順位は嘘をつかない (2021.6.19大宮戦レビュウ)

ひと言で、互いに下位に低迷するチームにふさわしい対戦ではありました。

ゲームを観ていて、へぇ~っ、このふたつ、今の順位に沈んでいるとはとても思えないなぁ、という感想は、決して出てこないはず。

(思い入れがなかったら)やはりこの順位にいるのが納得できるような、特に、攻撃面の拙劣さなんだなぁ。

0 – 0 は、堅くせめぎ合ったというより、それぞれ決定的な仕事ができなかったことの結果。

たしかに、スリーバック(大野、星、常田)は落ち着いて安定していた。
特に後半はサイドを割ることも出来た。

が、町田や長崎に比べて数段は落ちる大宮前線の迫力や守備のモタツキからすれば、その出来を、いくぶんかは差っ引く必要がある。

当方とこの程度のゲームをやっているようでは、悪いが、アルディージャは監督交代が効いているとは言い難い(失礼)。

もちろん、思い入れありの僕からすれば、それでも、その中に価値と苦言を見い出して、次に進むんであります。

❶星キョ―ワァンは、センターバックの真ん中にあって良くやっていた。
敢闘賞にふさわしい、と思う。
危機的場面でのタックル、ボール処理に無難な出来。
あとは、前線へのフィードの精度と、フェイク多用による攻撃的なパスの使用。

村山には後ろからずいぶんとハッパをかけられていたが、センターバックは今回の若手3人セットで、ひとまずは先発を確保か。

相手スローインからそのままシュートを打たれる、という緩慢もなかった。

❷鈴木と河合が、低い位置でボール捌きと回収に追われる構図は相変わらず。
あそこで心身の集中力とダッシュ力を費消してしまえば、ラストの部分でパワー不足となって、シュートが雑になってしまう。

たしかに、彼らドリブルが売りなんだが、仕掛ける起点が後方過ぎる。

ふたつのタレントを先発で使うとすれば、
守備ラインがボールを高く持ち上がること、ボランチがもっと縦に連動してラインを押し上げてくること、そして、サイドでもっと時間を稼ぐこと。
要は、もっとコンパクトで圧縮した陣容が急務。

これは、戸島 章が重宝するためにも必要で、
せっかく彼が競り勝って落としたボールをこちらに回収できておらず、周りを衛星的に動くプレイヤーが、良い距離をなかなか採れない。

❸前からの追い込みについては、陣形が破綻しないように気をつかいながら出来てはいたが、これも苦し紛れの大宮がミスしたことによって多く助けられていたのであって、アンカーの三門 知大をもっと孤立させ、苦しめたかった。
アンカー脇を衝きたければ、それなりに狡猾に徹底しないと。

次の琉球では、それができるかが、ゲームの成否のかかるところでしょうね。

❹なんだかんだとサイドのえぐりを言うのは、最終的には、中央で勝負をかけたいから。
それが、カットインにあっても、クロス投入からであっても。

村越 凱光のプレイはハッとさせて魅力的。外山 凌も進化し続ける。

だからこそ、昨日は、終盤サイド圧を強めたければ、田中パウロこそは切るべきカード。
浜崎と小手川を入れるなら、両サイドにはふたりが縦に出るようにして侵攻する策を徹底し(この場合前 貴之がアンカー)、最後は中に持って来て、完結!、としたいですね。

前半、米原 秀亮が中央で受けて、シュートをフカしてしまったシーンや、後半、鈴木に横にパスが回ってシュートを打てたシーン。

ああいう形こそが、狙うべき攻撃でしょう。

ということで、次節の琉球戦で、昨夜なみの守備、さらに得点が生まれてこそ、大宮戦に価値が生じる、といった、妙な結論の今回です。

(註:ゲーム評価に、北ゴール裏同志チノ氏の見解を多く含むことをお断りします)

では。

目を醒まして戦う (大宮戦プレビュウ)

目が醒めたのは、ファン&サポーター、なんでありまして。

下位にもがくチームを前にして、
27人がチームを去り、24人が新加入するという、徹底したスクラップ&ビルドが、チームにとって決死の船出であったこと。

要は、スローガン〈新〉の重さに、今更ながら気づいているわけ。

クラブの危機感に、ファンサポーターのそれがようやく追いついた、と。

―長い目でみることにするよ、とは、山雅課長のお言葉。

たしかに。

将来からこちらを見通す姿勢を持ちながら、まだまだ続くであろう苦闘とつきあう、ってことです。

ただ、ひとつ忘れちゃあいけないのは、あの2018シーズンに、年間総得点が60を切っていた(54点)、という事実。

ここのところ、3失点の繰り返しに目が眩んでしまっているけれど、
トップリーグに在った2019年の21点は格別にしても、数年来の、得点力減衰傾向に歯止めをかけることこそが、焦眉の急だと思います。

点獲らなきゃ、勝ちを手にできない。

降格の恐怖に浮き足だって、〈山雅らしさ〉とばかり、手短に守備に固執することには、あまり賛成できませんね。
もちろん、そうでないとは思いますけれど。


〈で、アルディージャ〉
苦悩する同士の対戦、となる今節。

町田や長崎にあって、大宮にはないもの。
それは、強力なフォワード陣だろう。
……、なんて思っていたら、前節対栃木戦では、4 – 3 – 3 の初期陣形を採用。
しかも、センターフォワードは、なんとあの! イバが担っているではないか。

長躯屈強にばかり目がいくが、ボールが納まり他を使える、ファンタジスタ#10を背負って十分なタレントが、再びアルウィンにご登場とは。

監督交代早々のゲームで、スリートップを採用かぁ。

4 – 3 – 3 が、ゲームの中では、2 – 1 – 4 – 3 くらいの前がかりの様相で、強圧な攻撃に打って出てくるんだろうなぁ、と怖ろしい。

〈結局は、中盤〉
大宮がワンアンカーとすれば、中盤で優位に立つことがますます重要になってくる。

ボランチ(インサイドハーフ)が、質量ともに、どれだけ〈水を運ぶ〉仕事ができるか。(その意味で、安東の負傷離脱は、かなり厳しい)

そこで、まずは時間を創り、前を向く。

要は、2列目の鈴木や河合が、中播でのボール捌きに追われるような状況を改善して、彼らやフォワードには、もっと高い位置で仕事をしてもらおう。

サイドに振ってから中央に入ってきてズドーン、ってシーンを観なくなって久しいけれど、それには、まずはサイドを奥深くへ侵入することから。

そんなところに注目しています。

ゲーム前の散水は必要なさそう。

でも、ゲーム開始時には、雨よ、上がれ。

では。

天皇杯3回戦の日程は (対 G大阪戦)

天皇杯2回戦(6/16)の、G大阪 vs 関西学院大学は、3 – 1 でガンバの勝利。

これで、山雅の天皇杯3回戦は、公式戦でいまだ勝ったことの無いガンバとのゲーム。

ACL(アジアチャンピオンズリーグ)が控えているガンバ、ということもあってか、日程は、8/18(水)ナイトゲームの、@パナスタ(吹田)と決まった。

残念ながら、現地参戦は諦めることになりそう。

ところで、天皇杯の公式ハイライト映像が、なぜ、こうも心にしっくりと落ちるのか。

スタジアム中央上部から、定点カメラ1台で俯瞰撮影していることの安定感。

攻撃の結果としての、目ぼしいシュートシーンを拾い、そのシーンが間断なく繰り返されるテンポと、無駄のなさ。

そして、なにより、実況や解説の音声が皆無であることが嬉しい!!!

DAZNの映像を、かつてスカパーがそうであったように、実況と解説抜きで視聴したいと常日頃思ってきたが、それを天皇杯ハイライトで堪能できるとは。

嬉しいものの、リーグ戦ではこれからも無理か、と残念感が尚更なんであります。

ところでところで、関西学院大学は、〈かんせいがくいんだいがく〉と読むのが正しい。
他方、安藤 淳の母校である関西大学は、〈かんさいだいがく〉。

蛇足でした。

では。

天皇杯の財産 (2021.6.13長崎戦レビュウ)


アウェイ長崎は雨でもなかった。

が、0 – 1 の敗戦であれば、気持ちはどうしても湿りがちになる月曜日。

ただし、いっつも痛い思いをさせられる都倉 賢にやられたので、ある意味サバサバ、って感じか。
さらに、あの失点の起点となったクロスは、システムのギャップを衝かれたものなんで、まぁ、致し方なし。

これで4連敗。
となれば、さらにいろいろと騒ぎ出す、血気盛んな向きもあるだろう。

けれど、本質を見よ。
対栃木および岡山の、戦い方のテイタラクに比べれば、今回の敗戦はそれほど致命的でもなく、惜しくも地力の差を覆せなかったゲームに過ぎない。

〈天皇杯で獲たものの発展形〉
浜崎 琢磨と前 貴之のダブルボランチ
特に浜崎が下に降りて組立てる際のリーダーシップ。
それと浜崎、前が適時サイドへ出て、サイドバックと連携して侵入するやり方。サイドバックを難なくこなすふたつのタレント活用は、理に適っておりますな。
田中パウロの突破力と、河合 秀人らの連携によるサイド攻略。
村越 凱光のアグレッシブな攻守
……、これらを、58分に3枚替えすることによって、ピッチに再現、ゲーム内容を修正して魅せたのは素晴らしい。

プレビュウでは、下川 陽太が当初から左サイドバックと予想しましたが、彼の投入も左サイドとの、およびピッチ全般との連携上で効果的だった。

佐藤 和弘の不在をなんとか挽回し得る戦術の開発、としておきましょう。

ボランチのところで時間と選択肢を創り出せれば、2列目の鈴木 国友や河合がもっと攻撃へ力を割けるわけで、このゲーム鈴木は、カイオ セザールとやり合う局面が多く、かなりの疲労だったはずだが、よくやったと思います。

戸島 章の強み
高さがあって空中戦の競り合いで優位、かつ、足元も巧い。
戸島の良さを活かすには、彼が落としたボールを回収する者が必要となってくる。
このゲームでは横山 歩夢にそれを担ってもらいたかったが、突っかけるためのスペースがほしいためなのか、戸島との距離が間延びしてしまったのは恨みが残ります。
今後、克服すべき課題。

〈結局、不足しているもの〉
ざっくり言って、パスのズレによるボールロスト、がそれ。
イージーなものは論外として、攻撃の詰めの場面でパスが通らない、ってのは、このまま地上戦でいくのなら、修正してもらうしかありません。

要因が、個の技量にあるのか、連携の意思疎通にあるのか、いづれにせよ。

この点、長崎にはパスやズレがはるかに少なかった。
というのは、Vファーレン式パスは、近距離間で通すことを当然な位置取りをし、かつ、リスクを背負ったパス供給をチャレンジしないので、当然といえば当然。その分、パス数を積むサッカー。

萬年は、山雅がやろうとしている、ハイスピードで、スペースを狙っての大胆なパスによる打開を気に入っているので、今のチャレンジを続けてモノにしてもらいたいんですがね、チームとして。

あとは、DF陣への注文は、もっと相手をおびき寄せるようなパスを多用することで、最終ラインから一気に攻める局面を創り出すこと、でありましょうか。
星キョーワァンのプレイには、それが濃厚に感じられて期待大。

〈エジガル ジュニオの貢献〉
長崎の中では、FWエジガルが出色の出来でした。
前線でのボール保持、降りて来てのパス配給、アシストパス供給のタイミングと精度。
フォワードとしてほぼ完璧で、ミスがない。学ぶべきプレイです。

長崎が好調(復調?)と聞いているけれど、都倉を含めてFWに献身的プレイにおいて手を抜かせないこと、あとはむづかしいことは捨てて、自分の強みを個々が最大発揮する。
そういう方向が、今は、奏功しているんでしょうか。

ただし、剛直であるが、ある意味で無策のサッカーは、相手が狡猾を前面に打ち出してきた場合、かなり苦戦するでしょうね。

では、最後に、萬年式MVPをば。

攻守にわたって要所要所で効いていた、外山 凌、としたいんです。

では。

したたかに腹をくくれ (長崎戦プレビュウ)

〈初っ端から冷徹なお話〉
トップリーグで戦った2018シーズン。
長崎のチーム人件費は、8億1,400万円だったが、昨季は、14億円にもう少しと迫っている。

対し、2019年トップリーグにいた山雅のそれは、14億3,000万円。
昨季は、11億円弱へと降下した。

つまり、2020年に、山雅と長崎のチーム年俸は逆転していたわけで、その状況下で、2戦2分けは、山雅がよく持ち堪えて戦ったよ、と言える。

人件費からみた両者のチーム規模の差は、今季になってさらに開いているだろう。

かたや膨張、かたや緊縮。

まづはこの点で、腹をくくってゲームに臨まざるを得ない山雅。
サッカーとは、年俸でやるものでもないことを証明してやる覚悟で。

〈長崎がシンプルにやれる理由〉
チーム強化によって、常に外国人枠上限の4人を登録できて、結果、FWにはエジカルジュニオ、都倉 賢、2列目にウェリントン ハット、ボランチにカイオ セザールを並べる屋台骨は、図太くて屈強。

そこへ、仕上げに玉田 圭司を投入できるってのは、J2では余裕の陣容。

これだけのメンツならば、カウンター攻撃、アーリークロス、セットプレイ、どれをとってみても、個の力に任せておけば、相当なことをやり遂げられるわけ。

要は、小難しいことで仕掛けなくとも、ひたすらシンプルな攻撃を続ければいいVファーレン、ということ。

長崎直近の好調は、このあたりを意識して余計な手数をかけなくなったことに有り、とみています。

〈スキを逃がさず、スキを見せず〉
といっても、所詮はJ2に居るだけのことはあって、長崎サッカーには、スキや緩慢、ミスがけっこう散見される。

冷静に、そういった部分を衝く、ってのが今節のテーマでありましょう。

❶ボール保持はフツーに長崎に傾くけれど、それをどこまで許すのか、どこまで無理して、どこで奪取に行くのかの決め事の、意思統一。

❷割りあいと急がない、長崎ディフェンスラインの挙動に対し、空中戦を多用するにせよ、そのセカンドボールの回収を、競う相手を潰しながら、誰がどこでやるか。

腹をくくれ、とは方法論で徹底せよ、ということでして、❶❷のこだわりをベースにした上に、サイドの運用やセットプレイの工夫を表現していくしかないでしょう。

〈6/9のような綿密さで〉
その意味で、天皇杯の戦いぶりは大いに示唆に富んでいた。

サイドへの展開、サイドバックと2列目(アウトサイドハーフ)との縦関係はかなり効いてきたから、今節もこれを発動してくるのか。

また、ゲーム開始早々のコーナーキック。
全員がニアに走り出して相手ディフェンスをその方向に引っ張り出しながら、遠くでフリーに構える小手川 宏基にボールを出したやつ。
ああいう仕掛けですよ。

次節出場停止の常田採用、浜崎 琢磨のフル出場感触の確認、小手川と米原 秀亮の共存、村越 凱光の先発投入、戸島 章の活用など、過密日程を利用した、けっこう盛り沢山の成果がありました。

同じようなしたたかさを持って、このゲームも乗り切ろうではありませんか、柴田監督。

ただ、痛い材料はディフェンス陣の手薄さ。
常田(出場停止)、あるいは橋内を欠くならば、大野 佑哉らが、それこそ腹をくくって奮起するしかない。

その中、下川 陽太のセンターバック起用が濃厚なのか。

ならば、サイドバックは、左外山 凌、右表原 玄太あるいは、田中パウロで。

インサイドハーフは、佐藤 和弘と前 貴之の定番で、ということになりましょうかね。

で、ルカオの戦術的なフィットを願います。

では。