采配ミスとは言わないが (2021.5.9新潟戦レビュウ 前篇)

0 – 0 のスコアレスドロー。

ボール支配は相手に渡しておくこと(70:30)によって、こちらはゲームを支配しようという戦略、は予想どおり。

ま、放っておいても、そのくらいなボール保持率になったんでしょうが、チーム新潟を窮屈さとフラストレーションへ誘導したことが、なにより大切。

そこで、最終ラインからボールを引き出そうとする相手ボランチにはかならず一枚をつけておいて、後方に押し戻すか、あるいはサイドに追いやっておいてから、そこで引っ掛けるなどしてボールを回収、というやり方も、ほぼ想定内。

今の新潟相手では、こうするのがマッチベター、というのは、素人眼にも自明ではありました。
新潟止めたけりゃあ、こうやれば良い、という見本にはなりましたかね。

さて、山雅は、防波堤として、最終ラインにスピードと屈強を配しておく。

そして、新潟のサイドへの展開には、2列目、ある時は最前線の阪野までを動員して、数的同数を確保してフタをした。

ゆえに、大きなほころびもなく、準備した策が奏功した、という評価は間違いではない。

佐藤 和弘も復帰し、前貴之とのダブルボランチはほぼ磐石、各自ファーストディフェンスも手を抜かずに、なかなか上手くパスコースを殺していたことでもあるし……。

ただひとつ、難癖を申し上げると、残り20分(後半の飲水後)を切ったゲームの読みと、先手の発動について、だ。

フィールドプレイヤ全員が不足なくやっている。

とすれば、安易に交代カードを切って、みづから下手を打ちたくない……、というのは痛いくらいにわかります。

しかし、ディフェンスにあれほどに駆けずり回っていれば、先発プレイヤーの疲弊は不可避。

案の定、ゲームのシーソーは、徐々に新潟側に傾きつつある。

もしも、なんとしても勝ちを獲たいのであれば、例えば、4バックにしてさえも、田中 パウロと表原 玄太の、引っ掻きまわすタレントを投入すべきであったと思います。

ゲーム落としどころの判断もあったんだろうから、責める気持ちは毛頭ないけれど、疲弊はおそらく相手もそれ以上だったはずなんで、勝負を賭ける姿を観たかった、というのがDAZN観戦者の、勝手な言い分なんではあります。

無難と慎重より、そこは、あえて果敢を!

ただし、これだけは断っておきますが、チームスタイル構築の方向性、およびタレントの運用(大野 佑哉のアウトサイドハーフ起用等々も含め) は、決して間違いなかろう、と思っています。

ゆえに次節、上からいつのまにかすぐ真上の順位に落ちていらっしゃったツエ―ゲン様との対決が、いよいよ重要になってきました。

では。

なぜラブソングか? 『Unchained melody』

この曲、1955年に公開された映画『Unchained』(米国)のテーマソングとして作られた。

これ、刑務所を舞台にした作品。
そこから逃走して、家族との再会を果たそうとする主人公を描く。

unchained、とは解き放たれる、といった意味。
監獄につながれる囚人であることからの命名だろう。

ただ、歌詞は、長年孤独であったために会えなかった恋人への思いを綴る内容だ。
ちょっと意味不明の題名と、その生い立ちからか、気の効いた日本題がひねり出されず、ここまで来ているようです。

そしてもはや、映画はほとんど忘れ去られて、主題歌が独立して世に残る。

1965年に、ライチャス ブラザーズが取り上げて、再ヒットさせている(プロデュースはフィルスペクター)。

ちょうど、松本城下で、かの喫茶店たむろの蹴球クラブが結成された年ですな。

20世紀においてもっともカヴァーされた曲のひとつらしい。

ウエディングパーティの定番ソングのような趣きがあるが、あと4年は、著作権で稼げる模様。

今回は、サム クックのヴァージョンで。

では。

緩急つけてサボらずに (新潟戦プレビュウ)


*エンブレムの中心、これサッカーボールのシルエット、とはじめて気づく。

アルビレックスとの対戦成績はここまで、2勝1分4敗。(リーグ戦、ルヴァン杯のみ)

勝ったり引分けに持ち込めるようになったのは、ほんの3年前からのこと。

しかも、まだビッグスワンでは、勝ったことがない。

となれば、今節の目標は……、ひとつ、ビッグスワンでの初勝利。

そして、2021シーズン、新潟に初黒星をつけるチームは山雅、のふたつ。

引き分けふたつを挟むとは言え、10連勝すればよほどの事態が無い限り、今後昇格レースの主人公になるアルビレックス。

となれば、山雅の現在地をたしかめるグッドチャンス、と思います。

【ゲームにおいてチャレンジせよ】
新潟のスタイルは、ひたすらボールを手中にして速く攻め立て、ペナルティエリアにボールを運んだら、かなり高い確率でゴールを仕留める、というもの。

平均ボール支配は、60%超。
ゲームあたり攻撃回数はリーグ19位ながら、ゴール数は1位、という数値がそれを物語る。
得点は、まづはセットプレイから 29.0%、次に、クロスから 26%、このふたつで半分超。

こうなればもう、せめぎ合いの様相はほぼ歴然なんだけれど。

相手がボールを持って、こちらはひたすらそのボール奪取を狙い、奪ったら反転攻撃、これしかない、と見せかけておいて……、

山雅の平均ボール保持は、49%。
待ち構えることに専念するスタイルでもないので、練度からすると相手より劣るかも知れないが、ボールを握る時間を最大化する……、といったチャレンジを仕込むくらいはして良い。
まぁ、そんなに甘くないだろうが。

要は、端からもたせる、とか規定してしまうとかえって墓穴を掘りますよ、ってこと。
失敗例が、前節の大宮アルディージャ(2 – 3 で逆転負け)であって、ボール支配は大宮 30 : 新潟  70 という数字だった。

【狡猾に 執拗に】
❶ポイントは、(守備として) どこでボールを獲るか?

❷獲ったら、(攻撃では)どうやってやって相手ゴールに迫るか?、ということ。

今季、失点を脅威的に改善している新潟。
観た感じでは、最終ラインをトコトン強化したというよりも、ボールを持つことで相手の攻撃回数を減じているのが真相ではないか。

であるなら、攻撃では、単純にロングボールを使い、最終ラインの裏を衝くか、あるいは競り合っておいてそのセカンドボールを手に入れるか、まづはこれでしょう。
これがハマれば、新潟の陣形を間延びさせ、守備と攻撃のラインを分断できるわけですから。
ここのところは、横山や河合の突っかけが活きてくる部分です。

前線におけるディフェンスでは、4 – 2 – 3 – 1の新潟の、2のところ。

少なくともボランチひとりが最終ラインとボールをやり取りするので、そこをサンドする形で追いたてておいて、サイドへ回させ、ロングボールを蹴らせ、それを回収。

【左サイド対決か】
ゲームにおけるいちばんの競合地点は、サイド。

こちらの左サイドでいかに多く侵入し、そして、新潟の左サイドをどれだけ封じ込めるか。

外山-下川ライン、浜崎 – 大野ライン、これに、前 貴之を起点に、河合と鈴木によるポジション移動を絡めて、中盤を作る、そんな格好で相手エリアを進みたい。

我らがテンポとリズム感、そこの時間でゴールを奪え

相手の左サイドについて言えば、新潟のすばしこいタレント(本間や高木)は、一度ボールを渡しておいてから、かならず続けて顔を出す。
しつこいんです。
そこのところ眼を離さずに、自由にやらせない。
ここらは橋内のスピードとアジリティが効くはず。

さて、コーナーキックの守備は、双方ゾーンとマンツーマンの混合形。
チャンスあれば、思いっきり手の込んだ策略だっていいんでは?

ゲーム展開にもよるが、ファールはこちらにどうしても多くなりそう。
となれば、つまらいない位置でのファールは避ける。

ゲームのキーパーソンは、(攻撃)外山と阪野でありましょうし、(守備)大野と阪野、と言えましょうか。

昨季第39節(3 – 1 で新潟に勝利) の感触、これをトヨ君が憶えていて、それを再現できることを期待します。

では。

谷奥 健四郎を祝す (秋田 vs 長崎)

第12節の結果を、ざっとみていて、
ブラウブリッツ秋田が、アウェイ長崎戦を、 2 – 1 でモノにしたのを知る。

しかも逆転勝利なのか。

結果、順位的には山雅の上、8位 (勝ち点18) で健闘している。

このゲーム、右センターバックとして 90分間プレイした谷奥 健四郎が、1アシスト1ゴールの活躍を魅せた。
もちろん、MVPです。

山雅での鍛錬と苦闘が、こういう格好で報われた、と勝手に思い込む萬年ではあるが、まことに嬉しいニュース。

こうなると、8月9日山の日のアウェイ秋田戦は、参戦を本気に考えないといけないな。

他方、ゲーム直前の5月3日、吉田監督の解任と、松田新監督就任を発表したVファーレン。
監督不在の対戦だったとは言え、辛い敗戦だったろう。

昨季の戦力をほぼ温存することに成功したものの、それまで、4勝2分5敗と、たしかに負けが先行していたとは言え、監督交代のカンフル剤はちょっと尚早では?……、と思ってしまう。

ま、蚊帳の外からは計り知れないような、内部事情がきっと在ったんでしょう。

あるいは、昨季3位までやれたという成功の残像と、なにがなんでもトップリーグ昇格という切迫目標のはざまでの決断だったか。

でも、人心とチーム戦略の刷新を図りたいのであれば、前監督をアシスタントコーチとして依然残すというのは、どうなんだろう?

また、監督更迭のニュースでは、プレイヤー(連名)の声明も挟み込んであって、
みずからの不甲斐なさを謝し、心を入れ替えて精進します、みたいな文面。

人事異動の案件に、なにも現場のプレイヤーを引っ張り出してエキスキューズしなくとも、と思う。

放送終了後30分までに、といった人を急かすような親会社のやり方。

そんな万事即決の気風が、クラブ運営にも浸透しているのかも知れない。

では。

天気,暗雲強風なれど (2012.5.5相模原戦レビュウ)

その荒天を味方につけるように、2 – 1 で勝利。

3連勝は、よくやった。

が、(直近3ゲームの対戦相手のメンツからしても)、勝ち負けをイーヴン (4勝4分4敗) に戻したことにこそ価値がある。

【ゲーム評あれこれ】
❶風下にまわった前半、というのは秋田戦と同様だった。
けれど、あの時とはチョッと様相が違っていて、特に、満を持していくべき後半、なにか中だるみ、となる。

ゲームを通じ、みずからのパスがずれるなどして、リズムをなかなか創れないことが大きな要因だった。

観ていて、あぁ、レビュウのタイトルは、〈ゲーム低調なれど〉かな?、と思案していました。

❷交代により、3トップのようにして、前線に強度を加えたことで新風が注入され、阪野 豊史による 2点目が生まれる。

この失点によって、相模原ディフェンスがかなり気落ちしたのが見て取れた。

だから、もっと老獪に攻めたてていれば、3、4点目が可能だったはずで、そこをまともに打ち急ぐ場面が多かった。
この辺、タメを作れない部分は、したたかさを欠く。


❸北ゴール裏の同志チノさんと意見が一致したこと。
横山 歩夢には、前田 大然の上をいく上手さ有り、がそれ。

相模原後藤 圭太のオウンだったとは言え、あれ、実質的には横山のゴールのようなものだから、その走りを継続せよ。

萬年、#32に希望を託したく、けれど今季ユニフォームは審美的にご勘弁。

で、2013年版蔵田 岬平のやつを着込んで参戦だった。
これが効いたもの、と勝手に独り決めです。

【もっと狡猾に、とは】
❹上の❷に関連して。
ボールが左右に動き、人が湧きあがってくる攻撃。
たとえば、前半40分頃の攻勢。

ボールを手中にしてリズムに乗れると、多くの場合、シュートか、その一歩手前まで持っていけるようになって、連携と練度が上がってきたことは喜ばしい。

ただ、注意すべきは、緩慢のない一定のリズムに終始した場合、ボールロストから一気にカウンターを喰うこと。

どこかに相手の意表を衝いた時間的なギャップを挟まないと、堅く固めた守備網を破るのも難しい。

それを、フェイクを何回も入れたカットインで演っているのが、たとえば、本間 至恩(新潟の)なんですが、相手を釣り出すような工夫をもっと入れましょう。

そういう意味で、後半アディショナルタイム、ボールを受けた田中パウロ淳一が、いったん下がっておいてから打った、バーを叩いたあのシュート。
ああいったタメ、余裕です。

しかし、ゴールにならなくとも喝采を得られるとは……。
パウロ独特の雰囲気は、チームにとって貴重です。

賢さの事例として、相模原FW藤本 淳吾のプレイをひとつ。
前半、強風を背にしたロングボールが中途半端に長くなったシーン。
コントロールできないと悟ると、それを、山雅ゴールラインに蹴り出してしまう。
むしろ、逆風下の相手ゴールキックにすることでリセットする、という意図。
学びたいスマートネスでした。

さてと、ようやくとひとつの長いトンネルを抜けた。
次節は、その国境の向こう、新潟平野に乗り込んでの決戦か。

では。