母さんなら知っている。

〈Your Mother Should Know〉は、1967年に放送されたテレビ映画(ビートルズ主演) の挿入歌として作られた。

ポール マッカートニーの作詞作曲。

……さあ、起き上がったら、曲に合わせて踊ろうか。

ずっとずっと昔に流行った曲さ、君の母さんが生まれる もっと前に。

でも、母さんなら、きっとしているはず。

君が思う以上のことをね……。

半世紀前のちょうど今頃って、どんな曲が流行ってたんだろう?

では。

それでも,公平を期す。

公平、という言葉を使おうとして、

いざ考えてみるに、もろもろの事象に向かった際、なにをもって公平、公正、平等とすべきか?、

このことでは、

僕の中で、価値の揺らぎが大きいことに、今さら驚いている。

齢を加えるにつれて、ジャッジがますます難しくなっているのは、マヅイなぁ。

でも、いいや。

ポール マッカートニーの曲を取り上げたんだから、相棒だった、

ジョン レノンにも言い及ばなければ、公平を欠く、とでもしておこう。

実は、この曲〈ジェラスガイ〉が、アルバム『Imajine』(1971年)に収められていたことさえ、忘れていた。

申し訳のないことです。

60年代の終わりころに、すでに出来上がっていたのに手を加えたらしいが、僕の評価は、かなり高い。

今回は、ジャズピアノによるカヴァーで。

どこぞのジャズ喫茶なんかで、どっぷりとこんな曲に浸っていたい!!

では。

今さら,今でさえも。

アルベール カミュ(1913~1960年) の小説『ペスト』(1947年刊) 。

ペストとは、自分たちの所業とは、まったくおかまいなしに襲ってくる厄災の象徴。

それに立ち向かうための人間の連帯が、多様な人物が絡んで描かれている……。

登場人物のひとりに、小説家志望の公務員がいて、

彼は、帰宅すると毎晩、小説を書き進めているらしく、ひとつの文章をいくども推敲していることを友人に熱心に語る場面が挟み込まれる。

独白に近いような会話が、人物の名前も、具体的なセリフも忘れてしまったのに、読後何十年も経って、ふと頭の中に蘇ってきた。

文学作品の不思議、あるいは、現実のなにかに触発されて起動する記憶の不思議さ。

そんな折、1970年代の楽曲をカヴァーしている動画を見つけ、ずいぶん懐かしくもあり、その上質さに驚いている。

もともとポール マッカートニーのアルバム『RAM』(1971年)、あれは、かなりの名盤だろう、と思っているので、それをこんな素敵なカヴァーで聴けるなんて、嬉しい限り。

それにしても、『ペスト』の発表から、『RAM』までに流れた歳月が、たったの20年とすこし……なのか。

今さらながら、でも、今でさえ、価値あるものは、僕の周りにけっこう多い。

では。

追悼 ティナ ターナー。

1960年代から70年代にかけて、世にその存在を知らしめ、

その後も、80年代を経て、21世紀に入ってもなお、フロントラインで仕事を続けたシンガーたち。

その訃報が、このところ相次ぐものだから、けっこうメランコリックに効いてくる。
(これからも、ますます、そうだろうし)

ゴードン ライトフット (1938~2023.5.1)は、84歳。

ティナ ターナー (1939~2023.5.24)は、83歳で、次の世に旅立った。

言葉多く、あれこれと称賛するのはやめて、今はただ、在りし日の演奏に浸りたい。

ウエンブリースタジアム(@イングランド)でのコンサート(2000年)。

ティナは、当時おんとし61歳。

歌唱やダンスの衰えを補って余りある、抑えどころを熟知したパフォーマンス。

こんだけ演るんだから、やっぱ、真正ロックンローラーだよね

では。

桑ズミ フォーエバー。

六月は、

いろんな berry (ベリイ) の熟れる頃。

梅雨の晴れ間、照り返しの庭で。

ジューンベリイの実をひとつ、ふたつ、もいでは口に含んでみる。

ごくたまには、しっかり甘いのもあるけれど、

だいたいは、甘味よりかは、飾らない酸味が、口内でまさる。

でも、戯れに楽しむ自然の甘さなら、あくまで、酸味と一体でなくちゃあ、いけません。

松本あたりでは、桑ズミ、と(方言で) 呼ぶ、桑の実もまた、

なんとかベリイ、という英語名らしい。

廃れた養蚕の名残りで、田畑のあぜ道には、桑が、いまも点々と残る地域に住んでいるのに、

実をつけている樹が、なかなか見つけられずにいた。

が、最近、ふとしたことで、拙宅から 1kmくらいの場所で、見つけたんですね。

樹高が 6~7mで、見あげると葉の陰には、何千という実をつけている。

枝を引き寄せて、すこし触れただけで、実がスッと落ちてしまう。

熟し切っている証拠なんだ、きっと。

柔らかい実を手に捕ったとたん、実がこわれて、指先が、出血したかのような鮮やかな赤で染まった。

この色素はアルカリ性だから、酸性の、レモン汁か梅干しで揉めば、中和され、たやすく消える。

それを識っていると、口の周りや手をむらさきにしたままで叱られることもなし。

小さい児が、酸、アルカリ、中和を学べる好機。

でも、今では、やはり廃れた遊びなのかな……。

では。