聡明であれ (村山擁護論)

― 京子さんからのメール、どういうことかしら?

― きっと、昨晩遅くアップされた、山雅公式上の文言に関してだろうね。

栃木戦の記事(5/24 20:00付)でもすこし触れたので書く。

栃木SCから、…あのね、けっこうヒドイ苦情がクラブなどに入っているんだけれどもさあ、松本さんにしたって荒いプレイはあったことだし……、という訴えがあって、両者が協議。

双方で、ある程度示し合わせておいてから、同期して公式に発表した、そんな流れだろうな、と思っている。

文面による、公式的な落としどころは、だいたいがこんなものだ。

もともと謝罪文とは、謝罪して決着、というアリバイつくりの意味合いが深い。

根掘り葉掘りと言葉を重ねたところで、それがまた次なるお怒りを導いてしまうことも多いから、通り一辺倒な内容にすることで傷口を拡げないのが通例さ。

…… ということで、村山の最初の発信(@インスタグラム) を読んでみた。

文章全体を虚心に読み下せば、そこには出来事の報告と感想が正直に綴られているだけで、誰かを標的にするような他意やこじつけなど、微塵も感じられない。

発言している村山は、きわめて実直な人格だ。

で、この騒動の本質を、ハッキリ言う。

❶キャッチングに行った村山の頭部を、突進した栃木#17が 蹴り上げてしまった直後。
そのフォワードプレイヤーが、(おそらくとっさに)逃げを打つため、不誠実な言い訳に走ったことが、そもそもの発端。

(こういうケースでは)足を振り切れ、と言われている、という弁明は、責任を他に転嫁しようとする心情からであって、怖くなって事故現場から逃げ出す心理と同じ。これを、卑怯という。

接触を避けられなかった注意力と技量の無さを認め、ただただ、自らの非を謝ればよかった。

#17の彼と、それから、栃木SCのキャプテンは。

❷そういう拙劣で思慮にかけた言い訳は、若年者ならば余計あり得るだろうなぁ、と一呼吸おいた、聡明な読み取りをするべき。

断じて好感は持てないけれど、そういう弱さがむき出しになることだってあるだろうさ。
なんでも人の所為にする弱いこころよ。……と寂しく見つめるべきだ。

(村山の受傷が大事に至った、との報告がない限りにおいて)

それが、振り切れと言ったからには、イコール、蹴り上げは監督の指示、となってしまった。

この監督が相手Gkの頭部をキックしてでもシュートを狙え、というはずもない。

こうなると、クラブ栃木を責める側も、幼い言い訳を吐いた若者と五十歩百歩の度量となってしまわないか?

しかも、山雅の謝罪のやり方が真っ当でない、とまでなると、???、と思う。

以上、この件はこれで、終わり。

では。

麦秋の決意、背番号3と。

日に日に、麦秋が近づいている。

聖書が言う、〈畑は、早白くして〉という情景に、スティング(1951年~) の『Fields of Gold』(1993年発表) なんかを思い出す。

麦畑の上を風が渡っていくと 僕らは想い出すだろう
太陽の下 輝いてうねる麦の海で
愛を語ったことを

あの夏の日から 幾年も過ぎて
子どもたちが 日暮れの麦畑を 駆けていく……

すると、心はすぐに、『Heart of Gold』に移っていく。

ニール ヤング(1945~)が、1972年に発表したアルバム『Harvest』の中に収められた。

僕からすると、バックアップコーラスに、リンダ ロンシュタットとジェイムズ テイラーが参加してる、ってだけで聴く価値がある。

僕は生きたい
僕は捧げたい
気高い心 ってやつを求めて

ハリウッドやレッドウッドにも行った
海を渡ってでも  求め続けてきた

まだそこにはたどり着けないけれど
高貴な心を 探し続けよう

そうやって 僕は齢を重ねていくんだ……

サッカーの高みを求め、長くやって来た、 田中 隼磨。
手術に踏み切った右膝ばかりではなく、満身創痍のことだろう。
でも再び、背番号3が、アルウィンに戻ってくることを願う。

その日、僕らは、Field of Gold で、Heart of Gold に出逢う。

きっと。

では。

Hold On ! YMG (栃木戦レビュウ 各論)

3連敗のあと3連勝で、10勝到達とは、御嶽海ナイス!、と喜んでいた今朝、京子さんのメールが入る。

―  田坂さんにしっかり対策されなーんも出来なかった
いいようにボール持たされ自陣でのパス回し
攻撃に行けない
村井チェアマン山雅のゴール裏に来たんだね
村さん 大野さんのシーンどう感じたんだろう?
どちらもレッドカードで一発退場っす!!
朝から毒吐き ―

【人にやさしくない理由】
真剣にお怒りのファン&サポーターは、まことにありがたい存在、いろんな意見があってこその山雅だ。

2019シーズンのデータですが、山雅の新規観戦者の割合は、1.9 % 。

要は、アルウインの観衆中、ご新規さんは、100人のうちせいぜい2人。

根強いリピーターのファン&サポーターが圧倒的となれば、その眼が肥えているのは当たり前。
かつ、高年齢な方々は、山雅がビッグチームになるのを、この先30、40年などと悠長に待てないのだから、当然、意見や批判も厳しくなろう。

【ボール保持60%は、もともとわかっていた】
ただ、萬年が甘く見積もって失敗したのは、こうまで鮮やかに栃木が過去に先祖返りできる、とは想定しなかったことだった。
直近のゲームを観ても、〈かつて見た栃木〉へと、ここまで蘇生するとは!

これを山雅対策、とするのは、チト自分らの実力を買い被りし過ぎなような気がしますね。
たとえ相手がどこだろうと、今節はトンネルをひとつ出る覚悟の栃木だったんですよ。

ガツン、と向かってくる栃木と読んだからこその阪野先発だったわけであって、ボールを持たされた、というのは、ボールを持って相手をはがす技量の無さを素直に認めない言い方で、すがすがしさに欠けます。

喰いつかせてその裏を獲るには、自陣へ誘うことだって敢行すべきなので、どこでパスを回しているかというよりも、テクニック不足、連携(意思統一)の希薄、これを曝してこその反省でありましょう。

栃木の戦術がどうのこうのではなく、それを上回って振り切ってしまう実力が山雅には無いだけ。

【ファール裁定についての私見】
重症者が出なくて幸いだった、のがいちばん。
クレームに関しては、何をいまさら、という感あり。

ファールによってゲームが中断した際、主審に詰め寄る迫力は、犯した側の栃木のほうに執着心を感じたのをどう考えるか。

もしも、ゲームを当方に有利にコントロールしたければ、異議申し立てでかえって当方にカードがでないような方法、例えば、キャプテンを通すなどして喰い下がってみるような努力があったのか?、なかったのか?

こういう部分に気魄を込めずして、相手のスタイルをいろいろ言ったところで生産的ではありません。

ひたすら自分の不足にフォーカスして、持ち堪えましょうよ、山雅。

では。

栃木のビンタに 貧打で報う (第15節レビュウ)

5/14の夜、20時30分からわずか数分間。

高度400kmを周回するISS(国際宇宙ステーション)が、かなり明るく光りながら頭の真上を通過するのが観られた。

サッカーフィールドとほぼ同じ面積(108m × 73m)で、富士山を100個分ちょっと重ねた高さを、地球を90分かけて1周している物体。

それが、南西の空に忽然と現れると、一直線に北東へと進み、やがて雲間に消えて行くのが肉眼ではっきりと。

0 – 3 のミゴトな敗戦に接し、山雅のやり方が、ISSの飛行とよく似ているので、こんな話を持ち出した。

3連勝と輝くと、やがて、うっすらと消えゆく有り様、そして、かなり定常的に一本調子の軌道が、それだ。

結論から言うと、この調子でいけば良くって 5~10位近辺の順位で今季を締めるようになることを、リアルに覚悟した。

〈理由〉
❶5敗のうち4戦で、 3点以上を失点している
不利を挽回すべく攻めに前傾したところをカウンター一閃で沈むケースが多い。これは、パスワークのクオリティ不足によって、シュートまでやり切れない途上で、ボールを奪取されているから。
これを改善するには、各個の技量レベルを上げることにかなり依存しているから、どうしたって相当の時間を要する、あるいは、一定の限界がある。

❷対戦するチームに個別に適合するようなスタイルは採らず、一定の布陣とスタイルを貫いて戦っている。
これについては是、とすべきだと思う。
それが、今山雅が自己に求める〈格〉というもの。

けれど、❶で指摘した個の成長を、どこまで我慢できるのか?、がこれからのゲームマネジメントのポイント。

もしも、切羽詰まった状況になり、それでも、ゲームをモノにしたければ。

栃木と愛媛のように、相手が厳しく寄せて来た場合にまったく機能しなくなる、距離とリズムとテンポの自在さ。
これに、なんらかのテコ入れをしないとならない。

今回は速く詰められたので、シュートまで行ったのは4回でした、ではお話になりません。

また、コーナーキックからの失点が一向に減らないことに対して、どういう守り方をするのか?
正直、今節は緊張感を含め、無策に等しかった。
マークや態勢が適正なのかが、チームで共有されている感じが皆無。
単に、上背で対抗する、といった簡単な話でもないな、これ。

実は、投稿が冗長なので読む気がしない、と同居の読者から苦言があり、それに報おうと、簡略にして、今回は、以上。

各論は、追々に採り上げようと思うけれど、これでもきっと、及第点はもらえそうにありません。

では。

持つことの悩みを過去に (栃木SC戦プレビュウ)

〈他人事でない、栃木の変容〉
前節の対琉球戦を、 冒頭20分あたりまでを観返しての感想です。

このゲーム、この時点では 1 – 1 だったけれど、最終的に、2 – 4 で敗戦。

これで栃木は、3連勝の後、8戦勝ちなし(うち引分けが5つ)と、長いトンネルの真っ只中。

データからは、得点15はそこそこで、攻撃回数もよく創出してはいる。

けれど、相手陣地深くへの侵入回数が、リーグで最下位。

どうも、ボールを相手ゴールに近くまで持ち込むことに課題多し、とみる。

琉球戦を観ていて、印象に残ったのは、少し前まで感じた、ガツん!と向かって来るディフェンスや、割り切ったガムシャラな突入がかなり薄らいだこと。

ロングボールを入れ、その跳ね返りを回収してシュートを狙う、という徹底度は不変なものの、田坂サッカーは3年目にして、ずいぶんとオーソドックスなものになった。
大人しい優等生的サッカーに変容した、と言ってもいい。

この事情は、反則ポイントにも表れて、現在、 ▲16ポイントで、リーグ第2位。

こういう変わり様は、我が山雅が踏んで来た道でもあるから感慨が深い。

かつ、琉球戦で今季はじめて、3 – 5 – 2 の布陣を採ったので、より同類感もあるわけ。

自力の差を埋めんとして、田坂さんなら、対山雅も、3バックで来るような予感がする。
敢えてミラーゲームにすることで、各プレイヤーを覚悟の境地に追い込んで。

〈宿題は続く、より高まるために〉
前節の金沢戦、80、90%の優勢を保ちながら、結局はゴールを割れず、金沢には巧く勝ち点2をもぎとられた山雅。

クオリティを高めるにも、その総括の上に、栃木戦を組み立てるだろう。

まづは守功にわたって、相手を、速度と強度の徹底度で上まわれば、勝機はかなり見えてくる。

漫然とした攻守のやりとりになることを避けながら、ボール保持が 60 : 40 となるのを想定せざるを得ない。

栃木のスタイルからして、おそらく、こういう数字となる。

山雅にとって今季をつらぬいくテーマのひとつが、ールを持つことが悩ましい時代を、過去のものとして葬り去ること。

だから、栃木戦は絶好なチャレンジの場、そのためには……、

ひとつ。
最基底からパスワークで組み立てる際は、自分たちの距離を保って、これを行なうこと。
開くにせよ、密になるにせよ、先手先手でボールを動かさないと、ボールロストから相手のショートカウンターが発動する、と考えないとなりません。

ふたつ。
攻撃に、〈スペースとプレイヤーの粗密〉を作り出すことで、相手ディフェンス網を間延びさせ、結果、フリーでクロスを蹴り込む、フリーで前向きなシュートを打つこと。

みっつ。
リズムを出させないようなスカしたハイボールを、裏へのロングボールと交えて栃木は多用するはずだから、これに焦れないで、とにかくセカンドボールを手中に。
……で、いきましょう。

レンタル契約上、乾 大知と吉田 将也に逢えないのが残念。

決戦地はカンセキスタ。

でも、今は、グリスタの光景を懐かしむ。

では。