性のシュートは、GK圍 謙太朗の右手の先を走り抜け、わづかにポスト外に逸れた。

この直後、圍は塚川に近づくと、その肩のあたりをポンと叩く。
内心思うところが有るろうだろうけれど、ドンマイ、と励ますその仕草にはグッと来た。

あるいは、右サイドバックの吉田 将也が裏抜けしようとボールを引き出した直後は(攻撃は実らなかったが)、後方から良かったよ!、といったような声をかける。

ミスを犯せば消沈してしまうのがフツーだが、鼓舞し合って次の機会を狙う。

今夜の味スタでも、そういう一致がチームに在るように、と願う。

そうだ! 、ふたつめの救いとは、きっとこれに違いない。

自チームがミスを犯せば、すぐに落胆や失望の声をもらすアウェイサポーターがいないこと。

では。

チャレンジャーの幸福 (ヴェルディ戦プレビュウ)

〈今こそ挑戦者だ、山雅〉
クラブ創設の昔から、山雅にとって、ヴェルディ(当時は、読売クラブ)は、格別の存在だった。

チームカラーの〈緑〉だって、ヴェルディへの憧れから採用されたもの。

過去、そして現在に至るまで、経営、強化スタッフ、プレイヤーの各層に、ヴェルディのレガシィを享受してきた山雅だ。

で、今季。
現在のチームの構築進度や戦績といった状況からすると、偉大なるヴェルディに挑戦するの構図が、ますますと鮮明。

みづからをチャレンジャーと規定して闘える山雅の幸福が、ここに在る。
(まぁ、いまの順位からだと、すべてのチームに対して挑戦者となるけれども)

〈伝統回帰の道を行く ヴェルディ?〉
ボール保持率、パス数は、リーグトップ。
攻撃回数はリーグ20番目ながら、ゲーム当り8位の得点を稼いでいる。

ということは、いったん攻撃を発動したら、かなり高い得点率を誇る。

つまり、前を向かせてボールを自在に動かされたら、失点を覚悟しなければならない。

4 – 1 – 2 – 3の陣形は、超攻撃的な布陣。
ペナルティエリアに侵入する際は、5人くらいが駆けこんでくる。

〈アーティストには 自由に前を向かせない〉
前節の水戸戦(2 – 0 で勝利)の前半は、しかし、水戸の出来がかなり良くて、ヴェルディは思うようなサッカーがなかなかできない。

これは、水戸が前線から強度高くプレスをかけ続け、ヴェルディのプレイヤに前を向いてボールを配球する体勢と余裕を与えなかったことが大きな要因。

とすれば、テクニックとボール回しに長けたテクニシャン達を、〈剛なる〉球際と粘着で押し込んでしまう、これこそ今節の最大テーマ。

特に、ヴェルディの中盤、アンカーとインサイドハーフふたりで構成する逆三角形、ここに自由を与えないことと、サイドチェンジを使って駆け上がる、スリートップの左右両翼にフリーでボールを握らせないこと、これ肝心。

山雅は、前線の3人が、ねちっこくボールを奪うことから攻撃を開始する、といった考えに徹する、で良い。
だから、この3人の最大ミッションは、まづは守備と割り切る。

重要なのは、前線がボールを追いかけまわす時、ボランチと最終ラインがそれと連動してせり上がること。
3 – 4 – 2 – 1 を採るとしたら、‐ (ハイフン)の間隔を間延びさせないこと。
ここにスペースをつくると、ヴェルディの逆三角形のプレイヤーがそこを衝くからだ。

明らかに自分たちよりボール運びに長けたアーティストと真っ向勝負して、その華麗をなりふりかまわず封印してしまう。

これをできるだけ長くやり続ければ、ひょっとしたら、勝ちがこちらに転がり込む。

それくらいに割り切ってしまおう。


そして、明日の夜、だだっ広い味スタをば、山雅がモノにする……。

では。

勝った! ただそれだけ (2020.8.15福岡戦レビュウ)

アディショナルタイムにセットプレイからの得点で、1 – 0 で逃げ切る。

2年前の福岡戦のデジャヴ。(その時の福岡GKは、圍だった!)

辛勝、というのはこういう時に使うのがよろしい。

ぜいぜい引分け、そんな諦念でゲームを眺めていましたからね。


〈割り切ってはいるものの……〉

試合後の監督/選手インタビュウで明々白ですが、大方は、勝利が最大収穫、と考えているはず。
それと、チーム内結束を図ってきた様子がありあり、であることか。

つまり、戦術や、連携面ではまったく収穫に乏しいゲームでありました。
❶大事にいこう、という割にはミスが目立ち、ボール回しも平板で陳腐
攻撃にスピード感を欠くから、パスコースが狭まってしまい、連携(アイディア)不足となって、最後は個人技で強引にフィニッシュ、が顕著過ぎる。

中盤での作りが物足りず
ボランチのところに余裕がなく、有機的なボールがなかなか供給されない。
ボランチの責、というよりも、受け手になろうとする側に動きが不足。

例えば、福岡の鈴木(ボランチ)には工夫があった。
みづからを最終ラインのあたりに置くことで、松本のボランチをボール奪取をしようと喰いつかせておいて、その後方に空いたスペースを巧く使っている。

最終ラインは平凡なパスに終始、意表を衝くようなパスはみられず。
連敗で硬くなってしまっていることを差っ引いたとしても、チャレンジを忘れてはいけません。

60分過ぎあたりからは、足が止まったのか止めたのか、相手が保持したボールへの寄せが希薄となってしまう。(連戦のツケ、でしょうね)

❸右サイドバックで初先発の吉田 将也。まだまだゲーム勘に難はあるけれど、思い切りのよい駆け上がりもあって、これから楽しみ。
隼磨の離脱があるので、吉田には成長とポジティブな姿勢を望む。

サイドバック、あまりにも左右ともクロスを上げ切る回数が少なすぎました。
大型ディフェンス陣への策としては、クロスこそ、だと思います。

前線の三人の組み合わせ
昨夜を全否定はしないが、アウグストはやはり右サイド専任で仕事をさせたほうが迫力を増す、と思います。
特に福岡のような長躯を並べたDF陣と競る、ってのは荷が重過ぎる。
途中から入った阪野を左に貼らせたことを考えれば、布さん、昨夜はもともと競り勝つことは捨てて、セカンドボール狙いだっかも知れませんがね。

以上、勝って嬉しい花いちもんめ、と単純には喜べない愚痴でした。

ここは謙虚に、小島の活きの良いドリブルくらいしか印象に残らないアビスパに対し、あの程度のゲームであったことをしっかりと総括しておきます。


でも、アビスパのプレイヤーたち、ピッチ練習に先立って、アルウィンの四方に向かって一礼する礼儀正しさ。
すがすがしい紳士でした。

では。

強みにこだわれ。(福岡戦プレビュウ)

昨日、知り合いからメールが入りまして。

残暑見舞いへの返礼に添えて、
―惨憺たる山雅の戦いぶりに、あなたに声をかけるのも憚れる日々でした、とあった。

組織が成績不振に陥った時のいちばんの危険は、目標設定への疑念と、内部にギスギスしたものが生じることだろう。

失点につながったチームとしての不足は具体的に修正するとして、めざす〈完成形〉(=ベンチマーク)と試行内容に疑念を差し挟む必要はまったくない、と思う

現実的に、目標においてブレている余裕も許されないシーズンなのだから。

人は、強みによって報酬を得る。それゆえ、真っ先に〈われわれの秀でた強みとは何か?〉を問うべきだ。(P. F.ドラッカー)

山雅流に置き換えれば、着目して最大化しようとする個とチームの卓越点を、もっと強化すること。


で、今節の対アビスパ戦であれば要点は……、
❶ボール保持では凌駕できる、つまり福岡は当方に持たせるだろうから、攻撃面に特化してゲームを進める。
前を向く時間の最大化です。

❷3 – 4 – 2 – 1 を採るにせよ、実質的には、3 – 1 – 3 – 3くらいまで前がかりで。
これだと、アンカー周辺とサイドバック両端のスペースをヤラれそうだが、陣形を間延びさせず、先手先手でボールを動かす、これを追究する。

❸サイドをえぐってクロス。
これをゲーム中、何回繰り返せるか。
クロスが入って来る時の人数の揃え方、こぼれたボールを回収すべく後列の位置取り、これに集中しよう。

❹対し、福岡はボールを手にしたら、山雅プレイヤーの頭越しにボールを入れ、ディフェンスを背走させる局面を多く作り出そうとするだろう。

なによりも中途半端、あるいは弱気なパスは禁物。
そのためには、ボールを持っていないプレイヤーが速く動いてパスコースを作る。

前節の対ヴェルディ戦(1 – 3)を観て、馴染みのプレイヤーは、城後、鈴木、輪湖くらいであった。
屈強な4バックの他には、これといって強烈な印象は残らない。
連戦用に選択したメンツであった可能性も高いが、〈剛性〉を注入したチームづくりのようだ。

今節の注目は、前 貴之。
アウグストとの連携で右サイドを攻略するのを想像している。
その分、鈴木 雄斗は中央寄りでプレイしてもらいたいなぁ。

で、前君の兄貴は、アビスパに在籍しているんですね。

では、〈どうやっても静かな〉アルウィンで。