前へ出て行くボランチ。

安東 輝がようやく戻って来た、と思うも束の間、今度は、パウリ―ニョと米原 秀亮が(公式リリースするほどの)負傷離脱とは……。

パウロと米原は北Q戦で先発したセットで、けっこう巧く機能していた。

これで中盤では、先に発表された浜崎 琢磨を含め、3人を欠くことになる。

(これをチャンスと捉えないといけないな、稲福 卓や山田 真夏斗は)

もともと、ボランチ(インサイドハーフ)ができるタレントには恵まれている、とは言え、やりくりに悩むことは確か。

名波監督はおそらく、ボランチには、攻撃的発想とスタイルを強く望む指揮官、と思っている。

今季、菊井 悠介や住田 将が抜擢され、中心的プレイヤーとして活き活きやっているのは、彼らの攻撃に絡もうとするプレイスタイルと、チーム編成の思想がおおく一致しているからだろう。

要は、前線(フィニッシャー)と基底(デイフェンスライン)を結ぶところの、中盤を形成するプレイヤーは、攻撃するための守備に汗をかいて、かつ、攻撃には積極関与せよ、ということ。

得点が決まった時、たとえば、住田が、シューターとほとんど一緒にゴールに向かい走りこんでいるのが、そのシンボリックなシーン。

菊井はFW登録とはいいながら、その攻守にわたる広い行動範囲は、ポジションにとらわれない新鮮さがありますよね。

で、最終ラインが、そういう中盤と連動して競り上がることによって、コンパクトな陣形が保たれれば、ディフェンスの後方にできた広いスペースをケアしなければならないものの、相手には中盤で自由にスペースを使えなくさせる、という仕掛け。

これから対戦する予定の、今治、いわてなどは、シンプルに前に速いボールで勝負してくる。

そこで、彼らが前線にボールが出す前に、それを阻止したいわけで、そのためには、〈攻める守備〉でボールの出しどころである中盤のプレイヤーを不自由にしてしまうことをやらないと。

今治の陣形は、逆三角形の、スリーボランチみたいな格好。(4 – 1 – 2 – 3)
あるいは、ひとりのアンカーの前に、ふたりが開く、といった中盤の構成。

そうなんです、すでにリーグ戦第10節が射程に入って来ていて、中盤の、チーム内競争と強化には目が離せません。

では。

ひとつ飛ばしの 不謹慎 (6.01を段取って)

もしも、先の県決勝戦で山雅が敗退していたら。

パルセイロと北陸大学は、縁もゆかりもないアルウィンにやってくることになったのだから、まぁ、みっともないことがなくなって良かった。

で、5/21 (土)。

(@アルウィン)天皇杯一回戦、対北陸大学(石川県代表)戦。

僕は別に予定があるから、この日不参戦なんであるが、若きチーム山雅が、それよりも少々若い北陸大学の諸君に勝利できるものと、なぜか?確信する次第。

というのも、山雅は必ずや二回戦に進出して、ジュビロ磐田と対戦する(@ヤマハスタジアム)ものと決め込んでいるからでして。

6/1(水) は、午前中で仕事を早退する旨を、既に会社に申請してしまったのです。

翌日はもともと非番なので、これはもう、ゆっくりとした、素晴らしき遠江紀行となるでありましょう。

今の山雅が、さて、どこまでトップリーグのチームを脅かし、なにが通用しないのか、を検証する絶好の機会ではないか。

というわけで、いまだ確定もしていないこと(一回戦の勝利)を前提にしてしまい、その先を手配する不遜なことに手を染めながら……、

近くの生産者直売の市場で購った、山形村の 高崎 寛之さんが出品した白ヒラタケ。

これを、クリームソースで煮込んだやつを、もち麦を入れて炊いたご飯の上に盛り付けて、それを頬張りながら、このブログを書いているのです。

では。

『成し遂げたのは長野』(パルセイロ戦レビュウ その❸)

……と、はっきり断言しなくてはならない。

― 外れるのは、カズ。三浦カズ。
1998年6月、当時の代表監督岡田 武史が言い放ったのと、同じ口調で。

それは、ゲーム内容においても然り、かつ、興行的な成果においても然り。

❶ゲームそのものは……。
どこかで、山雅の監督が、
― 0 – 0 のドローが妥当なゲームだった。
と言っていたような憶えがあるけれど、これが、最も的確なゲーム総括だろう。

つまり、両者間には歴然と力量差は横たわるものの、特に後半は攻めあぐねた山雅、対して、彼らにとっては非日常な環境下、ファールも厭わずに120%の気概でぶつかって来た長野。

こんな両者がやったんだから、自然とこういう結果にもなるだろう、と監督は評定しているのだ。

ゲームの7~8割方は山雅が握っていたから、勝ち点2を落とし、かつ、奪首を逃がした、と考えるべき。

山雅にとっての達成は、無失点であったことぐらいか。

他方、パルセイロにしてみれば、そこそこ攻撃シーンも披歴できたし、とにかく、2週続けての敗戦を回避できたことは、大きな成果だった。

❷百聞は一見に如かず……は真理。
昇格が懸かったゲームには、6,000人余を動員した実績がもともとあって、そこへ持て来て、今回は、山雅蹴球団及びそのファン&サポーターの力を上手く使いながら、(地元側で)従来の5割増しくらいな動員を達成してみせた。

観衆の側にしてみれば、スタジアムがほぼ満杯になると、一体どういう〈画〉になるのか?、がハッキリと可視化できた。

サッカー熱がもたらす、長蛇の入場列、人混みと、そして、感動とが。

5/15に起きた、ひとつの価値ある達成には、惜しみない賛辞を贈ろう。

ゲーム前、オーロラビジョンにパルセイロの小史が紹介され、それが終わると盛大な拍手が沸き起こったのは、ホームゴール裏くらいのように見受けられた。

やがていつの日にか、バックスタンうド全体にも、チーム歴史などの煽り動画に、自然と拍手が波及することを願ってやまない。

今季、外からザッと観ると、熱心な青年監督をフューチャーしつつ、積年の願い(2部昇格)を果たさんとする情報発信が顕著な長野。

技量の差を、強いキモチで埋めようとするサッカースタイルも含め、これって、よく考えてみるとですね、我らが〈いつか来た道〉とも重なってくるではないか。

お互いが、近くのライバルとして切磋琢磨し合って高みを目指す、それは大いに結構。

ただし、かなり昔の、地域的な対立や確執を持ち出してきて、両者の競争に絡ませるのは、ご先祖の頃からの因習を脱却できない、後ろ向きな連中に任せておこう。

長野駅のコンコースを歩いていたら、山雅ファン&サポーターから2度ほど声をかけていただいた。

そのうちのおひとり(若い女性)は、さっきまでパルセイロサポーターと会食していて、彼らはこれからスタジアム観戦、けれど、自分はチケットが獲れなかったので、家に帰ってDAZN観戦です、とのこと。

サッカーを縁とした、こういう歓談は、実に嬉しいもの。

それが、おとといの長野駅であっても、また、4年前の京都駅であっても。

(時候の憶え: 5/16 アヤメ(白)が開花する)

では。

乗り越えるべき いくつかの壁 (長野戦レビュウ その❷)

リーグ戦の4分の1、9節を終えたところで、勝ち点は、18。

ゲームあたり勝ち点2を積んでいて、上への道は射程に入れつつあるので、今のところは、一安心。

これから、7つのチームとの、初対戦(このリーグでの)が、待つ。

ゲームに譬えると、今、前半の22分頃を経過、という感じですが、
突き抜けるべき課題とは……、

❶自身のサッカースタイルと、力量差によるボール保持をどうやって整合させるのか?

これ、パルセイロ戦でもかなり露わになったことであって、もともとがボール奪取からの反転攻撃を得意とする我がチームではあっても、相手の緩い守備やボール際の緩慢があれば、どうしてもこっちがボールを握る現象が起きる。

そうなった場合は、陣形を整えて前を向いて待つ相手に対し、(後方からボールを動かして)侵攻する技量、アイデアをもっと深めないと、得点に結びつかない。

❷被ファールの多さをいかに凌ぐか?
沼津戦同様、長野戦でも、こちらが被ったファールはかなり多い。

特に、あの会場の雰囲気からなのか、パルセイロのプレイヤーが必死さを宿して喰いついて来た結果、被ファールは、17個。(こっちが犯したファールは、おそらく6~7個)

セットプレイを多く得られる反面、プレイヤーが損傷するリスクも増えるわけだから、いかにファールを防いでボールを運んでいくのか、という観点も大切になってくるように思います。

ところで、今節のジャッジは基準もマトモだったように思うけれど、後半、相手陣内深くで、パルセイロが犯したハンド。

誰の目にも明らかなハンドを、主審が見逃したのはいただけなかった。
至近で視ていたはずの線審、あれはアピールしなきゃあマヅイでしょうに!

❸前後半冒頭の 15分に賭けるやり方の深化が求められる
チームとしては、おそらくゲームを15分刻みで診ているのではないかと思いますが、前後半の開始15分までを、スロットル全開で向かう指針であるように見受けられます。

で、45分の中盤は、いかに中だるみしないかに目を配って采配し、後半の場合は、65分くらいを新戦力投入のタイミングとする……、そんな感じ。

その時の得点の有無にもよりますが、この時間帯に、前向きのエネルギーをどのようにして得点を挙げるのか?、が今後注目したいポイント。

……、とざっと書き下しておいて、次回レビュウその❸では、あの夜の雑感を。

では。

既知な相手の 未知を衝けた? (2022.5.15 長野戦レビュウ その❶)

結果は、1 – 1 の、スコアレスドロー。

〈価値ある無失点〉
失点ゼロには、主に、攻める守備が出来たことが、大きく貢献している。

ゴールキーパーのビクトルを含め、システム変更によっても破綻のないディフェンス陣の奮闘は、素晴らしい。

ヒヤリとしたシーンは、セットプレイからの山本 大貴のヘディングシュートくらいでしたから。

が、昨夜の、長野の中盤の緩さと、前線からの追い込みの甘さを考えると、これを手放しで評価するには、まだ時期尚早としておくのが、身のため山雅のため。

〈消えた横山〉
3バックに変えてきたことをのぞけば、5/8天皇杯県決勝のパルセイロ、ほぼそのままだった。

山雅は、(前の対戦の教訓から) 前線で向こうの高身長とロングボールを競ることを回避し、ひらすら地上戦で勝負を挑む。

中盤におけるボール運び、奪取、連動に関するアイデアはこっちがずっと優位なんで、相手が3バックで来たんだから、サイドからの崩しと、横山 歩夢を活かした、ヨーイドンの裏抜け!を、倦まずにもっと多用したかった

それらが無かった、とは言わないが、まだ出来たと思う、力量的にも。

屈強な3枚のディフェンスを無力化するには、その壁の前を横方向に動きながらシュートするより、相手を横に引っ張り出しておいて、その間隙を、縦パスなりドリブルなんかで、衝きたかったですな。

特に後半、横山がその存在感を消した根本的な要因は、パルセイロの宮阪 政樹が後半冒頭から投入され、横山らによる前線からの追いまわしを巧くいなして切り抜けたことに在ったけれど、相手ディフェンスを揺さぶるアイデア、これは、今後の主要な課題。

クロスを投入するにせよ、その御膳立てとして相手の陣形にほころびを仕込まないと、脅威にならない。

強みとしたい、無骨、剛直、緻密なアイデア、これらはだんだんと表現できるようになっていて、その方向性に間違いはない。

けれど、ゲームコントロールにおいて感じられるひとつの壁も見えていて、それは、レビュウその❷で。

では。