山雅やま部を,ひそかに応援する。

たまあに見舞っていた(寝たきりだった)、中学時代に担任だった御方が、この6月に亡くなった。

訪問の約束をとろうと電話して、そのご逝去を知った。

ご自宅に弔問にうかがい、遺骨を前に、奥様と、亡き人の想い出など話す中、

― わたしね、蟻(あり)高の山岳部だったのよ、とおっしゃる。

なるほどね。

故人は、大町山岳博物館長を務めたくらいに、

山々や、高山植物には造詣が深かったから、初耳ではあったが、連れ添う女性との出会いが、なんだか鮮烈に、腑に落ちた。

ただし、僕自身は、師に違背したわけでもないが、

登山を趣味にすることもなく今日まで至る。

ま、今の住処と暮しが、玄関を一歩出たら、即、高原のようなものだから、

庭にシート敷いて寝っ転がれば、それが、そのままアウトドアアクティビティさ、と広言している。

たとえ、ちょっと近くの野山に出かけるにしても、アウトドアの本質とは、

〈何を持っていかないか、または、何を捨てて自然に入っていくか〉に在ると思っているので、

快適で、至れり尽くせりの道具に囲まれた活動には、無縁でいたい。

で。

この度の、山雅やま部 (登山部ではない) の発足。

その趣旨には、したがって、おおいに賛成。

けれど、独行好みの萬年ゆえに、秘かに応援することになりそう。

では。

TV画面よ,TVよ (パリの憂鬱)

始まってみて、思い知ったけれど、

毎朝、TV画面がもはや、出勤前の時計がわり、とならない。

パリでやってるオリンピック中継に番組が占拠されていて、現在時刻がつかめないのだ。

……この不都合が、しばらく続くのは、どうしようもないか。

サッカーは、フルタイムのゲームを観るほど興味が湧かないけれど、

ハイライトシーンは、自然と、眼に飛び込んでくる。

男女ともに、グッドゲームを闘っているようだから、喜ばしいことだ。

僕が、特に印象深いのは、

男子の場合だと、23歳を超えるプレイヤーを何人か使える制度(オーヴァーエイジ枠)があるはずだけれど、

今回のナショナルチームは、そんな、ケチな手段を採用していないらしいこと。

ゲームの勝敗そのものより、OA非招集に、

世代を追ってタレントが次々と出現している事実が証明されていて、嬉しくなります。

(といっても、もしも戦績が芳しくなければ、メディアは、非招集の責を追及するんだろうから、なんとも)

ついでに、女性の、対ブラジル戦のハイライトを覗くと、

ゲーム終盤に、絶妙なロングシュートが決まっての勝利(しかも逆転)。

サッカー人生にあって、そうは(2度と?)ないような美しいゴールだろうが、

決めた時間帯などから、これを観て、

最後まで諦めない好見本、みたいな言いようが予想される。

けれど、おそらく。

プレイヤーは、引き分け(ゲームプランとして)で終わろうとしていない限りは、笛が鳴るまでは、勝つために闘っているわけだから、

諦めずに観ていて良かった、という観戦者の感情を投影するあまり

あたかも、それを、やっている者の(必死な)心理として表現するのは、いかがなものか?

こういうのは、原因と結果の法則、の吟味されない当てはめ、に過ぎないから、事実の歪曲にも、つながりかねない。

まぁ、しかし。

すべてのプレイヤー達には、ゲームに没頭できる限り、時間を楽しんでもらいたい。

あいも変わらぬ、メディアの〈メダル病〉的な報道など、どこ吹く風で。

では。

強くなっている, 7月 (福島U戦レビュウ おしまい)

〈強い〉とは、 イコール、勝つことに尽きる、といったような単眼、単一思考のお方には、

(きっと、時間の無駄しかならないから) この記事は、お奨めしません(はじめにお断り)。

(ファン&サポーターにおいて、現在のチームへのしかるべき期待値と、リーグ戦線における評定とが、ごちゃまぜで議論されている齟齬、これはもはや、どうしようもありませんが)

さて。

7月の 4戦は、僕からすると、なんと至難の連続だろうか、と予想した。

対戦相手の4つとは、リーグ前半で、2分と 2敗。

ゲーム内容も、(福島戦をのぞいては)芳しくなかったからだ。

けれど。

4つの再戦を、1 勝 2分 1敗で、乗り切れたのは、まぁまぁの結果であるし、

そこには、山雅としても、良い意味での〈変節〉が仕込まれていて、見応えはあった。

たとえば。

❶対FC大阪戦。

基調は、大阪のゲーム流儀に乗っかる格好で、前半戦は、アクチュアルプレーイングタイムが、31分16秒(少な!!) であったのを、

今回は、44分43秒へと、こっちの注文相撲をかまして、引き延ばして魅せたこと。

❷対福島U戦。

背後に、おそらくは、先発メンバーの苦慮を抱えつつ、

ゲームを通じてボール保持の 60%をゆるしながらも、最初のラッシュで先制、

しかも、ラスト20分は、ゴールこそならなかったものの、攻撃圧を格段に高めて魅せたこと。

これらは、徐々にでも、強くなるための課題は、局限化できている証拠。

萬年式表現では、

そのためには、上手くなる(個の技量アップと連係クオリティ)と、巧く(巧妙に)やる、の二方面を進化、深化させることに尽きるのですが、

おおよそ、そういった仕事の突き詰めは、十分ではないが、うかがえる。

20日間の中断を取りおけば、高井 和馬の復帰によって、前線に厚みが増すのは違いないし、

加えて、

(橋内 優也のフォワード起用、という暴論も提起しつつ)

欲を言えば、縦方向へと活路を拓くことができる中盤(ボランチ)の強化、そこには期待しています。

もちろん、成長のあかし、米原 秀亮の 100ゲームメモリアムグッズは、購入の予定ですよ。

では。

もっとチャレンジしようよ (福島U戦レビュウ❷)

(註☞この記事は、チノ氏との、ゲーム総括の中身に、多くを負います)

ゲーム前のピッチ内練習の時。

福島ユナイテッドのそれを観ていて、思わず、

― こんなんで、いいのかね?、と言葉に出てしまった。

ほとんどシュートを、ゴールマウスに飛ばすことに終始。

それも、申し合わせで出されたボールを打ち込んでいるに過ぎず、

活きたクロスが投入されて、フォーワードがそれに合わす、といった実戦的なことが行なわれない。

― 他人のチームのことなど、事情も知らずに、どうでもいいじゃぁない、と家人には、たしなめらる。

が、後になって考えれば、あの程度の事前運動で十分でした、福島の場合。

というのは。

山雅がなかなかボール奪取にてこずり、または、徒労に終わるシーンで。

福島のボールポゼッションの特徴は、

かなり錬成されたセンターバックのところで、山雅の前線を左右前後に〈いなす〉ことができて、

かつ、食いついたこっちのフォワードの背後に、ボランチが上手く入って、ボールを動かしたこと。

つまり、一見、自陣の低い位置でボールを持つことで、

相手を前傾させておいて、そこをはがしたら、瞬時、特に、左サイドのドリブラー(#10森)にボールが渡り、

そこから、シュートまで持ち込んでしまうサッカー。

低い位置で〈緩〉を積んでから、そこから、サイドで〈急〉な切り裂きをはかり、ショートで完結する、これです。

失点は、(福島の)右サイドからアーリーに入れたクロスを合わせられたものですが、やはり、緩急を上手くアクセントに使われたことは、同様。

チームで闘う競技なので、属人的な部分を強調するのはチトはばかれますが、

でも、当日、中盤で〈狩れる〉プレイヤーの枚数が不足したことは、やはり痛かった。(安永の離脱)

4 – 3 – 3 がオイシイのは、前線から追い込む3枚と、その後方に、狩人と言うべきボランチが 3枚が、重層で構えること。

菊井 悠介が、後方に落ちてボランチに回る仕事と、ゲームメイカーの任は、両立しにくく、

また。

米原、山本のダブルボランチでやろうとすると、狩る役は、米原ひとりになりがちで、そこを突破されると、危険なシーンとなる。

で、こっちの攻撃。

ボールを持って巧く侵攻するには、

相手守備の外縁を、ただボールが周っているばかりだと、定常的なコースを読まれやすく、

現状、サイドへと追いやられて、頓挫、というのが多い。

観戦者の消化不良をきたすわけ。

上手く相手をかいくぐっていく場面がないわけでもないから、今を全否定はしませんが、

やはり、さっき福島について語ったように、

どこかに〈緩急〉と、相手の予想を超えるワンプレイ、をかまさなければ。

それは、大胆なサイドチャンジでしょうし、

さらには、センターバックから、前線への鋭い縦パス、そういう武器の発動。

たとえば。

野々村には、常に、安藤へのパスコースを機敏に見分ける、そういう成長を切望します。

実は、山雅がやらせなかったということもあって、この夜、福島は、見惚れてしまう縦パスを使えていなかった。

だからこそ、そのお株を奪うような、素晴らしいのをお見舞いしたかったですよね。

では。

(不足はあるが)巧くなった (2024.7.27福島U戦レビュウ❶)

ゲーム開始早々に先制するも、前半で追いつかれ、

そのまま、1 – 1 のドローで、ジ エンド。

暑さの中、互いに手を緩めずに走り競り、かなり疲弊したとは思いますが、

観ているこっちも、ゲームの行方に神経を張り詰める分、疲れるゲームとなりました。

勝利できなかったのだから、

〈ナイス!〉を声にするのは、遠慮するものの、

掛け値なしで全力を傾注したプレイヤーたちを、称賛したく存じます。

……毎度ながら、挨拶にやって来た同士に対し、BOOを見舞うといった、あの対応(南ゴール裏の)は、ないわ。

特に昨晩のようなゲームにおいて。

現実のチーム山雅ではなく、まるで〈幻の窓〉から、チームとゲームを見ているのか?

しかも。

やすやすと、多勢の心理に流されるような精神的な荒廃によって、

我がチームを弱体化している、やっかいな集団です(何度も言いますが)

〈特筆すべき巧妙さ〉
こういうのを、私萬年は、待っていた!

ゲーム開始の、キックオフは、山雅のほう。

ここで、いままで観たことのないことを、やってのける。

ボールを受けた山本 康浩は、センターサークル内で、そのままターンすると、相手の守備ラインの裏、山雅からすると左サイド奥へと、ハイなボールを蹴り込んだ。

ここから、一気に攻撃の潮目がこっちに来ると、立て続けに、コーナーキックが 数本続き、

結局は、その流れから、菊井が中央へと入れたグラウンダーパスに反応した安藤 翼のゴールが実った (4分)。

たとえば、大相撲でいえば、制限時間になってからお決まりのごとく立つ、といった陳腐と緩慢を排除し、

一回目の立ち合いで敢然立つ、抜け目の無さと、ひたすら相手の意表を衝く巧妙。

語呂合わせではないが、こういう思想が、これからの山雅の〈光明〉になる、きっと。

ま、それから(前半が進むと)、じょじょにフラストレーションが溜まるゲームと化していくわけですが、

あの 1点がなかったら、と思うと、あのプレイは、相当に効いたはず。

で、その山本は、イエローカードを呈示されて、累積4枚となり、次節は、出場停止。
― 今日、職場で、ソネさんから聞いた。

なんでも、あれほど酷いプレイ(福島の) をなんでファールに採らないのか?、と主審に詰め寄り、それが執拗な抗議、と見なされたらしい。

北ゴール裏からは、誰かが、なだめに入ったようにも見えたが、

良し悪しは別にして、ああいうカードを防げないのが、

今の山雅のあり様であることは、たしか。

でも、キーパーソンと予見したふたり、安藤と山本が、それぞれ存在感を魅せたので、ちょっとは溜飲をさげている。

では。